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K 7641 : 2008
附属書A
(参考)
保存目的及び使用目的の区別
序文
この附属書は,写真フィルムにおける保存目的及び使用目的の区別について記載するものであって,規
定の一部ではない。
写真フィルムにおける保存目的及び使用目的の区別は,必ずしも明確ではない。使用目的の写真フィル
ムは,公文書保管所,記録センタ,図書館及び博物館に置かれて容易に閲覧できるようになっており,有
効に使われている。しかし便利に使用されることによって,破れ,折れ,すりきず,指紋及び汚れのよう
な損傷を受け,強い光や高温にさらされることがある。使用中の写真フィルムは,保存場所とは全く異な
る場所での湿度に調湿されてしまうことがある。保存場所と同じ条件に再調湿されない限り,使用中の写
真フィルムには,実際に物理的な変形が起こることがある。つまり使用目的の写真フィルムは,長期保存
用としては使えない。
長期保存が必要な写真フィルムには,使用を目的とした複製を作ることが望ましい。複製は,オリジナ
ルが保管されている場所とは異なる場所に置いて,使用に供するのがよい。オリジナルは,該当する規格
の要件を満たした条件で使われ,保存においても該当する規格に適合する条件に置かれることが望ましい。
オリジナルといえども,ときには取り出して見ることがある。全く見ないのであれば,保存の意味がなく
なる。もちろんオリジナルを見る機会は頻繁でない方がよい。
10回以上使用される写真フィルムには,使用目的の複製を作っておいた方がよい。
――――― [JIS K 7641 pdf 16] ―――――
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K 7641 : 2008
附属書B
(参考)
密封容器の長所及び問題点
序文
この附属書は,写真フィルムにおける密封容器の長所及び問題点について記載するものであって,規定
の一部ではない。
写真フィルムの保存に推奨される容器は,どのような条件で保存するかによって,異なったものとなる。
テープでシールした缶又はヒートシールできる金属はく(箔)からなる保存袋のような密閉式保存容器は,
周囲の湿度及び気体状の汚染物質からの保護能力に優れている。金属製の缶は,保存容器の取扱い中に発
生することがある物理的な損傷やじんあいからの保護能力に加えて,水又は火に対するある程度の保護能
力をもち,更に積み重ねによる保存をも可能にする。
しかし,三酢酸セルロースベースの劣化は,そのような密閉容器中では促進されることが確認されてい
る。三酢酸セルロースベースの分解によって発生した酢酸蒸気が,密閉容器中に蓄積され,それが触媒作
用をして更にべースの劣化を促進する。
ボール紙製の箱又は紙袋は酢酸蒸気を吸収するので,劣化を抑える機能をもつが,周囲の湿度又は気体
状の汚染物質からの保護能力は低く,火及び水に対する防御としては全く無力である。また,紙素材が酢
酸を吸収してそのpHが4より低くなると,もろ(脆)くなる場合がある。
紙又は厚紙を素材とするすべての保存袋及び保存容器は,JIS K 7645及びISO 18916の写真画像への影
響度の規定に適合していることが望ましい。
写真フィルムの保存に当たっては,保存中に起こることがある損傷を,互いに定性的に比較検討するこ
とを推奨する。湿度,汚染物質,ごみ,水及び火からの保護が重要項目であれば,密閉容器の使用がよい。
写真フィルムのベースが三酢酸セルロースで,既ににおいなどの分解の兆候が見えているのであれば,容
器中に入れないで保存するか,又は酢酸蒸気を吸収する中和剤とともに包材又は保存容器に保存する方法
がよい。
容器に入れないで保存する場合は,三酢酸セルロースベースから発生する酢酸蒸気が,同じ室内にある
他の写真フィルムに与える影響にも,注意することが望ましい(附属書H参照)。このような配慮は,換
気の程度又は写真フィルムが置かれた間隔,他の写真フィルムに使用されている包材の種類に応じて行え
ばよい。
――――― [JIS K 7641 pdf 17] ―――――
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K 7641 : 2008
附属書C
(参考)
空気中の浮遊物及び有害気体
序文
この附属書は,写真フィルムに対する,空気中の浮遊物及び有害気体の影響について記載するものであ
って,規定の一部ではない。
じんあい及び空気中の固体粒子が写真フィルムに付着すると,見にくくなったり,すりきずを生じたり
することがある。反応性のじんあいは,画像の退色又はステインの発生の原因となることもある。
種々の硫黄化合物やオゾン,過酸化物,アンモニア,塗料からの蒸気及びその他の活性な化合物などの
有害気体は,支持体の損傷及び写真画像の化学的な劣化を引き起こすことがある。
特に市街地及び工業地帯の環境で最も頻発する有害気体は二酸化硫黄で,わずかな濃度でも決定的な影
響を与えやすい。硫化水素はどこにでも存在するという有害気体ではないが,微生物スライムのたまった
空気洗浄機から発生することがあり,低濃度でも,銀画像に対して極めて影響が大きい。過酸化物のよう
な酸化性の気体は,微粒子の銀画像を局部的に酸化して,着色した微小なコロイド銀(参考文献[25][26]
[27]参照)を析出させる。
適切な方法による有害ガスの除去は可能である。例えば,二酸化硫黄は空気洗浄機による水処理で,二
酸化硫黄及び硫化水素は化学的吸着剤で(参考文献[28]参照),それぞれ除去できる。
ただし,いずれも常時管理が必要であり,特に活性炭のような化学的吸着剤の場合は,専門的な取扱い
が必要である。
――――― [JIS K 7641 pdf 18] ―――――
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K 7641 : 2008
附属書D
(参考)
保存中の湿度
序文
この附属書は,写真フィルムに対する,保存中の湿度の影響について記載するものであって,規定の一
部ではない。
相対湿度がこの規格の規定範囲を大きく外れる状態での保存は,写真フィルムに対して極めて悪い影響
を及ぼすことがある。相対湿度が60 %を超える高湿度又は20 %に満たない低湿度は,いずれも避けた方
がよい。
60 %を超える相対湿度に長時間放置すると,かび類の発生によるゼラチン画像層の損傷又は破壊が起こ
り,画像層が包材などに接着することがある。また,高湿度のもとでは,残留するハロゲン化銀及び処理
薬品(例えば,チオ硫酸塩)の銀画像に及ぼす作用が加速され,色素画像の安定性も損なわれることが多
い。高湿度は,画像銀の酸化及びフィルムベースの劣化をも引き起こすことがある。
低湿度での保存はかびの生長を防ぐほか,化学的劣化の速度をも遅くする。最近の調査によれば(参考
文献[7],[29]参照),保存相対湿度が50 %以下の場合,画像層の安定性が顕著に向上し,相対湿度が
20 %の環境で保存すれば,写真フィルムの寿命が,測定した物性によって4倍から10倍に延びているこ
とが分かった。15 %より低い相対湿度で保存すると,ゼラチン画像層が一時的にもろくなるが,相対湿度
が30 %以上の環境で湿度調節すれば柔軟性が回復できる。
低湿度環境において保存中の写真フィルムの取扱いは,不必要に曲げたりしないように,注意深く行う
方がよい。低含水率の写真フィルムには静電気がたまって,じんあいを吸い付けやすくなるが,この問題
は適切な除電によって解消できる。
低湿度環境中の写真フィルムには大きなカールが発生し,シートフィルムでは永久変形の原因となり,
映画用フィルムではスポーキング1) が起こる。また,画像層のはがれ落ち又はめくれなどが既に存在して
いる場合は,それらを更に悪化させることがある。
注1) スポーキングとは,ロール状に巻かれていたフィルムを引き出して平らにすると, 巻きぐせ
(癖)に起因する,画像層のひび割れ又は細かいしわ(皺)が生じる現象をいう。
――――― [JIS K 7641 pdf 19] ―――――
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K 7641 : 2008
附属書E
(参考)
保存中の温度
序文
この附属書は,写真フィルムに対する保存中の温度の影響について記載するものであって,規定の一部
ではない。
写真フィルムを,常時およそ40 ℃を超える温度に置くと,ある種の支持体では柔軟性の低下を生じ,
色素画像及びベシキュラ画像では,退色が進むことがある。
ゼラチン画像層が,0 ℃以下のような低温でもろくなることは確かであるが,室温へ戻せば柔軟性は回
復する。低温で保存中の写真フィルムは,不必要な折り曲げなどをしないように,取扱いには十分注意す
る必要がある。
保存温度が使用に供される場所の露点以下のときは,包材及びその中の写真フィルムの温度を露点以上
に上げてから取り出さなければ,写真フィルムの表面が結露する。これを避けるための温度調節時間は,
写真フィルムの大きさ,包材の種類及び温度差によっては,1時間から1日にも及ぶことがある。
保存温度に関する重要な留意点は,その相対湿度への影響である。湿度の制御が行われていない場合,
温度を下げることによって相対湿度が上がることがある。その結果,相対湿度が規定範囲の上限を超えて
しまうことがある。このような場合は,シールした缶や保存袋を使用するとよい。
シールした缶に保存する場合,写真フィルムを収納した状態での空間を,できるだけ少なくするような
大きさの缶を選んで使い,保存袋の場合は,シールする前に内部の空気をできるだけ追い出すとよい。こ
のような配慮を怠ると,低温保存の場合,内部の相対湿度が規定範囲の上限を超える可能性がある。
――――― [JIS K 7641 pdf 20] ―――――
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JIS K 7641:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 18911:2000(MOD)
JIS K 7641:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 37 : 映像技術 > 37.040 : 写真術 > 37.040.20 : 写真印画紙,フィルム及びプレート.カートリッジ
JIS K 7641:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称