JIS P 0001:1998 紙・板紙及びパルプ用語

JIS P 0001:1998 規格概要

この規格 P0001は、紙・パルプ工業において用いる用語について規定。

JISP0001 規格全文情報

規格番号
JIS P0001 
規格名称
紙・板紙及びパルプ用語
規格名称英語訳
Paper, board and pulp -- Vocabulary
制定年月日
1957年9月18日
最新改正日
2017年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 4046:1978(MOD)
国際規格分類

ICS

01.040.85, 85.040, 85.060
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
紙・パルプ 2021, 包装 2020
改訂:履歴
1957-09-18 制定日, 1958-12-12 改正日, 1961-12-12 確認日, 1965-03-01 確認日, 1969-05-01 改正日, 1972-03-01 確認日, 1974-12-01 確認日, 1978-04-01 確認日, 1979-12-01 改正日, 1985-02-01 確認日, 1998-03-20 改正日, 2003-05-20 確認日, 2008-04-20 確認日, 2012-10-22 確認日, 2017-10-20 確認
ページ
JIS P 0001:1998 PDF [62]
P 0001 : 1998

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS P 0001-1979(紙・パルプ用語)は,この規格に置き換えられる。

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS P 0001 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
P 0001 : 1998

紙・板紙及びパルプ用語

Paper, board and pulp−Vocabulary

序文 この規格は,1979年の改正以来長期間経過したために,この間の技術的進歩及び変化に適合するよ
うに改め,1978年に第1版として発行されたISO 4046, Paper, board, pulp and related terms−Vocabularyと整
合化を図った日本工業規格(日本産業規格)である。
1. 適用範囲 この規格は,紙・パルプ工業において用いる主な用語について規定する。
備考1. この規格の対応国際規格を次に示す。
ISO 4046-1978, Paper, board, pulp and related terms−Vocabulary
2. この規格の中で{}を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考値として併記したものである。
2. 引用規格 付表1に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。
これらの引用規格は,その最新版を適用する。
3. 分類 紙・板紙及びパルプ用語を,次のように分類する。
a) パルプの一般用語
b) パルプの製造
c) パルプの品種
d) 紙・板紙及び加工品の一般用語
e) 紙及び板紙の製造
f) 紙・板紙の品種及び加工製品
g) パルプ,紙及び板紙の性質・試験
4. 用語及びその定義 用語及びその定義は,次のとおりとする。
なお,対応英語を参考として示す。
備考1. 一つの用語欄に,二つ以上の用語が併記してある場合は,記載してある順位に従って優先的
に使用する。
2. 一つの用語欄に,二つ以上の定義がある場合には,記載してある順位に従って優先的に使用
する。
3. 用語の読みが紛らわしいものについては,用語の下に括弧書きで読みを示す。

――――― [JIS P 0001 pdf 2] ―――――

2
P 0001 : 1998
a) パルプの一般用語
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1001 化学パルプ chemical pulp
1) 広義には木材,その他のセルロース繊維原料を化学的
に処理して製造したパルプ。普通は木材のパルプをい
う。
参考 亜硫酸パルプ,クラフトパルプ,ソーダパルプ
などがある。略称はCP。
2) 化学的処理(例えば,蒸解)によって除去可能な非セ
ルロース成分を原料から多量に除去することによって
製造したパルプ。
参考 繊維をほぐすための機械的な後処理を必要とし
ない。
1002 機械パルプ mechanical pulp
1) 木材を,そのまま又は熱処理しながら機械的に処理し
て製造したパルプ。
参考 製造方法によって砕木パルプ,加圧式砕木パル
プ,リファイナ砕木パルプ,サーモメカニカル
パルプ,ケミサーモメカニカルパルプなどがあ
る。略称はMP。
2) 種々の原料(通常は木材)から機械的な処理だけを用
いて製造した製紙用パルプ。
1003 結束繊維 1) パルプ中の離解されていない繊維の結束。 shives
参考 これが紙の中に混じると紙の欠点となる。
2) パルプ又は紙に存在する粗大な繊維片。
1004 高収率パルプ, 通常の化学パルプよりも高い収率で製造されるパルプ high yield pulp
高歩留パルプ (GP,RGP,TMP,CTMP,CGP,SCPなど)の総称。
参考 従来の化学パルプ化法の改良又は新方式の開発
によって蒸解収率の向上を図った化学パルプを
いうこともある。
1005 古紙パルプ recycled fiber
使用済みの紙・板紙又は紙・板紙の断裁くずなどを離解処
理又は離解・脱インキ処理して得たパルプ。
1006 さらしパルプ 漂白剤を用いて漂白したパルプ。 bleached pulp
1007 じん皮繊維 主に双子葉植物の内皮から採取した繊維。 bast fiber
参考 こうぞ,みつまた,がんぴ,亜麻,大麻などの
繊維がこれに属し,主に和紙の原料としている。
1008 スラリー slurry
薄いかゆ状パルプ又はてん()料,塗工顔料などの懸濁
液。
1009 パルプ pulp
1) 木材その他の植物から機械的又は化学的処理によって
抽出したセルロース繊維の集合体。
参考 製造方法によって機械パルプ,化学パルプなど
に,用途によって製紙パルプ,溶解パルプなど
に分類される。
2) 通常,天然植物を原料とした繊維状物質のこと。後の
製造工程で利用するために作られたもの。
1010 微細繊維 非常に短いパルプ繊維又は繊維断片。 fines,
flour
1011 非木材パルプ 非木材の繊維原料から製造したパルプ。 nonwood pulp
参考 非木材パルプには,じん皮繊維のこうぞ,みつ
また,種毛繊維のリンター,葉繊維のマニラ麻,
草類繊維のわら,バガスなどのパルプがある。

――――― [JIS P 0001 pdf 3] ―――――

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P 0001 : 1998
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1012 風乾パルプ 1) 含有水分が大気中の湿度と平衡しているパルプ。 air-dried pulp
参考 我が国の商習慣では水分含有量10%に換算して
取引される。
2) 商取引上は,売手及び買手が合意した理論的な水分を
もつパルプ[理論的商取引絶乾率 (1023) ともいう]。
1013 ベール, bale
パルプ,紙,古紙などを荷造機で圧縮して縛った包み。
こり
1014 ベール水分, average moisture of pulp
包装されたパルプの水分。各荷口ごとに平均した数値を原
俵水分 パルプ質量に対する百分率で表す。 bales
(ひょうすいぶん)
1015 未ざらしパルプ 漂白処理していない製紙用パルプ。 unbleached pulp
1016 ラッパパルプ ウエットマシンですいて折り畳んだパルプ。 lap pulp
1017 製紙用パルプ 紙及び板紙の製造に用いるパルプ。 papermaking pulp
1018 半ざらしパルプ 中程度の白色度まで漂白したパルプ。 semi-bleached pulp
1019 全ざらしパルプ 高白色度まで漂白したパルプ。 fully bleached pulp
1020 ドライパルプ 風乾パルプとほぼ同じ水分をもったパルプ。 dry pulp
1021 ウエットパルプ ドライパルプよりかなり高い水分をもったパルプ。 wet pulp
1022 パルプの風乾質量 air-dry mass (of pulp)
水分が周囲の雰囲気と平衡状態にあるときのパルプの質
量。
1023 パルプの理論的商 theoretical commercial
商取引上,理論的商取引絶乾率として認められている協定
取引絶乾率 上の平衡値。 dryness (of pulp)
参考 国及び/又は商取引上の合意値は,88%若しく
は90%である。もし風乾率が90%ならば,質量
基準で,パルプが絶乾繊維を90%,水分を10%
含むことを示す(88%の場合も同様)。
1024 パルプの販売質量 saleable mass (of pulp)
総質量に絶乾率を乗じ,それを理論的商取引絶乾率で割っ
た値。通常,風乾質量と近似した値となる。
1025 パルプの送り状質量売り主が送り状に表示した販売質量。 invoiced mass (of pulp)
b) パルプの製造
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2001 アスプルンド法 Asplund process
木材チップを水蒸気で160180℃に加熱しながら,特殊離
解機でパルプ化する機械パルプ製造方法。
参考 主に繊維板用パルプの製造に用い,薬品処理装
置を付けてケミグランドパルプ,セミケミカル
パルプの製造又は古紙処理に応用される。
2002 亜硫酸法 酸性の亜硫酸塩溶液で蒸解する化学パルプ製造方法。 sulphite process,
sulfite process
参考 大別して酸性亜硫酸法 (acid sulphite process) と
重亜硫酸法 (bisulphite process) がある。
酸性亜硫酸法は,亜硫酸水素塩以上に遊離亜
硫酸の多い蒸解液を用いる。この塩基にはナト
リウム,カルシウム,マグネシウムなどを用い
る。原料植物にフェノール成分,水可溶性成分
の多いものには適さない。リグニンはスルホン
化されて溶出し,廃液中にはリグノスルホン酸,
糖類などが含まれる。重亜硫酸法は,亜硫酸水
素塩溶液を蒸解液とする方法で,塩基にはナト
リウム及びマグネシウムを用いることが多い。
蒸解中pHが4以下にならないので,ヘミセルロ
ースの溶出が減り,パルプ収率が高い。

――――― [JIS P 0001 pdf 4] ―――――

4
P 0001 : 1998
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2003 アルカリ処理 alkali treatment,
パルプ多段漂白の一段階で,パルプに水酸化ナトリウム溶
液を加えて加温し,可溶物を抽出する処理。 alkali extraction
参考 製紙用パルプの場合には,主に塩素化リグニン
を溶出させ,漂白を容易にするために行う。溶

解用パルプの場合には,更に セルロースの含
有率を高めるために行う。
2004 アルカリ法 alkaline process
木材,わら,竹,じん皮繊維などの繊維原料をアルカリ性
薬液で蒸解する化学パルプ製造方法。
参考 通常は,クラフト法,ソーダ法をいうが,広義
には,アルカリ性セミケミカル法,コールドソ
ーダ法なども含まれる。
2005 H−ファクタ H-factor
化学パルプ化法において蒸解温度と蒸解時間の効果を総
合的に表す蒸解度表示法。100℃で1時間蒸解したときの
パルプ化効果をH−ファクタ1とする。すなわち,100℃の
相対反応速度をアレニウスの式によって求め,蒸解時間と
の関係を表した曲線で囲まれた面積に相当する。
2006 液比 liquor to wood ratio,
チップの絶乾質量に対する蒸解液質量(チップの水分を含
む)の比。 liquor ratio
参考 クラフト法の液比は普通34である。液比はパ
ルプ品質の均一性からみて大きいほうがよい
が,蒸解用の熱源,蒸解速度,回収固形分の濃
度からみると小さいほうがよい。
2007 エバポレータ evaporator
化学パルプ化法において洗浄工程で得られた希黒液を回
収ボイラで燃焼させるために,60%以上の固形分濃度に濃
縮する装置。
参考 一般には,5重又は6重の多重効用真空蒸発缶が
用いられる。
2008 遠心式クリーナ centrifugal cleaner
遠心力を利用してパルプ懸濁液中の異物を除去する逆円
すい形の装置。
2009 塩素処理 繊維原料及び未ざらしパルプを塩素化する処理。 chlorination
参考 次の段階のアルカリ処理において,リグニンを
可溶化するために行う。パルプの漂白に応用さ
れる。
2010 回収ボイラ recovery boiler
クラフトパルプなどの製造の際に生じる廃液を濃縮燃焼
して,再度使用できる薬品を回収するボイラ。
参考 この際に燃焼熱も利用する。
2011 過酸化物漂白 peroxide bleaching
過酸化物(過酸化水素,過酸化ナトリウムなど)を用いる
漂白方法。
参考 あらゆるパルプ,特に機械パルプの漂白に用い
る。セルロースの損傷が少ない。この漂白液に
は,pH調節用及び重金属による分解を防ぐ薬品
を配合する。
2012 かせい化装置 causticizing plant
炭酸ナトリウム溶液を石灰乳で処理して水酸化ナトリウ
ムに変える装置。
参考 クラフト法,ソーダ法などの薬液回収に用いる。

――――― [JIS P 0001 pdf 5] ―――――

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JIS P 0001:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4046:1978(MOD)

JIS P 0001:1998の国際規格 ICS 分類一覧

JIS P 0001:1998の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC2111:1950
接着用ワニス試験方法
JISC2111:2002
電気絶縁紙試験方法
JISC2303:1999
絶縁薄紙
JISC2304:1999
コイル絶縁紙
JISC2305:1999
プレスボード
JISC2307:1999
電力ケーブル用絶縁紙
JISK1423:1970
硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)
JISK5902:1969
ロジン
JISP0138:1998
紙加工仕上寸法
JISP0201:1966
連続伝票用紙の寸法
JISP0202:1998
紙の原紙寸法
JISP3001:1995
新聞巻取紙
JISP3101:1989
印刷用紙
JISP3105:1989
アート紙
JISP3201:1995
筆記用紙
JISP3301:1995
図画用紙
JISP3401:2000
クラフト紙
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISP3902:2011
段ボール用ライナ
JISP3904:2011
段ボール用中しん原紙
JISP4501:1993
トイレットペーパー
JISP4502:1994
連続伝票用原紙
JISP4504:1995
ジアゾ感光紙用原紙
JISP4505:1999
ジアゾ感光紙
JISP8003:1995
パルプ材及び製紙用パルプの灰分試験方法
JISP8004:1976
パルプ材の冷水可溶分試験方法
JISP8005:1976
パルプ材の熱水可溶分試験方法
JISP8009:1976
パルプ材のエーテル可溶分試験方法
JISP8010:1976
パルプ材のアルコール・ベンゼン可溶分試験方法
JISP8101:1994
溶解パルプ試験方法
JISP8112:2008
紙―破裂強さ試験方法
JISP8113:2006
紙及び板紙―引張特性の試験方法―第2部:定速伸張法
JISP8114:2003
紙及び板紙―耐折強さ試験方法―ショッパー試験機法
JISP8115:2001
紙及び板紙―耐折強さ試験方法―MIT試験機法
JISP8116:2000
紙―引裂強さ試験方法―エルメンドルフ形引裂試験機法
JISP8117:2009
紙及び板紙―透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)―ガーレー法
JISP8118:2014
紙及び板紙―厚さ,密度及び比容積の試験方法
JISP8119:1998
紙及び板紙―ベック平滑度試験機による平滑度試験方法
JISP8120:1998
紙,板紙及びパルプ―繊維組成試験方法
JISP8121:1995
パルプのろ水度試験方法
JISP8122:2004
紙及び板紙―サイズ度試験方法―ステキヒト法
JISP8123:1961
紙及びパルプのハンター白色度試験方法
JISP8124:2011
紙及び板紙―坪量の測定方法
JISP8125:2000
紙及び板紙―こわさ試験方法―テーバーこわさ試験機法
JISP8126:2015
紙及び板紙―圧縮強さ試験方法―リングクラッシュ法
JISP8127:2010
紙及び板紙―ロットの水分試験方法―乾燥器による方法
JISP8128:1995
紙及び板紙の灰分試験方法
JISP8129:1998
紙及び板紙―紙むけ試験方法―電気式IGT試験機による加速印刷法
JISP8130:1994
紙及び板紙の吸油度試験方法
JISP8131:2009
板紙―破裂強さ試験方法
JISP8134:1998
板紙―衝撃あな開け強さ試験方法
JISP8135:1998
紙及び板紙―湿潤引張強さ試験方法
JISP8136:1994
板紙の耐摩耗強さ試験方法
JISP8137:1976
紙及び板紙のはっ水度試験方法
JISP8138:1976
紙の不透明度試験方法
JISP8139:1994
板紙のすき合わせ層のはく離強さ試験方法
JISP8140:1998
紙及び板紙―吸水度試験方法―コッブ法
JISP8141:2004
紙及び板紙―吸水度試験方法―クレム法
JISP8142:2005
紙及び板紙―75度鏡面光沢度の測定方法
JISP8143:2009
紙―こわさ試験方法―クラークこわさ試験機法
JISP8145:2011
紙及び板紙―異物の評価方法
JISP8147:2010
紙及び板紙―静及び動摩擦係数の測定方法
JISP8148:2018
紙,板紙及びパルプ―拡散青色光反射率の測定方法―室内昼光条件(ISO白色度)
JISP8201:1996
製紙用パルプの試料採取方法
JISP8202:1998
パルプ―ロットの絶乾率の試験方法
JISP8203:2010
紙,板紙及びパルプ―絶乾率の測定方法―乾燥器による方法
JISP8205:1976
製紙用パルプの樹脂分試験方法
JISP8206:1994
製紙用パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)試験方法
JISP8207:2009
パルプ―ふるい分け試験方法
JISP8208:1998
パルプ―きょう雑物測定方法
JISP8209:1994
パルプ試験用手すき紙調製方法
JISP8210:1994
製紙用パルプの強さ試験方法
JISP8211:2011
パルプ―カッパー価試験方法
JISR6252:2006
研磨紙
JISR6253:2006
耐水研磨紙
JISR9200:2016
せっこう及び石灰に関する用語
JISS3102:1992
障子紙
JISS3104:1999
ティシュペーパー
JISS5503:2010
便せん
JISZ0208:1976
防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)
JISZ0219:1957
包装用加工紙の耐粘着性試験方法
JISZ1503:1995
ターポリン紙
JISZ1505:2004
クラフト紙袋―セメント用
JISZ1516:2003
外装用段ボール
JISZ1535:2014
鉄鋼用防せい(錆)紙
JISZ1538:2009
印刷用粘着紙