JIS T 8161-1:2020 聴覚保護具(防音保護具)―第1部:遮音値の主観的測定方法 | ページ 2

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度レベルに対して90°の感度レベル差が10 dB以上でなければならない。また,単一指向性マイクロ
ホンでは正面感度レベルに対して180°の感度レベル差が10 dB以上でなければならない。マイクロ
ホンは,基準点で,水平面内で360°回転できる必要がある。それぞれの試験信号における観測され
た音圧レベルの変動は,表1の許容変動内とする。音圧レベルは,マイクロホンを回転する場合に,
15°の角度間隔で測定してもよい。
表1−両指向性マイクロホン又は単一指向性マイクロホンの自由音場における感度・レベル差に対する
音圧レベルの許容変動
単位 dB
マイクロホンの正面感度に対して 許容変動
90°又は180°の感度・レベル差
25以上 20
20以上 25未満 15
15以上 20未満 10
10以上 15未満 5
10未満 マイクロホンとして不適
注記 ランダム入射音場でマイクロホンが回転するような場合のマイクロホン応答の変動は,マイクロホンの指向
性及び測定される場のランダム性の度合いと関係し,許容音場変動は,マイクロホンの自由音場指向性に関
係する。マイクロホン特性は,マイクロホン製造業者から入手するか,又は自由音場で測定できる。
4.2.3 残響時間
試験空間の残響時間は,被験者及び被験者が座る椅子がない状態で,それぞれの試験信号に対して1.6
秒を超えてはならない。
4.2.4 周囲雑音レベル(環境騒音レベル)
試験空間内の試験場所での周囲雑音レベルは,表2の値を超えてはならない。周囲雑音レベルは,被験
者がいない場合の音圧レベルを測定することによって決定する。
注記 周囲雑音レベルは,部屋の中に存在する周囲雑音,及び試験信号が出ていないときの試験装置
の雑音を含む。

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表2−最大許容周囲雑音レベル
中心周波数 1/3オクターブバ 中心周波数 1/3オクターブバ
Hz ンド音圧レベル Hz ンド音圧レベル
dB dB
63 25 1 000 1
80 21 1 250 1
100 18 1 600 2
125 14 2 000 2
160 11 2 500 1
200 9 3 150 −1
250 6 4 000 −4
315 4 5 000 −2
400 3 6 300 3
500 2 8 000 10
630 1 10 000 20
800 1
注記 聴覚いき(閾)値レベルより10 dB下までの試験であるため,それぞれのレ
ベルは,ISO 8253-1に関係して設定されている。

4.3 試験装置

4.3.1  試験信号の再生能力
試験装置は,試験場所で112 Hz9 000 Hzの試験信号を再生できなければならない。
注記 112 Hzは,125 Hz 1/3オクターブバンドの下限周波数で,9 000 Hzは,8 000 Hz 1/3オクターブ
バンドの上限周波数である。
試験装置は,基準点において,正常聴覚いき(閾)値より10 dB下の最小試験信号音圧レベルから,聴
覚保護具着用時の正常聴覚いき(閾)値より10 dB上の最大試験信号音圧レベルまでを再生する能力がな
ければならない。これらの例については附属書Cに示す。帯域レベルはJIS C 1514に規定するフィルタを
用いて測定する。試験音は,ひずみ(歪)又は異音がないように再生されなければならない。試験装置が,
最大音圧レベル(附属書C)の1/3オクターブバンド試験信号を再生するとき,試験信号の1オクターブ
下から低周波側に63 Hzまで,及び試験信号の1オクターブ上から高周波側に16 kHzまでの1/3オクター
ブバンド音圧レベルが,試験信号の音圧レベルよりも少なくとも40 dB下でなければならない。
注記 音圧レベル測定器における内部ノイズの制約のため,低い音圧レベルは電気的測定に基づき計
算できる。
4.3.2 減衰器
減衰器は,それぞれの試験信号に対して少なくとも90 dBの変化幅をもたなければならない。また,減
衰変化幅刻みは2.5 dB以下とする。
4.3.3 試験信号の線形性
単一の1/3オクターブバンド試験信号(4.1参照)で測定された減衰器の任意の二つの指示値の出力にお
ける差は,全範囲で2 dBを超えず,かつ,任意の80 dBの範囲では1 dBを超えてはならない。期待した
精度を達成できない場合,線形性からのずれに対して補正値を適用しなければならない。
可能であれば,全ての信号チャンネルから再生される信号によって音響的に試験する。これによって,
潜在的に非線形である測定系の全ての部分を含むような,実際の試験を近似した条件で線形性が測定され
る。測定には,適切な時間平均が必要である。最も小さいレベルの試験信号で起き得るが,周囲雑音と音

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響的に測定された音圧レベルとの比が,20 dB未満の場合,信号の線形性は,スピーカ端子の電圧で測定
する。このとき,試験信号は純音又は1/3オクターブバンド試験信号を用いる。
4.3.4 周波数応答
試験装置の周波数応答がそのダイナミックレンジの範囲で一定であることを確認するために,再生でき
る最大レベルから周囲雑音レベルまで,10 dBステップで周波数応答を測定しなければならない。この試
験のために,1/3オクターブバンド試験信号若しくは40 Hz10 kHzまでのピンクノイズ又は白色雑音を使
用しなければならない。全ての1/3オクターブバンド試験周波数に対する一連の周波数応答曲線は,線形
性からのずれが2 dB未満でなければならない。
4.3.5 監視装置
試験室には,試験中いつでも被験者を観察するための,監視窓又は鮮明なビデオ装置を設置しなければ
ならない。
被験者の鼻又は前額に対して小さな球をぶら下げるような頭部の位置決めを行う装置は,基準点での被
験者の頭部を一定の位置に保つために使用してもよい。頭部に振動が伝わることなどによって,いき(閾)
値決定に影響を与えることがなく,かつ,音場の均一性に影響を与えない,十分小さな装置であることが
望ましい。

4.4 被験者

  被験者は,次による。
a) 被験者数は16名とする。
b) 試験に参加する被験者は,左右いずれの耳においてもイヤホン聴取による純音聴力レベルが,2 000 Hz
以下の周波数で15 dB以下,2 000 Hzを超える周波数で25 dB以下とする。試験室内の周囲雑音が表2
に規定した最大の場合,その周波数での純音聴力レベルが−10 dBよりも低い被験者は除外する。
c) 頭部及び耳の大きさ及び形状にかかわらず被験者を選択する。ただし,聴覚保護具の着用に影響する
明らかな異常を示す被験者は除外する。
d) 試験に参加する被験者に関して,4.1で規定した試験信号において,3回の連続したいき(閾)値の判
定ができる能力をもつことを確認しなければならない。そのときの対応する中心周波数での各被験者
における,3回の聴覚いき(閾)値レベルの差は6 dBを超えてはならない。
なお,訓練を受けていない被験者は,安定したいき(閾)値判定が行えるまで練習セッションを行
う必要がある。

4.5 試験手順及び被験者への指示

4.5.1  サンプル
試験される聴覚保護具は,耳栓の場合,試行ごとに新品を使用する。イヤーマフの場合は,少なくとも
4人の被験者に対して一つのイヤーマフが必要である。サンプルは被験者に均等に配布する。被験者は試
験中同じ保護具を着用する。被験者が変わるときは,イヤーマフの取扱説明書に従い洗浄する。
4.5.2 説明
被験者は試験状況及び手順について十分な説明を受けなければならない。試験者は,被験者に対して,
試験の目的は“聴覚保護具の通常の使用方法によって,適切に着用した場合に,得られる遮音値を決定す
る。”と説明する。遮音値の測定方法は4.6による。
4.5.3 試験手順
試験者は,聴覚保護具の着用方法について,正しい着用方法を各被験者に指導する。複数のサイズの聴
覚保護具が供給されている場合,試験者は,適切なサイズのものを被験者に提供する。サイズの選択過程

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において,(ガイド又は判定基準として)予備的な遮音値測定は行わない。聴覚保護具の適切な着用を妨げ
る眼鏡,イヤリングなどは,試験中は外す。着用の指導は,通常,附属する製造業者の取扱説明書によっ
て行うが,必要に応じて,口頭での説明,着用の補助などを行う。被験者が正しく聴覚保護具を着用でき
ると試験者が判断したら,聴覚保護具を取り外す。試験が始まる前には,短時間の静かな時間を被験者に
与えてもよい。
試験では,被験者は試験室に入り,再度聴覚保護具を着用し,着用の快適さを保った上で最良の遮音を
得るように調整する。試験者は試験室の外から着用具合を観察する。試験者は被験者に対して,定常騒音
を聴いている間に,聞こえる音が最も小さくなるように聴覚保護具を調整することを指示する。着用のた
めの雑音(fitting noise)は,広帯域ランダム雑音とし,被験者の頭の位置で,60 dB70 dBのA特性音圧
レベルで呈示される。被験者が最良の着用が得られたことを試験者に報告した後に,広帯域雑音を停止さ
せる。外耳道又は耳介に,聴覚保護具をなじませるために,特に長い時間を測定依頼者が指示しない限り,
聴覚保護具を着用後のいき(閾)値測定は,少なくとも2分以上の間隔を空けて始める。最終試験が行わ
れている時には,聴覚保護具へのいかなる操作も行ってはならない。
なお,試験中に被験者が着用の変化に気が付いた場合,試験者に知らせるように指示し,試験を中止す
る。その場合,被験者は再着用し,最初から試験を始める。この事態が2度発生した場合は,試験は再着
用せずに最後まで行い,この遮音値データは,4.6に規定した計算において使用する。
雑音の混入,信号のひずみ(歪)又は異常事態が発生した場合は,試験を終了して再び試験する。

4.6 聴覚保護具遮音値の決定及び計算

4.6.1  試験回数及び順序
聴覚保護具を着用しない状態(非着用),及び聴覚保護具を着用した状態(着用)での聴覚いき(閾)値
をISO 8253-2に従って被験者ごとに1回測定する。被験者の半数に対しては,“非着用から着用”の順で
試験を行い,残りの半数には“着用から非着用”の順で試験を行う。
4.6.2 計算
それぞれの被験者の遮音値は,聴覚保護具を着用した状態で測定した聴覚いき(閾)値と聴覚保護具を
着用しない状態で測定した聴覚いき(閾)値との差として,それぞれの試験信号に対して計算する。
それぞれの試験信号に対する平均遮音値及び標準偏差は,それぞれの被験者から得られた遮音値から計
算する。

5 加力

5.1 イヤーマフ

  イヤーマフは,ヘッドバンドによって両耳間に加えられる力を適切な測定装置で測定する。測定は,イ
ヤーマフクッションの向かい合う面を145 mm±1 mm離して行わなければならない。ヘッドバンドの中心
(内面)からイヤーカップの中心を結ぶ線の中央まで測定した寸法が130 mm±1 mmになるようにヘッド
バンドを調整する。ヘッドバンドは測定中自由に動かなければならない。測定された力はニュートン(N)
で表す。幾つかのタイプの製品,例えば,首の後ろ又は顎の下に位置するヘッドバンドの場合,前述した
以外の寸法を使用してもよく,実際の寸法を加力データと共に報告する。
注記 適切な加力の測定装置及び測定法は,EN 13819-1 [6]を参照。

5.2 セミインサートタイプ耳栓

  セミインサートタイプ耳栓は,適切な加力測定装置で測定する。
注記 適切な装置はANSI S12.6:2016のAnnex D [8]を参照する。

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6 データの報告

  試験報告書は次の事項を含まなければならない。
a) この規格に従って試験した旨の記載
b) 聴覚保護具の種類及び交換部品についての記載
c) それぞれの試験信号に対する個々の遮音値。これらのデータは,試験のそれぞれの状態(例えば,ヘ
ッドバンド位置,バンドの力の調整など)に対して報告されなければならない。
d) ) における個々の遮音値の試験信号ごとの平均及び標準偏差
e) 95 %の包含確率に対するデータの拡張不確かさ(附属書A参照)
f) 試験実施日
g) 試験された聴覚保護具のサンプル数
h) 大きさの異なる聴覚保護具がある場合は,試験されたサイズ及びそれぞれのサイズで試験された被験
者の数
i) 試験中に被験者に与えられた製造業者の取扱説明書のコピー
j) 再試験が行われた数及びそれぞれの再試験の理由
k) イヤーマフ及びセミインサートタイプの場合,それぞれのサンプル及びそれぞれの聴覚保護具が試験
された状態に対する加力
l) グラフ形式で表した平均遮音値。IEC 60263に従い,Y軸の50 dBに相当する長さが,X軸上の10倍
に相当する長さに等しくなければならない。遮音値は,Y軸の下向きに増加するように表示する。
図1に平均遮音値のグラフ表示の例を示す。
dB



試験信号中心周波数 Hz
図1−聴覚保護具の平均遮音値の例

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JIS T 8161-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4869-1:2018(MOD)

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