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P 8220-3 : 2020
附属書C
(参考)
機械パルプでのレーテンシィの効果
C.1 概要
1966年にビース(参考文献[1])らは,機械パルプの製造工程でパルプに発生した変形が,潜在的に保持
されることを実証し,それをレーテンシィ現象と命名した。
レーテンシィは,機械的に繊維化したパルプのようなリグニン量の多いパルプで見られる。この附属書
ではレーテンシィ現象について記載し,熱離解によってパルプからレーテンシィを除いたときに発生する
パルプ特性の変化の例を幾つか紹介する。
C.2 レーテンシィと呼ばれる現象
機械パルプの製造過程で,リグニンの軟化温度を超える温度になるとパルプ繊維が分離する。繊維の分
離の際に発生したカール又はねじれは,図C.1に示すように冷却後も持続する。レーテンシィは,室温の
水で離解してもパルプから除くことができない(図C.2参照)。
パルプからレーテンシィを除くためには,85 ℃以上の温度を加えて熱離解するなど,パルプ懸濁液にリ
グニンの軟化温度を超える温度を加えて離解する必要がある。
注記 リグニンの軟化温度は化学処理と同様,参考文献[3]に記載のとおり繊維を分離する時の温度に
も影響を受ける。
1 リファイナー
a 冷却
b 25 ℃での室温離解
c 85 ℃以上での熱離解
図C.1−機械パルプのレーテンシィにおける室温離解及び熱離解の効果(参考文献[2])
――――― [JIS P 8220-3 pdf 11] ―――――
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a) レーテンシィあり b) レーテンシィなし
図C.2−レーテンシィ有無によるパルプ繊維の電子顕微鏡写真(参考文献[4])
バウアーmcネット繊維分級装置を使って,30メッシュ通過50メッシュ保持のもの
パルプ繊維が屈曲していると,そのパルプ繊維が真っ直ぐになった状態で示すパルプ特性とは異なった
特性を示す。
C.3 レーテンシィがパルプ特性に与える影響
砕木パルプ(GP)及びリファイナー砕木パルプ(RGP)のように,低濃度かつ高温で処理するリファイ
ニングでは,低濃度かつ室温での離解に比べてカナダ標準ろ水度は低下し,破裂強さは大きくなる(参考
文献[1])。
サーモメカニカルパルプ(TMP)は,引張強さ,破裂強さなどの特性で,最もレーテンシィの影響を受
ける。インターナルボンドテスター法(参考文献[8])及びZ軸方向引張強さ(参考文献[9])のような繊維
間結合に関する強さ及び引裂強さはレーテンシィの影響を受けない。
――――― [JIS P 8220-3 pdf 12] ―――――
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参考文献
[1] Beath L. R., Neill M. T., Masse F. A. Latency in mechanical pulps. Pulp and Paper Mag. of Canada, 67 (10),
1966, T423.
[2] Mohlin, U-B. Latency in thermomechanical pulps−Contribution of the various fractions. Tappi, 63 (3), 1980,
pp 83-86
[3] Salmn L., Lucander M., Hrknen E., Sundholm J. Fundamentals of mechanical pulping−Rheological
behaviour of wood. Papermaking Science and Technology Handbooks−Part 5: Mechanical Pulping. Ed. J.
Sundholm. Fapet Oy, Jyvskyl, 1999, pp 35-39.
[4] Mohlin, U-B. The contribution of different pulp fractions to the latency effect in thermomechanical pulps. 1979
International mechanical Pulping Conference, Toronto, Ontario. 1979, pp. 13-22.
[5] JIS P 8220-2 パルプ−離解方法−第2部 : 機械パルプの離解(20 ℃)
[6] JIS P 8121-1 パルプ−ろ水度試験方法−第1部 : ショッパー·リーグラ法
[7] JIS P 8121-2 パルプ−ろ水度試験方法−第2部 : カナダ標準ろ水度法
[8] ISO 16260,Paper and board−Determination of internal bond strength.
[9] ISO 15754,Paper and board−Determination of z-directional tensile strength.
――――― [JIS P 8220-3 pdf 13] ―――――
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P 8220-3 : 2020
P8
2
附属書JA
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(参考)
0-
3 : 2
JISと対応国際規格との対比表
020
JIS P 8220-3:2020 パルプ−離解方法−第3部 : 機械パルプの離解(85 ℃以上) ISO 5263-3:2004,Pulps−Laboratory wet disintegration−Part 3: Disintegration of
mechanical pulps at ≧ 85 ℃
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
国際 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
規格
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
3 用語及び 3 追加 用語及び定義としてJIS P 0001の 理解しやすくするための追加であ
定義 引用を追加した。 り,技術的差異はない。
4 主な装 4 JISとほぼ同じ 追加 ISO規格では装置を規定している 理解しやすくするための追加であ
置,器具及 が,JISでは水の規定を追加した。り,技術的差異はない。
び水 4.1 標準離解機 4.1 2種類の離解機につい 変更 標準離解機だけ規定した。 日本国内では標準離解機しか使用
4.1.1 て規定 していないためである。技術的差
4.1.2 異はない。
5 試料の調 5 2種類の離解機を使用 削除 標準離解機を使用する際のサンプ 日本国内では標準離解機しか使用
製 する際の,それぞれのサ ル採取量だけを記載した。 していないためである。技術的差
ンプル採取量について 異はない。
規定
試料を標準水に浸せき 変更 日本では気候上の問題はない。 国内事情による変更であり,技術
する際の温度を20 ℃± 20 ℃±5 ℃だけとした。 的差異はない。
5 ℃とする。気候上この
条件で問題がある場合
は25 ℃から30 ℃まで
とする。
6 操作 6.2 離解機による操 6.2 離解処理後に冷水によ 変更 理解しやすくするための追加であ
希釈後の濃度は規定しない。希釈後
作 り希釈するが,濃度は3 に通常行うろ水度試験の規定濃度 り,技術的差異はない。
g/L以上とする。 を参考として記載した。
――――― [JIS P 8220-3 pdf 14] ―――――
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P 8220-3 : 2020
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
国際 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
規格
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
7 報告書 7 報告書への記載事項と 削除 熱離解方法は標準離解機だけであ 試験方法に合わせた修正であり,
して,使用した熱離解方 技術的差異はない。
るので,報告書への記載事項から削
法がある。 除した。
− − Annex C 2種類目の離解機の形 削除 2種類目の離解機の規定を削除し 日本国内では標準離解機しか使用
状,及び性能を規定して た。 していないためである。技術的差
いる。 異はない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : ISO 5263-3:2004,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD 国際規格を修正している。
P8 220-
3 : 2020
2
JIS P 8220-3:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 5263-3:2004(MOD)
JIS P 8220-3:2020の国際規格 ICS 分類一覧
JIS P 8220-3:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISP0001:1998
- 紙・板紙及びパルプ用語
- JISP8203:2010
- 紙,板紙及びパルプ―絶乾率の測定方法―乾燥器による方法
- JISP8216:2018
- パルプ―物理試験用標準水
- JISP8225:2003
- パルプ―紙料の固形分濃度測定方法