この規格ページの目次
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T 3249 : 2022
3.11
近位端(proximal end, access end)
留置針の医療機器と接続する側の端又は操作する術者側の端
3.12
カテーテルハブ(hub)
カテーテルと一体性をもつコネクタ又はカテーテルの近位端と確実に接続するコネクタ
注釈1 ロックタイプであり,翼付針のコネクタも含む。
3.13
有効長,l
体内に挿入できるカテーテルの長さ又は針管の長さ(図1及び図2参照)
3.14
外径,d
血管内に挿入できるカテーテルの最大径又は針管の最大径(図1及び図2参照)
3.15
接合部(junction)
臨床使用中の張力又は圧縮力に耐える構造をもつ,1本以上のチューブを連結させている接合部分
3.16
精製水
日本薬局方の医薬品各条に規定する“精製水”又はこれと同等以上の水
3.17
エンドトキシン試験用水
日本薬局方の医薬品各条に規定する“注射用水”又は精製水で,エンドトキシン試験に用いるライセー
ト(LAL)試薬の検出限界で反応を示さないもの
3.18
一次包装(primary packaging)
医療機器に直接接触している包装,及び/又は製品の無菌性を維持している包装
3.19
二次包装(secondary packaging)
一次包装品を1個以上入れるように設計された包装
――――― [JIS T 3249 pdf 6] ―――――
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T 3249 : 2022
記号説明
a : 0 l : 有効長 4 : 内針針基
d : 外径 5 : 止血栓
1 : カテーテル 6 : 刃面のヒール部
2 : カテーテルハブ
注記 図1に示す以外に,翼付き,カテーテルハブに付随した注入口のあるもの,通液部と接する取付具が付いてい
るもの,カテーテル先端に側孔が付くもの,カテーテルハブにクランプするためのチューブが付いているも
の,カテーテルハブに導液チューブの付いているもの,内針に内くうがないもの,カテーテルハブに逆流防止
弁が接続されているもの,止血栓の代わりに注射筒が付くもの,針刺し事故防止装置が付いているものなどが
ある。カテーテルは,単管のものと多くう管のものとがある。
図1−血液透析用とう管針カテーテルの構成及び各部の名称の例
記号説明
l : 有効長 3 : チューブ
d : 外径 4 : クランプ
1 : 針管 5 : コネクタ
2 : 針基 6 : 止血栓
注記 図2に示す以外に針管先端に側孔が付くもの,チューブが二股に分かれているもの,針刺し事故防止装置が付
いているものなどがある。
図2−血液透析用翼付針の構成及び各部の名称の例
――――― [JIS T 3249 pdf 7] ―――――
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T 3249 : 2022
4 要求事項
4.1 一般的要求事項
留置針はバリデーションされた方法で滅菌し,滅菌された状態において4.24.15に適合しなければな
らない。厚生労働省が定めた滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の基準に基づき,無菌性の担保
を行う。
4.2 化学的要求事項
4.2.1 一般
4.2.24.2.4によって試験したときこれに適合するか,又はこれと同等以上の海外の基準で試験したとき,
その基準に適合しなければならない。
4.2.2 試験液及び空試験液の調製
試験液及び空試験液の調製は,次による。
a) 試験液 留置針本体5本を,ほうけい酸ガラスでできた適切な容器に入れ,250 mLの精製水を加え留
置針本体を浸せき(漬)し(カテーテル及びカテーテルハブの内側を含めた全表面が精製水に接触す
+ ℃で24時間±2時間加温した後,室温になるまで冷却し,留置針本体の内外面
るようにする。)3730
から全ての水を容器に戻して留置針本体を取り除き,この液を試験液とする。
b) 空試験液 同時に留置針本体を入れない精製水を同様の方法で操作し,空試験液を調製する。
4.2.3 pH
試験液及び空試験液のpHを日本薬局方の一般試験法のpH測定法で測定したとき,両液のpHの差は1
以内でなければならない。
4.2.4 溶出金属の制限
原子吸光光度法又はこれと同等以上の微量分析法によって試験液及び空試験液を分析し,試験液の測定
値を空試験液の測定値で補正したとき,試験液の鉛,亜鉛及び鉄の含量の合計は,5 mg/L以下で,かつ,
試験液のカドミウム含量は,0.1 mg/L以下でなければならない。
4.3 エックス線探知性
リスクアセスメントによって必要と判断される場合,カテーテルには,エックス線不透過性処理が施さ
れていなければならない。適合性はASTM F640-12,DIN 13273-7などの適切な試験方法によって実証する
のがよい。
4.4 生物学的安全性
JIS T 0993-1に規定する生物学的安全性の評価を行わなければならない。
4.5 エンドトキシン
留置針本体を5本取り,留置針本体の管内にエンドトキシン試験用水40 mLを約10 mL/minで流し,そ
の液で内針,及びカテーテルの外面又は針管の外面をよく洗い,洗液を合わせて試験液とし,日本薬局方
の一般試験法のエンドトキシン試験法によって試験したとき,0.5 EU/mL未満でなければならない。又は
――――― [JIS T 3249 pdf 8] ―――――
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これと同等以上の基準で試験したとき,その基準に適合しなければならない。
4.6 表面
正常視力又は矯正視力で最小2.5倍に拡大して検査したとき,留置針有効長の外表面には異物があって
はならない。遠位端を含むカテーテル及び針管有効長の外表面は製造工程上での異常及び欠陥がなく,使
用中の血管に対する損傷は,最小限でなければならない。
カテーテルにコーティングが施されている場合には,カテーテルを目視などで検査したとき,外表面に
潤滑剤の液滴があってはならない。
4.7 腐食抵抗性
附属書Aによって試験したとき,通液部との接触を意図した留置針本体を構成する金属部分に腐食があ
ってはならない。
4.8 最大引張強度
附属書Bによって試験をしたとき,各試料の最大引張強度は,表1による。臨床使用中に生じる力が,
表1に規定する値よりも大きいと製造販売業者が判断する場合,各試料の最大引張強度は,リスクアセス
メントに基づいて製造販売業者が決定した値とする。
表1−留置針試料の最大引張強度
留置針試料の最小外径 最大引張強度の最小値
mm N
0.55以上 0.75未満 3
0.75以上 1.15未満 5
1.15以上 1.85未満 10
1.85以上 15
注記 この規格では外径0.55 mm未満のカテーテルの最大引張強
度については規定されていない。
4.9 気密性
4.9.1 加圧時の漏れ
留置針本体は,附属書Cによって試験したとき,1滴以上の液漏れがあってはならない。
4.9.2 吸引時の漏れ
附属書Dによって試験したとき,吸引中に留置針本体の中に空気が混入してはならない。
4.10 カテーテルハブ及びコネクタ
カテーテルハブがカテーテルと一体形又は分離形であっても,いずれもめす(雌)ハブであり,ISO 80369-
7に規定するめす(雌)ルアーロック式コネクタに適合しなければならない。コネクタも同様に適合しな
ければならない。
4.11 流量
流量の規定がある留置針については,附属書Eを参考にして試験を行ったとき,各くうの流量は,公称
――――― [JIS T 3249 pdf 9] ―――――
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外径が1.0 mm未満のカテーテルでは製造販売業者の設定値の80 %以上,又は公称外径が1.0 mm以上の
カテーテルでは製造販売業者の設定値の90 %以上でなければならない。
4.12 側孔(サイドホール)
側孔の設計,数及び位置は,カテーテルへの悪影響及び組織への傷害を最小限に抑えるものでなければ
ならない。
4.13 患者側先端
使用時に血管への傷害を最小限にするため,カテーテルの患者側先端は,滑らかで,丸みを帯び,テー
パ状であるか,又はこれと同様に仕上げられていなければならない。
4.14 多くう管カテーテル
多くう管カテーテルについては,使用者が各管を明確に特定できるようになっていなければならない。
4.15 物理的要求事項
4.15.1 カラーコード
留置針本体は,カテーテル及び針管の公称外径を示すため,ISO 6009に規定するカラーコードによって
カラーコード化しなければならない。
4.15.2 留置針本体
留置針本体がとう管針カテーテルの場合は,カテーテルの遠位端は挿入を容易にするために先が細くな
り,内針に密着して接続されていなければならない。内針が完全に留置針本体内に挿入されたときに,カ
テーテル先端は,内針のヒール部を超えてはならない。また,針の刃面のヒール部から1 mm以上離れて
はならない(図1のa参照)。
4.15.3 内針及び針管
4.15.3.1 材料
ステンレス管を使用する場合は,ISO 9626又はJIS G 4305に適合しなければならない。
4.15.3.2 内針及び針管の針先
正常視力又は矯正視力で2.5倍に拡大して検査したとき,針先は鋭角でなければならない。また,そぎ
端,ばり及びささくれがあってはならない。針先は,せん刺する際にせん刺部位周辺を削らないように設
計(ノンコアリング設計)されていることが望ましい。
注記 附属書Hに代表的な針先の形状を示す。
4.15.3.3 内針針基及び針基
内針の内くうを利用してフラッシュバックを検知する場合,内針針基又はその他の相当する部品は,フ
ラッシュバックを検知するような構造をとり,内針の内くうに接続しなければならない。内針針基に取外
しのできる止血栓が付いている場合,内針針基の内部は,ISO 80369-7に規定するめす(雌)ルアースリッ
プ式コネクタに適合しなければならない。
――――― [JIS T 3249 pdf 10] ―――――
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JIS T 3249:2022の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10555-1:2013(MOD)
- ISO 10555-1:2013/AMENDMENT 1:2017(MOD)
- ISO 10555-5:2013(MOD)
JIS T 3249:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.040 : 医療設備 > 11.040.25 : 注射器,注射針及びカテーテル
JIS T 3249:2022の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG4305:2012
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4305:2021
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JIST0993-1:2020
- 医療機器の生物学的評価―第1部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験