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注記 検証プロセスは,“製品が正しく作られた”ことを判断する。妥当性確認プロセスは,“正しい
製品が作られた”ことを判断する。
6.4.9.2 成果
検証プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 要求事項,アーキテクチャ,又は設計に影響を及ぼす検証の制約が識別されている。
b) 検証の実施を可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム又はサービスが利用可能になっ
ている。
c) システム又はシステム要素が検証されている。
d) 是正処置のための情報を提供するデータが報告されている。
e) 実現されたシステムが,要求事項,アーキテクチャ及び設計を満たすことを示す,客観的な証拠が提
供されている。
f) 検証結果及び不具合が識別されている。
g) 検証されたシステム要素のトレーサビリティが確立されている。
6.4.9.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,検証プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティ
ビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) 検証の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
注記 この戦略は,一般に,システム又はシステム要素が“正しく作られている”ことを確認する
ためのバランスのとれた取組方法を提供することによって,コスト及びスケジュール,並び
にリスクの双方又はいずれかを最小化することに焦点を当てる。
1) 検証範囲及び範囲に対応する検証作業を識別する。
注記 検証範囲には,要求事項,アーキテクチャ及び設計の特性又はその他の検証すべき性質を
含む。各検証作業に対する戦略には,次を記述する。検証対象となるシステム要素又は作
成物(実際のシステム若しくはモデル,モックアップ,プロトタイプ,手順,計画,又は
他の文書),及びその遂行能力・性能・運用時の実績又は適合性から導かれるような期待さ
れる結果。設計の特性は,計画されている運用環境の状況に対応する設計に含め得るセキ
ュリティの度合い,及び重大な品質特性の達成度を含む。
2) 検証作業の実現可能性を制限する可能性のある制約を識別する。
注記 制約には,技術面の実現可能性,コスト,時間,検証の実現手段が利用可能か,又は適格
性のある有資格の検証要員が作業可能かの,アベイラビリティ,契約上の制約,及びミッ
ションの重大性のような特性を含む。
3) 各検証作業に対して,適切な検証手法又は技法,及び対応付けられた基準を選択する。
注記 検証手法又は技法には,インスペクション(ピアレビューを含む。),分析(モデリング,
シミュレーション,及び相似性・類似性の分析を含む。),具体例の実演による実証,又は
テストを含む。検証手法又は技法の選択は,システムの種別,プロジェクトの目標,及び
受容可能なリスクに対応させて決める。検証の取組方法が受入れ可能なものになることを
確実にするのを助けるため,選択された検証手法は関係する利害関係者と調整する。
4) 検証戦略を定義する。
注記1 この定義は,制約又は制限に対して,何を検証していくか(検証の範囲)のトレードオ
フ分析を含み,どのような検証作業を利用すべきかを導出する。実施せずに削除する候
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補とした検証作業は,それらを実施しないことが与えるリスクを評価する。優先順位付
けされた検証戦略として次を含める。各検証作業についての最も適切な検証手法又は技
法,及び選択された検証手法又は技法が必要とする検証用イネーブリングシステム(シ
ミュレータ,テスト環境,適格性のある有資格の検証要員,作業場所,施設・設備など)。
注記2 検証戦略及びスケジュールは,プロジェクトの進捗に応じて更新する。特に,予期しな
いイベント又はシステムの発展が起きたときは,計画されていた検証作業を,再定義又
は再スケジュールする。
5) システム要求事項,アーキテクチャ又は設計に組み込まれるシステム制約を,検証戦略から識別す
る。
注記 これは,精度も含めた正確性,不確実性及び再現性に関する実用上の制限を含む。これら
の制限は,次によって課せられる。検証の実現手段,関連する測定手法,システムインテ
グレーションの必要性,並びに検証実現手段のアベイラビリティ,アクセス性及び相互接
続。
6) 検証を支援するために必要とするイネーブリングシステム又はサービスを識別し計画する。
注記 検証用イネーブリングシステムには,検証用の装置・機器,シミュレータ,テスト自動化
ツール,検証用の施設・設備などを含む。
7) 利用されるイネーブリングシステム若しくはサービスを,獲得する又はそれらへのアクセスを取得
する。
注記 検証用イネーブリングシステムの取得は,貸借,調達,開発,再利用又は下請負契約のよ
うな様々な方法を通じて実施可能である。通常,これらの方法を組み合わせて,検証実現
手段をそろえた完全な集合を取得する。検証の実現を支援する検証用イネーブリングシス
テムの支援機能が,意図したように利用できるかを客観的に確認するために,妥当性確認
プロセスが用いられる。
b) 検証を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) それぞれが一つの検証作業,又は一連の複数の検証作業を支援するような,検証手順を定義する。
注記 これらの検証手順は,次を用いて検証の目的を識別する。成功の判断基準(期待される結
果),適用される検証技法,必要なイネーブリングシステム(施設・設備,装置・機器など),
及び各検証手順を実施するための環境条件(資源,適格性のある有資格の検証要員など)。
2) 検証手順を実施する。
注記 検証戦略に従った検証は,スケジュールにおける適切な時期に実施される。検証アクティ
ビティは,定義された環境におけるシステムライフサイクルの適切な時点で,定義された
イネーブリングシステム及び資源を用いて遂行される。検証作業の遂行は,検証手順の実
行結果を把握して記録に残すこと,期待される結果と得られた結果とを比較すること,及
び検証へ提供された要素の,誤りのない正しさの度合いを導出することからなる。
c) 検証の結果を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 検証結果及び遭遇した全ての不具合を記録する。
注記1 これは,検証戦略,検証用イネーブリングシステム,検証の実行,又は誤りのあるシス
テム定義が原因となった不具合を含む。根本原因の識別,是正処置又は改善作業の実現,
及び学んだ教訓の記録を目的としてデータを分析するために,プロジェクトアセスメン
ト及び制御プロセスが用いられる。
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注記2 プロジェクトアセスメント及び制御プロセスでの検証結果の評価,及び検証後に追跡調
査して行う是正処置は,検証の目的に大きく依存し,様々なものになり得る。システム
要素に対して,検証に失敗したシステム要素の対処を行って再検証を単に行うような問
題解決作業となるか,又は,例えば,システムテストの失敗のような,重要な節目とな
るマイルストーンの達成の失敗に基づいて,プロジェクトの重大な方向転換を設定する
ような,より重要な作業にもなり得る。
2) インシデント及び問題を記録し,それらの解決を追跡する。
注記 問題解決の実行は,品質保証プロセス,並びにプロジェクトアセスメント及び制御プロセ
スを通じて取り扱う。要求事項,アーキテクチャ,設計,又はシステム要素への実際の変
更は,他のテクニカルプロセス内で行う。
3) システム又はシステム要素が明示された要求事項に合致していることについて,利害関係者の合意
を得る。
4) 検証されたシステム要素のトレーサビリティを維持する。
注記 検証されたシステム要素と,検証戦略,システムアーキテクチャ,設計及びシステム要求
事項との間で,双方向のトレーサビリティを維持する。
5) ベースラインのために選定された重要な情報項目を提供する。
注記 構成管理プロセスが,構成品目及びベースラインを確立し維持するために利用される。こ
のプロセス(検証)で,ベースラインのための候補となる情報項目を識別し,そしてCM
へ情報項目を提供する。このプロセスにおいてベースライン化される典型的な情報項目は,
検証戦略である。
6.4.10 移行プロセス(Transition process)
6.3.10.1 目的
移行プロセスは,システムが運用環境において,利害関係者要求事項によって規定されたサービスを供
給する能力を確立することを目的とする。
このプロセスは,システムを秩序ある計画された方法で,システムが機能し,運用操作可能で,他の運
用システムと相互に運用できるような,運用状態へ移す。このプロセスは,合意によって定めたように,
例えば,計画システム,支援システム,運用操作者向け教育訓練システム,利用者向け教育訓練システム
といった関連するイネーブリングシステムとともに,検証済みのシステムを導入する。このプロセスは,
段階の終了に対して確立されている基準を完了するために,システム構造の中の各レベル及び各段階で使
用される。それには,該当する保管,取扱い及び出荷用のイネーブリングシステムの準備を含む。
注記 システムをアップグレードする場合は,進行中の運用の中断を最小限に抑えるように,移行ア
クティビティの実施を達成する必要がある。
6.4.10.2 成果
移行プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) システム要求事項,アーキテクチャ又は設計に影響を及ぼす移行の制約事項が識別されている。
b) 移行の実施を可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム又はサービスが利用可能になっ
ている。
c) 移行先の運用サイトが準備されている。
d) 運用場所に導入されたシステムが規定された機能を提供する能力がある。
e) システムの利用及び支援に必要な運用操作者,利用者及び他の利害関係者が教育訓練されている。
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f) 移行の結果及び不具合が識別されている。
g) 導入されたシステムが起動されて運用の準備が整っている。
h) 移行された要素のトレーサビリティが確立されている。
6.4.10.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,移行プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティ
ビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) 移行の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 移行戦略を定義する。
注記 移行戦略は,システムを運用するサイトでの納入及び導入設置から,システムの展開配備
及び試験的運用を含めた運用開始の権限付与までの,合意に従って行う,全てのアクティ
ビティを含む。それは,システムの完整性が維持されるように支援する適切な仕組みを使
用して行う。戦略は,運用操作者を含めた全ての利害関係者が関与する。戦略は,役割及
び責任,施設の考慮事項,受渡し,移行中に問題が発生する有事に対応して作業を取り消
し後退させるための計画,教育訓練,導入受入れの実演による実証作業,運用準備レビュ
ー,運用開始,移行成功基準,並びに他の計画と統合することを含む。システムの試験的
運用は,旧システムが存在する場合には,それを廃止することと併せて考慮される。この
場合,移行プロセス及び廃棄プロセスは並行して用いられる。
2) 施設又はサイトについて,全ての必要な変更を識別して定義する。
注記 これは,導入又は利用に必要な変更を含む。
3) システムの利用及び支援に必要な運用操作者,利用者及びその他の利害関係者の教育訓練を識別し
て用意する。
4) システム要求事項,アーキテクチャ又は設計に組み込まれるシステム制約を,移行に関して識別す
る。
5) 移行を支援するために必要とするイネーブリングシステム又はサービスを識別し計画する。
注記 これは,イネーブリングシステムの要求事項及びインタフェースの識別を含む。
6) 使用されるイネーブリングシステム又はサービスへのアクセス権を取得又は獲得する。
注記 移行の実現を支援する移行用イネーブリングシステムの支援機能が,意図したように利用
できるかを客観的に確認するために,妥当性確認プロセスが用いられる。
7) システム要素及びイネーブリングシステムの受渡しを識別し準備する。
b) 移行を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) システムの導入についての要求事項に従って,運用サイトを準備する。
注記 移行先の運用サイトの準備は,適用可能な人の健康,安全性,セキュリティ及び環境に関
する規則に従って実施する。
2) 適正な場所及び時間に導入するように,システムを納入する。
注記 納入する前の中間時点の保管についても説明が必要になることがある。
3) システムを運用場所に導入し,そこでの環境とのインタフェース接続を確立する。
注記 システム導入には,運用環境への変更又はビジネス上のプロセスの変更を考慮して,シス
テムを要求される運用データとともに構成することを含む。データ移行を検討する必要が
ある場合もある。
4) システムが適切に導入されたことを実証する。
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注記 一般的に,納入のための合意で定義された受入れテストを行うことによって,導入が満足
のいくものであったことを示す。運用の正確な場所又は環境が利用できない場合には,代
表的な例となる運用場所及び環境を選択する。物理的なインタフェースには特に注意を払
う。
5) システムの利用及び支援に必要な運用操作者,利用者及びその他の利害関係者の教育訓練を提供す
る。
6) システムを起動し動作チェックを実施する。
注記1 このタスクでは,運用手順,組織の方針及び規制に従って,電源の投入,機器チェック,
環境条件のアセスメント及びその他の準備状況の評価を含む,システムを運用可能な稼
動状態にするために必要な全ての手順を実行する。このタスクは,妥当性確認プロセス
とも相互作用し,システムが運用環境で利害関係者の要求事項を満たしていることを客
観的に確認する。
注記2 このタスクには,完整性のチェック及び技術標準への適合を含む。チェックポイントを
識別し定義するときは,偽造防止,システム及びソフトウェアのアシュアランス,並び
に相互運用性をもった要素を通常考慮する。
7) 導入されたシステムがその要求される機能を供給する能力をもつことを実証する。
注記1 合意で規定された受入れテストでは,システムが運用場所に導入されて運用操作者が要
員配置されているときに,システム又はシステム要素が,要求される機能及びサービス
を供給する能力をもっていることを,実演によって実証する基準を定義することができ
る。重要な機能及び論理インタフェースに特に注意が払われる。
注記2 これは,運用状態に向けて機能的な能力の準備を詳細調査する運用準備のタスクである。
妥当性確認プロセスは,システムが利害関係者のニーズを満たすかどうかを評価する。
8) システムによって提供される機能がイネーブリングシステムによって持続可能であることを実証す
る。
注記 これは,運用状態に向けてイネーブリングシステムの準備を詳細調査する運用準備のタス
クである。
9) 運用準備に向けてシステムをレビューする。
注記 これには,結果として運用できるようになった機能の実演による実証,妥当性確認アクテ
ィビティ,及びシステム運用維持の実演による実証が含まれる。
10) システムに運用の権限を与える。
注記 これは,システムの運用開始(試験的な運用)の期間中に,利用者及び運用操作者への支
援を提供することを含む。
c) 移行の結果を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 移行の結果及び遭遇した全ての不具合を記録する。
注記 これは,移行戦略,移行用イネーブリングシステム,移行の実行又は誤りのあるシステム
定義に起因する不具合を含む。システムと,その指定された運用環境及び利用段階の実現
を可能にする任意のシステムとの間のインタフェースに不整合が存在する場合,その逸脱
は,是正処置又は要求事項の変更によって解決される。根本原因の識別,是正処置又は改
良作業の実現,及び学んだ教訓の記録を目的としてデータを分析するために,プロジェク
トアセスメント及び制御プロセスが用いられる。
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