JIS K 7642:2007 写真―写真印画の保存方法 | ページ 4

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附属書E(参考)保存目的と使用目的との区別
プリントにおける保存目的と使用目的の区別は,必ずしも明確ではない。使用目的のプリントは,公文
書保管所,記録センター,図書館及び博物館に置かれて容易に閲覧できるようになっており,有効に使わ
れている。しかし,便利に使用されることによって,破れ,折れ,すりきず,指紋及び汚れのような損傷
を受け,強い光及び高温度にさらされることがある。使用中のプリントは,保存場所とは全く異なる場所
での湿度に調湿されてしまうことがある。 保存場所と同じ条件に再調湿されない限り,使用中のプリント
には,実際にカーリングのような変形が起こり得る。 つまり,使用目的のプリントは,長期保存用として
は使えない。
長期保存が必要なプリントには,使用を目的とした複製を作ることが望ましい。複製は,原版が保管さ
れている場所とは異なる場所に置いて,使用に供するのがよい。 原版は,該当する規格の要件を満たした
条件で使われ,保存においても該当する規格に適合する条件に置かれることが望ましい。原版も,ときに
は取り出して見ることがある。もし全く見ないのであれば,保存の意味がなくなる。 また,原版を見る機
会は頻繁でない方がよい。
全保存期間を通して10回以上使用されるプリントには,使用目的の複製を作っておいた方がよい。

――――― [JIS K 7642 pdf 16] ―――――

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附属書F(参考)空気中の浮遊物と有害気体
じんあい及び空気中の固体粒子がプリントに付着すると,見にくくなったり,すりきずを生じたりする
ことがある。反応性のじんあいは,画像の退色又はしみ・よごれの発生の原因となることもある。種々の
硫黄化合物やオゾン,過酸化物,アンモニア,塗料からの蒸気及びその他の活性な化合物などの有害気体
は,支持体の損傷及び写真画像の化学的な劣化を引き起こすことがある。
特に市街地や工業地帯の環境で,最も頻発する有害気体は自動車の排気ガス,窒素酸化物,二酸化硫黄
及びオゾンで,これらは,わずかな濃度でも決定的な影響を与えやすい。硫化水素は,微生物スライム(湿
った場所に発生するかび状の物質)のたまった空気洗浄機から発生することがあり,低濃度でも銀画像に
対して極めて影響が大きい。 過酸化物のような酸化性の気体は,銀画像を局部的に酸化して,着色した微
粒子状のコロイド銀を析出させる。
適切な方法による,有害ガスの除去は可能である。例えば,二酸化硫黄は空気洗浄機による水処理で,
二酸化硫黄及び硫化水素は化学的吸着剤で,除去できる。ただし,いずれも常時管理が必要であり,特に
活性炭のような化学的吸着剤の場合は,専門的な取扱いが必要である。

――――― [JIS K 7642 pdf 17] ―――――

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附属書G(参考)火災に対する防護
火災によって,焼失するに至らなくとも,プリントには高温度による損傷が起こり得る。銀ゼラチン画
像は,150 ℃に数時間置かれても極端には劣化しないが,カラー画像では,退色及び色バランスの変化を
生じることがある。画像の損傷に加えて,高温度にさらされることによって,プリントは見るに耐えない
ほどの損傷を受けることがある。また,隣接したプリントどうしの接着又はブロッキング(平滑な面どう
しが接したときに, 滑りにくくなる現象)が発生する危険がある。
ある種の耐火製の金庫,収納箱及び保存施設の扉は,蒸気を発生させてその冷却作用を利用するように
設計されている。この場合,プリントに蒸気が触れないような保護措置を講じておくのがよい。そうでな
いと,画像層の溶解,接着又は著しい変形が起こる。このことから,密封式の,内容物を蒸気にさらさな
い設計の断熱型記録物収納庫(150級)が推奨される(本体の8.参照)。
極めて劣化しやすい記録及び火災から確実に守りたい記録は,複製を作り,それを別の場所に保存する
ことを推奨する。

――――― [JIS K 7642 pdf 18] ―――――

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附属書H(参考)銀画像の劣化
現像処理済み黒白画像は,好ましくない保存条件下又は不適切な包材中では,常に変色(微小なスポッ
ト,鏡面化又は黄変)の危険にさらされている。画像の劣化は,画像を形成している銀が局部的に酸化し
て,移動性の銀イオンとなることによって発生する。この移動性の銀イオンは,元々存在した位置から移
動し,還元され金属銀となって移動後の位置に定着する。この定着が画像層表面に起これば銀鏡となり,
浅い角度から反射で観察すると,金属光沢に見える。また,移動性の銀イオンの抜けが集中的に起こると,
その部分は微小の赤色のスポット又はブレミッシュ(きず状の欠陥)となる。黄変は全面又は部分的な変
色となる。
このような画像の劣化を引き起こす酸化物質は,空気中の酸素又は過酸化物のような不純物,オゾン,
二酸化硫黄,硫化水素などである。空気中の水分には,酸素による劣化を促進する作用がある。過酸化物
は多くの木材中に存在し,挟み紙及び紙製収納箱の経年によっても発生することがある。密閉された保存
容器では,汚染物質を除去するためにモレキュラーシーブ(分子ふるい),化学的吸収材及び防せい(錆)
剤を使用するなど,種々の方法が採用される。
プリントの現像処理及び保存条件が,変色又はブレミッシュの発生に大きな影響を与える。低温度で酸
化性の気体を含まない乾燥空気の雰囲気に保存すれば,変色又はブレミッシュを防ぎ,又は遅らせること
ができる。銀画像の化学的処理は,酸化性気体に対する耐性を増すことができる(附属書Iの参考文献[10]
参照)。

――――― [JIS K 7642 pdf 19] ―――――

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附属書I(参考)参考文献
[1]ANSI/NFPA 232-1991 Protection of records
[2]消防法に基づく危険物の規制に関する政令(昭和34年9月26日政令306号)第39条
[3]ANSI/UL 72-1990 Tests for fire resistance of record protection equipment
[4]JIS S 1037 耐火金庫
[5]ANSI/NFPA 90A-1993 Installation of air conditioning and ventilating systems
[6]JIS A 1304 建築構造部分の耐火試験方法
[7]ASHRAE Standard 52-76 Method of testing air cleaning devices used in general ventilation of removing
particulate matter
[8]JIS B 9908 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法
[9]ANSI/UL 900-1995 Test performance of air filter units
[10]ISO 18915:2000 Imaging materials − Methods for the evaluation of the effectiveness of chemical
conversion of silver images against oxidation

――――― [JIS K 7642 pdf 20] ―――――

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JIS K 7642:2007の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 18920:2000(MOD)

JIS K 7642:2007の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 7642:2007の関連規格と引用規格一覧