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T 11737-1 : 2013 (ISO 11737-1 : 2006)
B.3.2 寒天重層法
B.3.2.1 寒天重層法は,製品の表面を溶融寒天培地(温度は約45 ℃)でコーティングし,固まらせ,そ
の後培養し,コロニを生成させる。この方法は,バイオバーデンが低く,かつ,製品の形状が適している
場合にだけ適用することができる。
B.3.2.2 表面上での微生物の自然凝集,寒天界面でのコロニの広がり,寒天の乾燥,嫌気性の場所が存在
する可能性などが,潜在的短所として挙げられる。
B.3.3 MPN法(最確数法)
B.3.3.1 MPN法は,微生物がランダムに分布している製品の生育可能な微生物数を推定するための,十
分に確立された,かつ,完全に文書化された方法である。主要な用途は,食品業界及び水道業界であり,
これらの業界では,この方法を液体,粉末及び半固体の製品又は原料に使用している。この方法は,低い
平均バイオバーデン数をもつ製品に特に適している。
B.3.3.2 この方法は,生育可能な微生物を,容量当たり又は質量当たり同数含む複数のサンプルを製品か
ら採取し,これを液体培地で培養し,陽性数を調べて菌数を推定する方法である。十分な量の試験液が利
用できる場合は,接種した培地のいずれかの希釈段階が陽性にならなくなるまで希釈し,ニュートリエン
ト培地などに接種することもできる。1組の希釈段階で陽性が発生する頻度から,サンプル中又はサンプ
ルを採取した製品中に存在する生育可能な微生物の数を推定する。推定値についての95 %信頼限界は,比
較的広い。推定値及びその信頼限界は,出版されているMPN表(DeMan[20])から得ることができる。こ
の表は,サンプル中に存在する生育可能な微生物の数がポアソン分布に従って分布しているという仮定に
基づいて作成されたものである。
MPN法を適用するための重要な要求事項は,調査対象の製品全体における微生物数がランダムに分布し
ていることである。したがって,MPN法は,液体医療機器,高粘性流体,粉末又は製品からの回収液につ
いてバイオバーデンの測定をする場合に有益となる。しかし,固体の医療機器の微生物数についてバイオ
バーデンの測定をする場合は,この方法を一般的に適用できるかどうかを決めるのは難しい。低い平均バ
イオバーデンをもつ機器では,微生物数の分布は,通常,ランダムではない。このような場合,大部分の
サンプルは,検出可能な微生物をもたず,少数の製品に大量の微生物が存在する“スパイク”として微生
物が検出され,これが平均バイオバーデンに大きく寄与している。MPN法では,微生物数にかかわらず,
スパイクは陽性1として記録され,したがって,求められた平均値は形式的なものであり,このため,バ
イオバーデンを過小に評価するという望ましくない結果が生じる可能性がある。
B.3.3.3 MPN法は,実行が簡単であり,統計的な意味では,正確な測定というよりは,総括的な評価に
向いている。
B.3.3.4 殺菌物質又は静菌物質がある場合は,B.8で示す事項を考慮する。
B.4 培地への輸送
B.4.1 一般
B.4.1.1 処理をすると,通常,微生物の懸濁液が生じる。懸濁液中の菌数測定は,次に記載する方法の一
つを用いて行うことができる。
B.4.1.2 培地への輸送に先立って,過小評価を避けるために微生物の集合体を分散させるための追加的処
理が必要になることがある。場合によっては,試料から微生物を取り出すための処理によって,このよう
な集合体が分散されることがある。
B.4.1.3 殺菌物質又は静菌物質が存在する場合は,これらが培養方法の選択に影響を与えることがある。
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回収液中に殺菌物質又は静菌物質が存在する場合は,希釈,ろ過による取出し又は化学的な不活化によっ
て,これらを無効な濃度まで低減できる場合がある。
B.4.2 膜ろ過法
B.4.2.1 回収液をろ過した後,適切な培地上でフィルタを培養し,コロニを形成させることで,効果的に
菌数測定できる。通常,微生物を捕集するには,孔径が0.45 μm以下のフィルタが適切である。
B.4.2.2 ろ過には通常,吸引又は加圧が必要になる。メンブレンフィルタの変形又は損傷を招くことがあ
るので,背圧を過大にしないように注意する。
B.4.2.3 繊維製品の残さ(渣)のような,微粒子を含む回収液を膜ろ過する場合は,微粒子が目詰まりを
起こし,ろ過が困難なことがある。
B.4.2.4 培養については,メンブレンフィルタを寒天の表面上又は液体培地を含ませた吸収パッドの上に
置いてもよい。メンブレンフィルタ上に生成したコロニを計数することができ,また,微生物学的特性付
けのために分離できる。
B.4.2.5 膜ろ過法は,微生物濃度が低い懸濁液の場合は,特に有用である。
B.4.2.6 膜ろ過法は,微生物を回収液から分離し,メンブレンフィルタ上で洗浄した後培養するため,回
収液中の物質が殺菌物質又は静菌物質を含んでいる疑いがある場合に有用である。一部の膜は,微生物の
生育を阻害するような物質を吸収又は放出することがあるので,菌数測定に適したメンブレンフィルタを
使用することが重要である。メンブレンフィルタは,回収液に耐性をもつものがよい。
B.4.3 混釈培養法
B.4.3.1 混釈培養法では,分取した懸濁液を約45 ℃の温度で溶融寒天培地と混和する。次に,混合物を
プレート内で固まらせ,これを培養し,その結果得られるコロニを計数する。
B.4.3.2 混釈培養法では,回収液から微生物を分離しない。殺菌物質又は静菌物質が存在する場合は,B.8
に示した事項を考慮する。
B.4.3.3 混釈培養できる回収液の量は限られており,したがって,この方法は,微生物濃度が低い懸濁液
では必要とする感度が得られないことがある。
B.4.4 平板塗沫培養法
B.4.4.1 平板塗沫培養法は,分取した懸濁液を塗沫用具で固体培地の表面に塗沫する。
B.4.4.2 培地の表面に塗沫した懸濁液は,不連続なコロニが形成できるように吸収させなければならな
い。吸収量によって,1枚のプレートで処理できる分取の量が決まる。
B.4.4.3 殺菌物質又は静菌物質が存在する場合は,B.8に示した事項を考慮する。
B.4.4.4 塗沫培養できる回収液の量は限られているため,この方法は,微生物濃度が低い懸濁液では必要
とする感度が得られないことがある。
B.4.5 らせん状培養法
B.4.5.1 らせん状培養法は,自動装置を使用する。この装置は,分取懸濁液を固体培地の表面に滴下させ
る。懸濁液は,培地中心から周辺に向かってらせんを描きながら,速度を落としつつ広がっていく。適切
な培養後,プレート全体又は一部のコロニ数から懸濁液中の生育可能な微生物数を求める。
B.4.5.2 らせん状培養法は,従来の連続希釈及び表面拡散法を使用した場合の結果と非常によい相関関係
をもち,再現可能な結果をもたらすことが示されている。装置の構造及び毛細管の使用並びに小さな容積
のため,らせん状培養法は,十分にかくはんされ,毛細管を詰まらせるような塊がなく,また,高濃度の
微生物を含む懸濁液の培養に主として利用される。
B.4.5.3 殺菌物質又は静菌物質が存在する場合は,B.8に示した事項を考慮する。
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B.5 培養(培地及び培養条件)
B.5.1 培地及び培養条件の例を,表A.1に示す。
B.5.2 非選択的嫌気性培地は,通性嫌気性微生物が生育することもあるので注意する。
B.6 菌数測定
B.6.1 コロニ計数による菌数測定では,次のような状況のための手順を確立しておく。
a) 小コロニの検出(例えば,立体顕微鏡を使用)
b) 異常なコロニの計数及び記録(例えば,広がったコロニ)
c) 密集コロニの計測及び記録(例えば,多すぎて計数不能)
d) 連続希釈からの計数の記録
B.6.2 コロニ計数による菌数測定では,1枚の平板で生成するコロニ数を考慮する。このコロニ数は,生
育可能な各微生物が,隣接する微生物の悪影響を受けることなく,独立したコロニとして成長できるよう
なものがよい。
B.6.3 標準的なプレート計数法では,通常,1枚の平板におけるコロニ数に下限を設ける。この下限は,
バイオバーデンが低い医療機器におけるバイオバーデン測定に必ずしも適用する必要はない。
B.6.4 測定者間での変動を評価するのがよい。測定者間での変動は,10 %にもなることもある。
B.6.5 繊維が存在すると,独立したコロニの形成を妨げ,それによって菌数測定が難しくなることがある。
B.6.6 自動式の菌数測定では,システムのバリデーションを,JIS Q 17025によって実施するのがよい。
B.7 その他の微生物検出技術
コロニ計数以外の技術をバイオバーデン測定のために採用してもよい。こうした技術には,代謝活性の
測定(例えば,インピーダンス法又は蛍光法)を含む。このような方法は,生育可能な微生物数と相関関
係にあり,コロニ計数を基準として校正する必要があるので“間接法”と呼ばれる。これらの代替技術は,
低レベルの微生物を検出するのに十分な感度をもつのが望ましい。通常,検出数の下限は,100 CFU以上
である。
B.8 バイオバーデン測定に影響を与える物質に関わるスクリーニング
B.8.1 スクリーニングは,製品から懸濁液中に出る物質が,弱い微生物の生育可能性に及ぼす影響を調査
するために行う。これは,その方法が6.1.2.3に適合するか評価するときに使用できるアプローチである。
B.8.2 滅菌済み製品に予定している微生物取出しの方法を適用する。回収液を取出し法に使用する場合
は,B.8.3の手順に従うが,製品を直接培地に導入する場合には,B.8.4がより適している。
B.8.3 回収液は,製品から取り出した微生物の生育を促進することも阻害することも望ましくない。回収
液の影響を求めるために,既知の少数の微生物を製品に植え付け,日常のバイオバーデン測定に予定して
いる時間,この製品を回収液中に放置する。この処理の後,回収した微生物を計数する。使用できる微生
物は,薬局方に記載されている。結果の評価については,B.8.5を参照する。使用する微生物数は,約100
CFUとするのがよい。
B.8.4 製品を回収培地に直接導入する場合(例えば,MPN法の場合は,B.3.3参照。),日本薬局方で定め
ている静菌試験を利用することができる。この試験では,製品を少数の微生物とともに培地に導入し,日
常のバイオバーデン測定で予定しているものと同じ条件で培養する。使用する微生物の数は,約100 CFU
とするのがよい。結果の評価については,B.8.5を参照する。所定の培養期間後,目に見える生育があるか
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を調べる。
医療機器が,培地中にゆっくりと放出される静菌物質を含んでいる場合は,培養期間の終了時に,少数
の微生物をもつ製品−培地の組合せを試してみるのもよい。
B.8.5 植え付けた微生物数及び回収数が明らかに異なっている場合,又は静菌試験で微生物の成長が見ら
れない場合には,バイオバーデン測定のための方法を再検討する。阻害物質の低減,不活性化又は除去の
ために,希釈,中和又はろ過を導入する必要な場合がある。
B.9 物理的な力の悪影響に関してのスクリーニング
物理的な力を用いて,製品から微生物を取り出すことができる(B.2.2参照)。これらの力が,バイオバ
ーデン測定に与える影響を評価する。既知の少数の微生物(約100 CFU)を,使用する物理的な力にさら
すとよい。菌数測定によって,物理的な力の影響について程度が分かる。また,製品から取り出した微生
物の生育に対して回収液が与える潜在的影響を考慮する。
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附属書C
(参考)
バイオバーデン測定方法のバリデーション
C.1 反復回収を用いたバリデーション
注記 この方法は,バリデーションプロセスにおいて,自然な製品上のバイオバーデンを使用する。
“徹底的な回収”と呼ぶこともある。
C.1.1 バリデーションを開始する前に,微生物の取出し方法を定め,文書化しておく。
C.1.2 回収率の測定対象となる,複数の製品又はその部品を選択する。各製品について,バイオバーデン
を測定するために通常使用する方法を適用する。
C.1.3 バイオバーデンの測定後,同一試料に再度この操作を行い,更に微生物が取り出せるかどうかを調
査する。この操作を,更に反復してもよい。
適切な反復回数は,製品の性質及びバイオバーデンを構成する微生物及び初期汚染レベルを含む幾つか
の要因によって決まる。反復回数を確定するために予備実験を行うことがある。
C.1.4 製品によっては,処理を繰り返した後でも生育可能な微生物が製品上に残っているかどうかを確定
するのがよい場合がある。これは,次のいずれかの方法によって達成できる。
a) 製品の表面を融解した培地でコーティングし,培地を固まらせてから,製品をあらかじめ定めた条件
で培養する。培養後,形成されたコロニを計数する。
b) 製品を液体培地に浸せき(漬)し,あらかじめ定めた培養条件を適用し,成長の有無を調べる。液体
培地に浸せきし,培養した後に,製品の一部で生育可能な微生物の存在が明らかとなった場合は,そ
の結果を利用してMPN法による算出を行うことができる。ただし,全ての結果が生育を示している
場合には,MPN法を適用することができず,バリデーションの方法を再検討する。
C.1.5 1回目の取出しで計数したコロニ数を,繰返しで得られたコロニ総数に対する割合として表す。コ
ロニ総数に占める割合を試験した各試料について計算し,これを使用して回収率を求める。C.2に作業例
を示す。
C.1.6 この方法は,バイオバーデン測定は,回収した微生物の累積数が大きく増加しなくなるまで反復す
るのが本来望ましいということに基づいている。繰返しごとに,回収液を製品又は製品部分から全量を回
収し,菌数測定をする。連続して回収したものから,累積した結果を比較する。ただし,この方法が必ず
しも正確ではないことに注意する。回収した微生物数と実際に製品上にある数との正確な関係は,常に立
証できるものではない。
C.2 補正係数の計算例
C.2.1 この例では,表C.1に反復処理によるバリデーションのためのデータを示す。これらのデータは,
五つの医療機器についてのものである。
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JIS T 11737-1:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11737-1:2006(IDT)
JIS T 11737-1:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 07 : 自然科学及び応用科学 > 07.100 : 微生物学 > 07.100.10 : 医微生物学
JIS T 11737-1:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ10012:2011
- 計測マネジメントシステム―測定プロセス及び測定機器に関する要求事項