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T 0601-1-2 : 2018 (IEC 60601-1-2 : 2014)
ィ試験レベルは,病院内のこれらの場所に対しては,適切な試験レベルであるとは限らない(この
後の,特殊環境を参照)。
専門の医療施設環境に含まれるほとんどの環境及び場所では,固定した電磁波発生源に関連する
電磁環境は,管理されているとみなしている。患者に有効な医療行為を提供する医療専門家の多く
が,移動通信機器をよく使うようになってきている。このような状況によって,電磁妨害に近接し
た環境を管理することが,一層難しくなってきている。
病院環境内で,ME機器及びMEシステムの近くで使われる可能性がある電磁源の例として,次
が挙げられる。
− 電気手術器
− 非接触形無線通信識別システム(RFIDシステム)
− 無線ローカルエリアネットワーク(無線LAN)
− 携帯電話
− 手持形移動無線機器[地上基盤無線(TETRA),双方向無線通信機器]
− 無線呼出用送受信装置(ページングシステム)
病院(及び大規模診療所)内で使うME機器及びMEシステムは,商用電源系に接続しないこと
を前提としている。
被けん引車(例えば,検診車)内に設置して使う,永久設置形大形ME機器及び大形MEシステ
ムは,意図する使用に従って,分類することが望ましい。例えば,病院内の電源に接続することを
意図している場合は,専門の医療施設環境に分類することが望ましい。放射妨害については,シー
ルドした場所だけで使うことを意図するME機器及びMEシステムに対する要求事項を適用するこ
とが,適切な場合もあるが,これは,シールドの有効性及びフィルタの減衰量による。
− 在宅医療環境
在宅医療環境内に含める場所には,非常に多様な電磁環境があり,その振幅及び発生確率は,専
門の医療施設環境よりも制御されておらず,かつ,特徴付けられてもいない。移動中を除くと,ME
機器及びMEシステムは,通常,商用電源系に接続して使う。これらが,基礎安全及び基本性能に
対して更に高いイミュニティ試験レベルとすることを正当化する根拠となっている。
これらの環境において,ME機器及びMEシステムの近くで使う可能性があるか,又はME機器
若しくはMEシステムを,非常に強い電磁妨害にさらす可能性がある電磁波源の例として,次があ
る。
− 小形の電源周波数変圧器(50 Hz及び60 Hz)で,例えば,ベッド脇の机の上にある時計付きラジ
オ
− 電源妨害
− 携帯電話(複数の場合もある。)
− 固定したラジオ放送局
− テレビ送信機器
− 136 kHzマイクロ波で動作するアマチュア無線機器
− 移動形無線送信機(例えば,タクシー及び警察用)
在宅医療環境には,移動手段及び徒歩で接近できる場所,電子盗難防止機器及び金属検知器が使
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われている商店及び図書館,車,遊歩道(徒歩),自転車,オートバイ,電車,航空機及び船も含め
る。在宅医療環境に対して規定したイミュニティ試験レベルは,ヘリコプタ,宇宙船又は潜水艦に
対しては,適切ではない可能性もある。移動手段で使うことを意図している機器の場合は,車の中
に永久的に設置することを意図している場合もある一方で,それを意図していない場合もある。ME
機器又はMEシステムを,車載用直流電源に接続することを意図している場合は,該当する車載用
機器に対するEMC規格を適用することが望ましい。
− 特殊環境
“特殊”という用語は,例えば,JIS C 61000-4基本EMCイミュニティ規格群では,標準的な試
験レベルを超えるか,又はそれ以外の試験レベルに対して使っている。この理由によって,“特殊”
という用語を,図3に示した環境に対して使うことは,適切である。これは,図3の中で示した環
境が,異常であるといっているわけではなく,電磁環境が,専門の医療施設環境及び在宅医療環境
の電磁環境とは大きく異なり,その特性を適切に特徴付けることが,困難であるということをいっ
ているだけである。特殊環境を適用することによって,附属書Eに示したとおりに,例えば,特別
な緩和条件によって,専門の医療施設環境及び在宅医療環境に含まれる場所を正当化することもで
きる。
動作中の電気手術器の近くの場所は,特殊環境の一例である。そのエミッションは,広帯域にわ
たっており,合意されたイミュニティ試験レベル及び試験方法は,まだ規定されていないためであ
る。同様に,合意されたイミュニティ試験レベル及び試験方法は,磁気共鳴画像診断(MRI)ME
システム用のRFシールドした部屋に対しても,まだ規定されていない。
特殊な医療環境を特徴付け,かつ,要求事項を規定しているが,その意図は,これらの要求事項
を,この副通則に加えることである。その一方で,製造業者は,特殊環境中での意図した使用の場
所に対するイミュニティ試験レベルを決定するために,附属書Eを使うことが望ましい。
c) イミュニティ試験レベルの決定
この副通則で規定したイミュニティ試験レベルは,IECの技術専門委員会であるTC 77の作業に基づい
て決定している。それぞれの電磁現象の特性は,技術報告書であるIEC/TR 61000-2-5:2011に記載してい
る。
表4表9は,全ての電磁現象に対するイミュニティ試験レベルを規定していない。これは,電磁現象
が存在しないということを示唆しているわけではなく,むしろ,実際には考慮することが望ましい電磁現
象を決定する必要があるということを示唆している。ここで挙げた電磁現象は,リスクに従って選択して
おり,かつ,規定した環境の中で,最も起こりそうな現象を示した。リスクマネジメントプロセスを通じ
て,ME機器又はMEシステムが,IEC/TR 61000-2-5に示した電磁現象又は他の予見可能な電磁妨害の結
果として,受容できないリスクを生じさせる可能性があるかどうか,又はME機器若しくはMEシステム
の意図する使用に基づいて,より高いレベルのイミュニティが必要であるかどうかを決定するために,こ
の副通則の使用者が,全ての電磁現象を考慮することが望ましい。
注記1 基礎安全及び基本性能に対するイミュニティ試験レベルは,それぞれの環境での合理的に予
見可能な最高電磁妨害レベルに基づいて選択している。予見可能な最高レベルは,ME機器
又はMEシステムの基本性能及び基礎安全を,意図する使用環境において維持することを保
証することを期待している。
特定の環境の数を減らすために協議した結果,この副通則は使用者にとってより容易なものとなった。
例えば,診療所及び病院を,まとめて一つの環境に分類した。さらに,いろいろな移動手段を在宅医療環
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境に一まとめにして分類した。それぞれの環境に対して規定したイミュニティ試験レベルは,調整による
ものであり,リスクマネジメントプロセスではその点を考慮することが望ましい。
注記2 在宅医療環境では,専門の医療施設環境よりも,特定の電磁波源に対して,近距離で使用す
る場合を想定する必要があり,そのために,より高いイミュニティ試験レベルを必要とする。
例えば,携帯電話及びアマチュア無線機の携帯形RF通信機器が含まれる。
注記3 移動環境には,通常は専門の医療施設環境又は在宅医療環境では見られないような,高出力
の携帯無線機器もある。このような理由によって,合理的に予見可能な最高電磁妨害レベル
を,より高く設定することが期待されている。
注記4 この副通則の箇条8で規定したイミュニティ試験レベルは,制御された環境を前提としてお
り,箇条8で規定したイミュニティ試験レベルが,リスクを受容可能なレベルに低減させる
ために有効であることを保証するために,放射電磁波源とME機器又はMEシステムとの間
には,最小分離距離が必要であるということを意味している。
表4† 外装ポート
静電気放電
所定の環境に対する適切な静電気放電(ESD)イミュニティ試験レベルは,JIS C 61000-4-2の図A.1(こ
の副通則の図A.2)を使って推定できる。一部の病院の一部の場所では,相対湿度を制御し,かつ,静電
気防止(又は低静電性)用の床及び材料を使っている一方で,そのような対応をしていない場合もある。
在宅医療環境では,これらのパラメータを制御していないと推定できる。相対湿度が,5 %程度まで下が
るような場所があることは,よく知られている。図A.2にあるとおり,相対湿度が約5 %となり,かつ,
合成繊維がある場合では,15 kV程度に達する静電荷が蓄積される場合がある。つまり,表4で規定した
イミュニティ試験レベルは,合理的に予見可能な最高レベルに基づいているということを示している。
しかし,イミュニティ試験レベルが,合理的に予見可能な最高レベルの電磁妨害に基づいているといっ
ても(それでも),15 kVの気中放電イミュニティ試験を実施したME機器が,使用中に故障して,患者に
対するリスクが増大したこともあった。二つの事例研究において,15 kVで試験したME機器が市場で故
障して,患者に対するリスクが増大したこともあった。一つ目の事例では,身体装着形の携行形インシュ
リン注入ポンプの例である。15 kVの気中放電試験に合格していたポンプが,使用中に,警告を発するこ
ともなく停止した。このポンプを使っていた糖尿病患者は,被害にあった。静電気放電による市場での更
なる故障を防止するために,ポンプの耐性レベルを,30 kVの気中放電レベルに合格する程度に変更した。
他にも,体外除細動器の再充電可能なバッテリ内部にある残量計測素子が,15 kVでの試験に合格してい
たにもかかわらずに,短絡したという事例がある。これは,患者が,ME機器と充電器との間に,バッテ
リを移動させているときに生じた。短絡回路によって,バッテリは完全に放電されて,再充電できなくな
った。これは,潜在的に患者を保護していない状態を引き起こしている。
このように,専門の医療施設環境及び在宅医療環境に対して,この副通則で規定した15 kVのESD気中
放電というイミュニティ試験レベルは,JIS T 0601-1-2:2012で規定したESD気中放電イミュニティ試験レ
ベルよりも高いが,その一方で,製造業者は,意図する使用環境に対して,15 kVの試験レベルが,適切
であるかどうかを決定することが望ましい。
表5† 交流入力電源ポート
伝導妨害
次に示す例は,アマチュア無線及びISM帯域の6 Vrmsというイミュニティ試験レベルに対する根拠を
与えている。
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これは,アマチュア無線送信機によって,ME機器又はMEシステムのケーブルに誘導された妨害の例
である。電磁界の強さは,8.10で規定した公式によって計算できる。伝導RF電圧が,10 V/mの電磁界の
強さによって誘導され,かつ,送信機のRF出力電力を1 500 Wとすることを前提としている。計算によ
って,これが,23 mの距離にあるアマチュア無線送信機によって誘導されていることを示している。さら
に,計算は,150 kHz80 MHzの周波数範囲で,10 V/mの電磁界の強さによってケーブルに誘導される電
圧が,6 Vrmsを超えそうにないことを示している。しかし,一旦変調を適用すれば,試験対象のケーブル
に誘導されるピーク電圧は,10 Vよりも高くなる可能性がある。
同様に,ISM周波数で100 Wで動作する超短波療法機器は,約6 mの距離にあるME機器又はMEシス
テムのケーブルに,約10 Vrmsもの電圧を誘導させる可能性がある。専門の医療施設環境での使用を意図
した超短波療法機器に加えて,その他の超短波療法機器で,在宅医療環境での使用を指示している場合は,
このようにME機器又はMEシステムを,その妨害がケーブルに結合したときに,約6 Vrmsの誘導電圧
を引き起こす可能性がある電磁妨害にさらす可能性があるので,このイミュニティ試験レベルを適用でき
る。
ここに挙げた内容は,例であるが,6 Vrmsの試験レベルは,在宅医療環境でのアマチュア無線帯域及び
在宅医療環境並びに専門の医療施設環境でのISM帯域に対して,適用できることを示している。
図A.2−JIS C 61000-4-2の図A.1(A.2で記載する材料に操作者が接触するときに
帯電する静電気電圧の最大値)
電圧ディップ
この副通則の前の版で規定していた,ディップ量40 %の試験レベルは,JIS C 61000-4-11でも削除され
たので,これに合わせて削除した。
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表7† 患者結合ポート
患者結合ポートの例としては,ECGケーブル,EEGケーブル,パルスオキシメータ用の患者ケーブル及
び輸液ポンプの生理食塩液ラインがある。
表7で規定したESDイミュニティ試験は,操作者が,患者結合ケーブルを操作した後,例えば,電極へ
の接続及び患者への接続の後で,基礎安全及び基本性能を検証することを意図している。この理由によっ
て,擬似手への接続及び患者シミュレータへの接続をすることなく,試験を実行する。
伝送線の遠位端で,源信号電圧を生じさせるために,伝送線の一方だけを,終端させる必要がある。ME
機器又はMEシステムに適用する,510 Ωと220 pFとの直列回路と,通常はそれに接続されるアルミニウ
ムはく(箔)とからなる擬似手は,試験範囲にわたって,相対的に高いインピーダンスを示している。し
かし,患者ケーブルが,150 Ω伝送線のように見えるということが,非常に重要である。これは,30 MHz
を超えると無視できなくなる。患者ケーブルを束ねることは,避けることが望ましい。結束は,30 MHz
を超える周波数で,150 Ω伝送線インピーダンスを維持することを,困難にさせる可能性がある。規定し
た試験に対して,擬似手の使用は,実際の使用の電磁条件を模擬するために役立っている。
F形装着部(対応国際規格では,Type-F PATIENT circuit)を,JIS C 61000-4-6の電流注入法で試験する
場合は,150 Ωインピーダンスで正確に終端されていない。しかし,製品を意図したとおりに使用すると
きに,ケーブルは終端されておらず,かつ,共振現象が生じている可能性もある。これが問題となる場合
は,そのような影響を受けないように,ケーブル及び回路を設計することが望ましい。ケーブルの長さが,
1/4波長に達する場合は,ケーブルの両端に注入させるために,クランプを移動させる必要がある。まれ
ではあるが,ケーブルの長さが,1/2波長となるような場合,ケーブルの両端及び中央で注入することが
望ましい。
8.10† RF無線通信機器からの近接電磁界に対するイミュニティ
JIS T 0601-1-2:2012及びIEC 60601-1-2:2007が開発されて以来,新しいデジタル無線技術が,病院だけ
ではなく,広い範囲で応用されるようになってきた。さらに,既存の技術は,以前に使われていた方法と
は別の方法で使われるようになってきている。
RF無線技術の例と,医療現場並びにME機器及びMEシステムが使用される様々な場所でその技術が
具体的に利用されている例とを,次に示す。
− TETRA,LTE
− 病院内の無線LAN機器。これには,回診中の患者データ及び画像へのアクセス,アラーム信号の発
生,並びに患者の看護及び投薬の指示に使用する携帯電話及び携帯情報端末(PDA)も含める。
− 医療専門家が,早急に連絡するときに必要な携帯電話の使用
− ME機器及びMEシステムが利用している無線通信
− 病院内でのRFIDタグ及びリーダライタの設置及び利用。これらの機器をME機器及びMEシステム
に組み込んでいる場合,及び手術後に患者に残存したスポンジを検出するためのシステムに組み込ん
でいる場合も含める。
− RFID技術及び磁気検出技術に基づく,電子商品監視システム(EAS)
− ME機器及びMEシステムの制御用(例えば,フットスイッチ)及び音声などのデータ転送を目的と
した無線技術(例えば,Bluetooth)の利用
− 病院内のME機器及びMEシステムの位置を追跡することを目的としたRFID技術の利用
− 機器間相互通信(M2M,Machine to machine)の利用
さらに,医療従事者は,例えば,無線機器を医療機器の近くで使う場合に,IEC 60601-1-2:2007への適
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- IEC 60601-1-2:2014(IDT)
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- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.20 : イミュニティ
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.10 : エミッション
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