JIS T 8021:2020 熱及び火炎に対する防護服―火炎ばく露時の熱伝達指数測定方法 | ページ 3

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ートの孔に設置する。
c) 記録装置を起動し,ガスバーナ又は試験片支持枠を速やかに移動させる。開閉装置を使用している場
合は,それを開く(5.6参照)。
d) ガスバーナを銅熱量計の中心位置に8秒から10秒間配置する。
注記 10秒を超えて銅熱量計に火炎がばく露される場合は,はんだが溶けて熱電対が外れる可能性
がある。
e) ガスバーナを取り出す及び/又は開閉装置を閉める。
熱電対の出力は,ばく露開始直後に短い非直線の温度−時間領域を示し,その後は,ばく露が停止する
まで線形近似領域が続く。熱電対の出力から温度への換算については,IEC 60584-1に規定する式を用い
る。入射熱流束Q(kW/m2)は,熱電対の出力の線形近似領域から式(1)によって求める。
mcp R
Q (1)
A
ここに, m : 銅板の質量(kg)
cp : 銅の比熱[25 ℃において0.385 kJ/(kg・℃)]
R : 線形近似領域における銅熱量計温度の上昇速度(℃/s)
A : 銅板の面積(m2)
α : 銅熱量計の黒色塗装の吸収係数
この方法で求めた入射熱流束は,規定値80±2 kW/m2とする。必要に応じてガス流量を調整し,得られ
た値が3回連続して規定値の範囲内になるまで調整を繰り返す。さらに,熱電対出力の線形近似領域の完
全な直線からの偏差を検定する。測定開始1秒後から8秒後までの線形近似領域の温度上昇の開始時間を
書き留める(図8の記号1参照)。測定開始2秒後から5秒後までの線形近似領域の温度上昇の値からR
を計算する。このRの計算を2秒後から8秒後までの線形近似領域の開始からの温度上昇値に対して繰り
返す。二つのRの値が3 %を超えて異なる場合は,要求される熱流束と一致したRの値が共に得られるま
で入射熱流束の設定を繰り返す。

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T
t
T 銅熱量計の温度(℃)
t 時間(秒)
1 入射熱流束の計算に使用する線形近似領域
図8−入射熱流束の校正に対する銅熱量計の応答の例

9.2 試験片の取付け

  試験片の取付けは,次の手順による。
a) 試験片の一番外側の層(最外層)を下向きにして試験片支持枠に取り付ける(5.4参照)。熱量計設置
プレート(5.5参照)を試験片上面に置く。
b) 試験片が複数層からなり,これらがお互いに接着していない場合は,実際に使用する層の配置と同じ
順序及び方向で取り付ける。その他の圧力を加えずに熱量計設置プレートの重量だけで各層を接触さ
せる。
c) 試験片の一番内側の層(最内層)を取り付けた後に熱量計設置プレートを戻し,銅板が最内層の上面
と接触するように銅熱量計を熱量計設置プレートの孔に設置する。

9.3 火炎のばく露

  火炎のばく露は,次による。
a) ガスバーナを速やかに,かつ,滑らかに所定位置にスライドさせる。開閉装置が付いている場合は,
開閉装置を試験片の下から直ちに開くか,又は試験片を速やかに火炎の上まで移動させる手法のいず
れかを行う。使用する装置によって,試験片のガスバーナへのばく露と同時に記録装置を始動するか,
又は既に始動している記録計にばく露の開始を記録する。
b) 少なくとも24 ℃の温度上昇が観測されるまで試験を継続する。ガスバーナを取り出す及び/又は開閉
装置を閉める。試験中及び試験直後に試験片上に起きた外観変化,例えば,収縮,焦げ,炭化,孔開
き,赤熱,溶融,滴下又は特定の製品規格で要求されている事項はいかなるものであれ観察して記録

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する。
c) 銅熱量計を取り外し,まだ熱いうちに銅熱量計の付着物を取り除く。周辺温度の±2 ℃まで銅熱量計
を冷却する(8.2参照)。
銅熱量計の上に付着物が厚く若しくは不均一に残る場合,塗装の一部がげた場合,又は銅板が露
出した場合は,銅熱量計の塗装面を有機溶媒(エタノール,アセトンなど)で洗浄し再塗装する。再
塗装した銅熱量計は,試験に使用する前に1回以上校正を行う(9.1.2参照)。
d) 防護服の製品規格で規定している銅熱量計の温度上昇に要する時間(秒)を記録する(附属書C参照)。
銅熱量計の24 ℃又は12 ℃の温度上昇に要する時間(秒)を測定することもできる。
e) さらに,2個の試験片を用いてa) d) の手順を繰り返す。熱伝達指数の計算は,温度上昇に要した時
間(秒)の平均値の小数点以下を四捨五入して整数に丸める(附属書C参照)。

10 試験報告書

  次の事項を試験報告書に記載する(附属書C参照)。
a) 試験実施機関名
b) 試験日
c) 規格番号及び発行年
d) 試験材料の名称
e) 試験材料及び試験材料の積層順序の説明,必要に応じて一般名,単位面積当たりの質量
f) 使用した銅熱量計の種類(A法又はB法)
g) 標準プロパンガス以外を使用した場合の使用ガス
h) 試料調整の時間,温度及び湿度
i) 試験場所の温度及び湿度
j) 試験で採用した銅熱量計の温度上昇(℃)
k) 各試験片の温度上昇に必要な時間(秒)及びこれらの個々の結果から計算された熱伝達指数[9.3 e) 参
照]
l) 各試験片の外観変化[9.3 b) 参照]
m) 要求があった場合,校正のグラフ及び計算値

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附属書A
(参考)
熱伝達性試験の有意性
A.1 概要
熱伝達指数(HTI)は,材料及び材料の組合せが,火炎からのエネルギー伝達を遅らせる能力を表す。
温度上昇は,この規格で規定した試験条件で24 ℃の温度上昇を生じる時間から求める場合,1±0.01 mV
(±10 μV)の熱電対出力の上昇及び132.3±1.1 kJ/m2の総エネルギー伝達に相当する。
防護服を通しての熱伝達は,空隙を含め防護服集合体の厚さに依存する。熱伝達指数は,熱量計設置プ
レートの重量だけで試験片を圧縮し,測定する。厚い防護服は,通常,防護性が高く,高い熱伝達指数を
示すが,測定時の厚さによっては変動が大きくなることがある。
熱伝達指数は,実使用条件下で防護服が火炎に対して防護できる時間の尺度とはならない。実際の使用
条件下では,火炎からの熱流束及び防護服に生じる空隙率は一定ではなく,この規格の試験条件とは異な
る。加えて湿潤した防護服の熱伝達性は,乾燥した試験片の結果とは異なる。
2014年2015年に行った室間試験では,8か所の異なる試験機関で6種類の試料をこの規格で規定した
A法及びB法の銅熱量計を用いて測定を行い,24 ℃温度上昇の熱伝達指数(HTI24)を算出した。試料は,
次のとおりである。
A パラ系アラミド/ポリベンゾイミダゾール織物(リップストップ)(約258 g/m2)
B アルミニウム蒸着パラ系アラミド 編地積層品(約430 g/m2,積層で試験)
C アラミド 織物(斜文織)(195 g/m2201 g/m2)
D アラミド 編物(二重編み)(約306 g/m2)
E 難燃加工綿織物(リップストップ・斜文織)(約296 g/m2)
F 綿/ナイロン織物(斜文織)(約259 g/m2)
各試験機関の3回の繰返し試験の熱伝達指数(HTI24)を解析した。その試験から導かれた繰返し性(試
験機関内)及び再現性(試験機関間)のデータを表A.1及び表A.2に示す。
表A.1−A法でのHTI24のデータ
HTI24−A法
試験片 A B C D E F
平均時間 tm 4.82 10.16 4.22 6.81 4.98 4.76
繰返し性標準偏差 sr 0.15 0.14 0.17 0.13 0.10 0.13
再現性標準偏差 sR 0.59 0.61 0.60 0.50 0.54 0.55
表A.2−B法でのHTI24のデータ
HTI24−B法
試験片 A B C D E F
平均時間 tm 4.70 10.05 4.01 6.86 4.96 4.77
繰返し性標準偏差 sr 0.13 0.17 0.05 0.15 0.10 0.10
再現性標準偏差 sR 0.77 0.66 0.67 0.68 0.53 0.52

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附属書B
(参考)
試験材料の入手先情報
B.1 ガスバーナ(5.2)
フィッシャーバーナ LPガスタイプ
カタログ番号 : S49122
会社名 : Fisher Scientific Company
住所 : 711 Forbes Ave., Pittsburg, PA 15219, USA
カタログ名 : Mller-Scherr
会社名 : Laborausrustungsgesellschaft m.b.H. and Co. KG
住所 : Leopold-Hasner-Strasse 36 A-4020, Linz, Austria
B.2 取付け用ブロック(5.3)
製品名 : Monolux 500(珪酸カルシウムボード)
会社名 : Cape Boards and Panels Ltd.
住所 : Iver Lane, Uxbridge U80 2JO, England, UK
製品名 : Marinite I
会社名 : BNZ materials. Inc.
住所 : 400 Iron Home Park, North Billerica, MA 01862
製品名 : Insulating Fire Brick
会社名 : BNZ materials. Inc.
住所 : 191 Front Street, Zelienople, PA 16063
B.3 注意事項
上記は,この規格で規定した材料の供給者の例である。この情報は,この規格の使用者の利便性のため
のものであり,これらの製品を推奨する意味ではない。

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JIS T 8021:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 9151:2016(MOD)

JIS T 8021:2020の国際規格 ICS 分類一覧