JIS K 7641:2008 写真―現像処理済み安全写真フィルム―保存方法 | ページ 2

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長期保存条件 (extended-term storage conditions)
新鮮な現像液で適切に処理された大部分の写真フィルムに記録されている情報を,500年間よい品質に
保つための保存条件。
3.4
LE (life expectancy)
写真フィルムに記録された情報が,温度21 ℃,相対湿度50 %の条件下で,よい品質に保たれると期待
できる期間。
3.5
LEの等級 (LE designation)
写真フィルム及び付帯する保存システムのLE(3.4)の格付け。
注記 “LE”の記号の後に書かれた数字は,温度21 ℃,相対湿度50 %の条件下で保存された場合
に,写真フィルムに記録された情報が,著しく劣化しないで保存できると予想される年数であ
る。例えば,LE−100は,記録情報が,少なくとも100年間は保存できることを表す。
3.6
マクロ環境 (macroenvironment)
包材又は保存容器に入った状態の写真フィルムが置かれている,広い空間の温度,相対湿度及び汚染物
質。
3.7
ミクロ環境 (microenvironment)
包材又は保存容器の内部の温度,相対湿度及び汚染物質。
3.8
保存庫 (storage housing)
写真フィルム及びそれを保存するための包材を収める設備。
注記 保存庫には,引出し,ラック,たな(棚)又はキャビネットが備え付けられたものもある。
3.9
耐火保存庫 (fire-protective storage)
写真フィルムを,高温,水又は他の消火剤,壁の断熱材から発生する水蒸気又は消火及び設備の崩壊の
際に発生する水蒸気から保護するように作られた設備。
3.10
開口包材 (open enclosure)
写真フィルムを,物理的損傷から保護する目的の包材で,遮光性も気密性もないもの。
注記 この種の包材にはリール,スプール,巻心,カセット,マガジン,フォルダ,保存袋,収納箱,
スリーブ,スライドマウント及びアパーチュアカードがある。
3.11
密封包材 (protective enclosures)
写真フィルムを,反応性ガス,湿気,相対湿度の変動などの外的要因から保護し,ある種の記録材料に
ついては,光から保護するための,遮光性で,かつ,気密性をもつ包材。
注記 この種の包材の例は,テープでシールした缶及び封をした保存袋である。
3.12
複製 (duplicate)

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元の記録と同じネガポジ性及び寸法をもつ写真画像。

4 フィルム用包材及び収納箱

4.1 一般

  中期保存又は長期保存を目的としたすべての包材及び収納箱は,JIS K 7645の規定に適合しなければな
らない。

4.2 ロールフィルム

4.2.1  中期保存用包材及び収納箱
航空写真用フィルム,マイクロフィルム,映画用フィルム及び一部の人物写真用フィルムは,リール又
は巻心に巻き,ロールの形で保存する。ロールは全長にわたって緩みがなく,しかも極端な張力を加える
ことがなく,適度のかた(堅)巻き状態に巻かれていなければならない。35 mm写真フィルムに対しては,
0.3 Nの張力での巻付けが望ましい。写真フィルムの長さが150 m以上のロールは,水平に置いて,その重
さがフィルムエッジにかかるような状態で保存しなければならない。
写真フィルムの長さが150 m以下のロールは,巻心に軸を通してけんか(懸架)し,ロールの下部に圧
力がかからない状態にしてあれば,垂直状態で保存してもよい。リール又はスプールにつば(フランジ)
が付いていれば,つばが重さを支えるので,巻心に軸を通してけんか(懸架)しない。
映画用フィルムは,映写特性をよくするために乳剤面を内巻きにする(参考文献[9]参照)。
ロールフィルムは,ほこり及び機械的な損傷から保護するために,保存庫を使用する。それが不可能な
場合は,密閉式収納箱に保存しなければならない(箇条5参照)。
カラーフィルム,ジアゾフィルム,熱現像銀フィルムは,遮光性をもった密閉包材中に保存しなければ
ならない。このような密封包材を使用する場合は,周囲の相対湿度は推奨する範囲を超えてはならない。
注記1 この目的に合った包材は,はめ込み方式又はねじ締め方式のふた(蓋)が付いた容器である。
容器の素材は,巻心及びリールに対する要求事項をすべて満たしたものでなければならない。密封包材
には必ずしも完全な気密性は必要がなく,ある程度の通気性はあってもよい。したがって,このような密
封包材を使用する場合は,周囲の相対湿度は推奨する範囲を超えてはならない。
写真フィルムに一定限度以上の水分を含ませてはならない場合(箇条7参照),大気中の気体状不純物か
らの保護を目的とする場合,又は湿度管理なしに低温保存する場合(附属書B参照)には,気体透過性の
ない包材を使用しなければならない。ゴム製ガスケットは使用してはならない。
注記2 この目的に合った包材は,気密性のはめ込み方式又はねじ締め方式のふたにシールを追加し
た密閉容器である。
注記3 ヒートシール袋を内装とする缶は,湿度からの保護能力をもっている。
注記4 金属製の保存容器は,環境中の気体状有害物に対する最高の保護能力をもつが,適切な表面
加工がなければ,内部から酸性気体が発生した場合にさびるおそれがある。
注記5 金属に替わる素材としてポリスチレン,ポリエチレン及びポリプロピレンがある。
4.2.2 長期保存用包材
長期保存においても,4.2.1の規定はすべて守られなければならない。巻心,リール及び包材として使用
する素材は,JIS K 7645及びISO 18916の写真画像への影響度の規定に適合していなければならない。巻
心又はリールに巻かれた写真フィルムの緩みを防ぐために,ゴムバンドを使用してはならない。
紙テープを使って留める場合は,紙は少なくともJIS K 7645及びISO 18916の写真画像への影響度の規
定に適合していなければならない。リールに巻かれた写真フィルムの外側の端を,フィルムロールとフラ

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ンジとの間に挟んで留めてもよい。粘着テープを使う場合は,過酸化物を含まず,ISO 18916の写真画像
への影響度の規定に適合した粘着テープを使用しなければならない。粘着テープが写真フィルムに直接接
触するような状態にしてはならない。
種類の異なる写真フィルム(例えば,銀・ゼラチンフィルムとジアゾフィルム),又は写真フィルムと磁
気テープ若しくは光ディスクとは,互いに影響を及ぼすことがあるので,種類の異なる写真フィルムを重
ねて巻いて1本のロールとしたり,種類の異なる写真フィルムのロールを同じ包材中に保存してはならな
い。保存庫中にじんあい(塵挨)又は損傷から保護された状態で収納されていない場合は,密閉包材を使
用しなければならない(箇条5参照)。

4.3 シート状フィルム及びスライド

4.3.1  中期保存用包材
カラーフィルム,ジアゾフィルム及び熱現像銀フィルムは,不透明な保存袋又はフォルダに保存し,こ
のような包材がない場合は,遮光性のあるものに入れて保存しなければならない。フィルムを積み重ねて
保存することは,重さによる圧力の影響を受けることがあるので望ましくない。
写真フィルム面と直接接触する紙又はプラスチック素材(例えば,保存袋,スリープ,ジャケット,フ
ォルダ,収納箱)は,最小限JIS K 7645及びISO 18916の,写真画像への影響度の規定に適合していなけ
ればならない。
シート状の写真フィルムの保存には,紙製の保存袋,折りたたみ式の収納箱,ファイルフォルダ,アパ
ーチュアカード又はフィルムジャケットが望ましい。スライドの保存には,厚紙, 金属又はプラスチック
製の箱が望ましい。
収納箱として適切なプラスチック素材は,表面に何も塗布を施していないポリエステル(ポリエチレン
テレフタレート),ポリスチレン,ポリエチレン又はポリプロピレンとする。グラシン紙又は塩素基,硝酸
基若しくは多量の可塑材を含むプラスチックフィルムを,包材又は収納箱として使用してはならない。特
に,硝酸セルロース及びポリ塩化ビニルは,絶対に使用してはならない。
各種写真フィルムに要求される限界水分値(箇条7参照)を超えないようにしたい場合,大気中のガス
状の不純物からの保護を目的とする場合,又は湿度の管理をしないで低温保存する場合(附属書B参照)
には,気体透過性のない包材を使用しなければならない。
注記1 アルミニウムはく(箔)の内側に添加物を含まないポリエチレンを,外側には包材としての
条件を満たした紙をそれぞれは(貼)り合わせた,ヒートシール適性をもった積層包材で作
られた保存袋は,密閉包材としての好結果をあげている。
ヒートシール適性をもった積層包材で作られた保存袋に,ピンホールがあった場合の安全策として,保
存袋を二重にして使用するのが望ましい。ヒートシール方式の包材の使用に当たっては,内圧による破裂
を生じないように注意することが望ましい。保存袋の作成に使われる接着剤は,JIS K 7645及びISO 18916
の,写真画像への影響度の規定に適合していなければならない。保存袋における包材の合わせ目及び接合
部分は,袋の端に位置するようにして,写真フィルム表面には接しないようにしなければならない。
酸性のガスを発生するおそれのある写真フィルムは,中和機能をもった紙の保存袋に入れて保存しなけ
ればならない。
注記2 ある種のベシキュラフィルムは酸性ガスを発生し,これが銀・ゼラチン,ジアゾ,色素・ゼ
ラチン形のフィルムに影響を与えることがある。酢酸セルロースベースは,劣化によって酢
酸を発生し,発生した酢酸が触媒作用をして,更にベースの劣化を促進する。
4.3.2 長期保存用包材

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長期保存においても,4.3.1の要件のうちの一つの例外を除くすべてが満たされていなければならない。
例外として,長期保存用包材として厚紙を使用してはならない。
袋用の接着剤としては写真用ゼラチン,写真的に不活性な変性でん(澱)粉及びメチルセルロース系接
着剤が使用できる。長期持続性の粘着剤は,JIS K 7645及びISO 18916の,写真画像への影響度の規定に
適合していなければならない。
注記 スティックのりの中にはISO 18916の,写真画像への影響度の規定に適合しないものがある。
種類の異なる写真フィルム(例えば,銀・ゼラチンフィルム,ジアゾフィルム),又は写真フィルムと磁
気テープ若しくは光ディスクとは,互いに影響を及ぼすことがあり,種類の異なる写真フィルムを直接接
触させること又は同一の包材中に保存することをしてはならない。

5 保存庫

  写真フィルムは,じんあい又は汚れから守るために,引出し若しくはキャビネットのような閉めること
ができる収納場所,又はすき間のない,扉が付いたたな(棚)若しくはラックに入れて保存するのが望ま
しい。ただし,写真フィルムを密閉式の包材に入れた場合は,扉なしのたな(棚)又はラックに保存して
もよい。
保存庫の材質は,JIS K 7645の規定に適合した不燃性,非腐食性で,化学的に不活性なものでなければ
ならない。木材,合板,プレスボード,バーチィクルボードなどは可燃性であり,時間が経過すると,写
真画像の劣化を促進する物質を発生する可能性があるので,使用してはならない。
保存庫の塗装には,耐久性があり,しかも保存中の写真フィルムへ悪影響を与える物質を含まない塗料
を使用する。粉末塗装された金属製の保存庫,又はステンレス若しくはアルマイト製のキャビネットが保
存庫として望ましい。
注記1 粉末塗装とは,溶剤を含まず,静電気によって吸着された粉末樹脂を,加熱溶融して皮膜と
する塗装をいう。
注記2 塩素化樹脂又は可塑剤を多量に加えた樹脂を含む塗料は,写真フィルムに悪影響を与える可
能性があり,また,塗りたての塗装から発散する溶剤も,写真フィルムに悪影響を与える可
能性がある。キャビネットに塗られた塗料は,塗装後3か月間は過酸化物,溶剤その他の有
害物質を発散する可能性がある。
空気調節設備を備えた保存庫では,写真フィルムを保存しているすべてのたな(棚)及び引出しが均一
の湿度条件になるように,内部の空気を循環させる。保存庫を7.1に従って空気調節した室内に置く場合
は,空気が保存庫内に出入りできるように通気口を設ける。 この通気口は,耐火及び防水上の必要条件を
満たすものでなければならない。
酸性ガスを発生する写真フィルム若しくは他の物質,磁気テープ又は光ディスクは,写真フィルムと混
在させて保存してはならない。

6 保存室

6.1 中期保存室

  写真フィルムを保存する部屋又は場所は,写真フィルムの検査及び観察の設備を置いた部屋に通じてい
ることが望ましく,いずれも適切な管理が行われていなければならない。壁及び空気調節された室内は,
屋外の温度が低く壁が室内の露点以下に冷やされる時期でも,壁の内面又は室内の備品の表面に結露が生
じないような設計でなければならない。また,洪水,漏水,スプリンクラの散水又は火災の場合に石壁か

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ら発生する蒸気によって,写真フィルムが損傷を受けない構造でなければならない。保存室又は専用保存
施設はできれば地下室を避けた方がよい。
中期的な価値をもつ写真フィルム用の作業室が,7.1.2で推奨する環境条件に保たれているならば,作業
室とは異なる特別の保存室を設ける必要はない。
ある種のベシキュラフィルムのように,酸性ガスを発生する可能性があるフィルムの保存室に使用する
空気循環装置は,他の保存室とは別系統のものでなければならない。保存中に,酸の臭気のような劣化の
兆候が現れた写真フィルムは,別系統の空気循環装置を備えた,隔離された保存室へ移さなければならな
い。

6.2 長期保存室

  長期保存においても,6.1の規定を適用しなければならない。長期間保存する価値のある写真フィルム
は,中期保存室,一時置き場,事務所又は作業室から隔離された,専用の保存室又は貯蔵室を設けて保存
することが望ましい。酸性ガスを発生する可能性があるフィルムの保存室に使用する空気循環装置は,他
の保存室とは隔離された別系統のものでなければならない。
注記 7.1に規定する温湿度条件及び7.3に規定する空気の清浄度が確保できれば,地下又はほら穴に
設置された保存室でも,写真フィルムは,よい保存状態に保たれることが分かっている。

7 環境条件

7.1 保存温度及び保存湿度(附属書D,E及びF参照)

7.1.1  中期保存の温湿度条件
中期保存における相対湿度の平均値は50 %を,最高相対湿度は60 %を,それぞれ超えてはならない。
長期間にわたっての保存場所の平均温度は21 ℃以下とするが,25 ℃を超えないことが望ましい。たと
え短時間であっても,最高温度が32 ℃を超えてはならない。
周期の短い温度変動は,避けなければならない。 任意の24時間内の相対湿度の変動幅は±10 %に,温
度の変動幅は±5 ℃に,それぞれ保たれなければならない。
7.1.2 長期保存の環境条件(附属書F参照)
表1で推奨する温度及び相対湿度条件は,保存庫の内部又は保存庫が置かれている保存室内のいずれに
おいても,守らなければならない。

――――― [JIS K 7641 pdf 10] ―――――

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JIS K 7641:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 18911:2000(MOD)

JIS K 7641:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 7641:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称