JIS T 8006:2020 熱及び火炎に対する防護服―防護服の選び方,使い方,手入れの仕方及びメンテナンスの仕方の一般的事項 | ページ 2

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− ユーザによる在庫の必要性
− 調達後の着用者までの受渡し手段
− 防護服の安全な廃棄方法
− 社名などの追加表示が性能に及ぼす影響の評価
異なる作業に対して複数の防護服を事業者が提供する場合,事業者は,防護服着用者に対して適切な教
育を実施した上で防護服を選択させてもよい。この防護服着用者による防護服の選択は,事業者によって
行われたリスクアセスメント又は防護服着用者による使用状況に応じたリスクアセスメント(動的リスク
アセスメント)による。
注記2 附属書Aに熱及び火炎に対する防護服に関連する規格を記載する。

4.5 選び方のための試着による評価

  試着の目的は,防護服のコンパチビリティ及び人間工学的な実用性を評価することである。この段階で
は,防護服の実用的性能に関する着用者からの評価を得ることが不可欠である。
注記1 試着を行うことによって,着用者がその防護服に信頼感をもって使用することにつながる。
試着を実施するときには,次の事項を考慮することが望ましい。
− 着脱のしやすさ及び所要時間
− 調節のしやすさ及び調節可能範囲
− 快適性及び重量に対する許容性
− 同時に使用する他の個人用保護具とのコンパチビリティ
− 想定する全ての作業を問題なく実施できるか否か
− 作業中のあらゆる姿勢に対する防護性の確保
− 防護服に附属品を取り付けることによるリスクの確認
注記2 附属品の位置決め(例えば,ハイリスクエリアにあるか)及びタイプ(例えば,難燃性であ
るか)を考慮する。
試着を行うときには,次の事項を考慮し体系的な方法を取らなければならない。
a) 試着における着用者は,目的とする作業グループの代表例となるように選定する(身長,体重,年齢,
性別など)。
b) 試着における着用者は,着用する防護服の組合せの構成それぞれについて個別に評価する。
c) 試着における着用者からの評価の収集及び解析ができるように,体系的な手法を用いる。
試着者からの評価は,アンケート,面接,グループディスカッションなどによるものが望ましい。
d) 試着者の数は,客観的評価が可能な人数にすることが望ましい。

5 使い方

5.1 一般

  防護服を選んだ後,正しく使うために使い方についての幾つかの項目を実施する。

5.2 教育

  防護服のユーザは,防護服を実際に使用する前に,正しい使用方法について教育を受ける必要がある。
この教育には,次を含む。
a) 防護服の使用可能範囲に関する情報
− 防護服が防護できる部位の範囲及び性能の範囲
− 防護服が防護できない部位の範囲

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− 該当する場合,長時間使用することによる影響
b) 防護服の着脱方法及び使用方法
c) サプライヤによる提供情報に従うことの重要性
d) 防護服の保管方法
e) 洗濯及び除染方法
f) 防護服の廃棄基準に基づく判断
g) 防護服の正しい廃棄方法及び手順
h) 交換品の入手方法
i) 自然発火する可燃性液体,物質などで汚染されていない防護服を使用することの重要性
ユーザが提供する取扱説明書を含む製造業者情報及び/又は教育の内容は,リスクのレベル及び提供さ
れる防護服の構成によって決まる。取扱説明書を含む製造業者情報など文書による情報提供では不十分な
こともあり,ユーザに実演,教育及び訓練に参加させることが望ましい。

5.3 記録の保管

  防護服の管理では,ユーザが個別の防護服について製造から廃棄までの記録を作成することが重要であ
り,記録の保管には,次の項目を含む。
なお,これらの記録は,ユーザが容易に利用できることが望ましい。
a) 防護服の受入れ時の情報(製造業者名,受渡日,ロット番号など)
b) 防護服の使用履歴(支給日,着用者名など)
c) 防護服着用者に対する教育の記録(リスクへのばく露期間,リスクの内容など)
d) 防護服がばく露されたハザードの明細
e) 手入れに関する情報
− 洗濯(回数及び条件)
− 除染(時期,方法及び実施者)
− 保管
f) メンテナンス記録
− 検査(時期,方法及び実施者)
− 損傷及び修理
− 廃棄
g) 防護服の使用中に発生した問題点

5.4 日常点検

  防護服は,使用前点検及び使用後点検をすることが望ましい。適切な教育を受けたユーザ自身が点検す
ることが望ましい。日常点検では,次の項目を確認する。
a) 汚れ
b) 有害物質(生物学的因子を含む。)による汚染
注記 生物学的危険物質による汚染の確認は,リスクアセスメントの実施が有効である。
c) 物理的損傷(きず,裂け,切り傷,ハードウェア,開閉具の欠損など)
d) 熱的損傷(炭化,燃焼による孔,溶融,変色など)
e) 附属品の損傷又は欠損(反射材,表示など)
f) 防護服の組合せにおける適切なサイズの維持,接合又は重なりの定期的な確認
警告 複数のアイテムで構成される個人用保護具のいずれかを交換したときは,要求される防護レベ

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ルが保たれるように注意をしなければならない。

5.5 使用中の評価及びモニタリング

  事業者は,全ての防護服の性能が適切であるか,継続的に評価及びモニタリングする運用方法を確立す
る。モニタリングには,次の事項を含む。
− ユーザからのフィードバック
− サプライヤからのフィードバック
− 事故及び/又は受傷の統計
− 防護服の損傷率,同じような修理の傾向など
− 作業条件の変化の有無
− 作業条件によって適した防護服の入手可能性

6 手入れの仕方

6.1 一般

  サプライヤは,取扱説明書を含む製造業者情報を防護服に添付しなければならない(防護服に取り付け
たラベル及び/又は別な文書のいずれか)。取扱説明書を含む製造業者情報及び表示に記載しなければなら
ない事項は,附属書Dによる。また,この情報に基づいて,事業者は管理手順を規定し,ユーザに通知し
なければならない。管理手順には,次の項目を含む。
a) 洗濯
− 使用する洗濯方法
− 洗濯の実施者
− 各装備品の洗濯の時期及び頻度
− 集配の有無
− 仕上げ再加工の必要性
b) 有害物質の除去
− 物質の除去のための手順
c) 保管
− 防護服の保管に影響を与える因子(例えば,温度,湿度,期間,光など)
− 防護服の適切な保管場所
− 防護服の保管方法(新品の保管,使用期間中の保管,廃棄のための保管)

6.2 洗濯

  次の事項を満たす最適な洗濯を行う。
− 防護服のどの部材に対しても劣化が少なく,必要な防護性が維持される。
− 防護服の外観がきれいである。
− 防護服が衛生的である。
− 不快な臭気が残っていない。
− 洗剤の残さがない。
− 防護服の寸法変化の可能性が低い。
− 仕上げ再加工がサプライヤの取扱説明書を含む製造業者情報に従って行われる。
警告 洗濯後の防護服に可燃性残さがあると,発火源の近辺で着火するおそれがある。
注記 洗濯の回数は,防護服の寿命の決定の影響因子になり得る。

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6.3 有害物質の除去

  ユーザは,有害物質(可燃物及びユーザの健康に有害な物質)が存在するときは,防護服から有害物質
を除去する必要がある。有害物質の例として,次のものがある。
− 燃料
− グリース
− 塗料
− 化学物質
注記 法律で規定する有害物質が付着した防護服の取扱いは,該当法規制に基づいた適切な処理方法
が優先される。
個人及び環境による防護服の交さ(叉)汚染及び二次汚染のリスクを避けるため,次の項目に関する指
示を策定しなければならない。
a) 脱衣
b) 脱衣後の防護服の取扱い
c) 隔離
d) 保管
e) 輸送
f) 処理(例えば,洗濯方法)
g) 廃棄

6.4 保管

  保管方法は,次の事項を含めて行う。
− 衛生的に保管する。
− 防護服の性能に影響を与えないように保管する。
− 汚れた防護服は,洗濯後乾燥させてから保管する。
− 防護服の性能に影響を与えない最適な温湿度で保管する。
− サプライヤは,特記事項を提示し,ユーザはこれに従わなければならない。
− 防護服の寿命に影響を及ぼす条件がある場合,サプライヤはこのことを明示する。

7 メンテナンスの仕方

7.1 一般

  防護服のメンテナンスに関する指示は,取扱説明書を含む製造業者情報に記載しなければならない。事
業者は,取扱説明書を含む製造業者情報に記載されているメンテナンスに関する指示に基づいて,防護服
のメンテナンスに関する手順を決定し,この手順をユーザに通知しなければならない。メンテナンス手順
には,次の項目を含む。
a) 検査
b) 検査基準
c) 検査の実施担当者
d) 検査の実施時期
e) 修理
f) 許容される修理の内容
g) 修理の責任者

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h) 使用の中止及び最終的な廃棄
i) 防護服を廃棄する時期
j) 環境に悪影響を与えない廃棄方法
メンテナンスは,教育を受けた担当者だけによって実施するようにしなければならない。

7.2 検査

7.2.1  一般
防護服の検査は,意図した防護性を確実に維持するために行わなければならない。リスクアセスメント
によって明確な有害物質(生物学的因子を含む。)による汚染は,全て検査前に除去しなければならない。
さらに,防護服は,教育を受けた担当者によって検査を行う。この担当者は,防護服,関連する防護服
の規格及び防護服の性能劣化に関する十分な知識をもっている必要がある。検査基準は,防護服が使用目
的に合致し,少なくとも必要とする性能を維持しているかを確認するものである。検査プログラムは,防
護服ごとに次の項目を含めて策定する。
a) 検査の実施時期
b) 検査項目
c) 検査結果に基づく処置
7.2.2 検査の実施時期
検査の実施時期には,次の項目を含む。
a) サプライヤが推奨する検査の実施時期
b) 臨時の検査
− 偶発事故においての使用後
− 防護服が正常に機能しなくなった可能性があると着用者が申告したとき
− 修理実施後
− 再支給の前
c) 防護服の損傷又は着用者の負傷が頻発するときは,防護服の全てのロット又はタイプを回収して検査
する。
7.2.3 検査事項
検査に当たっては,次の事項を考慮しなければならない。
a) 目視による汚れ
b) 防護服の有害物質(生物学的因子を含む。)による汚染
c) 防護服全層への物理的な損傷(内層を含む。非破壊によって検査ができるとは限らない)
d) 防護服全層への熱的な損傷(内層を含む。非破壊によって検査ができるとは限らない)
e) 部材の有効性(全ての附属品を含む。)
例 紫外線又は化学物質による劣化
f) 内層材料の欠損及び移動(例えば,中綿の偏り)
g) 縫目のゆるみ,劣化,破壊又は欠落
h) 開閉具の有効性
i) ラベルに記載された性能(検査に加えて,バッチテスト又はランダムサンプル試験が必要になるとき
がある。)
j) ラベルの損傷及び判読性
k) サプライヤが指定する許容範囲を超えた着用に悪影響を与えるような防護服の寸法変化

――――― [JIS T 8006 pdf 10] ―――――

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JIS T 8006:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/TR 2801:2007(MOD)

JIS T 8006:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 8006:2020の関連規格と引用規格一覧