JIS X 0170:2020 システムライフサイクルプロセス | ページ 19

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
2) インシデント又は問題を記録し,解決を追跡する。
注記 問題解決の実行は,品質保証プロセス,並びにプロジェクトアセスメント及び制御プロセ
スを通じて取り扱う。要求事項,アーキテクチャ,設計又はシステム要素への実際の変更
は,他のテクニカルプロセス内で行う。
3) 移行されるシステム要素のトレーサビリティを維持する。
注記 移行されるシステム要素と,移行戦略,システムアーキテクチャ,設計及びシステム要求
事項との間で,双方向のトレーサビリティを維持する。
4) ベースラインのために選定された重要な情報項目を提供する。
注記 構成管理プロセスが,構成品目及びベースラインを確立し維持するために利用される。こ
のプロセス(移行)で,ベースラインのための候補となる情報項目を識別してCMへ情報
項目を提供する。このプロセスにおいてベースライン化される典型的な情報項目は移行戦
略である。
6.4.11 妥当性確認プロセス(Validation process)
6.4.11.1 目的
妥当性確認プロセスは,システムがその利用中に,意図された運用環境で意図された用途を達成するこ
とで,そのビジネス又はミッションの目標及び利害関係者要求事項を満たすという客観的証拠を提供する
ことを目的とする。
システム又はシステム要素の妥当性を確認することの目標は,それらが,特定の運用条件下で,意図さ
れたミッションを達成できる,又は意図されたように利用できるという確信を得ることである。妥当性確
認は利害関係者によって承認される。このプロセスは,識別された不具合を,不具合原因が作り込まれた
ところで,適切なテクニカルプロセスによって解決できるために必要な情報を提供する。
注記1 妥当性確認プロセスは,“正しい製品が作られた”ことを判断する。検証プロセスは,“製品
が正しく作られた”ことを判断する。
注記2 妥当性確認は,システムの定義及び実現中に作成された,エンジニアリングの中間作成物(シ
ステム要素とみなされる。)に対しても適用可能である。
6.4.11.2 成果
妥当性確認プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 利害関係者要求事項に対する妥当性確認基準が定義されている。
b) 利害関係者が要求するサービスのアベイラビリティが確認されている。
c) 要求事項,アーキテクチャ又は設計に影響を及ぼす妥当性確認の制約が識別されている。
d) システム又はシステム要素が妥当性確認されている。
e) 妥当性確認の実施を可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム又はサービスが利用可能
になっている。
f) 妥当性確認結果及び不具合が識別されている。
g) 実現したシステム又はシステム要素が利害関係者ニーズを満たすことを示す,客観的な証拠が提供さ
れている。
h) 妥当性確認されたシステム要素のトレーサビリティが確立されている。
6.4.11.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,妥当性確認プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すア
クティビティ及びタスクを実施しなければならない。

――――― [JIS X 0170 pdf 91] ―――――

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a) 妥当性確認の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 妥当性確認の範囲及び対応する妥当性確認作業を識別する。
注記1 範囲には,評価される利害関係者要求事項を含める。各妥当性確認作業に対する戦略に
は,次を記述する。妥当性確認のための利害関係者ニーズ及び利害関係者要求事項,妥
当性確認が実施されるシステム又はシステム要素,並びにその実施から期待される結果。
範囲は,何を妥当性確認することがそのシステムライフサイクル段階でふさわしいか,
に依存する。それは対象システム若しくは任意のシステム要素,又はエンジニアリング
の中間作成物であり,例えば,概念の記述若しくは文書,運用シナリオ,モデル,モッ
クアップ又はプロトタイプであり得る。範囲は,次を評価することも含む。製品又はサ
ービスが意図された環境下で予測どおりの振る舞いをすること,及びシステムの意図さ
れた用途に悪影響を及ぼす意図しない使用ができないこと。
注記2 供給者,取得者又は取得者の代理者は,妥当性確認に参加,又は妥当性確認を実施する。
その責任は一般に,合意によって示される。
2) 妥当性確認作業の実現可能性を制限する可能性のある制約を識別する。
注記 制約には,技術面の実現可能性,コスト,時間,妥当性確認の実現手段が利用可能か,又
は適格性のある有資格の妥当性確認要員が作業可能かの,アベイラビリティ,契約上の制
約,及びミッションの重大性のような特性を含む。
3) 各妥当性確認作業に対して,適切な妥当性確認手法又は技法,及び対応付けられた基準を選択する。
注記1 妥当性確認の手法又は技法には,インスペクション,分析,相似性・類似性,具体例の
実演による実証,シミュレーション,ピアレビュー,テスト又は認証を含む。妥当性確
認の手法又は技法の選択は,システムの種別及び目的,プロジェクトの目標,規制又は
法律面の要求事項,並びに妥当性確認作業における受容可能なリスクに対応させて決め
る。
注記2 適切な場合には,妥当性確認の実施の段階又は状態が定義される(例えば,組織内での
妥当性確認,現地の運用サイトでの妥当性確認,運用中の妥当性確認)。それは,納入さ
れたシステム,導入され設置されたシステム,稼働したシステムが順に段階を経て適合
することを示して信頼を漸進的に構築し,発見し遭遇した全ての不具合の診断を支援す
る。妥当性確認の各段階の目的,条件及び適合基準で定義されているように,妥当性確
認作業の実施に必要な,適切な妥当性確認技法が選択される。
4) 妥当性確認戦略を定義する。
注記1 この定義は,制約又は制限に対して,何を妥当性確認していくか(妥当性確認の範囲)
のトレードオフ分析を含み,どの妥当性確認作業を維持するかを推論して決定したもの
にする。実施せずに削除する候補としている妥当性確認作業については,それらの妥当
性確認作業を実施しないことが与えるリスクを評価する。優先順位付けされた妥当性確
認戦略は同時並行して次を定義することで策定する。各妥当性確認作業についての最も
適切な妥当性確認技法,及び選択された妥当性確認技法が必要とする妥当性確認の実現
手段(シミュレータ,テストベンチ,適格性のある有資格の妥当性確認要員,作業場所,
施設・設備など)。
注記2 妥当性確認戦略及びスケジュールは,プロジェクトの進捗に応じて更新する。特に,予
期しないイベント又はシステムの発展が起きたときは,計画されていた妥当性確認作業

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を,再定義又は再スケジュールする。
注記3 この戦略は一般に費用及びスケジュール,並びにリスクの,双方又はいずれかを最小化
することに焦点を当てる。
5) 利害関係者要求事項に組み込まれるシステム制約を,妥当性確認戦略から識別する。
注記 これは,精度も含めた正確性,不確実性及び再現性に関する実用上の制限を含む。これら
の制限は,次によって課せられる。妥当性確認の実現手段,関連する測定手法,並びに妥
当性確認の実現手段のアベイラビリティ,アクセス性及び相互接続。
6) 妥当性確認を支援するために必要とするイネーブリングシステム又はサービスを識別し計画する。
注記 これには,イネーブリングシステムに対する要求事項及びインタフェースの識別を含む。
妥当性確認用イネーブリングシステムには,妥当性確認用の装置・機器,シミュレータ,
テスト自動化ツール,施設・設備などを含む。
7) 利用されるイネーブリングシステム若しくはサービスを,獲得する又はそれらへのアクセスを取得
する。
注記 妥当性確認用イネーブリングシステムを獲得にするには,貸借,調達,開発,再利用,下
請負契約など,様々な方法がある。通常,これらの方法を組み合わせて,妥当性確認の実
現手段をそろえた完全な集合へアクセスする。妥当性確認の実現を支援する妥当性確認用
イネーブリングシステムの支援機能が,意図したように利用できるかを客観的に確認する
ためにも,妥当性確認プロセスが用いられる。
b) 妥当性確認を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) それぞれが一つの妥当性確認作業,又は一連の複数の妥当性確認作業を支援するような,妥当性確
認手順を定義する。
注記 これには,期待される結果,適用される妥当性確認技法,対応する妥当性確認の実現手段
(施設・設備,装置・機器など),及び妥当性確認手順を実施するための環境条件(資源,
適格性のある有資格の妥当性確認要員など)の識別を含む。
2) 定義した環境において,妥当性確認手順を実施する。
注記 妥当性確認作業は,システムライフサイクルの適切な時点で,定義した環境(運用環境又
はそれを代表した環境にできるだけ近くなるように定義した環境)で,定義した実現手段
及び資源を使用して実施する。妥当性確認作業の実施は,妥当性確認手順の実行結果を把
握して形のある記録に残すこと,得られた結果を期待した結果と比較すること,結果の要
素の適合の度合いを推測すること,及び不確かさが残っている可能性がある場合に適合と
して受容される許容度を決定することからなる。
3) 利害関係者から要求されたシステムのサービスが利用可能であることを確認するため,妥当性確認
結果をレビューする。
c) 妥当性確認の結果を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 妥当性確認結果及び遭遇した全ての不具合を記録する。
注記 これには,妥当性確認戦略,妥当性確認用イネーブリングシステム,妥当性確認の実行又
は誤りのあるシステム定義に起因する不具合を含む。根本原因の識別,是正処置又は改善
作業の実現,及び学んだ教訓の記録を目的としてデータを分析するために,プロジェクト
アセスメント及び制御プロセスが用いられる。
2) インシデント及び問題を記録し,それらの解決を追跡する。

――――― [JIS X 0170 pdf 93] ―――――

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
注記 問題解決の実行は,品質保証プロセス,並びにプロジェクトアセスメント及び制御プロセ
スを通じて取り扱う。要求事項,アーキテクチャ,設計,又はシステム要素への実際の変
更は,他のテクニカルプロセス内で行う。
3) システム又はシステム要素が利害関係者ニーズに合致していることについて,利害関係者の合意を
獲得する。
4) 妥当性確認されたシステム要素のトレーサビリティを維持する。
注記 妥当性確認されたシステム要素と,妥当性確認戦略,ミッション又はビジネス分析,ライ
フサイクル概念,利害関係者要求事項,システムアーキテクチャ,設計及びシステム要求
事項との間で,双方向のトレーサビリティを維持する。
5) ベースラインのために選定された重要な情報項目を提供する。
注記 構成管理プロセスが,構成品目及びベースラインを確立し維持するために利用される。こ
のプロセス(妥当性確認)で,ベースラインのための候補となる情報項目を識別し,そし
てCM(構成管理)へ情報項目を提供する。このプロセスにおいてベースライン化される
典型的な情報項目は,妥当性確認の戦略である。
6.4.12 運用プロセス(Operation process)
6.4.12.1 目的
運用プロセスは,システムを利用してサービスを提供することを目的とする。
このプロセスは,要員がシステムを運用操作するための要求事項を確立して,要員をシステムの運用操
作を担当するよう割り当て,サービス及び運用操作者によって運用されるシステムの遂行能力・性能・運
用時の実績を監視する。サービスを持続させるために,運用操作上の不具合を,合意,利害関係者の要求
事項,及び組織面の制約に関して識別し分析する。
注記 JIS Q 20000-1:2012(IEEE Std 20000-1:2013)は,目的を達成するよう運用プロセスを支援する
サービス管理システムを確立するための要求事項を規定している。
6.4.12.2 成果
運用プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) システム要求事項,アーキテクチャ又は設計に影響を与える運用操作の制約が識別されている。
b) 運用の実施を可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム,サービス及び資材が利用可能
になっている。
c) 教育訓練された,適格性のある有資格の運用操作者が運用に従事することが可能となっている。
d) 利害関係者要求事項を満たすシステムサービスが提供されている。
e) 運用中のシステムの遂行能力・性能・運用時の実績が監視されている。
f) 顧客への支援が提供されている。
6.4.12.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,運用プロセスに関する該当する組織の方針及び手順に従って,次のアクティビティ及
びタスクを実施する。
a) 運用の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 運用戦略を定義する。
注記 これはシステムの運用操作を実行するために要求される,取組方法,スケジュール,資源
及び特定の考慮事項を定義する。これは,次を含むことがよくある。
− サービスが導入され,日常的に運用され,取り下げられるときのアベイラビリティ。

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これには,同一又は類似したサービスを提供している他のシステムが提供する,既
存か,同時並行か又は継続のサービスとの調整を行うことを含めることができる。
− 運用操作者を要員配置する戦略及びスケジュール
− 既存又は強化されたサービスを維持する修正を可能にするためのシステムのリリース
並びに再受入れの基準及びスケジュール
− 正常時の運用及び予想される種類の有事発生に対応する緊急時の運用を含むシステム
レベルの運用概念における運用モードを実施するための取組方法
− 運用時のシステムの遂行能力・性能・運用時の実績のレベルを洞察できるような,運
用に対する測定量
− いかなる安全規定についても責任をもって対応する,運用中のシステムを使用するか
又はシステムとの接点がある運用操作者及び人々のための,運用安全及び業務安全に
関する安全戦略
− システムを運用するための環境を保護及び持続可能にする戦略
− 脅威の変化及び運用監視活動の結果の監視手順
2) システム要求事項,アーキテクチャ,又は設計に組み込まれるシステム制約を,運用操作に関して
識別する。
3) 運用を支援するために必要とするイネーブリングシステム又はサービスを識別し計画する。
注記 これにはイネーブリングシステムの要求事項及びインタフェースの識別を含む。
4) 利用されるイネーブリングシステム若しくはサービスを獲得する,又はそれらへのアクセスを取得
する。
注記 運用の実現を支援する運用支援用イネーブリングシステムの支援機能が,意図したように
利用できるかを客観的に確認するために,妥当性確認プロセスが用いられる。
5) システム運用に必要な人材の教育訓練及び適格性についての要求事項を識別又は定義する。
6) 教育訓練された,適格性のある有資格者の要員を運用操作者として任命する。
注記 教育訓練及び適格性の認定資格には,運用環境でのシステムの認識,並びに適切な故障の
検出及び分離の指導を伴う定義された習熟プログラムを含める。運用操作者の知識,スキ
ル及び経験についての要求事項を用いて要員選定基準を導き出し,関連がある場合は,運
用操作に携わる権限を認可する。適格性の範囲は,対象システム及びその環境に依存する。
例えば,環境に関する規制の要求事項に,運用操作者の適格性についての資格認証が含ま
れる場合があるが,そのような要求事項がない場合もある。教育訓練モードで運用される
システムは,サービスのアベイラビリティに影響を及ぼすことがある。
b) 運用を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 意図された運用環境でシステムを利用する。
注記 運用戦略はシステムの利用法を手引きする。合意がある場合,新システムが廃止される既
存のシステムと置き換わるときに,継続したサービスの能力及び品質を維持する。運用切
替え又は並行運用の指定期間中,利害関係者の持続したニーズへ引き続き適合することが
達成されるように,サービスの移行を管理する。
2) システムの運用及びサービスを維持するため,要求に応じて資材及び他の資源を提供する。
注記 ハードウェアのためのエネルギー源の供給及び運用操作者への支給を含む。
3) システム運用を監視する。

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