JIS K 7204:1999 プラスチック―摩耗輪による摩耗試験方法 | ページ 2

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表1 摩耗輪選択表
記号 摩耗輪 構成要素 推奨荷重 研磨作用 と粒の近似サイズ
タイプ 範囲 N (研磨粒数/cm2)
CS10 弾力性 ゴム及び研磨紙 4.99.8 緩やか (Mild) 1 420
CS10F 弾力性 ゴム及び研磨紙 2.54.9 極めて緩やか (Very mild) 1 420
CS17 弾力性 ゴム及び研磨紙 4.99.8 鋭い (Harsh) 645
H10 非弾力性 と粒結合材 4.99.8 粗い (Coarse) 1 160
H18 非弾力性 と粒結合材 4.99.8 中程度に粗い (Medium coarse) 1 160
H22 非弾力性 と粒結合材 9 9.84 極めて粗い (Very coarse) 1 160
H38 非弾力性 と粒結合材 2.5,4.9 極めて粗い (Very coarse) 515
9.8 厳しい (Hard) 5 785
備考1. 通常の条件のもとでは,軟質試験片のとき,CSシリーズを使用する。Hシリーズは,硬質
試験片を用いる。
2. CS10F摩耗輪は,特にオゾン濃度の高い環境下で,ゴムのエージングによって劣化を受け
やすい。それゆえ,これらの摩耗輪は,有効期限日前に使用することが重要である。
3. 外周をドレッシングするときは(8.10参照),CS10,CS10F及びCS17の摩耗輪の推奨回転
数は2550である。
4. 同じタイプであっても,二つの異なった摩耗輪での試験結果は,比較できない可能性があ
る。
5.6 摩耗評価機器 関連する材料(又は製品)規格による。
6. 試験片
6.1 形状及び寸法 試験片は,直径約100mmの円板か,側長約100mmの正方形のコーナーを切り取っ
た八角形板。ただし,クランプリング(5.1.6参照)を用いるときは,コーナーを切り取る必要はない。
試験片の厚さは,均一で0.510mmとする。
6.2 試験片の準備 試験片は,JIS K 7151,JIS K 7152-1又はISO 295に従った成型品若しくはISO 2818
に従って切削加工したもの。各試験片は支持円板の植込みボルトに入るように直径6.35mmの中心孔をも
つ。
6.3 試験片の洗浄 試験片表面を,関連する材料(又は製品)規格の要求又は受渡当事者間で選択した,
適当な揮発性溶剤又は石けん溶液で洗浄する。
注意 クリーナー(例え揮発性であっても)の使用は,摩耗特性に影響を及ぼす可能性がある。
6.4 試験片の数 試験片の数は,関連する材料(又は製品)規格による。規定がないときは,最低3個
とする。
7. 試験片の状態調節 関連する材料(又は製品)規格に従って,状態調節箱内(5.2参照)で試験片の状
態調節を行う。特に規定がない場合は,試験に先だって48時間以上状態調節を行う。
備考1. 規格によっては,摩耗輪又は研磨紙の状態調節を規定している。
8. 手順
8.1 試験を,試験片の状態調節と同じ雰囲気に制御された部屋の状態調節箱内(5.2参照)で行う。
8.2 各試験片に対し,関連する材料(又は製品)規格で規定する予備的な測定を行う(8.3の注意参照)。
8.3 試験片を支持円板に取り付ける。
注意 8.2及び8.3に記載する操作の過程で,例えば,指接触による皮脂で,試験すべき表面を汚すこ

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とのないように気をつける。
8.4 円筒状の摩耗域に触れないように注意しながら,関連する材料(又は製品)規格に規定する摩耗輪
(5.1.3参照)を装置に取り付ける。アームを下ろし,試験片上に摩耗輪を静かに置く(といし形又は研磨
紙形)。摩耗輪の研削力は,附属書Aに与えられている手順に従って確かめてもよい。摩耗輪の場合,こ
の操作は摩耗輪ドレッシング用装置(5.5参照)を用いて,ドレッシングによる継続管理を行う。
8.5 カウンターウエイト及び追加質量(5.4参照)を用いて,関連する材料(又は製品)規格に規定する
値に各摩耗輪の荷重を調節する。
8.6 摩耗粉吸引装置(5.1.4参照)の位置を調節する。
8.7 回転数設定装置(5.1.5参照)(また,以下に示す備考2.参照)を用いて,関連する材料(又は製品)
規格の規定又は受渡当事者間の同意によって,決められた値に回転数を設定する。
8.8 試験片の回転を駆動するモータ及び摩耗粉吸引装置(5.1.4参照)を始動する。
8.9 規定の回転数に達し,モータが停止した後,試験片を取り出し,関連する材料(又は製品)規格に
規定した目的の測定を行う。
備考2. 規格によっては,停止回転数を規定せずに,摩耗した表面の定期的な検査を行い,劣化が定
められたしきい値に到達したときに試験を終えるよう要求している。
8.10 といし形摩耗輪を用いる場合,各試験前に摩耗輪ドレッシング用装置(5.5参照)を用いて研磨表面
を融合の形成なしに,正確な円筒形で,かつ,研磨表面と側面との角が鋭敏となるようにドレッシングす
る。
研磨紙形摩耗輪を用いる場合,研磨紙は,500回転又は研磨材の目詰まり若しくは脱落が生じたときに
交換する。研磨紙の目詰まりは,試験片材料に依存する。ワックス状のような柔軟材料では,25回転ごと
に点検する。その他のすべての場合,研磨紙を50回転又は100回転ごとに点検する。
摩耗輪は,目詰まりに対して鈍感であり,50回転から100回転ごとに点検する(必要であればワイヤブ
ラシで清掃する。)。
9. 結果の表し方 結果は,次の方法の一つで表す。
a) 規定した回転数の後の特性値の変化,例えば,厚さ,質量,光学的拡散を表す。この場合,試験した
試験片の平均値を計算する。
b) 見掛け上,規定した劣化に達したときの回転数として表す。この場合,25回転の倍数で最も近い値に
丸める。
c) 密度の似かよった材料では,規定した一連の条件の下で試験を行ったとき,1 000回転した後の質量の
減少をkg単位で表す。
d) 異なった密度の材料間の比較を行う場合は,1 000回転した後の体積の減少をmm3の単位で表す。
10. 精度 この試験方法の精度は,試験室間共同実験のデータがないので不明である。この方法の精度は,
摩耗を評価するために使用した手順に依存することを認めるべきである。質量減少,体積減少,光学的特
性,その他を評価するとき,異なった結果が生じる可能性がある。この試験方法は,試験室間共同実験の
データがない限り,仕様に使用したり,又は結果を論議する場合には適切ではない。
11. 報告 試験結果には,次の事項を含める。
a) この規格番号及び関連する材料(又は製品)規格がある場合にはその規格番号

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b) 試験した材料又は製品の詳細
c) 使用した(摩耗輪又は研磨紙)の詳細,及びもし,測定したならば,附属書Aに規定する条件の下で
測定した研削力
d) 試験片表面の洗浄方法
e) 各摩耗輪に作用した荷重
f) 設定した回転数(試験結果が回転数として表示されないとき)
g) 各個々の測定値,平均値,及び摩耗の評価方法
h) その他の試験に関するすべての事項(研磨紙の交換,クリーニング,状態調節など)

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附属書A(規定) 摩耗輪の研削力の試験方法
摩耗輪の研削力は,関連する材料(又は製品)規格に規定されている条件の下で決定する。研削力は,
規定した回転数の後,基準亜鉛板の質量減少で表す。
A.1 基準試験片 基準試験片は,200℃で60分間熱処理した厚さ0.70.8mmの純粋亜鉛板(純度99%以
上)で作る。
この基準試験片の表面のビッカース硬さは,ISO 6507-1によって測定した値が42HV100±2HV100,又
はISO 6506によって測定した等価のブリネル硬さ値とする。
A.2 手順 基準試験片をアセトンで洗浄し,質量を約1mgの同等の読み値まではかる。その後,8.に規定
する手順によって試験する。作用荷重及び回転数は,関連する材料(又は製品)規格の規定に従う。規定
がない場合は,4.9Nの荷重及び1 000回転を用いる。
試験の後,再び質量を約1mgの読み値まではかる。
A.3 結果の表し方 使用した(といし形又は研磨紙形)摩耗輪の研削力は,1 000回転した後に算出された
質量の減少として表すか,関連する材料(又は製品)規格の規定に従う。
A.4 校正の頻度
A.4.1 といし形摩耗輪の場合,摩耗輪が入荷したときに校正し,3か月ごとにこの手順を行うことを推奨す
る。校正後,最初の試験前に摩耗輪をドレッシングする。
A.4.2 研磨紙形摩耗輪の場合,校正は代表的なサンプル(研磨紙)で特性化し,最初の試験は研磨紙の新
品(未使用品)で特性化を行う。研磨紙が入荷したときに校正し,3か月ごとにこの手順を行うか,又は
関連する材料(又は製品)規格の規定に従うことを推奨する。

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附属書1(規定) 摩耗輪によるプラスチックの摩耗試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,プラスチックの摩耗試験のうち摩耗輪を用いて試験片を摩耗させる試験方
法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この附属書に引用されることによって,この附属書の規定の一部を構
成する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS C 9108 電気掃除機
JIS K 6900 プラスチック−用語
JIS K 7112 プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法
JIS R 6001 研削といし用研磨材の粒度
JIS R 6111 人造研削材
JIS R 6210 ビトリファイド研削といし
JIS R 6211-3 研削といし−寸法−第3部 : 内面円筒研削用研削といし
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 定義 この附属書で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900によるほか,次による。
3.1 摩耗 摩擦,研磨,浸食などの機械的作用によって材料がその表面から漸次離脱していくこと。
3.2 摩耗試験 所定の摩耗試験機を用いて試験片を摩耗させ,摩耗量を測定する。
3.3 摩耗輪 プラスチック材料を摩耗させるために使用する円輪状のといし。
3.4 摩耗量 摩耗試験によって離脱した試験片の体積 (mm3)。
3.5 摩耗質量 摩耗試験によって離脱した試験片の質量 (mg)。
4. 試験器及び附属品
4.1 試験器 附属書1図1に示すように回転する試験片に一対の摩耗輪を規定荷重の下で圧着させ,摩
耗輪によって試験片を摩耗させる摩耗試験機(以下,試験機という。)。
4.2 試験機の基本構造
4.2.1 試験機の主要部分の寸法及び精度 試験機の主要部分の寸法及び精度は,次のとおりとする。
a) 回転円板に対する摩耗輪の取付位置 附属書1図2に示す回転円板の回転軸中心線と摩耗輪取付面と
の距離L1,L2及び回転軸中心線と摩耗輪取付軸の中心線との距離lは,次のように定める。
L1=L2=39.4mm±0.3mm
l=19.0mm±0.2mm
0
b) 摩耗輪取付軸の直径 摩耗輪取付軸の直径は,15.87 .003 mmとする。
c) 摩耗輪取付けアームの長さ 摩耗輪取付けアームの長さ(支点から力点までの距離)は80mmを標準
とする。
d) 回転円板の振れ 回転円板の上下の振れは,中心 (O) から45mm離れた点において±0.05mm以下と
する。

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JIS K 7204:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9352:1995(MOD)

JIS K 7204:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 7204:1999の関連規格と引用規格一覧

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規格名称