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JIS K 7052:1999 規格概要
この規格 K7052は、ガラス長繊維及び無機充てん材(適用可能な場合)の質量含有率を,焼成法によって求める方法について規定。
JISK7052 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K7052
- 規格名称
- ガラス長繊維強化プラスチック―プリプレグ,成形材料及び成形品―ガラス長繊維及び無機充てん材含有率の求め方―焼成法
- 規格名称英語訳
- Textile glass reinforced plastics -- Prepregs, moulding compounds and laminates -- Determination of the textile-glass and mineral-filler content -- Calcination method
- 制定年月日
- 1987年3月1日
- 最新改正日
- 2015年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 1172:1996(MOD)
- 国際規格分類
ICS
- 83.120
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- プラスチック I(試験) 2021, プラスチック II(材料) 2021
- 改訂:履歴
- 1987-03-01 制定日, 1993-01-01 確認日, 1999-10-20 改正日, 2006-03-25 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
- ページ
- JIS K 7052:1999 PDF [10]
K 7052 : 1999
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工
業規格である。これによってJIS K 7052 : 1987は改正され,この規格に置き換えられる。
(pdf 一覧ページ番号 )
――――― [JIS K 7052 pdf 1] ―――――
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 7052 : 1999
ガラス長繊維強化プラスチック−プリプレグ,成形材料及び成形品−ガラス長繊維及び無機充てん材含有率の求め方−焼成法
Textile glass reinforced plastics−Prepregs, moulding compounds and laminates−Determination of the textile-glass and mineral-filler content−Calcination method
序文 この規格は,1996年に第2版として発行されたISO 1172, Textile glass reinforced plastics−Prepregs,
moulding compounds and laminates−Determination of the textile-glass and mineral-filler content−Calcination
methodを翻訳し,技術的な内容を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で下線を施してある箇所は原国際規格にない事項である。
警告 この規格には,安全衛生に関する予防策を含まないが,高い温度と,濃度の高い酸を必要とするの
で,利用する者は,それぞれの責任において,適切な安全衛生規則に従って行うものとする。
1. 適用範囲 この規格は,ガラス長繊維及び無機充てん材(適用可能な場合)の質量含有率を,焼成法
によって求める方法を規定するもので,次の2方法で構成する。
方法A 無機充てん材を含まない場合のガラス長繊維含有率の求め方。
方法B 両方の成分を含む場合のガラス長繊維及び無機充てん材含有率の求め方。
次のような材料に適用する。
− ヤーン,ロービング,テープ及び織物からなるプリプレグ
− SMC, BMC及びDMCなどのコンパウンド
− ガラス長繊維強化熱可塑性成形材料
− 充てん材を含む,若しくは含まないガラス長繊維熱硬化性樹脂,又は,熱可塑性樹脂
次のような種類の強化プラスチックの場合,この規格は適用できないので,ISO 11667(繊維強化プラス
チック−成形材料及びプリプレグ−樹脂,強化繊維及び無機充てん材含有率の求め方−溶解による方法)
を適用するとよい。
− ガラス長繊維以外の強化材を含むもの。
− 試験温度で完全に焼失しない材料を含むもの(例えば,シリコン樹脂を使ったもの。)。
− 最低焼成温度以下の温度で,崩壊する無機充てん材を含むもの。
――――― [JIS K 7052 pdf 2] ―――――
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K 7052 : 1999
参考 試験片の状態調節,試験温度.試験湿度,試験片,試験装置,器具及び操作がこの規格どおり
にできない場合,並びに試験目的からみて条件を変更したほうがよい場合には,当事者間の協
定による方法に従ってもよい。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発効年(発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の
規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(発行年)を付記していな
い引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6900 プラスチック−用語
備考 ISO 472 : 1988 Plastics−Vocabularyがこの規格と一致している。
JIS K 7051 ガラス繊維強化プラスチックの試験方法通則
ISO 4793 : 1980, Laboratory sintered (fritted) ilters−Porosity grading, classification and
designation
ISO 8604 : 1988 Prepregs−Definition of terms and symbols for designations
3. 定義 定義は,JIS K 6900の用語及びISO 8604の定義をこの規格に適用する。
4. 原理 試験片の質量を計測し,これを所定の温度で焼成する。ついで,再度質量を計測し,不燃性の
材料含有率(ガラス+充てん材)は,焼成の前後の試験片の質量の変化を求める。
4.1 方法A 無機充てん材を含まない材料の場合,質量の変化から,直接ガラス長繊維含有率を算出す
る。
4.2 方法B ガラス長繊維と無機充てん材の両方を含む場合,焼成して残ったガラス長繊維と無機充て
ん材中の無機充てん材は,塩酸で溶解し分離する(水又は溶剤で充てん材を洗い落とし分離してもよい。)。
焼成前の試験片の質量と,塩酸で処理した(水又は溶剤で充てん材を洗い落とした)後乾燥した試料の質
量との差を,ガラス長繊維含有率の測定に使う。無機充てん材含有率は,焼成後の質量と,塩酸で処理後
乾燥した(水又は溶剤で充てん材を洗い落とした)試料の質量との差を使う。
この試験方法の要求するすべての重さは,基本的に,乾燥又は焼成の段階で,繰り返し計測し一定の質
量になった値である。材料を規則に準じて試験し,実験的に,一定質量になる焼成時間及び乾燥時間を検
証した場合,それを採用してもよい。
参考1. 材料が試験条件下で燃焼してしまう樹脂はもとより,焼成で崩壊しない添加剤などを含む場
合でも,焼失減量は樹脂含有率と等しい。この方法で算出する樹脂含有率は,燃焼する他の
すべての成分(ガラス長繊維の処理剤,顔料など)を含む。これらの成分は,樹脂含有率に
比較して,常に十分小さい値である。
2. 無機充てん材が,試験温度で崩壊する場合は,正確なガラス長繊維含有率,樹脂又は充てん
材含有率の測定は不可能である。
3. 参考1.の最初の文章は,本体を構成すべき内容である。
――――― [JIS K 7052 pdf 3] ―――――
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5. サンプリング方法
5.1 ガラス長繊維含有率及び無機充てん材含有率の測定は,できる限り製品全体を代表するもので,隣
接した2個の試験片によって行うことを基本とする。個々の試験結果は,それぞれの値が相互に5%以上
離れていない2個の測定値の平均である。それぞれの値が相互に5%以上離れた場合,できるだけ類似の3
個目の試験片について試験する。この場合,結果は3個の値を使って計算する。
5.2 評価試験の場合は,その本体の基本部分のガラス長繊維含有率及び無機充てん材含有率を代表する
ものとする。試験は,試料の特定の場所について,何度も繰り返すことがある。数量及び採取場所は,製
品仕様又は依頼者が決定する。また,経験又はこれまでの実績からも決めることができる。
参考1. ガラス長繊維,樹脂,硬化剤などの原材料の評価試験の場合,精度を高めるため,より多く
の測定値を必要とする。
5.3 評価試験以外のすべての試験片は,できる限り,材料又は成分を代表するように採取する。
6. 試験片の準備 試験片は,試料又はロットを完全に代表するものでなければならない。5.の要領に従
って採取する。
特に断りがない限り,試験片を磁器るつぼに合う形状に切り出す。切り出す質量の範囲は次のとおりと
する。
− プリプレグ及び成形材料は2g20g
− 積層材料は2g10g
個々の結果を得るために,最低2個の試験片を用いる(5.1)。
溶剤やモノマが含まれているプリプレグや成形材料の場合,揮発物が揮散しないように注意しなければ
ならない。例えば,SMCの場合,保護離型フィルムは,試験が始まるまで,試料から取り除いてはならな
い。すべてのプリプレグ及び成形材料(SMCを含む。)の試料は,試料として採取したら,速やかに,揮
散を防ぐプラスチックバッグなどで密封しなければならない。
7. 試験方法 ガラス長繊維含有率及び無機充てん材含有率の試験方法は,無機充てん材の有無で決める。
この規格の試験方法は,次のとおりである。
方法A 無機充てん材がない場合の,ガラス長繊維含有率の測定方法。
方法B 両成分を含む場合の,ガラス長繊維及び無機充てん材の含有率の測定方法。
7.1 方法A
7.1.1 試薬 方法Aは試薬を必要としない。
7.1.2 装置 通常の実験設備以外に,次のような装置を用いる。
7.1.2.1 化学天びん 目盛0.1mg
7.1.2.2 磁器るつぼ 試験片が入る大きさのもの。
7.1.2.3 マッフル炉 設定した温度で±20℃の温度調節ができるもの。
7.1.2.4 デシケータ 適切な乾燥剤(乾燥塩化カルシウム,シリカゲルなど)が入ったもの。
7.1.2.5 換気型乾燥機 105℃±3℃に設定できるもの。
7.1.3 操作 それぞれの試験片について,次の手順で行う。
7.1.3.1 磁器るつぼの準備
− 磁器るつぼを洗浄,乾燥し,0.1mgまで計量する。
− 選定温度に設定したマッフル炉内に,10分間置く。
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− デシケータの中で,室温まで冷却した後,質量に変化のないことを確認する。変化があれば,質量
が一定になるまで,この乾燥,計量を繰り返す。
備考 測定値に大きな影響を与えない場合は,当事者間の協定によって目量1mgの化学てんびんを用
いて1.0mgまで計量してもよい。
7.1.3.2 焼成
− 洗浄乾燥した磁器るつぼを,7.1.3.1に従って計量し,質量M1として記録する。
− 試験片を磁器るつぼの中に入れ,質量が一定になるまで,105℃の乾燥機の中で乾燥する。
− デシケータの中で冷却し,計量し,質量M2として記録する。
− 試験片の入った磁器るつぼを625℃に設定したマッフル炉に入れる。一定質量になるまで焼成する。
− 磁器るつぼと焼成灰分を,デシケータの中で室温まで冷却する。これを計量し,質量をM3として
記録する。
揮発物を含む試験片の場合,揮発物が散逸しないよう注意する。この場合,乾燥工程は削除する。
− 試験片をプラスチックバッグから取り出し,離型フィルムを除去する。
− 試験片を磁器るつぼに入れ,計量し,質量をM6として記録する。
この焼成温度に耐えることのできない,ガラス強化材又は充てん材については,そのガラス強化材又は
充てん材の特性に合わせて,温度500℃から600℃の間にしてもよい。選定した温度は±20 ℃に保持しな
ければならない。
7.1.4 計算と結果の表し方 それぞれの試験片について,次の式でガラス長繊維含有率を計算し,結果の
表し方はJIS K 7051の6.による。
M3 M1
Mglass 100
M2 M1
ここに, Mglass : 元の質量に対するガラス長繊維の質量の百分率
M1 : 磁器るつぼの質量 (g)
M2 : 磁器るつぼと試験片の合計質量 (g)
M3 : 焼成後の磁器るつぼと残分の合計質量 (g)
乾燥工程を削除した,揮発物を含む試験片の場合,上式のM2をM6に置き換える。
ここに, M6 : 磁器るつぼと未乾燥試験片の合計質量 (g)
それぞれの値が相対的に5%以上離れていた場合,試料の同じ位置から採取した,3番目の試験片の試験
を行う。
結果は,2個(又はそれ以上)のそれぞれの測定値の平均値として表す。
7.2 方法B
7.2.1 試薬 方法Bには次の試薬を用いる。
7.2.1.1 塩酸 濃度35% (v/v),工業用
7.2.1.2 変性エタノール
7.2.1.3 洗浄用のクロム酸溶液 7%のジクロム酸ナトリウムを含む濃硫酸が望ましい。
7.2.2 装置 装置は,7.1.2に挙げるもののほかに,次のものが必要となる。
7.2.2.1 磁器フィルタ 開孔径が100 ヰ P160) のうわ(釉)薬のかかったもの (ISO 4793)。
7.2.2.2 250mlビーカ
7.2.2.3 フィルタ吸引フラスコ
7.2.2.4 ガラス棒
7.2.2.5 ピンセット
――――― [JIS K 7052 pdf 5] ―――――
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- ISO 1172:1996(MOD)
JIS K 7052:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.120 : 強化プラスチック
JIS K 7052:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK6900:1994
- プラスチック―用語
- JISK7051:1987
- ガラス繊維強化プラスチックの試験方法通則