JIS X 0137-1:2003 CASEデータ交換形式―CDIFフレームワーク―第1部:概要 | ページ 3

X 0137-1 : 2003 (ISO/IEC 15474-1 : 2002)
6.3.1.1 情報の階層 CDIF自身も,CDIF転送ファイルの情報内容を定義するためにモデルを使っている。
第2層は,最初の層の抽象であり,第3層は,第2層の抽象であるというように,幾つかの階層でモデル
が用いられる。それぞれの抽象は,メタ層と呼ばれ,抽象化される層のための規則を定義する。図3及び
それ以降の文章は,CDIFで用いられるメタ層を説明するものである。
Attributable
メタメタモデル
MetaObject
HasSource 1:1
定義する
HasDestination 1:1 MetaEntity
メタモデル
Entity Relationships 定義する
1:1 1:1
IsIdentifiedBy BelongsTo
モデル
1:1 0:N
顧客 注文
向け
定義する
注文番号 注文日付 顧客番号 利用者データ
175B23 2000.01.12 B1742
233X17 1999.12.01 C3456
図 3 多重階層
最終利用者の情報システムは,その運用中,情報を操作している(例えば,注文番号175B23は,顧客
B1742向けのものであるなど)。この情報は,“利用者データ”と呼ばれることがある。利用者データは,
CDIF規格群と,CDIFが情報システムを作成するために利用されるツールとを扱うものであるという事実
以上の関係はない。
二つのモデル化ツール間でCDIFを介して交換される情報は,“モデル”である。そのモデルは,例えば,
受注処理情報システムのデータのモデル(例えば,“注文”と“顧客”とが“向け”で関連付けられるシス
テム)のような,利用者情報システムの記述である。一つのモデルは,一つのCDIF転送ファイルとして
交換される。
転送の中にモデルを保持するために,ソフトウェア工学の手法及び技法で用いられる,データの標準的
な構造が定義されてきた。このようなデータ構造の抽象的な表現は,実体関係属性モデルを用いて定義さ
れている。この表現は,例えば,実体,データ型,プロセスのような,モデルに現れるデータ要素の型定
義であるデータ項目を含んでいる。これは,(モデル内の)データに関するデータなので,“メタモデル”と

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呼ばれることがある。メタモデルを規定するために,合意されたメタデータ構造の一式(図の種類,定義,
表記,技法,及び構文)が定義された。
全体としてこの一式は,(モデル内)のデータに関する(メタモデル内の)データに関するデータなので,
“メタメタモデル”と呼ばれることがある。CDIFメタメタモデルは,フレームワークの規格(JIS X 0137-2)
で定義されている。
6.3.1.2 転送対象と転送手段の分離 CDIFアーキテクチャの基本的な考えは,転送される情報が何であ
るかの定義とその情報をどのように転送するかの定義とを分離することで実現されている。一つのCDIF
転送の情報内容は,あるメタモデルによって定義される。CDIFは,CDIF意味メタモデルと呼ばれる一つ
の規格化されたメタモデルを規定する。転送形式は,その情報を転送における標準形式の中にどのように
組み込まれるべきかの定義を規定する。
図4は,CDIF転送における転送形式と情報内容との分離を示している。これらを統合する共通の要素
が,CDIFメタメタモデルである。CDIFメタメタモデルは,CDIF意味メタモデル及びCDIF転送形式を定
義するための,規則及び構成部品を確立する。
CDIF
メタメタモデル
CDIF CDIF
意味メタモデル 転送形式
図 4 CDIFのアーキテクチャ
6.3.1.3 モデル化アプローチ CDIFにおける転送時に転送される情報の定義と実際の転送形式(すなわ
ち,構文と符号化)との間の明確な分離のために,また複数転送形式への対応のために,転送の(表現的
ではなく)意味的内容のための具体的な定義手段が必要である。この定義は,構文レベルでは完結しない。
この意味的内容は,CDIF意味メタモデルに含まれ,実体関係属性(ERA)モデル化の一種を使って定義
されている。
このモデル化アプローチは,業界標準であるERAモデル化技法から,必要な要素を抜き出して作成され
た。CDIF固有の要件を満たすために幾つかの拡張を施したが,基本的なERAモデル化技法に慣れている
人なら,CDIF意味メタモデルを解釈することは容易であるにちがいない。
この技法の詳細な定義は,JIS X 0137-2にある。
CDIF意味メタモデルの目標は,モデル化ツールにとって有益なすべての情報の定義を提供することで
ある。しかし,これは,一つの規格で対応するにはあまりに大きく複雑な作業である。
CDIF意味メタモデルで採用したアプローチは,CDIF規格群内の他の分野の知識及び理解なしで,それ
ぞれの分野を利用できるようにしながら,あるモデル化技法に固有の定義をそれらの分野に則した方法で
提供することである。これらの分野を“対象分野”と呼ぶ。それぞれの対象分野は,CDIF意味メタモデ

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ル全体を定義する規格群の一部として,一つの個別の規格で定義される。
各対象分野では,メタ実体,メタ属性,及びメタ関係が,その分野を使う手法及び技法が必要とする共
通的な概念を示している。拡張機能は,類似の又は異なるツール間で,付加的な情報が必要になったとき
に,ツール開発者が情報の定義を拡張する手段を規定する。
CDIFメタモデル自身が理解されるためには,CDIFメタモデルを記述するための表記及び技法が適切に
定義されている必要がある。このCDIF意味メタモデルの定義は,CDIFメタメタモデルによって記述され
ている。CDIFメタメタモデルの詳細な記述は,JIS X 0137-2にある。CDIFメタメタモデルは,メタ実体,
それらのメタ属性,及びそれらの間のメタ関係を定義する一貫した方法を提供している。

6.3.2 情報内容

6.3.2.1  意味情報 CDIF意味メタモデル規格群は,それぞれある対象分野を定義する。
対象分野は,その根底にある単一のメタモデルの見方である。メタモデル内のオブジェクトは,一つ以
上の対象分野に現れ得る。
意味情報対象分野は,モデル化ツールによって保持される根底の情報を定義する対象分野である。これ
は,ツール利用者によって入力される情報で,それらの利用者が分析し,設計し,かつ,実装しつつある
システムを表現している。
それらの情報がどのようにツール利用者に表示されるかは関知しない。
6.3.2.2 情報内容の範囲 現行のCDIF意味メタモデル規格群は,ソフトウェア及びシステムのモデルに
出現するオブジェクトのうちの幾つかに対して定義一式を規定している。このメタモデルで記述される情
報を転送する際には,ツール開発者は,他者もこの標準的なメタモデルに準拠することで転送情報の互換
性が保証されると考えてよい。
しかしながら,あるCDIF転送において転送される必要がある情報が,CDIF意味メタモデルの範囲を超
える場合には,CDIF拡張機構を用いる必要がある。その場合,二つのツールの開発者は,彼らが転送し
たい情報に関する,CDIF互換メタモデル定義について,明示的に合意している必要がある。
前述の最初のアプローチがより望ましいが,単一の統合された完全な(かつ,業界が合意した)メタモ
デルをソフトウェア及びシステムのモデルで利用されるすべての情報に対して定義する作業は膨大なので,
徐々に整備していく必要がある。CDIF意味メタモデルは,現在も,そしておそらく将来も,そのような
すべての情報を定義することはないだろう。CDIF規格群の中のCDIF意味メタモデル部は,将来,追加の
対象分野規格群が定義されるにしたがって,修正・拡張されていくことが期待される。
現時点で発効している対象分野の正確な記載については,7. CDIF規格群を参照のこと。

6.3.3 転送形式

 一つのモデルをあるツールから別のツールに転送するためには,完全なメタメタモデル
(すなわち,どのようにメタモデルを構築するかについての完全な定義)及び完全なメタモデル(すなわ
ち,転送したいモデルの意味の完全な定義)だけでなく,転送形式そのものについての完全な定義も,も
たせる必要がある。
CDIFは,複数転送形式の考えに対応できている。意味(すなわち,メタモデル)は,転送形式の定義
からは完全に分離されていて,かつ,メタモデルは,メタメタモデルの中で定義されたメタデータ構造を
用いることによってだけ定義されている。したがって,どんな転送形式でも,それが(一般的な場合に)
メタメタモデルで定義されたメタデータ構造のすべてを表現できるならば,メタモデルの中で定義された
すべての情報を転送することに(そして,メタモデルに適合するどんなモデルを転送することにも)用い
ることができる。
CDIF転送は,しばしば異なった伝送機構(例えば,ファイル,プロセス間リンクなど)によってまか

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                                                            X 0137-1 : 2003 (ISO/IEC 15474-1 : 2002)
なわれるので,転送形式の文法の定義をその文法の符号化の定義から分離する必要がある。CDIFは,一
つの転送形式を,一つの“構文”と一つの“符号化”との組合せで定義する。構文は,転送形式の文法及
び構造の定義である。符号化は,ある構文が物理的にどのように表現されるかを記述したものである。こ
れによって,ある共通の構文を用いながら,使われる伝送機構に最適な符号化を選択することを許してい
る。
例えば,ある構文は,あるメタ実体(例えば,データ流れ図中のプロセスバブル)が転送中に次のよう
に表現されることを宣言することができる。
<MetaEntity-Definition> ::=
METAENTITY <MetaEntity-Type> <MetaEntity-MetaAttributes>
例えば,
METAENTITY PROCESS
Name = MyProcess
Id = 1.0.3
Other = SomeValue
など
これは,あるメタ実体(例えば,MyProcessというPROCESS)が転送中に出現するときには,METAENTITY
という目印が先頭に来て,そのメタ実体の型の識別名(例えば,PROCESS),そのメタ実体のメタ属性の
値(例えば,Name,Idなど)が続くことを宣言している。
一方,符号化は,目印がどのように符号化されるかといったことを記述する。例えば,METAENTITY
という目印は,次のいずれで表現されるだろうか。
−文字列“METAENTITY”
−数字の2(0は,“METAATTRIBUTE”,1は,“METARELATIONSHIP”を示す場合)
−文字“ME”,など
CDIFは,(CDIF転送で用いられる)どんな転送形式でも守る必要がある規則を規定する。
CDIFのアーキテクチャは,複数の転送形式を許している。CDIFは,基準となる一つの構文及び一つの
符号化を規定する。これらは,連携して基準となる転送形式を形成する。

6.4 CDIF規格群

6.4.1 導入

 情報の内容及び転送形式の表現を定義するのに必要な情報の構成を図5に示す。この図は,
CDIF規格群の内容のロードマップを与える。この図は,また,この規格がCDIF規格群全体の中で果たす
役割を示している。

6.4.2 フレームワーク

 JIS X 0137-2は,CDIFメタメタモデルの定義を含んでおり,CDIF規格群全体に
わたって用いられる規則と図記法を記述している。このフレームワークは,CDIF意味メタモデルを拡張
するための規則も定義している。

6.4.3 情報内容

 CDIF意味メタモデルは,一連の個別規格で定義され,個々の規格は個別の対象分野を
構成する要素を識別している。このCDIF意味メタモデルは,CDIF転送のための情報内容を定義する。任
意の個々の転送は,その転送の内容を定義するために一つ以上の対象分野に存在する定義を利用すること
もある。

6.4.4 転送形式

 CDIF転送形式の規格は,三つの部分規格,すなわち,構文及び符号化の一般規則,転
送構文の定義(SYNTAX.1),並びにSYNTAX.1を用いた転送形式の符号化(ENCODING.1)の一式によって定
義されている。

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X 0137-1 : 2003 (ISO/IEC 15474-1 : 2002)

7. CDIF規格群

7.1 導入

 ここでは,発効時におけるCDIF規格群,すなわち,モデル化及び拡張性のためのフレー
ムワーク,CDIF意味メタモデルを定義した規格群,並びに転送形式規格群について示す。
MetaObject
CDIF フレームワーク
第1部 : 概要 第2部 : モデル化及び拡張性
CDIF 意味メタモデル CDIF 転送形式
第1部 : 基盤
第1部 : 構文及び符号化の一般規則
第2部 : 共通
第2部 : 構文 SYNTAX.1
第3部 : データ定義
第3部 : 符号化 ENCODING.1
第4部 : データモデル
第5部 : データ流れモデル
第6部 : 状態事象モデル
図 5 CDIF規格群のアーキテクチャ

7.2 規格文書

 完全なCDIF規格群は,次のとおりとする。
− CASEデータ交換形式 -CDIFフレームワーク
JIS X 0137-1 CASEデータ交換形式-CDIFフレームワーク-第1部 : 概要
備考 ISO/IEC 15474-1:2002, Information technology - CDIF framework - Part 1: Overviewが,この
規格と一致している。
JIS X 0137-2 CASEデータ交換形式-CDIFフレームワーク-第2部 : モデル化及び拡張性
備考 ISO/IEC 15474-2:2002,Information technology - CDIF framework - Part 2: Modelling and
extensibilityが,この規格と一致している。
− CASEデータ交換形式 - CDIF転送形式
ISO/IEC 15475-1:2002, Information technology - CDIF Transfer format - Part 1: General rules for syntaxes
and encodings
参考 JIS X 0138-1 CASEデータ交換形式―CDIF転送形式―第1部 : 構文及び符号化の一般規則
としてJIS化の予定。
ISO/IEC 15475-2:2002, Information technology - CDIF Transfer format - Part 2: Syntax SYNTAX.1
参考 JIS X 0138-2 CASEデータ交換形式―CDIF転送形式―第2部 : 構文 SYNTAX.1としてJIS
化の予定。
ISO/IEC 15475-3:2002, Information technology - CDIF Transfer format - Part 3: Encoding ENCODING.1

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JIS X 0137-1:2003の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 15474-1:2002(IDT)

JIS X 0137-1:2003の国際規格 ICS 分類一覧