JIS R 1692:2012 ファインセラミックス基板の熱疲労試験方法 | ページ 2

4
R 1692 : 2012
6.2.4 低温及び高温の各さらし時間t1
さらし時間t1は,試験片の熱容量を考慮する必要がある。
なお,標準のt1は30分間とする。t1が標準と異なる場合には,報告で記載する。
6.2.5 移し換え時間t2
試験片を低温槽から高温槽,又は高温槽から低温槽への移し換え時間t2は,できるだけ短いことが望ま
しい。
なお,標準のt2は次の中から選ぶ。t2が標準と異なる場合には,報告で記載する。
a) 10秒未満
b) 10秒以上1分未満
c) 1分以上2分未満
6.2.6 温度復帰時間ts
図2に示すように,温度復帰時間tsは,試験片を槽に入れてから温度TA又はTBに到達し,かつ,安定
するまでの時間とし,さらし時間t1の20 %以内とする。
なお,tsがさらし時間t1の20 %以内と異なる場合には,報告で記載する。
6.2.7 1サイクル
図2に示すように,1サイクルは,二つのさらし時間t1と二つの移し換え時間t2とからなる。試験開始
位置は低温槽,試験終了位置は高温槽として,次の順を繰り返すこととする。
a) 試験片を低温槽に入れて,t1時間の間,維持する。
b) 試験片を低温槽から高温槽にt2時間内に移し換える。
c) 試験片を高温槽内で,t1時間の間,維持する。
d) 試験片を高温槽から低温槽にt2時間内に移し換える。
A : 第1サイクルの開始時点
B : 第2サイクルの開始時点
図2−熱サイクルの構成

6.3 4点曲げ強さ試験方法

6.3.1  内支点間距離(内スパン)及び外支点間距離(外スパン)

――――― [JIS R 1692 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
R 1692 : 2012
内支点間距離及び外支点間距離は,図3に示すとおり内支点間距離(l)10 ±0.5 mm,外支点間距離(L)
30±0.5 mmとし,あらかじめノギスを用いて測定する。
6.3.2 クロスヘッド速度及び破壊荷重
試験片にクロスヘッド速度0.5 mm/minで荷重を負荷し,試験片が破壊したときの最大荷重を測定する。
6.3.3 荷重−変位の測定
試験開始から試験片が破壊するまでの間のクロスヘッド変位と荷重との関係を測定する。
単位 mm
l=10±0.5,L=30±0.5,D=φ46
図3−回転形4点曲げ試験ジグ

6.4 未熱疲労試験片の4点曲げ強さ試験

  7.3に規定する残存強度比を計算するために,熱疲労試験に供していない試験片を10本以上用意して,4
点曲げ強さ試験を行う。

7 試験結果の取扱い

7.1 4点曲げ強さの計算

  4点曲げ強さは,個々の試験片の測定値から式(1)によって算出し,JIS Z 8401によって,有効数字3桁
に丸める。
3P(L−l)
=
b 2 (1)
2wt
ここに, σb : 4点曲げ強さ(MPa)
P : 試験片が破壊したときの最大荷重(N)
l : 内支点間の距離(mm)
L : 外支点間の距離(mm)
w : 試験片の幅(mm)
t : 試験片の厚さ(mm)

7.2 平均値及び標準偏差の計算

  4点曲げ強さの平均値及び標準偏差は,個々の試験片の測定値から次の計算によって算出し,JIS Z 8401
によって,有効数字3桁に丸める。

――――― [JIS R 1692 pdf 7] ―――――

6
R 1692 : 2012
n
xbi
xb= (2)
n
i=1
n 2
xbi−xb
Sb= (3)
i=1n−1
ここに, xb : 4点曲げ強さの平均値(MPa)
xbi : 個々の試験片の4点曲げ強さ(MPa)
Sb : 4点曲げ強さの標準偏差(MPa)
n : 試験片の個数

7.3 残存強度比

7.3.1  残存強度比の計算
試験片の4点曲げ強さσbを未熱疲労試験片(N=0)の4点曲げ強さの平均値 σb0で除したものを残存強
σb0として算出し,JIS Z 8401によって,有効数字3桁に丸める。
度比σb/
7.3.2 残存強度比−熱サイクル数のプロット図
σb0,横軸に熱サイクル数Nの対数値
残存強度比−熱サイクル数のプロット図は,縦軸に残存強度比σb/
σb0−熱サイクル数Nのプロット図の例を図4に示す。
をとって描く。残存強度比σb/
1.6 1.6
1.4 1.4
0
0
b
b
1.2 1.2
σ
σ
0
0
/
/
/
/
b
b
残存強度比 σ
残存強度比 σ
1.0 1.0
残存強度比
残存強度比
0.8 0.8
0.6 0.6
0.4 0.4
0.2 0.2
0.0 0.0
100 101 102 103 100 101 102 103
熱サイクル数,cycles
熱サイクル数,
cycles 熱サイクル数,cycles
cycles
熱サイクル数,
a) 残存強度比が変化しない場合の例 b) 残存強度比が低下する場合の例
1.6
1.4
0
b
σ
1.2
0
/
/
b
残存強度比 σ
1.0
残存強度比
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
100 101 102 103
cycles
熱サイクル数,
熱サイクル数,cycles
c) 残存強度比の大きな低下はないがばらつきが大きい場合の例
図4−残存強度比−熱サイクル数のプロット図

――――― [JIS R 1692 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
R 1692 : 2012
図4 a)は,熱疲労によって試験片に損傷が発生せず残存強度比が変化しない例である。図4 b)は,熱疲
労によってファインセラミックスにき裂が発生・進展し,残存強度比が低下した例である。図4 c)は,熱
疲労によってファインセラミックスと金属板の接合部であるロウ材の内部又は界面にき裂が発生・進展し,
残存強度比の大きな低下は見られないがばらつきが大きい例である。

8 熱疲労によって発生・進展したき裂の観察及び測定

  図4 b)に示すように,残存強度比が低下する場合,熱疲労によってファインセラミックスにき裂が発生・
進展する。その様相を試験片側面から見た模式図を図5に示す。図5に示すように,き裂は金属板のエッ
ジ付近のファインセラミックスに発生し,ファインセラミックス表面から約20°40°の角度で内部方向
に進展し,その後界面方向と平行に進展する。4点曲げ強さ測定後,図5のファインセラミックス破断面
のき裂を観察すると図6に示すような半円弧状のき裂となっている。必要に応じて,走査型電子顕微鏡,
光学顕微鏡,又はこれと同等以上の精度をもつものを用いて,ファインセラミックス基板の長手方向に対
して垂直な面に投影したき裂の長さ2a及び深さbを測定する。
なお,き裂の寸法測定及び観察例は,附属書A参照。
図5−試験片側面から見た熱疲労によるき裂の進展様相の模式図
図6−ファインセラミックス基板の長手方向に対して垂直な
面に投影したファインセラミックス破断面のき裂モデル

9 試験片破壊時の応力拡大係数

9.1 一般事項

  必要に応じて,試験片の4点曲げ強さ及びき裂の大きさから,試験片破壊時の応力拡大係数の計算,そ
の平均値及び標準偏差の計算並びに応力拡大係数−き裂深さのプロット図の作成を行う。

9.2 応力拡大係数の計算

  4点曲げ強さ試験から求めた4点曲げ強さ      拿  き裂の観察から求めたき裂半長a,き裂深さb,試験片の
幅w及び試験片の板厚tを用いて,ファインセラミックス基板破壊時の応力拡大係数を式(4)によって算出
し,JIS Z 8401によって,有効数字3桁に丸める。

――――― [JIS R 1692 pdf 9] ―――――

8
R 1692 : 2012
なお,具体的な応力拡大係数の計算式は,附属書B参照。
K= b b f( ) (4)
ここに, K : 応力拡大係数(MPam1/2)
拿 4点曲げ強さ(MPa)
b : き裂深さ(m)
f(ξ) : 補正係数

9.3 平均値及び標準偏差の計算

  応力拡大係数の平均値及び標準偏差は,個々の試験片の測定値から次の計算によって算出し,JIS Z 8401
によって,有効数字3桁に丸める。
n
xKi
xK= (5)
i=1n
n 2
xKi−xK
SK= (6)
i=1 n−1
ここに, xK : 応力拡大係数の平均値(MPam1/2)
xKi : 個々の試験片の応力拡大係数(MPam1/2)
SK : 応力拡大係数の標準偏差(MPam1/2)
n : 試験片の個数

9.4 応力拡大係数-き裂深さのプロット図

  応力拡大係数−き裂深さのプロット図は,縦軸に応力拡大係数K,横軸にき裂深さbをとって描く。応
力拡大係数−き裂深さのプロット図の例を図7に示す。図7中の破線は,応力拡大係数の平均値Kである。
10
9
2
m1/
2
8
1/
MPa
MP m
a
7
K,
6
I
応力拡大係数 K
応力拡大係数
5
4
3
2
1
0
0 50 100 150 200 250 300 350
き裂深さ b,
き裂深さb,μm
図7−応力拡大係数−き裂深さのプロット図

10 報告

10.1 必須項目

  熱疲労試験の結果は,次の各項目について報告する。
a) 規格番号
b) 材料の名称及び種類

――――― [JIS R 1692 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS R 1692:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1692:2012の関連規格と引用規格一覧