JIS X 0010:1987 情報処理用語(操作技法及び機能)

JIS X 0010:1987 規格概要

この規格 X0010は、情報処理における操作技法及び機能に関する用語とその読み方,意味及び対応英語について規定。

JISX0010 規格全文情報

規格番号
JIS X0010 
規格名称
情報処理用語(操作技法及び機能)
規格名称英語訳
Glossary of terms used in information processing (Operating Techniques and Facilities)
制定年月日
1987年4月1日
最新改正日
2019年10月21日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 2382-10:1979(MOD)
国際規格分類

ICS

01.040.35, 35.020
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
情報基本 2016
改訂:履歴
1987-04-01 制定日, 1992-06-01 確認日, 1997-10-20 確認日, 2002-08-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
ページ
JIS X 0010:1987 PDF [8]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
X 0010-1987

情報処理用語(操作技法及び機能)

Glossary of Terms Used in Information Processng (Operating Techniques and Facilities)

1. 適用範囲 この規格は,情報処理における操作技法及び機能に関する主な用語とその読み方,意味及
び対応英語について規定する。
備考1. この規格は,国際規格ISO 2382/10-1979に準拠している。
2. 番号の右肩に星印*が付いている用語の対応英語は参考とする。
対応国際規格 :
ISO 2382/10-1979 Data processing−Vocabulary−Section 10 : Operating techniques and facilities
2. 表記法 この規格では,各用語を,番号,用語及び読み方,意味並びに対応英語の四つの欄に分けて
記述する。それぞれの欄における表記法を次に示す。
(1) 番号に関する表記法
(1.1) 番号は,6個の数字によって表す。
最初の2けたの数字は情報処理用語規格番号の末尾2けたを,次の2けたの数字は同一分類のこ
の規格の区分を意味する。最後の2けたの数字は,同一区分内の一連番号とする。
(1.2) 番号の右肩の星印*は,その用語がJIS独自のものであることを表す。
(2) 用語及び読み方に関する表記法
(2.1) 同一の意味を表す用語が二つ以上ある場合は,その順位に従って優先使用する。
(2.2) 用語の一部が丸括弧 ( ) で囲まれている場合は,その部分を省略してもよいことを表す。この場合
は,括弧内を省略したときと省略しないときとの間に優先順位はない。
例1 : “自動(的)”は,“自動”又は“自動的”を表す(01.01.04参照)。
例2 : “(計算機)プログラム”は,“計算機プログラム”又は“プログラム”を表す(01.04.01
参照)。
(2.3) 用語が幾つもの類似の意味をもつ場合には,それらを個々に規定し,用語の前に(1),(2),······を付
ける。
例 : “(1)引き数”(02.02.02参照),“(2)引き数”(02-02.03参照)
(2.4) 類似の意味をもち,しかもその記述がほとんど同一である二つ以上の用語は,角括弧 [ ] を用い
て一つにまとめて規定する。この場合,用語及び読み方欄の [ ] に対して,意味欄の対応する [ ]
を採るものとする。

――――― [JIS X 0010 pdf 1] ―――――

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X 0010-1987
例1 : 次の(a)と(b)とは同じ(02.10.05参照)。
(a) 用語及び読み方 意味
2項[N項]演算 2個[N個]のオペランドに対する演算。
(b) 用語及び読み方 意味
2項演算 2個のオペランドに対する演算。
N項清算 N個のオペランドに対する演算。
例2 : 次の(a)と(b)とは同じ(04.02.06参照)。
(a) 用語及び読み方 意味
欧数字[共数字]集合[部 欧字[英字]及び数字を含み,場合によっては制御文字,
分集合] 特殊文字,間隔文字を含む文字集合[文字部分集合]。
(b) 用語及び読み方 意味
欧数字集合 欧字及び数字を含み,場合によっては制御文字,特殊文
字,間隔文字を含む文字集合。
欧数字部分集合 欧字及び数字を含み,場合によっては制御文字,特殊文
字,間隔文字を含む文字部分集合。
英数字集合 英字及び数字を含み,場合によっては制御文字,特殊文
字,間隔文字を含む文字集合。
英数字部分集合 欧字及び数字を含み,場合によっては制御文字,特殊文
字,間隔文字を含む文字部分集合。
(2.5) 用語の使用分野を限定する場合には,用語に引き続く丸括弧 ( ) 内にそのことを示す。
例1 : “情報(データ処理及び事務機械における)”(01.01.02参照)
例2 : “呼出し(プログラミングにおける)”(07.09.04参照),“呼出し(データ網における)”
(09.06.08参照)
(2.6) 文法上の用法又は省略形などを,用語に引き続く丸括弧 ( ) 内に示す。
例 : “SYSGEN(頭字語)”(10.02.18参照),“DP(省略形)”(01.01.03参照)
(2.7) 漢字が常用漢字表にない場合には,仮名で示し,それに引き続く山括弧<>内に該当する漢字を示
す。
例 : “間げき<隙>文字”(04.10.09参照)
(2.8) 用語の読み方は,振り仮名によって示す。ただし,用語が英字から成り,その読み方が各英字の読
み方どおりの場合には,振り仮名は付けない。
例1 : (データ)しょり
処理(01.01.03参照)
こぼる
例2 : COBOL(07.02.22参照)
例3 : DP(01.01.03参照)
(3) 意味に関する表記法
(3.1) 文中で下線の引いてある語は,情報処理用語の規格中に規定されている用語であることを示す。
(3.2) 角括弧 [ ] の使い方については,(2.4)を参照のこと。
(4) 対応英語に関する表記法
(4.1) この欄の英語は,国際規格(ISO 2382/10)に規定されている用語であって,規定されている意味と対
応する。ただし,番号の右肩に星印*の付いているものを除く。
(4.2) 対応英語について使用上の注意事項がある場合には,対応英語に引き続く丸括弧 ( ) 内に示す。
(4.3) 対応英語に付けられた括弧内の注記の意味は,次のとおりとする。

――――― [JIS X 0010 pdf 2] ―――――

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X 0010-1987
(使用しないほうがよい。) : 国際規格及びこの規格では,この英語を使用しないので,使用しな
いほうがよいことを示す。
例 : 02.04.01 logic function(使用しないほうがよい。)
(使用してはいけない。) : 国際規格及びこの規格では,用語統一の見地から,この英語を
使用してはいけないことを示す。
(この意味では使用しないほうがよい。) : 国際規格及びこの規格では,他の意味で使われ
ているため,この英語を使用しないほうがよいことを示す。
(××だけ) : この英語は××(国名)だけで通用することを示す。
例 : 02.02.07range(オーストラリアだけ)
また,角括弧及び使用分野を限定する丸括弧の用法は,“用語及び読み方”の欄と同様とす
る。
(5) 注,備考 注は,国際規格及びこの規格の一部である。備考は,この規格の一部であるが,国際規格
には記述されていない事項を示す。
3. 情報処理用語(操作技法及び機能) 主な用語について,次のとおり定める。
10.01 一般用語
番号 用語及び読み方 意味 対応英語
きのうたんい
10.01.01 機能単位 ハードウェア,ソフトウェア又はその両者から成るもの functional unit
であって,指定された目的を遂行しうるもの。
しょりそうち
10.01.02 処理装置, 計算機において,命令を解読し,実行する機能単位。 processor
プロセッサ
しょり
10.01.03 処理(データ処理シス 意図する目的又は効果に応じて発生する事象の過程。 process (in a data
テムにおける) processing system)
しょり
10.01.04 処理する(データを) 処理において,データに演算を施すこと。 (data)
to process
じっこう
10.01.05 実行 計算機によって,一つの命令又は計算機プログラム中の execution
複数の命令を遂行する処理。
じっこう
10.01.06 実行する 命令又は計算機プログラムの実行を遂行すること。
to execute
しげんわりふ
10.01.07 資源割振り ジョブの実施のための,計算機システムの設備の割当 resource allocation
て。
例 : 主記憶装置,入出力装置,ファイルの割当て。
どうき
10.01.08 同期(てき的) 共通のタイミング信号のような特定の事象の発生に依 synchronous
存した二つ以上の処理に関する用語。
わりこ
10.01.09 割込み 計算機プログラムの実行のような処理の中断であって, interrupt, interruption
その処理に対する外部からの事象に起因し,後でその処
理が再開できるような方法で遂行されるもの。
こうごはいち
10.01.10 交互配置する, 事物又は事象の列の部分と別の同質のものの列の部分と to interleave
インタリーブする を,各々の列の同一性を保ちつつ,交互に配置すること。
むす結びつ付ける(アドレス
10.01.11 絶対アドレス,仮想アドレス又は装置識別子を,計算機 to bind
(of an address)
について) プログラム中の記号アドレス又は標に関連づけること。
注 この概念は07.05.02“設定する(変数について)”
の特別な場合である。
おうとうじかん
10.01.12 応答時間 計算機システムに対する問合せ又は要求の終わりから response time
応答の始まりまでの経過時間。
例 : 問合せの終わりを指示してから,利用者端末
に応答の最初の文字が表示されるまでの時間の
長さ。

――――― [JIS X 0010 pdf 3] ―――――

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X 0010-1987
番号 用語及び読み方 意味 対応英語
10.01.13 ターンアラウンドタイ ジョブを提出してから,完全な出力が返送されるまでの turnaround time,
ム 経過時間。 turnround time(イギリス
だけ)
しょりのうりょく
10.01.14 処理能力, 与えられた時間内に計算機システムによって遂行され
throughput
スループット る仕事の量の測度。
例 : 1日当たりのジョブの個数。
10.02 操作機能
番号 用語及び読み方 意味 対応英語
10.02.01 ジョブ 利用者によって定義され,計算機によって実施される仕 job
事の単位。
注 用語“ジョブ”は,しばしば“ジョブの表現”
を厳密でなく指すのにも用いられる。ジョブの
表現は,計算機プログラム,ファイル,オペレ
ーティングシステム制御文などの集合から成
る。
10.02.02 タスク 多重プログラミング又は多重プロセッシングの環境に task
おいて,計算機によって実施されるべき仕事の要素とし
て制御プログラムによって取り扱われる命令の一つ以
上の列。
10.02.03 ディスパッチする 実行の準備ができているジョブ又はタスクに対して処 to dispatch
理装置上の時間を割り振ること。
10.02.04 ディスパッチャ オペレーティングシステムにおける計算機プログラム dispatcher
又はその他の機能単位であって,その目的がディスパッ
チすることであるもの。
10.02.05 スケジュールする ディスパッチされるべきジョブ又はタスクを選択する to schedule
こと。
注 一部のオペレーティングシステムにおいては,
上記以外に入出力操作のような仕事の単位もス
ケジュールされうる。
10.02.06 (ジョブの)そうこう
走行 一つ以上のジョブの遂行。 (job) run
10.02.07 (プログラムの)そうこう
走行 一つ以上の計算機プログラムの遂行。 (program) rum
10.02.08 ジョブのなが流れ, 遂行されるべき幾つかのジョブのすべて又はその部分 job stream,
にゅうりょく
入力のなが流れ, を表現したものの列であって,オペレーティングシステ input stream,
そうこう
走行のなが流れ ムに渡されるもの。 run stream
しれいげんご
10.02.09 指令言語, 適切な構文をもった手順演算子の集合であって,オペレ commamd language,
せいぎょげんご
制御言語 ーティングシステムによって遂行されるべき機能を指 control language
示するために用いられるもの。
もくてき
10.02.10 目的モジュール アセンブラ又はコンパイラの出力であり,かつ連係編集 object module
プログラムの入力になりうる計算機プログラムの単位。
10.02.11 ロードモジュール 実行のために主記憶装置内へロードしうる計算機プロ load module
グラムの単位であって,通常,連係編集プログラムの出
力である。
れんけいへんしゅう
10.02.12 連係編集プログラム, 目的モジュール間の相互参照を解決し,可能ならば構成 linkage editor,
リンカ 要素を再配置することによって,一つ以上の別々に翻訳 linker
された目的モジュール又はロードモジュールから,一つ
のロードモジュールを作成するために用いられる計算
機プログラム。
きおく
10.02.13 記憶イメージ 主記憶装置中に依存するときのあるがままを示すよう storage image,
core image
な,計算機プログラム及び関連するデータの表現。

――――― [JIS X 0010 pdf 4] ―――――

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X 0010-1987
番号 用語及び読み方 意味 対応英語
せいぎょいき
10.02.14 制御域 制御情報を保持するために計算機プログラムによって control area
用いられる記憶域。
せいぎょ
10.02.15 制御プログラム 一つの計算機プログラムであって,計算機システムにお control program
いて計算機プログラムの実行をスケジュールし,監視す
るように設計されたもの。
じょうちゅう
10.02.16 常駐 特定の記憶装置上に,常時保持される計算機プログラム resident
に関する用語。
ちゅうかく
10.02.17 中核, nucleus,
制御プログラムの,主記憶装置中に常駐する部分。
じょうちゅうせいぎょ
常駐制御プログラム resident control program
10.02.18 システムせいせい
生成, オペレーティングシステムの任意選択部分を選択し,デ system generation,
SYSGEN(頭字語) ータ処理施設の要件に適するような特定のオペレーテ sysgen
ィングシステムを作成する処理。
10.03 操作形態
番号 用語及び読み方 意味 対応英語
いっかつしょり
10.03.01 一括処理,バッチしょり
処理 あらかじめ蓄えられたデータの処理又はジョブの実施 batch processing
であって,その進行中は,利用者がもはや,その処理に
影響を及ぼすことができないような手段によるもの。
えんかくいっかつしょり
10.03.02 遠隔一括処理,えんかくしょり
遠隔 入出力装置がデータリンクを介して計算機にアクセス remote batch processing
バッチ処理 する一括処理。
かいわがた
10.03.03 会話形,たいわがた
対話形 計算機システムの操作形態の一つであって,利用者とシ conversational mode,
time
ステムとの間で交互に取り交される投入及び応答が,二 interactive mode,
者間の対話と同様の手段でなされるようなもの。 sharing(この意味では使
用しないほうがよ
い。)
じつじかん
10.03.04 実時間,リアルタイム 計算機外部の別の処理と関係をもちながら,かつ外部の real time
処理によって定められる時間要件に従って,計算機の行
うデータの処理に関する用語。
注 用語“実時間”は,会話形で動作するシステム,
及びその進行中に人間の介入によって影響を及
ぼすことができる処理を記述するのにも用いら
れる。
ちょっけつ
10.03.05 直結, on-line(イギリ
計算機の直接制御下での機能単位の操作に関する用語。 online,
オンライン スだけ)
ひちょっけつ
10.03.06 非直結, off-line(イギリ
計算機の非直接制御下での機能単位の操作に関する用 offline,
オフライン 語。 スだけ)
たんいつめいれいそうさ
10.03.07 単一命令操作, 一つの計算機命令又はその一部分が,外部信号に呼応し single step operation,
ちくいちめいれいそうさ
逐一命令操作 て実行される計算機の操作形態。 step-by-step operation
10.04 操作技法
番号 用語及び読み方 意味 対応英語
10.04.01 スプーリング 周辺装置と計算機の処理装置との間でデータを転送す spooling
るとき,処理の遅れを短縮するために補助記憶装置を緩
衝記憶として用いること。
注 この用語は,語句"Simultaneous Peripheral
に由来している。
Operation online"
えんかくいっかつにゅうりょく
10.04.02 遠隔一括入力, データリンクを介して計算機にアクセスする入力装置 remote batch entry
えんかく
遠隔バッチにゅうりょく
入力 を通して行われるデータの一括依頼。
えんかく
10.04.03 遠隔ジョブにゅうりょく
入力, RJE
データリンクを介して計算機にアクセスする入力装置 remote job entry,
RJE(省略形) を通したジョブの依頼。

――――― [JIS X 0010 pdf 5] ―――――

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