JIS X 0170:2020 システムライフサイクルプロセス | ページ 17

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
b) システム要素が実現されている。
c) システム要素が一つにまとめられパッケージ化されているか又は保管されている。
d) 実装の実施を可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム又はサービスが利用可能になっ
ている。
e) トレーサビリティが確立されている。
6.4.7.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,実装プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティ
ビティ及びタスクを実装しなければならない。
a) 実装の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 実装戦略を定義する。
注記1 実装戦略には,新規作成,新規取得又は(変更の有無にかかわらず)既存要素の再利用
が含まれる。再利用する戦略である場合は,プロジェクトは再利用されるシステム要素
が対応するシステム階層中のレベル,システム要素の供給源及び再利用目的への適合性
を決定する必要がある。実装戦略には,実装手順,組立てプロセス,ツール及び機器,
実装の許容誤差,並びに検証の不確実性が含まれる。システム要素の実装が繰り返され
る場合(例えば,大量生産,システム要素の置換)は,一貫性及び再現性のある生産可
能性・製造性を達成するために実施する実装手順及び組立てプロセスが定義される。
注記2 実装戦略では,合意プロセスを呼び出して実行するか,又は実装に合わせて特化したラ
イフサイクル開発及び支援環境を含む,イネーブリングシステム及びサービスを要求す
ることがよくある。
2) システム要求事項,アーキテクチャ特性,設計特性又は実装技法に課される制約を,実装戦略及び
実装技術に関して識別する。
注記 これには,次に関する現在及び将来の予想される制限が含まれる。
− 選択された実装技術,適用するために取得者が供給した資材又はシステム要素
− 要求された実装支援用イネーブリングシステムを利用した結果の制限
3) 実装を支援するために必要とするイネーブリングシステム又はサービスを識別し計画する。
注記 これには,イネーブリングシステムの要求事項及びインタフェースを含む。
4) 利用されるイネーブリングシステム若しくはサービス,及び資材を,獲得する又はそれらへのアク
セスを取得する。
注記 実装・インテグレーションの実現を支援するイネーブリングシステムの支援機能が,意図
されたように利用できるかを客観的に確認するために,妥当性確認プロセスが用いられる。
b) 実装を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
注記 実装プロセスを通じて,検証プロセスは,要求事項に対するシステム要素の適合性及び製品
の品質特性を客観的に確認するために用いられる。妥当性確認プロセスは,利害関係者要求
事項に対応するように,意図された運用環境でシステム要素を使用することが可能な状態に
あることを客観的に確認するために用いられる。
1) 戦略,制約,及び定義された実装手順に従って,システム要素を実現又は適応させる。
注記 これは,実装支援用イネーブリングシステム及び指定された資源を使用して行われる。シ
ステム要素の実現には,それらの開発又は取得を含めてもよい。適応には,再利用又は変
更されたシステム要素を構成して実装することが含まれる。実現又は適応は,適用可能な

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安全性,セキュリティ,プライバシー,及び環境指針又は法令,並びに関連する実装技術
の実践方法を統括する標準に沿って行う。
− ハードウェア
ハードウェア要素は,取得されるか又は組立て・製造される。ハードウェア要素は,
選択された物理的な実装技術及び資材に関連する適用可能な技術を用いて組立て・製
造される。適切な場合は,ハードウェア要素が,指定されたシステム要求事項及び重
大な品質特性に適合していることが検証される。
− ソフトウェア
ソフトウェアで実現されるシステム要素は,取得されるか又は開発される。適切な
場合は,これらの要素はシステム要求事項及び設計基準に適合していることが検証さ
れる。ISO/IEC/IEEE 12207は,ソフトウェアで実現されるシステム要素に適用される。
− サービス
サービス要素には,提供される一連のサービスが含まれる。適切な場合は,サービ
ス要素が,システム要求事項及びサービス基準に適合していることが検証される。JIS
Q 20000-1:2012(IEEE Std 20000-1-2013)は,サービスで実現されるシステム要素に
適用される。
− 利用及び支援の資源
その他のシステム要素には,運用手順,保守手順,利用者の教育訓練などの,利用
及び支援の資源が含まれる。適切な場合は,利用及び支援の資源の要素が,システム
要求事項及びシステムレベルの運用概念に適合していることが検証される。
2) システム要素を一つにまとめてパッケージ化し,保管する。
注記 システム要素がもっている特性の持続を達成するために,システム要素を保つ。運搬及び
保管,並びにそれらの期間は,指定された特性保持の制御に影響を及ぼす。最終的な構成
及び製品情報は,システム要素が保管されるときに,構成管理及び情報管理プロセスによ
って,捕捉され,形あるものに記録保存される。
3) システム要素がシステム要求事項に合致することを示す客観的証拠を記録する。
注記 証拠は,供給合意,法律及び組織方針に従って提供される。証拠には,処理の変更による
要素の変更,又は検証及び妥当性確認プロセスで見つかった不適合のために行われた要素
の変更が含まれる。客観的証拠は,構成管理プロセスを通じて確立された,システム要素
の,実際に実装されたときの実装構成ベースラインの一部となる。客観的証拠には,単体
テスト,分析,インスペクション,ウォークスルー実施イベント,実演による実証説明,
製品レビュー若しくは技術レビュー,又はその他の検証を実行した結果が含まれる。
c) 実装の結果を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 実装結果及び遭遇した全ての不具合(anomalies)を記録する。
注記 これには,実装戦略,実装支援用イネーブリングシステム,又は誤りのあるシステム定義
を起因とした不具合が含まれる。根本原因を識別し,是正処置又は改善作業を実現可能に
し,かつ,学んだ教訓を記録する目的でデータを分析するために,プロジェクトアセスメ
ント及び制御プロセスが用いられる。
2) 実装されたシステム要素のトレーサビリティを維持する。
注記 実装されたシステム要素と,実装に必要なインタフェース要求事項及び定義を含むシステ

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ム要求事項,システムアーキテクチャ,並びに設計との間で,双方向のトレーサビリティ
が維持される。
3) ベースラインのために選定された重要な情報項目を提供する。
注記 構成管理プロセスが,構成品目及びベースラインを確立し維持するために用いられる。こ
のプロセス(実装)で,ベースラインのための候補となる情報項目を識別し,そしてCM
へ情報項目を提供する。このプロセスにおいてベースライン化される典型的な情報項目は,
システム要素である。
6.4.8 インテグレーションプロセス(Integration process)
6.4.8.1 目的
インテグレーションプロセスは,システム要求事項,アーキテクチャ及び設計を満たす,実現されたシ
ステム(製品又はサービス)へと,システム要素の集合を統合することを目的とする。
このプロセスは,実装されたシステム要素を組み立てる。システム要素の相互運用を意図どおりできる
ようにするために,インタフェースを識別し,有効化する。このプロセスでは,相互運用が容易となるよ
う,イネーブリングシステムを対象システムと統合する。
注記1 このプロセスでは,指定されたシステム階層レベルについて,製品又はサービスを構築する
ために,実装されたシステム要素を繰り返し組み合わせ,完全に要素をそろえたシステム構
成か,又は部分的なシステム構成を形成する。このプロセスは,システム階層の連続してい
る各階層レベルで再帰的に用いられる。
注記2 インタフェースは,アーキテクチャ定義及び設計定義プロセスによって定義される。このプ
ロセスは,これらの他プロセスと連携,及びインタフェース定義が必要十分となるようにチ
ェックし,並びにインタフェース定義がインテグレーションのニーズを考慮したものにする。
6.4.8.2 成果
インテグレーションプロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) インタフェースを含むシステム要求事項,アーキテクチャ又は設計に影響を及ぼすインテグレーショ
ン制約が識別されている。
b) 組み立てられたインタフェース及びシステム機能の,適正な運用のための取組方法及びチェックポイ
ントが定義されている。
c) インテグレーションを可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム又はサービスが利用可
能になっている。
d) 実装されたシステム要素からなるシステムが統合によってインテグレーションされている。
e) システムを構成する実装されたシステム要素間のインタフェースがチェックされている。
f) システムと外部環境との間のインタフェースがチェックされている。
g) 統合されたインテグレーション結果及び不具合が識別されている。
h) 統合されたシステム要素のトレーサビリティが確立されている。
6.4.8.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,インテグレーションプロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次
に示すアクティビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) インテグレーションの準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 組み立てられたインタフェース及び選択されたシステム機能の,適正な運用及び完整性のためのチ
ェックポイントを識別し,定義する。

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注記1 インタフェースの詳細な検証は,検証プロセスを用いることによって実施する。
注記2 アシュアランス,完整性及びセキュリティについては,ISO/IEC 15026シリーズ及び
ISO/IEC 27000シリーズを参照。チェックポイントを識別して定義するときは,偽造防
止,改ざん防止,システム・ソフトウェアのアシュアランス及び相互運用性の要素を考
慮する。
2) インテグレーション戦略を定義する。
注記1 インテグレーションは,あらかじめ定義されたインテグレーション戦略に従って実行さ
れる。インテグレーション戦略は,インテグレーションの時間,コスト及びリスクを最
小限に抑えながら,インタフェースに焦点を当てたシステム要求事項及びアーキテクチ
ャ定義の優先順位に基づいて,実装されたシステム要素を組み立てる順序を決める。
注記2 この戦略は,システム要素の構成を段階的により完全なものにし,その順序に対応させ
て検証ができるようにすることがよくある。それはシステム要素のアベイラビリティに
依存し,障害部分の切分け及び診断の戦略との一貫性をもっている。可能な場合は通常,
統合された構成にシステムの運用を担当する人間の運用操作者を含む。対象システムが
実現されるまで,途中段階の各階層のシステムに対し,インテグレーションプロセス,
検証プロセス,及び適切な場合には妥当性確認プロセスも含めたプロセスを順次適用す
ることが繰り返される。
3) インテグレーションを支援するために必要とするイネーブリングシステム又はサービスを識別し計
画する。
注記 これには,イネーブリングシステムの要求事項及びインタフェースの識別を含む。インテ
グレーションのためのイネーブリングシステムには,インテグレーション設備,組立て機
器,教育訓練システム,不一致報告システム,シミュレータ,計測機器,施設セキュリテ
ィなどがある。イネーブリングシステムがインテグレーションタスクを支援するために必
要な変更を識別し,定義する必要がある。これらの変更の必要性は,イネーブリングシス
テムを統括管理する利害関係者に提供される。
4) 利用されるイネーブリングシステム若しくはサービス,及び資材を,獲得する又はそれらへのアク
セスを取得する。
注記 インテグレーションの実現を支援する,インテグレーション用イネーブリングシステムの
支援機能が意図されたように利用できるかを客観的に確認するために,妥当性確認プロセ
スが用いられる。
5) システム要求事項,アーキテクチャ,又は設計に組み込まれるシステム制約を,インテグレーショ
ンに関して識別する。
注記 これは,次に関する要求事項を含む。アクセス可能性,インテグレーション担当者の安全
性,実装されたシステム要素の集合及びインテグレーション実現手段の間に要求される相
互接続,並びにインタフェースの制約など。
b) インテグレーションを実施する。システムが完全に統合されるまで,システム要素構成を順次統合す
る。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 合意されたスケジュールに従って実装されたシステム要素を取得する。
注記 実装されたシステム要素を,供給者,取得者から受け取るか,又は格納場所から取り出す。
システム要素は,関連する人の健康,安全性,セキュリティ,及びプライバシーに関する

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考慮事項に従って取り扱う。実装されたシステム要素の受入れの一環として,各要素は,
合意の中で指定された受入れ基準に対して検証及び妥当性確認がなされていることを確認
するためにチェックされる。納入された構成,適合性,インタフェースの互換性,及び必
須情報項目の存在がチェックされる。検証に合格しない実装されたシステム要素は,その
ことが識別され,定義された手順に従って取り扱う。
2) 実装されたシステム要素を組み立てる。
注記 インテグレーション戦略に規定されているように,実装されたシステム要素を接続するシ
ステム要素構成(完全又は部分)を達成するために,組立てを実行する。このとき,定義
された組立て手順,インタフェース制御記述及び関連するインテグレーション用イネーブ
リングシステムを使用する。
3) インタフェース,選択された機能及び重大な品質特性のチェックを実施する。
注記 これは,インタフェース(外部及び内部),機能及び品質特性の運用を確実にするために実
行する。インタフェースは,インタフェース要求事項に対して照合する検証プロセスを用
いてチェックする。
c) インテグレーション結果を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) インテグレーション結果及び遭遇した全ての不具合を記録する。
注記 これには,インテグレーション戦略,インテグレーション用イネーブリングシステム,イ
ンテグレーションの実行,又はシステム若しくは要素についての誤りのある定義を起因と
した不具合が含まれる。システム,指定された運用環境及び利用段階を実現可能にするた
めの各システムの間のインタフェースに不整合が存在する場合,その逸脱は是正処置又は
要求事項の変更につながる。根本原因を識別し,是正処置又は改善処置を可能にし,かつ,
学んだ教訓を記録する目的でデータを分析するために,プロジェクトアセスメント及び制
御プロセスが用いられる。
2) 統合されたシステム要素のトレーサビリティを維持する。
注記 統合されたシステム要素と,インテグレーション戦略,インテグレーションに必要なイン
タフェース要求事項及び定義を含むシステム要求事項,システムアーキテクチャ及び設計
との間で,双方向のトレーサビリティを維持する。
3) ベースラインのために選定された重要な情報項目を提供する。
注記 構成管理プロセスが,構成品目及びベースラインを確立し維持するために利用される。こ
のプロセス(インテグレーション)で,ベースラインのための候補となる情報項目を識別
し,そしてCMへ情報項目を提供する。このプロセスにおいてベースライン化される典型
的な情報項目は,インテグレーション戦略である。
6.4.9 検証プロセス(Verification process)
6.4.9.1 目的
検証プロセスは,システム又はシステム要素がその指定された要求事項及び特性を満たしていることの
客観的な証拠を提供することを目的とする。
検証プロセスは,任意の情報項目(例えば,システム要求事項又はアーキテクチャ記述),実装されたシ
ステム要素又はライフサイクルプロセスにおける不具合(エラー,欠陥又は障害)を,適切な手法,技法,
標準又は規則を用いて識別する。このプロセスは,識別された不具合の解決策を決定するために必要な情
報を提供する。

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