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K 7642 : 2007
8. 耐火保存設備(附属書G参照)
耐火用保存容器は,150 ℃で4時間熱しても,発火又はプリントに有害な気体の発生がないものでなければならない。多くの容器は,この温度で融解したり著しく変形することがあるが,内部のプリントが損傷を受けたり,又はプリントが取り出せなくなるほどに変形又は融解す
るようなことがあってはならない。
火災及びそれに伴う危険からの保護のために,プリントは密閉容器に入れ,耐熱型保存施設に入れるか,
又は150級の断熱型記録物保存庫に保存する(附属書Iの参考文献[3]及び[4]参照)。耐熱型保存施設
は,特に蒸気に対する保護能力を確保でき,同時に該当する国家規格又は規則の構造要件に適合するもの
でなければならない(附属書Iの参考文献[1]及び[2]参照)。
保存するプリントがあまり多くないときは,該当する国家規格又は規則に適合する150級の断熱型記録
物保存庫が使用できる。この保存庫は,その等級に応じて1時間から4時間の火炎暴露試験を行ったとき,
内部の温度が66 ℃を,内部の相対湿度が85 %をそれぞれ超えてはならない。建物が耐火構造でない場合
は,断熱型記録物保存庫は,直接地面に接している床の上に置かなければならない。
火災からの最善の保護策は,複製を作って別の場所に保存することである。
9. プリントの識別,取扱い及び検査(附属書D,附属書E及び附属書H参照)
9.1 識別のための素材
プリントには,インキ,フェルトペン又は粘着ラベルのような非写真的な方法
によって,識別記号を付与することが多い。インキのような識別記号を付与する素材は,ISO 14523に規
定の写真画像への影響度試験に適合したものでなければならない。
9.2 取扱い
プリントの正しい取扱いを心がけることは重要である。頻繁に使用されるプリントは損傷
を受けやすく,細心の取扱いと適切な保存が必要である。プリントの取扱いは,曲げ,折れ又はたわみを
生じないように注意しながら,画像面に触れないように両端で支えて行わなければならない。 保存場所の
正しい管理と,清潔の維持は不可欠である。取り扱う者は,薄く清潔な木綿の手袋を着用しなければなら
ない。
9.3 検査
保存中のプリントから種類の異なる代表的なサンプルをなるべく多く選び出し,2年又は3
年ごとに検査するのがよい。保存中に温湿度が推奨範囲からはずれることがあった場合は,検査頻度を増
やさなければならない。 検査は,事前に立てたサンプリング計画によって実施されるべきである。プリン
ト又は包材に劣化の兆候が認められた場合は,温湿度管理の方法の改善,又は保護能力が低下した包材若
しくは収納容器の更新のような,是正処置をしなければならない。もしそれらの是正処置でも不十分の場
合は,より安定な素材による複製を作っておくことを推奨する。
検査の結果は,プリントの変化を追跡し監視するために保管すべきである。是正処置の正しかったこと
を確認するために,定期的に繰返し検査をする必要がある。プリントは外力によってすりきずがつきやす
いので,検査中にも十分注意しなければならない。
記録すべきプリントの変化には,次の項目を含めるべきである。
a) プリントの物理的変化(たわみなどの変形,画面のひび割れ,接着故障)
b) 外観の変化 [変色,退色,ブレミッシュ(きず状の欠陥)]
c) プリントの変化(ぜい化,変色)
可能ならばこれら問題点の原因を調べ,それを除去することが望ましい。
――――― [JIS K 7642 pdf 11] ―――――
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附属書A(参考)保存中の湿度
相対湿度がこの規格の規定範囲を大きく外れる状態での保存は,プリントに対して極めて悪い影響を及
ぼすことがある。極端な高湿度及び低湿度は,いずれも避けたほうがよい。
60 %を超える相対湿度に長時間放置すると,かび類の発生のためのゼラチン画像層の損傷や破壊が起こ
り,画像層が包材などに接着することがある。また,高湿度のもとでは,残留するハロゲン化銀及び処理
薬品(例えば,チオ硫酸塩)の銀画像に及ぼす作用が加速され,色素画像の安定性も損なわれることが多
い。高湿度は,プリントの支持体をも劣化させることがある。
低湿度での保存はかびの発生及び成長を防ぐほか,化学的劣化の速度をも遅くする。最近の調査によれ
ば,保存湿度が50 %以下の場合,画像層の安定性が顕著に向上することが分かった。しかし,低湿度雰
囲気中では大きなカーリングが発生し,プリントの永久変形の原因となることもある。また,画像層がも
ろくなって,取扱い中のひび割れのような損傷のおそれが増す。また,既に存在している画像層のはがれ
などを,更に悪化させることがある。
――――― [JIS K 7642 pdf 12] ―――――
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附属書B(参考)保存中の温度
プリントを常時およそ40 ℃を超える温度に置くと,画像層のぜい化若しくは劣化又はある種の支持体
の柔軟性の低下を生じ,色素画像では退色が進むことがある。高温度乾燥条件下に継続的に置かれた画像
層では,収縮や変形が促進される。ゼラチン画像層が,0 ℃以下のような低温度でもろくなることは確か
であるが,室温へ戻せば柔軟性は回復する。もろくなったプリントは,取扱中にひび割れ,はがれ又は折
れのような物理的損傷を受ける危険があるので,低温度でプリントを折り曲げないように,取扱いには十
分注意が必要である。
保存温度が露点以下のときは,包材及びその中のプリントの温度を露点以上に上げてから取り出さなけ
れば,プリントの表面に結露する。これを避けるためのならし時間は,プリントの大きさ及び温度差によ
っては,数時間にも及ぶことがある。
保存温度に関する重要な留意点は,その相対湿度への影響である。 湿度の制御が行われていない場合,
温度を下げることによって相対湿度が上がることがある。 その結果,相対湿度が推奨範囲を超えてしまう
ことがある。このような場合は,密封した収納箱を使用するとよい。
――――― [JIS K 7642 pdf 13] ―――――
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附属書C(参考)温度と相対温度との関係
低い温湿度中では,化学反応によるプリントの劣化の進行を遅らせることができる。つまり,保存中の
温度又は湿度を下げることによって,プリントの寿命を延ばすことができる。さらに, 低温度保存におい
ては,湿度が上がってもプリントの寿命を縮めずにすむ。したがって,表1に示すような,長期保存目的
に使用できる温度及び相対湿度の組合せが可能である。 保存施設の設計者は,表1から,幾つかの組合せ
を選択することができる。
低温度及び/又は低湿度保存設備の利点は,保存施設からのたびたびの取出し又は長時間の取出しによ
り,相殺されてしまうことがある。保存設備外に出されていた時間の影響に関しては,色素及び支持体の
安定性に対する促進試験によって,附属書C表1 に示すような数学的モデルが作成されている。
附属書C表 1 保存条件と室温に置かれた日数からの寿命の推定
年間の保存場所外に出された日数a)
保存条件
0 5 10 30 60
温度 相対湿度 相 対 寿 命b)
℃ %
20 50 1 1 1 1 1
30 2 2 2 2 2
10 50 5 4 4 4 3
30 9 8 7 5 4
0 50 18 14 12 7 5
30 33 23 18 9 5
−10 50 71 36 24 11 6
30 132 47 29 11 6
−20 50 288 58 32 12 6
30 538 64 34 12 6
注a) この表は,定性的なものである。プリントの実際の退色の速さ又は期待される寿
命は,これとは異なる。
b) この表の中の数値は温度24 ℃,相対湿度40 %におけるカラープリントの暗退
色の速さの平均値の逆数である。 プリントが保存されずに使用された状態での
退色の速さを,相対的に1として表している。
――――― [JIS K 7642 pdf 14] ―――――
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附属書D(参考)歴史的価値のあるプリント
歴史的価値のある写真記録が保存されている施設では,相対湿度レベルの選択に当たっては,既にある
程度の劣化(き裂,カール又は画像層のはがれ)が生じているプリントが,更に20 %から30 %という低
湿度による収縮力の影響を受けないように,十分な注意を払うべきである。 高湿度の場所と低湿度の場所
を繰り返し往復させると,既に生じている欠陥を悪化させることがある。
低温度及び/又は低湿度での保存は,画像層をぜい化させて,取扱中の損傷の危険を増すことになる。 折
り曲げ又は粗雑な取扱いは,画像層のひび割れなどの物理的損傷を助長しやすい。 したがって,歴史的価
値のある,特に既に損傷を受けているプリントを低温度及び/又は低湿度で保存する場合は,その取扱い
を慎重にするのがよい。
たびたび使用されるプリントは,複製を作っておくべきである。 低温度保存又は低湿度保存によって確
保されていた写真素材の化学的安定性が,高温度又は高湿度の使用場所に繰り返し取り出されたり,又は
長時間置かれることによって急速に失われるので,使用頻度の高いプリントの複製の作成は特に重要であ
る。
――――― [JIS K 7642 pdf 15] ―――――
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JIS K 7642:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 18920:2000(MOD)
JIS K 7642:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 37 : 映像技術 > 37.040 : 写真術 > 37.040.20 : 写真印画紙,フィルム及びプレート.カートリッジ
JIS K 7642:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK7641:2008
- 写真―現像処理済み安全写真フィルム―保存方法
- JISK7644:2004
- 写真―現像処理済み写真乾板―保存方法
- JISK7645:2003
- 写真―現像処理済み写真フィルム,乾板及び印画紙―包材,アルバム及び保存容器