JIS K 7010:1995 規格概要
この規格 K7010は、繊維強化プラスチックに関する用語及びその定義について規定。
JISK7010 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K7010
- 規格名称
- 繊維強化プラスチック用語
- 規格名称英語訳
- Vocabulary for fibre reinforced plastic
- 制定年月日
- 1995年4月1日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 01.040.83, 83.120
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- プラスチック II(材料) 2021
- 改訂:履歴
- 1995-04-01 制定日, 2001-10-20 確認日, 2006-10-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS K 7010:1995 PDF [13]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 7010-1995
繊維強化プラスチック用語
Vocabulary for fibre reinforced plastic
1. 適用範囲 この規格は,繊維強化プラスチックに関する用語及びその定義について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 6900 プラスチック−用語
2. 分類 繊維強化プラスチック用語は,次のとおり分類する。
(1) 一般
(2) 材料
(3) 成形・加工
(4) 性質・性能
3. 用語及び定義 用語及びその定義は,次のとおりとする。
なお,用語には番号を付け,参考のために対応英語を示す。
備考1. 一つの用語欄に,二つ以上の用語が併記してある場合は,記載してある順位に従って優先的
に使用する。
2. 用語の読みが紛らわしいものについては,用語の下に括弧書きで読みを示す。
3. 対応英語の中で,太字で示したものは,JIS K 6900に収録されている対応英語を示す。
(1) 一般
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1001 ガラス繊維強化プ glass fibre reinforced plastic
ガラス繊維を強化材とし,熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂
ラスチック をマトリックスとする複合材料。略称GFRP。
1002 強化プラスチック reinforced plastic
その組成の中に埋め込まれた高強度繊維を伴うプラスチッ
クで,その結果として基盤樹脂よりはるかに優れた幾つか
の強度特性を生じている。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
1003 積層品 laminate,
1種類の材料若しくは複数の材料の2又はそれ以上の層を密
着結合して製造する製品。 laminated product
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
1004 繊維強化熱可塑性 fibre reinforced
マトリックスとして熱可塑性樹脂を用いた繊維強化プラス
プラスチック チック。略称FRTP。 thermoplastic
1005 繊維強化プラスチ reinforced plastic
fibre
各種繊維を強化材とし,熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を
ック マトリックスとする複合材料。略称FRP。
1006 繊維強化複合材料 fibre reinforced composite
各種の繊維強化材と各種のマトリックスとの複合材料。
material
――――― [JIS K 7010 pdf 1] ―――――
2
K 7010-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1007 層間ハイブリッド interlayer hybrid,
ある繊維層と別の繊維層を積層したハイブリッド複合材
料。 interply hybrid
1008 層内ハイブリッド intra hybrid,
一つの層の中に2種類以上の繊維が入っているものを積層
したハイブリッド複合材料。 intraply hybrid
1009 耐食FRP 耐食層をもつ繊維強化プラスチックの総称。 corrosion resistant FRP
備考 4021参照
1010 炭素繊維強化プラ carbon fibre reinforced
炭素繊維を強化材とし,熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を
スチック マトリックスとする複合材料。 plastic
備考 前者をCFRP,後者をCFRTPともいう。
1011 ハイブリッド複合 hybrid composite material
2種以上の繊維,粒子,フレークなどを強化材とする複合材
材料 料。
1012 複合材料 composite,
(1) 結合材料(マトリックス)と微粒子又は繊維状材料を含
む,2又はそれ以上の異なる相からなる固体製品。 composite material
注−例 : 強化繊維,微粒子状充てん材又は中空球を含
む成形材料。
(2) 接着剤中間層を伴う又は伴わないプラスチックフィル
ム又はシート,標準又はシンタクチック発泡プラスチッ
ク,金属,木材,定義1に従う複合材料,などの2層又
はそれ以上の層(多くの場合は対称組立の形で)からな
る固体製品。
注−例 : 包装用フィルム複合材料 : 構造用サンドイッ
チ発泡複合材料,紙,布などで製造した積層品。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
1013 分散強化複合材料 粒子,フレークなどの微小形素材を分散させた複合材料。 dispersion reinforced
composite material
(2) 材料
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2001 編物 knitted fabric
織物用ガラス糸のループの編み合わせによって製造する平
面又は円筒状の組織物。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2002 あや(綾)織 twill weave
織り方の一つで,縦糸と横糸の浮きが斜めに続いて斜交線
を作る織り方。
2003 アラミド繊維 芳香族ポリアミドを成分とする繊維。 aramid fibre
2004 アルミナ繊維 アルミナ (Al2O3) を主成分とする繊維。 alumina fibre
2005 Eガラス繊維 E glass fibre
アルカリ (Na2O, K2O) 含有率が0.8%以下のガラス繊維。
2006 イソフタル酸系樹 isophthalic resin
酸の一成分として,イソフタル酸を用いる不飽和ポリエス
脂 テル樹脂。
2007 ウィスカ 短い,繊維状の,単結晶の,無機の強化用材料。 whisker
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2008 Sガラス繊維 高強度のガラス繊維。 S glass fibre
2009 エポキシ樹脂 架橋し得るエポキシ基を含む樹脂。 epoxy [EP] resin
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2010 塩素化パラフィン パラフィンを塩素化して得られるもの。 chlorinated paraffin
2011 織物 woven fabric,
織機 (loom or weaving machine) で製織中に形成される交錯
(おりもの) fabric
物のように互いに垂直に又は幾らか異なる特定の角度に二
組の糸類(単糸,もろより糸,又はケーブルヤーン類,ロ
ービング類)を交錯させながら製造するガラス繊維織物。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
――――― [JIS K 7010 pdf 2] ―――――
3
K 7010-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2012 オルソフタル酸系 orthophthalic resin
酸の一成分として,無水フタル(オルソフタル)酸を用い
樹脂 る不飽和ポリエステル樹脂。
2013 カップリング剤 coupling agent
樹脂マトリックス(母材)と強化材の境界面における一層
強い結合を促進し又は達成する物質。
注−カップリング剤は強化材に塗布,又は樹脂に添加,又
はその双方が行われる。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2014 ガラス繊維 ガラスを溶融紡糸し,繊維化したもの。 glass fibre
備考 強化材,電気絶縁材などに使用される長繊維,断
熱吸音などに使用される短繊維がある。組成的に
はEガラス,Cガラス,Sガラス,耐アルカリガ
ラス,石英ガラスなどがある。
2015 ガラステープ 織り幅100mm以下のガラス織物。 glass tape
2016 強化材 reinforcement
プラスチック,ゴムなどの有機物質,金属,セメントなど
の無機物質の強化に用いる繊維基材。
備考 2087及び2090参照
2017 空気硬化性樹脂 空気に接する面が完全に硬化する樹脂。 air cure type resin
備考 特に不飽和ポリエステル樹脂に用いられる。
2018 空気非硬化性樹脂 non-air-cure type resin
空気に暴露されると表面の硬化が阻害され完全硬化しない
タイプの樹脂。
2019 組物 braid
すべての糸が織物の長さの方向に対し0°又は90°以外の
(くみもの) 角度に位置するようなやり方で織物用ガラス糸をからみ合
わせて製造する平面状又は管状織構造。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2020 クロム処理 chrome finishing
ガラス繊維の表面処理の一つで,クロム錯塩で処理したも
の。
2021 結合剤(織物におけ binder (in textiles)
ステープルファイバ及びストランドを,例えばチョップド
る) ストランドマット,連続ストランドマット及びサーフェシ
ングマットにおける所望の配置に保持するために適用する
材料。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2022 ゲルコート用樹脂 gel coat resin
FRPの接触圧成形の際,成形物の表面の美観,滑沢性の向
上のほか,耐薬品性,耐候性などの向上のために使用され
ている樹脂で,型用と製品用とがある。
2023 高強度炭素繊維 引張強さが3 000MPa程度以上,引張弾性率が200250GPahigh strength carbon fibre
の炭素繊維。
備考 特性値の範囲は必ずしも厳密なものではない。
2024 高弾性率炭素繊維 350GPa程度以上の引張弾性率をもつ炭素繊維。 high modulus carbon fibre
備考 弾性率が600GPa以上のものは超高弾性率繊維と
呼ばれることもある。
2025 黒鉛グレード繊維 graphite grade fibre
1 700℃(又は2 000℃)以上の温度で処理され,黒鉛に近い
構造の炭素繊維。
2026 サイズ, size
その製造の間ずっとガラス繊維又はフィラメントに塗布さ
一次サイズ, れている材料。
オイル 参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2027 サイズ処理 sizing
繊維の取扱い性,又は母材との親和性を改善する目的で繊
維の表面を適切な処理剤で仕上げる処理工程。
2028 サーフェイシング surfacing mat
複合材料の表面層として用いられるステープルファイバ又
マット は連続フィラメントを結合した薄い目の詰んだシート。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
――――― [JIS K 7010 pdf 3] ―――――
4
K 7010-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2029 ジアリルフタレー diallyl phthalate resin
ジアリルフタレートを主成分とする熱硬化性樹脂。略称
ト樹脂 DAP樹脂。
2030 Cガラス繊維 C glass fibre
アルカリ (Na2O, K2O) 含有率が10%前後のガラス繊維。
2031 シートモールディ sheet moulding compound
ロービングを切断し,分散したストランドに不飽和ポリエ
ングコンパウンド ステル樹脂と硬化剤,増粘剤,充てん材などを混入したコ
ンパウンドを含浸させ,表面を非粘着化したシート状の成
形材料。略称SMC。
2032 集束剤 sizing agent
繊維の紡糸工程でフィラメントを集束してストランドにす
るとき,結束性を与えて次工程の作業性を高めるために用
いられるもの。
備考 ヤーン系集束剤及びロービング系集束剤がある。
2033 充てん材, filler
強さ,耐久性,作業特性,その他の性能を改質するため,
フィラー 又は価格を引き下げるためにプラスチックに加える比較的
不活性な固体材料。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2034 朱子織 satin weave
織り方の一つで,縦糸横糸の交差点を一定の間隔に配置し
(しゅすおり) た浮き糸の多い織り方。
2035 処理ガラスクロス finished glass cloth
樹脂との結合性を良くするためにガラス織物にクリーニン
グ処理を施した後,シラン処理などの表面処理を施したも
の。
2036 シラン処理 silane finishing
ビニルシラン,アクリルシラン,エポキシシラン,アミノ
シランなどのシランカップリング剤を用いて強化材及び充
てん材とマトリックスとの接着効果を高めるための表面処
理。
2037 ステープルファイ 直径が細く,かつ,長さの短い単一の織物構成要素。 staple fibre
バ 注−織物用ガラスステープルファイバ製品の主成分を形
成する。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2038 ステープルヤーン ステープルからなるヤーンであって,より糸だけのこと。 staple yarn
2039 ストランド strand
製造と同時にわずかに結合されているが故意によ(撚)り
をかけていない平行なフィラメントの集束。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2040 スライバ sliver
事実上平行配列の状態にあってわずかに結合されているス
テープルファイバの連続集合体。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2041 スリーブ sleeving
折り畳み幅が100mmを超えない織物用ガラス糸製管状構成
物。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2042 増粘剤 液状重合系の粘度を増加させる物質。 thickener
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2043 束強度 bundle strength,
強化材の繊維は,多数の単繊維を集束剤などで接着した束
(そくきょうど) strand integrity
の形で使用することが多く,この繊維の束の強さのこと。
2044 速硬化性樹脂 ゲル化から最高発熱温度に至る時間の短い樹脂。 fast cure type resin
2045 ダイレクトメルト direct melt method
マーブル(球状のガラス)を使わずに溶融炉と紡糸炉を一
法 体化し,ガラス原料を直接的に連続溶融紡糸するガラス長
繊維の製造方法。
2046 多孔性離型フィル releasing porous film
離型フィルムに樹脂の流出が可能なあな(孔)をあけたも
ム の。
(たこうせいりけい
ふぃるむ)
――――― [JIS K 7010 pdf 4] ―――――
5
K 7010-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2047 炭化けい素繊維 silicone carbide fibre
ポリカルボシランを主体とする複素鎖ポリマーを紡糸・焼
成した繊維。
2048 炭素グレード繊維 1 700℃(又は2 000℃)以下の温度で炭素化された炭素繊維。 carbon grade fibre
2049 炭素繊維 実質的に炭素元素だけからなる繊維状の炭素材料。 carbon fibre
備考 分類呼称には,炭素の種類によって;狭義の炭素
グレード繊維,黒鉛グレード繊維,活性炭素繊維,
力学的特性によって;高強度,高弾性率,はん用
タイプなど,及び原料によって;ポリアクリロニ
トリル (PAN) 系,ピッチ系などが慣用されてい
る。
2050 中間弾性率炭素繊 引張弾性率が280350GPaで引張強さが5 000MPa以上の炭intermediate modulus
維 素繊維 carbon fibre
2051 チョップドストラ chopped strands
連続フィラメントストランドから切断したまま何らまとめ
ンド る手段をしていない短いストランド。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2052 チョップドストラ chopped strand mat
短く切断したストランドを意図的な配向をさせずに無方向
ンドマット に散布し,かつ,結合剤によってつなぎ合わせて形成させ
たマット。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2053 低収縮剤 low profile additive
不飽和ポリエステル樹脂の硬化収縮を小さくするために配
合される熱可塑性樹脂。
備考 ポリスチレン,ポリ酢酸ビニル,飽和ポリエステ
ル,各種ゴムなどがある。
2054 低収縮性不飽和ポ low profile unsaturated
硬化収縮を小さくするための低収縮剤を配合した不飽和ポ
リエステル樹脂 リエステル樹脂。 polyester resin
2055 テレフタル酸系不 terephthalic polyester resin
酸の成分としてテレフタル酸を用いる不飽和ポリエステル
飽和樹脂 樹脂。
2056 トウ tow
マルチフィラメントの無よりの束であって,比較的太いも
の(10 000100 000本)。
備考 2039, 2089及び2094参照
2057 軟質不飽和ポリエ flexible unsaturated resin,
常温における弾性率が約70MPa以下の不飽和ポリエステル
ステル樹脂 樹脂。 non-rigid resin
2058 難燃剤 火炎の伝ぱを著しく遅延する物質。 flame retardant
注−難燃剤はプラスチック中に添加剤(外部難燃剤)と
して又は重合工程において反応性中間体の使用によって基
本重合体中の化学基類(内部難燃剤)としてプラスチック
中に混合される。
参考 この定義は,JIS K 6900によるものである。
2059 バルクモールディ bulk moulding compound
熱硬化性樹脂に硬化剤,充てん材,顔料及び増粘剤を配合
ングコンパウンド し,チョップドストランドと混練した成形材料。略称BMC。
2060 引張弾性率が約140GPa以下の炭素繊維。
はん(汎)用炭素繊 general purpose carbon fibre
維
2061 ピッチ系炭素繊維 ピッチ系前駆体から作られる炭素繊維。 pitch-based carbon fibre
備考 ピッチには石油系ピッチ,石炭系ピッチ,合成ピ
ッチなどがある。
2062 ビニルエステル系 vinylester resin
エポキシ樹脂とメタクリル酸又はアクリル酸の反応によっ
樹脂 て得られるビニルエステルを単量体に溶解した液状の熱硬
化性樹脂。
――――― [JIS K 7010 pdf 5] ―――――
次のページ PDF 6
JIS K 7010:1995の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.120 : 強化プラスチック
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.83 : ゴム及びプラスチック工業(用語集)
JIS K 7010:1995の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK6900:1994
- プラスチック―用語