この規格ページの目次
14
K 7351 : 2018
附属書E
(参考)
酸化誘導時間(OIT)の評価
E.1 試料準備
試料準備は,次による。
a) 市販のPPペレット単体及びそのPPペレットに酸化防止剤を,質量分率0.5及び質量分率1.0で追加
で添加・混練し,PP板(7 mm径×1 mm厚)に射出成形した計3試料を準備する。
b) 試料を,φ2030 mmのアルミニウム製試料容器に一定量はかりとる。
E.2 測定条件
a) 温度は,200 ℃一定とする。
b) 雰囲気は,酸素とし,流量は50 mL/minとする。
c) 露光時間は1秒とし,測定時間は7時間とする。
E.3 測定結果
酸化防止剤の添加量が異なるPPペレットの酸化誘導時間の変化を,図E.1に示す。
図E.1−酸化防止剤の添加量が異なるPPペレットの酸化誘導時間(OIT)の変化(例)
PP中の安定剤添加量に相関してOITが伸びており,安定剤の酸化抑制効果を確認できる。このように
OITは,試料の酸化のしやすさ,安定剤の効果,又は熱老化による寿命予測の指標として用いることがで
きる。
なお,OIT評価は数時間から数日規模の評価期間を必要とし,PP又はPEのようなポリオレフィン系の
樹脂以外ではOITそのものが現れない場合もある。
――――― [JIS K 7351 pdf 16] ―――――
15
K 7351 : 2018
附属書F
(参考)
酸化誘導時間(OIT)測定による寿命推定
F.1 試料準備
寿命推定の対象となる製品について,寿命推定を行いたい試料と同一条件,同一形状の試料を数点準備
する。
注記 OIT測定による寿命推定は,酸化反応速度が温度に依存することを利用して,実環境温度より
も高い温度条件で促進劣化させたときのOITから,実時間のOITを予測する手法である。同一
成分で酸化防止剤などの添加物成分が異なる試料について同様の評価を行うことで,添加物の
効果を確認することもできる。
なお,ここでは実環境温度におけるOITを寿命と定義している。
F.2 測定手順
OIT測定による寿命推定する手順は,次による。
a) 推定を行いたい試料について,融点などの状態変化を起こさない温度範囲で,数点測定温度T1Txを
選択する。
b) 化学発光測定方法に従い,試料を装置に静置した後,a) で設定した温度T1まで窒素気流中で加熱す
る。温度が設定温度において平衡状態に達した後,流通ガスを酸素に切り替え,化学発光測定を開始
する。このガス切替え時点を,ゼロ時(t0)とする。
c) 化学発光による酸化反応の様子を記録し,設定温度におけるOITを測定する。測定例を図F.1に示す。
d) 0からのベースラインを延長し,化学発光曲線の最も急激な勾配を外挿した直線とベースラインの交
点をT1におけるOIT(t1)とする。
e) 設定温度を変えてT1TxにおけるOIT(t1tx)を測定する。Txの逆数に対してLn(tx)をプロットし
て求めた近似直線から環境温度におけるOITを推定する(図F.2参照)。図F.2の回帰式によれば,T
=25 ℃のOITは約500日と推定することができる。
図F.1−PP(酸化防止剤無)のOIT測定結果 図F.2−温度とOITとの関係
――――― [JIS K 7351 pdf 17] ―――――
16
K 7351 : 2018
附属書G
(参考)
プラスチック以外の物質の酸化劣化度測定の参考事例
G.1 試料準備
プラスチック以外の酸化劣化度測定の参考事例として食用調合油,天然ゴム及びビスケットの試料を,
箇条4によって準備する。
G.2 測定手順
測定方法は,箇条6による。それぞれの測定条件は,6.3.1によって選定し,その例を表G.1に示す。
ビスケットについてはCCDカメラで撮影した。画像データは発光量が大きい順番で白→黒と示される。
画像データ内の任意の場所を数値化して比較することも可能である。
表G.1−プラスチック以外の酸化度測定条件(例)
試料 検出 試料負荷 測定温度 雰囲気・流量露光時間 測定時間
素子 ℃ mL/min s min
食用調合油 PMT 180 ℃加熱 02時間 180 ℃等温 N2 50 1 10
(大豆油,菜種油)
天然ゴム PMT 100 ℃加熱 0240時間 160 ℃等温 O2 50 1 30
(カーボンブラック入り)
ビスケット CCD 光(254 nm)照射 01時間 100 ℃等温 N2 50 60 12
(小麦粉 揚げ菓子)
G.3 測定結果
食用調合油,天然ゴム及びビスケットの酸化度を測定した例を,それぞれ図G.1図G.4に示す。
図G.1−食用調合油の測定結果 図G.2−天然ゴムの測定結果
――――― [JIS K 7351 pdf 18] ―――――
17
K 7351 : 2018
図G.3−ビスケットの測定画像図 図G.4−ビスケットの発光輝度結果
(測定開始5分後)
――――― [JIS K 7351 pdf 19] ―――――
18
K 7351 : 2018
参考文献
[1] 今井一洋編,“生物発光と化学発光 基礎と実験”p.110(廣川書店,1989年)
[2] 平成25年度戦略的基盤技術高度化支援事業 研究開発成果等報告書(平成26年3月)“高感度微少酸
化計測技術を用いた自動車・情報家電向けエンジニアリングプラスチック材の高効率な再生材利用技
術の開発”
[3] S. Hosoda, H. Kihara, ANTEC, 88, 941 (1988)
[4] H. Kihara, S. Hosoda, Polymer J., 22, 763 (1990)
[5] 清水,マテリアルライフ学会誌,Vol.29, No.1, p.6-11
[6] 東北電子産業株式会社,ホームページ技術資料集
[7] 山田,ポリファイル,51,602 (2014)
[8] 山田,佐藤,熊谷,佐藤,今野,推野,守,科学と工業,88, 250 (2014)
[9] 山田,佐藤,プラスチック成形加工学会誌,27, 518 (2015)
[10] 豊永,プラスチックエージ,Vol.62, 64 (2016)
[11] 山田,“ポリプロピレンの構造制御と複合化,成形加工技術”技術情報協会,169 (2016)
JIS K 7350-4:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.01 : プラスチック一般