JIS R 1704:2007 ファインセラミックス―活性酸素生成能力測定による光触媒材料の水質浄化性能試験方法 | ページ 2

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い。
c) 水洗 試験片を精製水に2時間以上沈積した後,室温で風乾する。
なお,110 ℃を上限として,物理的・化学的な変化を生じさせない範囲で試験片を加熱乾燥させて
もよいが,恒量になることを確認する。この操作の直後に試験を実施しない場合は,デシケーターに
入れて保管する。前処理後の試験片は有機物などからの汚染を防ぐために,直接触れないようポリエ
チレン製の手袋などを着用して取り扱う。

4.4 試験の方法

  試験の方法は,次による。
a) MSO 10 mgを1 000 mLの精製水に溶解し,濃度10 mg/LのDMSO水溶液を1 000 mL調製する。調
製後,直ちに使用しないものは密栓して遮光し,510 ℃の温度で保存する。調製後,1か月以上過
ぎたDMSO水溶液は,使用してはならない。
b) 図1に示す試験容器にせきを2か所設置し,せきの間に試験片を置く。試験片を入れる前に試験片上
面での放射照度が2 mW/cm2になるように,あらかじめ光源と試験片との距離を調節しておく。この
とき紫外線照度が安定していることを確認する。試験片上面からの水面の高さを一定(5 mm)にする
ために試験片の厚さに応じて,せきの高さを調節する。前後のせきの調節では対応できない場合には,
必要に応じて試験片の下に補助板を置く。
球状の試験片の場合には,試験片の取扱い及びせきの調節を容易にするため金網,アルミはく(箔)
などで作製した受け皿に入れる工夫をする。
c) 試験容器の溶液タンクにDMSO水溶液を500 mL入れ,この中から初期濃度測定試料として10 mLを
採取する。採取した試料は測定まで密栓して遮光し,510 ℃の温度で保存する。
d) 流量500 mL/minで,光触媒試験片設置部分へDMSO水溶液を供給及び循環する。この循環処理は5
時間行い,1時間ごとに溶液タンクから濃度測定試料として10 mLを採取する。循環処理は光照射を
行う場合(明条件)と行わない場合(暗条件)との両方で行う。
e) 採取した試料のDMSOとメタンスルホン酸(MSA)1)との濃度を,それぞれJIS K 0114,JIS K 0127
に従って,ガスクロマトグラフ法,イオンクロマトグラフ法によって測定し2),JIS Z 8401によって
少数点以下1けたに丸める。
注1) メタンスルホン酸(MSA)は,DMSOとOHラジカルとの次の酸化分解反応によって生成す
る物質である。
a) (CH3)2SO (DMSO) + ・OH → CH3S(O) OH(MSI) + CH3・
b) CH3S(O) OH (MSI) + ・OH + O2 → CH3S(O)2OH(MSA) + ・OOH
c) (CH3)2SO (DMSO) + ・OOH → CH3S(O)2OH(MSA) + ・CH3
d) CH3S(O)2OH (MSA) + ・OH → H2SO4 + ・CH3
2) 0.1 mg/Lまでの測定精度が確保されれば,ガスクロマトグラフ法及びイオンクロマトグラフ
法以外の方法で測定してもよい。

4.5 試験条件

  試験室の温度を,2025 ℃となるように調整する。

5 試験成立条件

  明条件下においてDMSOの最終濃度が,暗条件下での濃度より小さく,かつ,DMSOの酸化分解に伴
うMSAの生成が確認できるとき,その試験は有効とみなす。

――――― [JIS R 1704 pdf 6] ―――――

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6 計算

6.1 暗条件下における試験片によるジメチルスルホキシド(DMSO)の吸着濃度

  暗条件下において,一定時間ごとに採取された試験溶液(DMSO)をイオンクロマトグラフ法によって
計測する。次に,初期濃度から一定時間ごとに採取された暗条件下でのDMSOの濃度を引いた値を,式(1)
によって算出し,その値を採取した時間ごとに記録する。
Cads=CD0−CD4 (1)
ここに, Cads : 一定時間ごとの試験片に対するDMSOの吸着濃度(mg/L)
CD0 : DMSOの初期濃度(mg/L)
CD4 : 一定時間ごとに採取された暗条件下でのDMSOの濃度(mg/L)

6.2 明条件下における試験片によるDMSOの濃度変化

  明条件下における試験片によって酸化分解されたDMSOは,ガスクロマトグラフ法又はイオンクロマト
グラフ法によって計測し,採取した時間ごとにDMSOの濃度を求める。ただし,暗所下での吸着が認めら
れた場合,式(2)によって算出する。
CD2=CD1−Cads (2)
ここに, CD2 : 吸着濃度を引いた場合の明条件でのDMSOの濃度(mg/L)
CD1 : 一定時間ごとに採取された明条件でのDMSOの濃度(mg/L)

6.3 メタンスルホン酸の生成量

  明条件下における試験片によって分解されたDMSOの減少に伴い生成するメタンスルホン酸(MSA)
をイオンクロマトグラフ法によって計測し,採取した時間ごとにメタンスルホン酸(MSA)の濃度(CMSA)
を求める。

6.4 暗条件及び明条件下でのDMSOの最終濃度の比較

  明条件下においてDMSOの最終濃度が,暗条件下での濃度より小さい[式(3)を満たす]ことを確認す
る。
CD3 ここに, CD3 : 明条件下でのDMSOの最終濃度(mg/L)
CD5 : 暗条件下でのDMSOの最終濃度(mg/L)

7 DMSO半減時間の計算

  次の手順によって,DMSO半減時間を算出する。
グラフにCD2/CD0の対数を縦軸に,紫外線照射時間を横軸にプロットし,0時間から5時間までの6点を
最小二乗法によって原点を通る直線を求め,この近似直線からDMSO濃度が初期の50 %となる時間
(DMSO半減時間)を求める。

8 試験結果の報告

  試験結果の報告は,次による。
a) この規格の規格番号
b) 使用した試薬の製造業者名及び試薬等級の種類
c) ブラックライト蛍光ランプの製造業者名,形式及びランプ数
d) 放射照度計の製造業者名及び形式
e) MSO及びMSAの測定方法,測定装置の製造業者名並びに形式
f) 試験片の前処理方法及び前処理の紫外線照射時間

――――― [JIS R 1704 pdf 7] ―――――

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g) 紫外線光源から試験片上面までの距離
h) 試験室の試験開始から終了時までの温度
i) 試験室の試験開始時,試験終了時の相対湿度
j) 明条件及び暗条件でのDMSO及びMSAの濃度
k) MSO半減時間

9 試験測定例

  試験結果の例を,次に示す。
例1 光触媒試料 : 粒状光触媒
表1−粒状光触媒の試験結果例
単位 mg/L
明条件 暗条件
紫外線照射時間 DMSO濃度 MSA濃度 DMSO濃度 MSA濃度
0時間(初期) 9.6 0 9.6 0
1時間 7.1 2.2 9.5 0
2時間 4.9 4.5 9.5 0
3時間 3.8 6.4 9.5 0
4時間 2.6 8.4 9.5 0
5時間(最終) 2.1 9.2 9.5 0
図2−DMSO半減時間の算出

――――― [JIS R 1704 pdf 8] ―――――

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例2 光触媒試料 : 光触媒フィルタ(三次元セラミックフィルタ)
表2−光触媒フィルタ(三次元セラミックフィルタ)の試験結果例
単位 mg/L
明条件 暗条件
紫外線照射時間 DMSO濃度 MSA濃度 DMSO濃度 MSA濃度
0時間(初期) 9.9 0 9.9 0
1時間 5.5 3.1 9.9 0
2時間 3.2 5.6 9.9 0
3時間 1.6 8.3 9.9 0
4時間 0.6 9.5 9.9 0
5時間(最終) 0.3 9.9 9.9 0
図3−DMSO半減時間の算出

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