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表1−長期保存条件として許容される最高温度及び平均相対湿度範囲
写真画像 フィルムベース 最高温度a),b) 相対湿度範囲a),c)
℃ %
2 2050
黒白/銀・ゼラチンd)
セルロースエステルe) 5 2040
(ISO 18901参照)
7 2030
黒白/銀・ゼラチンd)
(ISO 18901参照)
熱現像銀(ISO 18919参照) ポリエステル 21 2050
ベシキュラ(ISO 18912参照)
銀色素漂白方式
−10 2050
カラー(発色現像方式) セルロースエステルe)
−3 2040
又はポリエステル
ジアゾ方式(ISO 18905参照)
2 2030
注a) 歴史的価値のある写真画像の保存条件については,附属書Gを参照。
b) 任意の24時間内の温度の変動幅は,±2 ℃とする。
c) 任意の24時間内の相対温度の変動幅は,±5 %とする。
d) 大気中の汚染物質の存在,包材の欠陥,並びに/又は温度及び相対湿度の高すぎによる銀画像の酸
化の可能性が心配な場合,更なる保存性強化のための化学的後処理という方法がある(ISO 18915参
照)。
e) セルロースエステルとは,セルロース・トリアセテート(三酢酸セルロース),セルロース・アセテ
ート,ブチレート又はセルロース・アセテート・プロピオネートをいう。
7.1.2.1 黒白写真フィルムの保存に推奨される環境条件
保存の平均温度を下げれば高い相対湿度でも保存することができるが,相対湿度の最高値は50 %を超
えてはならない。任意の24時間における相対湿度の変動幅は,±5 %でなければならない。また,任意の
24時間における温度の変動幅は,±2 ℃でなければならない。
保存の環境条件は,表1の規定の範囲内で選択することが望ましい。
注記1 フィルムベースの劣化及び酸化による画像銀の退色のような化学反応の進行は,低温度及び
低湿度の下で遅くなる。そのため,保存温度又は保存相対湿度のいずれを下げてもLEを延
ばすことができる。低い温度で保存すれば,湿度が高くともその悪影響を相殺してLEを短
縮しないですむ(附属書F参照)。したがって,表1に規定するような,幾通りかの温度/
湿度の組合せが長期保存環境条件として採用できる。
注記2 マクロ環境のもう一つの管理方法は,室温において写真フィルムを推奨する湿度で調湿し,
次いで密封包材又はテープでシールされた容器に入れ,低温の保存場所に置く方法である(参
考文献[10]参照)。
注記3 ロールフィルムもシートフィルムも,密封包材に入れ,内部の空気容積をできるだけ少なく
してからヒートシールし,更にその包材を二重にすることによって,適切に湿度から守るこ
とができる。二重袋による保存は,ピンホールからの空気の侵入の可能性を低くすることが
できるが,完全な保証をするものではない。しかし例外的な場合を除いて,二重袋方式では
内側の袋の内部の湿度を望ましい状態に保つことができるので,低温貯蔵庫又は価格的に無
理のない冷凍設備を含む施設での保存も可能となる。この場合も,シールされたフィルム包
材内部に残る空気の量を,できるだけ少なくすることが不可欠である。
注記4 ロールフィルムは,缶に入れて保存すれば物理的な損傷の心配がない。
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注記5 保存に最適な温度及び相対湿度を,一義的に規定するのは困難である。なぜならフィルムの
重要度,過去の保存の履歴,今後保存を必要とする期間,貯蔵庫の大きさ及び設置場所の環
境条件,その他の要因に対するコストの項目が,フィルムごとに異なっているからである。
注記6 保護能力とコストとの関係は,個々の保存施設に応じて適切に決められるべきものである。
容器中に保存する写真材料を, 適切な組合せにしなければならない。写真フィルム及び写真プリント又
は写真乾板を同一容器中に保存してはならない。新しい写真フィルムと古い写真フィルムとが混在する状
態での保存をしてはならない。
保存条件として推奨される温湿度を維持する方法には,保存庫の内部の管理又は保存庫が設置されてい
る保存室の内部の管理の二通りがあるが,このようなマクロ環境の管理ができない場合は,ミクロ環境を,
モレキュラシーブ,シリカゲル又は空気調節による除湿によって管理しなければならない(附属書H参照)。
ゼラチン画像層をもつ写真フィルムが著しく低い湿度の下に置かれると,画像層の乾燥によるぜい(脆)
化及びカールを生じる場合があるので,そのような問題の解決のためには,使用前に,写真フィルムを適
切な湿度環境で調湿するのがよい。
7.1.2.2 カラー写真フィルムの保存に推奨される環境条件
発色現像方式カラーフィルムの保存温度は,2 ℃以下(参考文献[11],[12]参照), 銀色素漂白方式
のカラーフィルムの保存温度は,21 ℃以下でなければならない。
注記1 カラーフィルムの保存に推奨される環境条件は,保存室を,表1に示す温度相対湿度条件で
管理することによって達成される。
注記2 これに代わる方法として7.1.2.1に記載した密閉容器又はテープでシールされた容器に入れ,
低温の保存条件に置く方法がある。
この規格の適用に当たっては,包装の手間及び包材の値段に合わせて,低温貯蔵庫又は冷凍施設の設置
費用及び運転コストをも考慮して,最適の方法を選択することが望ましい。
7.1.2.3 湿度の平衡に要する時間
写真フィルムが置かれた環境の湿度と平衡状態になるまでの時間は,温度と平衡状態になるまでの時間
より長いので,写真フィルムを保存状態に置く前に,湿度の予備調節をすることを必要とする。
注記1 湿度の平衡に要する時間は,主に次の要因によって決まる。
− 写真フィルムの形態(ロール,シート)
− シートフィルムの枚数及び積み重ね状態(単位厚さ当たりの枚数),ロールフィルムにおけ
る巻付け回数
− 包材及び収納箱の湿度透過性
− 湿度調節の出発点と終点とにおけるフィルムの含有率の差
− 湿度調節を行う環境の温度
注記2 これらの要因の組合せによっては,湿度調節に更に長い時間を要する事態が生じる。保存し
ながら湿度調節をしようとすれば低温貯蔵庫の有効性が疑わしくなる。例えば,150枚のシ
ートフィルムを積み重ねたものを,室温で湿度調節するのには2週間もかからないが,0 ℃
以下で湿度調節するためには6か月かかる(参考文献[13]参照)。
注記3 具体的な予備調節方法としては,シートフィルムを重ねない状態で,適切な温度及び相対湿
度に保たれた循環空気中に,24時間放置する方法がある(空気の清浄性については7.3参照)。
シートフィルムが重ねられた状態ならば,予備調節の時間は24時間より長くなる。
注記4 ロールフィルムでは,予備調節に更に長い時間を要する。換言すれば,写真フィルムが空気
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に暴露されていれば,予備調節に要する時間が短くなる。ロールフィルムでは,密閉式の金
属容器中より水分の透過性がある包材中に置かれた方が,予備調節に要する時間が短くなる
が,それでも,室温で数か月以内で済むという程度である(参考文献[12],[13]参照)。
注記5 含水率が多すぎる写真フィルムは,テープでシールした金属容器中に,シリカゲル又はモレ
キュラシーブとともに23週間置いて,乾燥すれば予備調節となる。
注記6 使用環境の相対湿度を保存環境に合わせて適切に設定すれば,湿度調節時間を短縮し,又は
不要とすることができる。また, このような適切な設定によって,使用及び保存の繰返しに
よって写真フィルムに生じるひずみを減らすことができる。
注記7 使用環境及び保存環境の相対湿度が適切に設定されていなければ,湿度の平衡に要する時間
は極めて長いものとなる。
7.1.2.4 温度の平衡に要する時間
室温より著しく低い温度で保存されていた写真フィルムは,使用前に予備温度調節をして,水分の急激
な吸収又は写真フィルム表面への結露を防ぐ。この予備温度調節は,写真フィルムを防湿性のある容器又
は包材に収納した状態で行う。
注記1 必要十分な予備調節を行えば,写真フィルム全体が室温に達する(附属書E参照)。
注記2 予備調節に要する時間は,写真フィルムの量,容器の断熱性又は保存環境と使用環境との温
度差によって,1時間の場合もあれば1日を要する場合もある。
7.2 空気調節の要件
湿度及び温度を規格の規定に適合させるためには,適切な空気調節を行う必要があり,特に長期保存環
境では条件が厳しいので,空気調節されている保存庫又は保存室の内部は,外界より少し高い気圧に保た
なければならない。
空気調節設備及び保存室の送排気ダクト内の自動防火ダンパは,該当する国家規格又は規則(参考文献
[14],[15]参照)に従って設置し,維持しなければならない。また,該当する国家規格又は規則(参考
文献[16],[17]参照)に規定されている耐火資料室の推奨にも従わなければならない。れんが(煉瓦)
又はコンクリートの壁からは,火災の際に内部の水分が水蒸気となって放出されることがあるので,その
ような構造の保存庫では,密閉容器又は水蒸気遮へい(蔽)能力をもつ保存容器を使用しなければならな
い。
空気調節設備は自動制御方式であることが望ましく,点検は適切に校正された湿度計を用いて頻繁に行
い,表1に規定した管理範囲から外れていないことを, 常に確認しなければならない。
空気調節設備が使えない場合は,湿度計による制御機能を備えた電気除湿機を使用する。
粒径0.3 μm以上のじんあいを除去できるフィルタを備えたものであれば,不純物を含まないシリカゲル
のような乾燥剤を使った除湿機も,7.1の規定に適合するように湿度を管理することができる。
注記 地下室又はほら穴のような,低温で湿度が許容上限を超えやすい保存場所では,除湿が必要と
なる場合がある。
通常の相対湿度が7.1に規定した管理範囲より低いとき,又は保管中の写真フィルムにカール又はぜい
(脆)化のような問題が生じるおそれがあるときには,加湿の必要があり,加湿には, 制御装置を備えた
加湿器を用いなければならない。水又は薬品の飽和溶液を入れたトレイを置く方法による加湿は,湿度が
高くなりすぎる危険を伴うので,使用してはならない。
7.3 空気の純度(附属書C参照)
写真フィルムに記録された情報を,できるだけ長い期間にわたって良質に保つためには,写真フィルム
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を清浄な環境に置いて損傷の原因を除去し,それから保存しなければならない。
固体粒子は,写真フィルム表面にかききず(傷)を発生させたり,画像層に化学変化を与えるおそれが
あるので,保存庫又は保存室へ供給される空気からフィルタによって除去しなければならない。 フィルタ
は該当する国家規格又は規則(参考文献[19],[20]参照),に適合する構造で,不燃性のものでなければ
ならない。
この種のフィルタとしては,該当する国家規格又は規則(参考文献[18],[19]参照)の試験方法によ
る捕集率が,85 %以上の乾式のものが望ましい。
注記1 二酸化硫黄, 硫化水素,種々の過酸化物,オゾン,種々の酸の蒸気,アンモニア,窒素酸化
物のような気体不純物は,フィルムベースや写真画像の劣化を引き起こすことがあるが(附
属書I参照),それらは適切な洗浄装置又は吸収装置で除去できる。
長期保存用の施設は,汚染物質が有害なレベルになることがある市街地又は工場区域からできるだけ離
れた場所に設置することが望ましい。
注記2 写真フィルムを箇条4に規定する密閉式収納箱又は密封包材中に保存すれば,外気からの汚
染を適切に防ぐことができる。
塗料の蒸気は酸化性の汚染物質源になり得るので,長期保存,中期保存にかかわらず,保存場所に新た
な塗装を行った場合は,3か月間はその場所に写真フィルムを持ち込み,又は保存してはならない。
分解の進んでいる酢酸セルロース又は硝酸セルロースベースの写真フィルムから発生する気体は,同一
場所に保存されている写真フィルムの画像を劣化させ,又は破壊するので(参考文献[21]参照)保存す
る写真フィルムを酢酸セルロース又は硝酸セルロースベースの写真フィルムと同一の室内に置いてはなら
ない。また,換気ダクトでつながっている場合は, 別室であっても置いてはならない。
7.4 光の影響
写真画像によっては, 光による悪影響を受けるので,写真フィルムは暗所に保存することが望ましい。
8 耐火保存設備(附属書J参照)
耐火保存用の包材は150 ℃で4時間加熱しても発火せず,また包材から発生する気体は,写真フィルム
から発生する気体より反応性が少ないものでなければならない。この温度では,多くの包材は軟化したり
著しくゆがむことがあるが,その場合でも,写真フィルムが損傷を受けたり包材から取り出せなくなるこ
とがあってはならない。リール及び巻き心に用いる材料は,それに巻き付けて保存する写真フィルムより
燃焼性又は分解性が大きいものであってはならない。
火災及びそれに伴う損傷から保護するために,写真フィルムは密閉容器に入れ,それを耐火保存庫又は
150級の断熱形記録保存庫に保存しなければならない。
耐火保存庫は,該当する国家規格又は規則(参考文献[22],[23]参照)に適合する構造の,特に蒸気
からの保護を重視したものでなければならない。
写真フィルムの量があまり多くないときには,該当する国家規格又は規則(参考文献[22],[23]参照)
に適合する,150級の断熱形記録収納箱が保存用に適しており,この収納箱は,その等級に応じて1時間
4時間の火炎暴露試験を行った場合, その内部温度が65 ℃以下に,内部相対湿度が85 %以下に保たれ
るものでなければならない。
建物が耐火構造になっていない場合は,断熱形記録保存庫は,床下から炎にさらされない状態でなけれ
ばならない。
火災からの防護の最善策を取ろうとするならば,複製を作り,それを別の場所に保存しなければならな
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い。
9 写真フィルムの識別,取扱い及び検査(附属書A,G及びH参照)
9.1 識別
保存用の写真フィルムには,インキ,クレヨン,フェルトペンのようなものによる書込み,又は粘着ラ
ベルのはり(貼)付けによる識別が行われることが多いが,このような識別に使われる素材は,ISO 18916
の写真画像への影響度の規定に適合するものでなければならない。
9.2 取扱い
写真フィルムは,薄く清浄な木綿の手袋を着用し,写真フィルムの縁を持って取り扱わなければならな
い。
注記 保存場所の環境を適切に管理し,清浄に保つことが特に重要である。使用頻度の高い写真フィ
ルムは傷付きやすいので,取扱い及び保存容器・袋への収納に細心の注意が必要である。
ゼラチン層はすりきず(傷)が付きやすく,ベシキュラフィルムでは圧力によって気泡が破
壊され,画像が損傷しやすい。
9.3 検査
保存中の写真フィルムの検査は,2年ごとに,十分な数の代表的なサンプルを選び出して行う。保存中
に,環境の温度及び/又は湿度が7.1に規定された範囲から外れた場合は,検査の頻度を増やす。検査は,
事前に立てたサンプリング計画に従って実施し,包材の劣化をも検査項目とする。検査は,毎回異なるロ
ットについて行うことが望ましい。
写真フィルム及び包材に生じた劣化は,記録しておく。
注記1 写真フィルムの検査に関する推奨事項が,国家規格(例えば,参考文献[24])に記載されて
いる。
劣化には,写真フィルムの物理的変化(カール,ゆがみ,ぜい化,接着故障など),写真画像の視覚的変
化(退色,変色,ブレミッシュ),包材の変化(ぜい化,変色)があり,劣化の原因追及及び対応策を実施
しなければならない。
検査室の露点以下の温度で保存されていた写真フィルムは,包材に入れたままの状態で検査室の温度と
の差が数℃以内になるまで,温度調節を行ってから開封しなければならない。
注記2 写真フィルムの量又は温度差が大きいほど,温度調節に要する時間は長くなる。
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