JIS T 9261:2011 福祉用具―ポータブルトイレ | ページ 5

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図22−滑り抵抗試験

8.8 けい(頚)部の引き込まれ回避確認試験(背もたれ及びひじ掛けがある場合)

  背もたれとひじ掛けとの隙間に,けい部を想定した引き込まれ試験用ジグ(直径60 mmの剛体の円柱)
(図23参照)を50 Nの力で差し込み,ジグが60 mmを超えて入り込まないことを確認する(図24及び
図25参照)。
なお,ジグを差し込むときは,最も条件の悪い方向及び角度から差し込む。
単位 mm
図23−試験用ジグ
a) 適切なジグの当て方の例 b) 不適切なジグの当て方の例
図24−試験用ジグの当て方(上から見た図)

――――― [JIS T 9261 pdf 21] ―――――

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a) 適合例 b) 不適合例
図25−けい(頚)部の引き込まれ回避確認試験(横から見た図)

9 検査

  ポータブルトイレの検査は,形式検査2) と受渡検査3) とに区分し,検査の項目はそれぞれ次のとおりと
する。
なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査の方式は,受渡当事者間の協議による。
注2) 製品の品質が,設計で示した全ての特性を満足するかどうか判定するための検査。
3) 既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める
特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査。
a) 形式検査項目
1) 外観
2) 性能
3) 構造
4) 表示及び取扱説明書
b) 受渡検査項目
1) 外観
2) 表示及び取扱説明書

10 表示

  この規格の全ての要求事項に適合したポータブルトイレには,次の事項を表示しなければならない。
a) 規格名称又は規格番号
b) 製造年又はその略号
c) 製造業者名又はその略号,及びその住所又は電話番号
d) 製品名又は製品を特定できる品番
e) 寸法(便座の穴径など),材質及び使用上の注意
f) 背もたれがない場合は,蓋部の裏に注意喚起ラベルを貼る(蓋部に寄りかからない,など)。

11 取扱説明書

  取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。
a) 使用方法
b) 取扱説明書を必ず読み,読んだ後保管する。

――――― [JIS T 9261 pdf 22] ―――――

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c) 取扱い上の注意事項
d) 各部の名称(図で示す。)
e) 手入れの方法
f) 諸元表(各部の寸法,質量,材質,最大使用者体重など)
g) 製造業者,輸入業者又は販売業者の名称,住所,電話番号及びファクシミリ番号

――――― [JIS T 9261 pdf 23] ―――――

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附属書A
(参考)
設計における配慮事項
A.1 福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例
福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例を,次に示す。ただし,全てを
網羅しているわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなるよう例示した。
a) 可動部分(介助者,子供などが手,足,指などを挟み込む構造の存在)に関する危険性
例 ポータブルトイレの蓋について,丁番の近傍に指を入れた場合に挟まれてけがをしないか。
b) 接触アレルギー誘発性などに関する危険性
例 適切な表示がされているか。
c) 衛生上の安全を維持できない状況の発生
例 汚物受けを処理するのに汚物で手を汚さないか。
d) 他の機器と併用される場合の不適合性
例 車いすからの移乗を行う場合に問題はないか。
e) 廃棄物及び/又は福祉用具の廃棄による汚染
例 燃やすごみとする場合に有毒な物質を排出しないか。
f) 不適切な操作説明,例えば,
1) 複雑すぎる操作説明
2) 使いにくい,まとまりのない取扱説明書
例 専門用語を不必要に使っていないか。
g) 合理的に予見できる誤使用
例 蓋をした状態で座ってしまった場合にも問題はないか。
h) 使用者の身体状況に適合させるための改造による危険性
例 ポータブルトイレの便座の一部を高くするなどした場合にも問題はないか。
i) 製品の寿命に関する適切な情報提供
例 一部の部品が他に比べて製品寿命が短いなどの場合。
A.2 多様なユーザーに対する人間工学的検討項目
高齢者及び障害者等の,身体機能の低下したユーザーに対する人間工学的検討項目を次に示す。ただし,
全てを網羅しているわけではなく,特定する手助けとなるよう例示した。
注記 JIS Z 8071の9.(心身の機能と障害の影響に関する詳細)などが参考となる。
a) 動作能力の低下,筋力の低下及び体力の低下による意図しない動き
例 自動車運転中の反応時間は,壮年者(19歳29歳)に対して高齢者(60歳以上)では,3倍以
上(1.5秒3.8秒)であった [1]。
b) 機器の操作力の低下
例 押す力は,30歳代に対して60歳代では,約70 %であった [2]。
注記 JIS T 9241-2では,指による操作は5 N,手による操作は105 N,足による操作は300 N及び
回転による操作は1.9 Nm以下としている。

――――― [JIS T 9261 pdf 24] ―――――

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c) 認知症を含む使用者の知的能力の低下及び短期記憶能力の低下した利用者による使用
例 短期記憶に関わる単語の再生では,20歳29歳では約14語であるのに対して,60歳以上では
約7語であった [3]。
d) 平衡を保ち転倒を避ける能力の低下した利用者による使用
例 閉眼における立位時の動揺軌跡は,20歳代に対して60歳代では,約1.23倍であった [4]。
e) 色知覚能力の低下,視力の低下,聴覚機能の低下,触覚感度の低下などによる不十分な情報取得
例 近距離での生活視力は,35歳44歳では約1.05に対して,65歳74歳では約0.6であった [5]。
参考文献
[1] 独立行政法人産業技術総合研究所・人間福祉医工学研究部門編 : 人間計測ハンドブック,p.770771,
2003年9月,朝倉書店
[2] 独立行政法人製品評価技術基盤機構データベース :
http://www.tech.nite.go.jp/human/jp/contents/cdata/coperation/operation-g.html
[3] 佐藤方彦 監修 : 人間工学基準数値数式便覧,第1版3刷,p.169,1999年3月,技報堂出版
[4] 佐藤方彦 監修 : 人間工学基準数値数式便覧,第1版3刷,p.97,1999年3月,技報堂出版
[5] 独立行政法人産業技術総合研究所・人間福祉医工学研究部門編 : 人間計測ハンドブック,p.444,2003
年9月,朝倉書店
[6] JIS T 9241-2 移動・移乗支援用リフト−第2部 : 移動式リフト
[7] JIS Z 8071 高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針
[8] BS EN 12182:1999,Technical aids for disabled persons. General requirements and test methods

JIS T 9261:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 9261:2011の関連規格と引用規格一覧