JIS R 1638:1999 ファインセラミックス粉末の等電点測定方法

JIS R 1638:1999 規格概要

この規格 R1638は、ファインセラミックス粉末を電解質水溶液に分散させて,そのpHを変化させてゼータ電位を測定することによって,等電点を求める方法について規定。

JISR1638 規格全文情報

規格番号
JIS R1638 
規格名称
ファインセラミックス粉末の等電点測定方法
規格名称英語訳
Test methods of iso-electric point of fine ceramic powders
制定年月日
1999年3月20日
最新改正日
2018年10月22日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

81.060.30
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
ファインセラミックス 2018
改訂:履歴
1999-03-20 制定日, 2004-03-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
ページ
JIS R 1638:1999 PDF [13]
R 1638 : 1999

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は,出願公開後の実用
新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS R 1638 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
R 1638 : 1999

ファインセラミックス粉末の等電点測定方法

Test methods of iso-electric point of fine ceramic powders

1. 適用範囲 この規格は,ファインセラミックス粉末を電解質水溶液に分散させて,そのpHを変化さ
せてゼータ電位を測定することによって,等電点を求める方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語
JIS Z 8802 pH測定方法
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600によるほか,次による。
a) ゼータ電位 ゼータ電位は界面動電現象(電気泳動,電気浸透,流動電位及び沈降電位)の実験から
求められる電位。溶液中の帯電した粒子の近傍では,表面電荷と当量で反対符号の電荷が,粒子表面
の周りにイオンの形で集まる。このイオンの一部は粒子表面に吸着しStern層を,残りは静電引力と
熱運動による拡散とのバランスで,ある平衡分布をもつ拡散電気二重層を形成する。電気泳動又は電
気浸透では,このような帯電粒子が分散した電解質水溶液系に外部電場を印加すると,粒子と拡散二
重層はそれぞれ反対符号の電極に向かって引っ張られるが,粒子表面から数分子層内の液体分子は粒
子とともに運動するため,その外側の“すべり面”を境に相対運動が生じる。流動電位及び沈降電位
では,粒子表面から数分子層内の液体分子は粒子表面に留まり,その外側の“すべり面”を境に相対
運動が生じ,電位を生じる。このすべり面における電位。
b) 電気泳動 溶液中の帯電した粒子に電場をかけると,粒子は電極に向かって泳動する現象。
c) 電気泳動移動度 泳動度ともいう。電気泳動速度を加えた電場で除した値。
d) 流動電位 キャピラリー中の溶液に圧力をかけて流動させると,電気二重層の拡散層内の電荷が運搬
され,流動電流を生じる。このときキャピラリーの両端に発生する電位。
e) 流動液 粉体層の状態でゼータ電位を測定する流動電位法で用いるpH調整酸,塩基及びそれらの塩
の電解質水溶液。
f) 超音波振動電位 溶液中の帯電した粒子を超音波で振動させたとき,粒子とイオンの質量の違いによ
って発生する交流電位。
超音波振動電位の逆の現象で,溶液中の帯電した粒子に高周波
g) SA (Electro-kinetic Sonic Amplitude)
電圧を印加したときに発生する超音波の圧力。
h) 等電点 イオンを含む溶液中で,ゼータ電位が零になる水素イオン濃度。

――――― [JIS R 1638 pdf 2] ―――――

2
R 1638 : 1999
4. 測定の原理
4.1 電気泳動法 帯電した粒子が溶液中に分散している系に外部から電場をかけると,粒子は電極に向
かって泳動する。電気泳動速度は粒子の電荷に比例するので,その電気泳動速度を測定することによって,
ゼータ電位を求めることができる。粒子の電気泳動移動度ue (m2・V−1・s−1) は,式(1)によって求める。
v
ue (1)
E
ここで, v : 粒子の電気泳動速度 (m・s−1)
E : 電場 (V・m−1)
ゼータ電位 稀 V) は,式(2)によって求める。
竰 ue (2)
ε0εr
ここで, 電解質水溶液の粘性率 (Pa・s)
ue : 電気泳動移動度 (m2・V−1・s−1)
攀 真空の誘電率 (C2・N−1・m−2)
攀 電解質水溶液の比誘電率
粒子の電気泳動速度を測定する方法には,電気泳動顕微鏡法,電気泳動レーザー・ドップラー法,電気
泳動質量輸送法がある。これらの方法は粒子濃度が希薄な系のゼータ電位測定に用いられる。
a) 電気泳動顕微鏡法 帯電した粒子の溶液中での電気泳動速度を,顕微鏡を用いて直接観測する方法で,
ストップウォッチ法,回転プリズム法,回転グレーティング法,画像処理法がある。
1) ストップウォッチ法 帯電した粒子が一定の距離を電気泳動する時間をストップウォッチで測定し,
式(3)によって電気泳動速度v (m・s−1) を求める。
l
v (3)
t
ここで, l : 泳動距離 (m)
t : 泳動時間 (s)
2) 回転プリズム法 矩形プリズムを光が通過するときプリズムを回転させると,光の進路がずれる。
矩形プリズムを通して観察される粒子の像は,プリズムの回転速度に比例して移動する。回転方向
と回転速度を調節すると,電気泳動している粒子の像を静止させることができ,このときの回転速
度を測定して,式(4)によって電気泳動速度v (m・s−1) を求める。
KT n 1
v (4)
nM
ここで, K : 装置定数
T : プリズムの厚さ (m)
n : プリズムの屈折率
燿 プリズムの回転速度 (rad・s−1)
M : 顕微鏡の倍率
3) 回転グレーティング法 電気泳動する帯電した粒子から散乱されたレーザ光は,レンズで拡大され,
グレーティング(放射状に溝が刻み込まれた円盤)に結像され,透過光は光電子増倍管に入る。グ
レーティングはゆっくり回転しており,帯電した粒子の像の電気泳動速度とグレーティングの回転
速度に違いがあれば,光電子増倍管を通してパルス信号が発生する。帯電した粒子の像の移動方向
と反対の方向にグレーティングが回転していれば,その周波数は高くなる。したがって,光パルス
の周波数分析を行い,式(5)によって電気泳動速度v (m・s−1) を求める。

――――― [JIS R 1638 pdf 3] ―――――

                                                                                              3
R 1638 : 1999
Lf
v (5)
M
ここで, L : グレーティングの格子の間隔 (m)
f : 周波数のシフト量 (s−1)
M : 顕微鏡の倍率
4) 画像処理法 一定時間間隔で観察した2枚の粒子群の像を重ね合わせ,電気泳動した同一粒子の軌
跡を線で結び,移動距離を画像処理によって測定する。この移動距離とそれに要した時間から,式
(6)によって電気泳動速度v (m・s−1) を求める。
l
v (6)
t
ここで, l : 泳動距離 (m)
t : 泳動時間 (s)
b) 電気泳動レーザー・ドップラー法 電気泳動している粒子にレーザー光を照射すると,粒子からの散
乱光はドップラー効果によって光の周波数がシフトする。そのシフト量は,帯電粒子の電気泳動速度
に比例することから,このシフト量を測定して,電気泳動速度を求める。
屈折率nの電解質水溶液に分散した帯電粒子に,波長 ーザー光を照射し,散乱角 出して
レーザ光のドップラーシフト量を測定し,式(7)によって電気泳動速度v (m・s−1) を求める。
v
v (7)
2nsin
ここに, レーザ光の波長 (m)
v : ドップラーシフト量 (s−1)
n : 電解質水溶液の屈折率
燿 検出角度 (rad)
c) 電気泳動質量輸送法 粉粒体を濃厚懸濁液の形態とし,泳動軸上に貯蔵部と捕集部の2室をもった構
造をした測定セル内に入れる。測定セル内の一対の電極間に電圧を与えると,帯電した粒子は表面の
電荷量に応じて電気泳動するので,捕集部内の粒子数は時間とともに増加又は減少する。捕集部内の
粒子数の変化は,測定前後の捕集部の質量変化量を測定することによって求める。ここで,電気泳動
移動度ue (m2・s−1・V−1) は式(8)によって求める。
泰1
ue (8)
tim 1 2 1 m 1
ここで, 電解質水溶液の電導率 (S・m−1)
粒子の密度 (kg・m−3)
t : 泳動時間 (s)
i : 電解質水溶液に通ずる電流 (A)
m : 粒子濃度 (kg・m−3)
電解質水溶液の密度 (kg・m−3)
W : 捕集部の質量変化 (kg)
4.2 流動電位法 流動電位法は,固−液界面における相対運動を,固体を固定し電解質水溶液だけを動
かすことによって,固体の両端に発生する流動電位を測定し,ゼータ電位を求める方法である。粉粒体試
料の場合,試料を粉体層の形状にすることによって,多孔性の構造をした一つの固体と考えることができ,
電解質水溶液が多孔性の構造をもった固体中の毛細管内を流れると考える。
電解質水溶液の流路となる1本の毛細管を考えると,電解質水溶液を流動させる流動圧力P (Pa) は,

――――― [JIS R 1638 pdf 4] ―――――

4
R 1638 : 1999
Q
P 2
u1 (9)
r 0 r
ここで, 電解質水溶液の粘性率 (Pa・s)
Q : 毛細管壁面の表面電荷量 (C・m−2)
r : 毛細管の半径 (m)
攀 真空の誘電率 (C2・N−1・m−2)
攀 電解質水溶液の比誘電率
竿 ゼータ電位 (V)
u1 : 電解質水溶液の流速 (m・s−1)
なる関係がある。一方,発生する流動電位E (V) は,
Q
E u1 (10)
r2 0
ここで, Q : 毛細管壁面の表面電荷量 (C・m−2)
r : 毛細管の半径 (m)
電解質水溶液の電導度 (S・m−1)
u1 : 電解質水溶液の流速 (m・s−1)
で表され,式(9),式(10)から次に示される式が導き出される。
0E
竰 (11)
0 rP
式(11)では,毛細管のサイズ(半径,長さなど)と無関係で,実際の毛細管がどのような形状であるの
かを考慮する必要はない。
4.3 超音波法 超音波法によるゼータ電位測定法には,超音波振動電位法及びESA法がある。これらの
方法は粒子濃度が150%体積濃度の濃厚系のゼータ電位測定に用いられる。
a) 超音波振動電位法 帯電した粒子が溶液中に分散している系に超音波を照射し振動させると,粒子の
動きとその周りにある対イオンの動きの違いによって周期的に分極し,交流電圧が発生する。超音波
の半波長の奇数倍となる位置で,超音波振動電位はゼータ電位に比例するので,これを測定してゼー
タ電位を求める。
超音波振動電位CVP (V) とゼータ電位 稀 V) の関係は式(12)で表される。
2P 2 1 0 r
CVP 1 (12)
0 1
ここで, P : 音圧 (N・m−2)
替 粒子の体積分率
粒子の密度 (kg・m−3)
電解質水溶液の密度 (kg・m−3)
電解質水溶液の電導度 (S・m−1)
攀 真空の誘電率 (C2・N−1・m−2)
攀 電解質水溶液の比誘電率
電解質水溶液の粘性率 (Pa・s)
b) SA法 帯電した粒子が溶液中に分散している系に高周波交流電圧をかけると,粒子はその供給周波
数で振動し,Electro-kinetic Sonic Amplitudeと呼ばれる圧力(超音波)が発生する。このESA値を測定
し,ゼータ電位を求める。
ESA (N・m−1・V−1) 値とゼータ電位稀 V) の関係は,式(13)で表される。
2
1 0 r
ESA C G (13)
1

――――― [JIS R 1638 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS R 1638:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1638:1999の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISR1600:2011
ファインセラミックス関連用語
JISZ8802:2011
pH測定方法