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附属書A
(参考)
POE形浄水器の設置及び利用に当たっての留意事項
A.1 POE形浄水器の設置において遵守すべき事項
A.1.1 関連する法令など
POE形浄水器の設置において適合しなければならない法令などの事項には次に示すものがあり,製造業
者又は販売業者は,確認する必要がある。
a) 水道法及び水道法施行規則
b) 家庭用品品質表示法
c) 電気用品安全法(ただし,交流100 V以上の電源を使用する場合だけ)
d) 建築基準法
e) 各自治体の定める条例
f) (設置に対して)水道工事施工に対する各自治体の定める条例(給水装置工事主任技術者を擁する登
録水道工事事業所など)
A.1.2 POE形浄水器の設置に係る監督官庁への届出又は合意書類
POE形浄水器を設置·施工するに当たり,水道法で定める給水栓への0.1 mg/L以上の遊離残留塩素を含
む給水が損なわれ,衛生性の確保が困難となる可能性がある。このため,使用者は,所管する水道事業者
に対して,POE形浄水器の所有に対しての合意書,免責事項書,届出書などを提出する必要がある。
この届出などについて,製造業者又は販売業者が使用者に対して行わなければならないことには,次の
ようなものがある。
a) 当該水道事業者への届出は,本来使用者が行わなければならないが,製造業者又は販売業者は,使用
者が水道に関する責務を含む専門的知識をもっていないことを十分に理解した上で,使用者と水道事
業者との合意事項の説明及び届出作業の製造業者又は販売業者への委任,施工後起こる可能性のある
リスクなどの説明を使用者に対して適切に行わなければならない。
b) POE形浄水器の設置に対しての所管の水道事業者への届出などについては,水道事業者によって要求
する事項がそれぞれ異なることを説明し,水道事業者に対して適切な対応を取れるようにしなければ
ならない。
A.2 POE形浄水器の設置における配慮事項
A.2.1 POE形浄水器の設置に使用する機器
POE形浄水器の設置に使用する機器は,POE形浄水器を使用して各戸又は複数の給水栓へ給水するため
の全体に使用するものを指し,これには,一次側採水栓,故障時又は維持管理時のバイパス装置などを含
む。
POE形浄水器の設置において通常使用する機器の名称を表A.1に示す。
――――― [JIS S 3241 pdf 26] ―――――
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表A.1−POE形浄水器の設置に使用する機器
1 メーターボックス これらは,給水用 6 POE形浄水器
2 止水栓 具として用いられ 7 遊離残留塩素濃度調整機構
3 水道メーター るもの 8 POEバイパス配管及び弁
4 一次側採水栓 9 止水弁
5 POE逆止弁 10 責任分界点
注記 5及び7は,6の一部となる。
POE形浄水器の設置の例を図A.1及び図A.2に示す。
注記1 それぞれの記号は,表A.1と対応している。
注記2 10責任分界点については,所管する水道事業者によって異なる。
図A.1−POE形浄水器の設置の参考例1(屋外)
――――― [JIS S 3241 pdf 27] ―――――
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注記1 それぞれの記号は,表A.1と対応している。
注記2 10責任分界点については,所管する水道事業者によって異なる。
図A.2−POE形浄水器の設置の参考例2(集合住宅のメータースペースなど)
A.2.2 POE形浄水器の設置において実施すべき事項
当該POE形浄水器の製造業者又は販売業者の責任において実施しなけらばならない事項には,次のもの
がある。
a) POE形浄水器の浄水が給水管に逆流することを防止するため,逆流防止性能を担保することが可能な
逆止弁を備えること。
注記 POE形浄水器の一次側に取り付けられた逆止弁は,POE形浄水器に含まれるものとする。
POE形浄水器の設置において使用する配管及び機器に滞留部分が少ないこととする。屋内配管の容
量について配慮し,また,管内が滑らかな材料を使用する。
POEバイパス配管及び弁をもつ場合は,POE形浄水器に使用する配管及び機器に包含するものとす
る。
b) 遊離残留塩素を確保する場合には,遊離残留塩素濃度調整機構によって,遊離残留塩素濃度の調整が
可能な構成であること
また,設置に当たって,製造業者又は販売業者が使用者に対して説明する必要がある事項は,次のとお
りである。
c) 本来,遊離残留塩素を含有して給水栓まで配水される水道水などに対して,水道メーター直下にPOE
形浄水器を設置することによって,遊離残留塩素が除去された状態で屋内配水される可能性があるこ
と
d) これによって,微生物学的な汚染などのリスクが発生する可能性があること。
これらのリスクは,次に示すような使用状況で特に高くなる。
1) POE形浄水器使用開始後,長期間の留守又は不在が続いて水が滞留した場合
――――― [JIS S 3241 pdf 28] ―――――
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2) 使用頻度の少ない水栓において,長期的な水の滞留が生じている場合
3) 夏場の高温時に水が滞留した場合
e) これらをできる限り防止するため,定期的な維持管理が不可欠であり,これを実施すること
f) これら維持管理は,使用者の責任で使用者自身が行うものであること。また,使用者との契約によっ
て製造業者又は販売業者が定期的な維持管理を行う場合でも,使用者自身が行う日常点検も必要であ
るということ。
A.3 POE形浄水器の設置
POE形浄水器の設置には,水道給水管へ直結することとなるため,これに応じた技能をもつ者が行う必
要がある。施工に際しては,次の事項に注意が必要である。
a) 施工は,水道工事施工に対する水道事業者それぞれの定める条例に従うこと。指定給水装置工事事業
者などの工事資格者が施工するか,又はその監督の下で技能をもつ者が行うこと。
b) 施工上の配慮として施工部品などの衛生管理に留意し,配管施工時など,異物の侵入がないようにす
ること
c) 施工完了後,施工箇所に漏水がないよう,確認作業を厳密に行うこと。特に,一次側採水栓の設置は,
水道事業者にとって重要であることを理解し,採水点であることを明示し,かつ,使用者に説明を行
うこと。
d) POE形浄水器の機能として,A.2.2 a) に記載する逆止弁が重要であることを理解し,その機能を確認
し,維持管理しやすい設置工事とすること
e) POE形浄水器の機能として,A.2.2 b) に記載する遊離残留塩素濃度調整機構が重要であることを理解
し,適切に機能していることを確認すること
f) POE形浄水器の設置には,POE形浄水器の設置に使用する配管及び機器全体の圧力損失を理解し,既
設の屋内の配水に対する影響を十分に把握すること。
特に,低水圧地帯では,POE形浄水器の設置によって,屋内管末での動水圧が確保できなくなる可
能性があるため,この場合,当該部分の配管に取り付ける給水用具に影響を及ぼすことがある可能性
を使用者に説明すること。
A.4 維持管理
A.4.1 維持管理の種類及び実施
定期的に実施しなければならない維持管理については,次の事項が必要である。
a) 定期交換部品(消耗備品)の交換
b) 所轄官庁などへの届出事項(制約事項など)の厳守
c) POE形浄水器として水道水中の遊離残留塩素を確保する構造をとる場合は,遊離残留塩素濃度を測定
し,遊離残留塩素濃度調整機構が機能していることの確認
d) 長期的使用に際しては,屋内配管に対しての清掃などを含む措置
e) POE逆止弁の定期的かつ適切な維持管理
注記 POE逆止弁の維持管理方法としては,公益社団法人日本水道協会が発行する“給水用具の維
持管理指針2019”がある。
――――― [JIS S 3241 pdf 29] ―――――
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A.4.2 水道水の衛生性維持
水道法施行規則第17条では,水道事業者に対して,給水栓において0.1 mg/L以上の遊離残留塩素の確
保を要求している。しかし,各戸の水道メーター近傍での遊離残留塩素の完全除去によって,水道法施行
規則が求めている衛生上必要な措置及び第3項に定める給水栓における遊離残留塩素の保持ができないこ
ととなる。
一方,自治体の定める条例及び実態を調査すると,POE形浄水器においては,POE形浄水器及びPOE形
浄水器の設置に使用する配管及び機器の全てが使用者の所有であるため,使用者の責任によってPOE形浄
水器の設置が行われ,また,管理されている事例がある。
この場合,水道法で定める給水栓への0.1 mg/L以上の遊離残留塩素を含む給水が損なわれ,衛生性の確
保が困難となるため,給水に対する責任の所在を明確にする必要が水道事業者に生じる。
このため,使用者には,屋内の給水管に対して自己責任の下での管理が求められる。使用者は,POE形
浄水器の設置に際して,所轄の監督官庁(都道府県又は市町村の水道関係部局など)への所定の届出を行
う場合を含めた自主管理宣言が求められる。ただし,条例は自治体による自主法であるため,遊離残留塩
素濃度が0.1 mg/L未満の水道水の給水栓への給水を禁じる見解をもつ自治体もある。適法性を考慮した場
合,国法である水道法に適合するPOE形浄水器の設置方法の構築が前提である。
A.4.3 定期維持管理の重要性の認識及び使用者への説明
一般的にPOE形浄水器は,本来水道がもっている微生物学的な安全性を阻害するおそれがあると考えら
れることが多い。製造業者又は販売業者は,POE形浄水器に対して実施する維持管理が微生物学的な安全
性を担保するために行われるものであることを十分に理解し,これを使用者に説明し,理解を求める必要
がある。使用者に説明する必要のある事項は,次のとおりとする。
なお,本件については製造業者又は販売業者から説明し,使用者が説明を受けて理解した旨の記録とし
て,製造業者又は販売業者は,使用者から“所定の説明を聞き,承知した”旨の記録に年月日を記載し,
署名された書面を残すことで双方の責任及び義務を明確にする必要がある。
POE形浄水器における維持管理について,使用者へ次の事項の説明が必要である。
a) 維持管理の実施が重要で必要なものであること
b) POE形浄水器の維持管理が水道法に規定される軽微な変更には該当しないこと
注記 製造業者又は販売業者を含む指定給水装置工事事業者などの工事資格をもつ専門の事業者へ委託
されることが望ましいことを説明し,理解してもらう必要がある。
c) 浄水吐出口からの細菌侵入による逆汚染の対策を含む,POE形浄水器及び設置に使用する配管及び機
器全体に関する衛生性について,使用者が定期的に行わなければならない維持管理があること
d) 維持管理の重要性及びその方法が取扱説明書などに明記されていること
e) 維持管理に関わる記録を適切かつ確実に保管すること
また,POE形浄水器においては,細菌類の繁殖などリスクがあることから,安全な水質を確保するため
に,次に示すようなことが重要となる。これらは,使用者が安心してPOE形浄水器を使用するために必要
なことである。
f) 使用者に丁寧にリスクを説明すること
g) 使用者に安全な管理方法及び運用方法を提示すること
――――― [JIS S 3241 pdf 30] ―――――
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JIS S 3241:2022の国際規格 ICS 分類一覧
JIS S 3241:2022の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7505-1:2017
- アネロイド型圧力計―第1部:ブルドン管圧力計
- JISS3201:2019
- 家庭用浄水器試験方法