JIS X 0170:2020 システムライフサイクルプロセス | ページ 20

                                                                                             93
X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
注記1 これには次を含む。
− 運用戦略の遵守を管理する。
− システムが安全な方法で運用されること,並びに業務安全及び環境保護に関する法
的な指針に適合して運用されることを保証する。
− 戦略で定義された測定量を使用して分析し,運用のサービス実績が受入れ可能な範
囲内であることを確認する。
注記2 システムを監視することは,運用時のシステムの遂行能力・性能・運用時の実績が確立
されたしきい(閾)値以内であること,定期的な測定結果の指示値が受入れ可能である
こと,並びにサービス及び応答時間が受入れ可能であることを,それぞれレビューする
ことを含む。運用操作者のフィードバック及び提案は,システムの運用時のシステムの
遂行能力・性能・運用時の実績を向上させるための有用な入力である。
注記3 目標及び制約に照らして運用コストも監視し,潜在的な改善点を識別する。
4) システムサービス遂行能力・性能・運用時の実績が許容可能な範囲内にない場合,識別して記録す
る。
注記 ハードウェア内に実装されているシステム要素がその耐用年数を超過しているとき又はシ
ステムの運用環境が運用要員及び保守要員に影響を与えているとき(要員の配置転換,運
用操作者の過負荷及び疲労を含めて),システムの遂行能力・性能・運用時の実績が許容可
能な範囲内にないことを示しているとされることがある。
5) 必要に応じて,システムの有事発生に対応する緊急時の運用を実施する。
注記 これには,システムを縮退させた劣化モードによって運用操作すること,運用操作の取消
し及び修復,システムシャットダウンによる運用停止,運用操作を復元するための問題解
決手順を実施すること,又は特殊な条件に対する他の運用操作モードを実行することを含
む。必要があれば,運用操作者は有事発生時の運用操作を開始するために必要となる操作
手順を実行し,停止させることも含めてシステムの利用可能範囲を縮小することがある。
システムの有事発生時の運用操作は,そのようなシステムの有事発生イベントを想定して
あらかじめ事前に確立された手順に従って実行する。このようなシステムの有事発生時の
運用操作手順は,システム持続計画とともにあらかじめ計画されることがよくある。
c) 運用結果を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 運用の結果及び遭遇した不具合を記録する。
注記 これには,運用戦略,運用支援用イネーブリングシステム,運用の実行,又は誤ったシス
テム定義に起因する不具合が含まれる。根本原因の識別,是正処置又は改良作業の実現,
及び学んだ教訓の記録を目的としてデータを分析するために,プロジェクトアセスメント
及び制御プロセスが用いられる。
2) 運用中のインシデント及び問題を記録し,それらの解決を追跡する。
注記1 問題解決の実行は,品質保証及びプロジェクトアセスメント及び制御プロセスを通じて
取り扱う。要求事項,アーキテクチャ,設計,又はシステム要素への実際の変更は,他
のテクニカルプロセス内で行う。
注記2 運用中にインシデントが発生した場合,運用操作者はそのインシデントを記録し,妥当
性が確認されている運用手順にあらかじめ規定された作業を実施して通常の運用へ復元
する。

――――― [JIS X 0170 pdf 96] ―――――

94
X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
3) 運用要素のトレーサビリティを維持する。
注記 運用要素と,ビジネス又はミッションのニーズ,システムレベルの運用概念,組織レベル
の運用概念,利害関係者要求事項との間で双方向のトレーサビリティが維持される。
4) ベースラインとして選択された主要な情報項目を提供する。
注記 構成管理プロセスは,構成品目及びベースラインを確立し維持するために使用される。こ
のプロセス(運用)は,ベースラインの候補を識別し,CMに情報項目を提供する。
d) 顧客を支援する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 依頼に応じて顧客を支援し相談に応じる。
注記 支援及び相談には,教育訓練,文書化,ぜい弱性解決,偽造防止報告,及び製品の効果的
な使用を支援するその他の支援サービスの提供又は推奨情報源の提供が含まれる。
2) 支援の依頼及び依頼に応じて支援する活動を記録し監視する。
3) 提供したシステムサービスが利用者のニーズを満たしている程度を判定する。
注記 結果は分析され,利害関係者の満足を継続的に維持して提供するために,システムサービ
スを修復又は改善するのに要求される活動が識別される。可能な限り,常時そうした活動
の有益さについて,利害関係者又はそれらの代表者と合意しておく。顧客満足度データは,
品質管理プロセスへの入力としても役立つ。
6.4.13 保守プロセス(Maintenance process)
6.4.13.1 目的
保守プロセスは,サービスを提供するシステムの能力を維持することを目的とする。
このプロセスは,サービスを提供するシステムの能力を監視し,分析のためにインシデントを記録し,
是正処置,適応処置,完全化処置及び予防処置の作業を実施し,修復された能力を確認する。
6.4.13.2 成果
保守プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) システム要求事項,アーキテクチャ,又は設計に影響を及ぼす保守上の制約が識別されている。
b) 保守の実施を可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム又はサービスが利用可能になっ
ている。
c) 交換,修理又は改訂されたシステム要素が利用可能になっている。
d) 是正保守,完全化保守又は適応保守に取り組むような変更に対するニーズが報告されている。
e) 故障データ及び耐用寿命時間データが,関連するコストを含めて調査決定されている。
6.4.13.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,保守プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティ
ビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) 保守の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 保守戦略を定義する。
注記1 保守概念としても知られている保守戦略は,運用操作のアベイラビリティに対する要求
事項に合致させるよう,是正保守及び予防保守を実施するために要求される取組方法,
スケジュール,資源及び特定の考慮事項を定義する。一般的には次を含む。
− 顧客の満足の達成を目的として,運用環境におけるサービスを維持するための是正
保守及び予防保守の戦略
− サービスの過度の損失,又は通常運用への影響(例えば,サービスの中断又は制限)

――――― [JIS X 0170 pdf 97] ―――――

                                                                                             95
X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
を及ぼさずに,システム故障の発生確率を減少させるための,スケジュール化され
た予防保守作業
− 取得ロジスティクス(補給,logistics)を含む,ライフサイクル全体を通したロジス
ティクス戦略[支援性(supportability)に含意されている,システム運用の支援をど
の程度まで行うかについて,開発段階の早期に検討することを確実にするのに役立
つ。]及び運用ロジスティクス(適正な量及び質の,必要な資材及び資源が,システ
ムの利用段階及び支援段階の,適切な場所及び時点に利用可能であることを確実に
するのに役立つ。)。
− 保管される交換用のシステム要素の数量及び型式,それらの保管の場所及び条件,
予想される交換の割合,並びに保管可能期間及び更新頻度
− 偽造されたシステム要素が,システムに導入されないことを保証する取組方法
− 保守要員に対する要求事項を満たすための,修理,交換及び復元を完遂して有効な
ものとするために要求される,スキル及び要員のレベル,並びに人の健康,安全性,
セキュリティ及び環境に関する全ての法令
− システムの遂行能力・性能・運用時の実績レベル,有効性,及び効率性を洞察する
ための保守作業の測定
注記2 信頼性中心保全(Reliability Centered Maintenance,以下,RCMという。)は,機器の故障
の主原因に取り組むための費用対効果の高い保守戦略である[故障モード影響・重大度
解析(Failure Modes, Effects, and Criticality Analysis,FMECA)及び障害木解析(Fault Tree
Analysis,FTA)によって支援される。]。それは,重要な機能を保持するための,費用対
効果の高い,一連の決められた保守プログラムを定義する体系的な取組方法を提供する。
SAE JA1011:2009のRCMのプロセスのための評価基準は,詳細な情報を提供する。状
態基準保全(Condition Based Maintenance,CBM/CBM+)は,システムが定常的な保守又
は修正保守を実行している期間中の利用不可能になる時間を減らすことによって,シス
テムの信頼性を改善する戦略である。
注記3 ほとんどの場合,能力の拡張,耐用寿命期間の途中でのアップグレード,又は旧来のシ
ステムの発展が,該当する適切なライフサイクルの中で一連のプロセスの集合を適用す
る,新しいシステム開発プロジェクトとなる。
2) システム要求事項,アーキテクチャ,又は設計に組み込まれるシステム制約を,保守に関して識別
する。
注記 これらは,次のことを必要とした結果であることがよくある。
− 既存の保守用イネーブリングシステムの再利用
− 既存の交換可能なシステム要素の再利用,及び再供給についての制約への適応
− 特定の場所・所在地又は環境での保守の実行
3) システム,並びに関連する保守及びロジスティクスの作業が,適用可能,運用可能,支援可能及び
持続可能な解決をもたらすようなトレードオフ関係を識別する。
注記 システム分析及び意思決定管理プロセスが,アセスメント及びトレードオフの意思決定を
行うために用いられる。
4) 保守を支援するために必要とするイネーブリングシステム又はサービスを識別し計画する。
注記 これはイネーブリングシステムに対する,要求事項及びインタフェースの識別を含む。

――――― [JIS X 0170 pdf 98] ―――――

96
X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
5) 利用されるイネーブリングシステム若しくはサービスを,獲得する又はそれらへのアクセスを取得
する。
注記 保守の実現を支援する保守支援用イネーブリングシステムの支援機能が,意図したように
利用できるかを客観的に確認するために,妥当性確認プロセスが用いられる。
b) 保守を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 将来の修正保守,適応保守,完全化保守及び予防保守のニーズを識別するため,インシデント及び
問題報告をレビューする。
2) 保守のインシデント及び問題を記録し,それらの解決を追跡する。
注記1 保守の間にインシデントを経験した場合は,保守要員は,そのインシデントを記録し,
妥当性が確認されている手順の中であらかじめ規定された処置作業を実施する。
注記2 保守上の問題の識別及び解決の実施は,品質保証,並びにプロジェクトアセスメント及
び制御プロセスを通じて取り扱う。
3) システム要素のランダムな障害の是正又はスケジュールされたシステム要素交換のための,手順を
実施する。
注記 システムのランダム故障に対し,システム要素の交換,修理,改訂又は再構成が計画され
るレベルまで故障を分離する。そして,システム要素に対する是正処置を実行し,是正さ
れたシステムの遂行能力・性能・運用時の実績を検証する。劣化の可能性があるシステム
要素の有効耐用寿命を見積もるために,処置作業を記録する。
4) システムの故障を引き起こす,ランダムな障害を検出した場合は,システムを運用状態に復元する
ための作業を展開する。
注記 完全な運用状態への復元は,障害の原因が修正されるまでは不可能な場合がある。そのよ
うな場合,問題が顕在化したときの対応策である有事対応計画との一貫性をもたせ,シス
テムを縮退させて運用する劣化モードへ復元する。
5) 計画されたスケジュール及び保守手順に沿って,故障が発生する前にあらかじめシステム要素の交
換又は提供を行うことによって予防保守を実施する。
6) システムの中で不適合が発生したときには,故障を識別する作業を実施する。
7) 適応保守又は完全化保守が要求される時点を識別する。
注記 適応保守及び完全化保守の作業は,通常,システム要求事項,アーキテクチャ又は設計へ
の変更をもたらす。それは,既存のシステムを修正するための新しいプロジェクトを確立
する必要がある場合がある。その場合は,ポートフォリオ管理プロセスが,開発段階から
作業を始動するための起点となることがある。
c) ロジスティクス支援を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 取得ロジスティクスを実施する。
注記 取得ロジスティクスへの配慮を,合意プロセスの結果である合意事項に含める。支援性に
含意されている,システム運用の支援をどの程度まで行うかについても,開発段階で考慮
する。これは,システムの初期設計に反映させておくか,又は運用支援のために補充及び
修理の計画をするか,そのいずれの方が,費用対効果をより大きくできるかを決定するた
めの分析の実施を含む。これらの意思決定は,アベイラビリティについての要求事項によ
って制約を受け,サプライチェーン管理に影響を与えることがよくある。取得ロジスティ
クスでは,システム運用の支援性へのニーズをシステム要求事項の定義と同時並行して検

――――― [JIS X 0170 pdf 99] ―――――

                                                                                             97
X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
討する。
2) 運用ロジスティクスを実施する。
注記 運用ロジスティクスは,システム機能の効果的及び効率的な提供を確実にすることに役立
てるための,運用寿命期間の全体を通した対象システム(SOI)及びイネーブリングシス
テムの両者を同時並行して運用できるように同調させる調整である。適正な量及び質にお
いて必要な資材及び資源が適材適所で利用可能になることを確実にすることに役立てるた
め,必要な段階的手順を用いることも含む。
3) ライフサイクルの中で必要となる,パッケージ化,取扱い,格納及び輸送を実施する。
注記 これは,システム,システム要素,及び要求される交換用システム要素の,パッケージ化,
取扱い,格納及び輸送を含む。これはインテグレーションプロセス及び移行プロセスの目
標を支援するために要求されることもよくある。
4) 格納されたシステム要素が,修理率及び計画された修理交換スケジュールに合うような,要求され
る交換補充レベルをロジスティクス作業が満たしていることを確認する。
注記 保管期間中の,交換用の予備品の品質及びアベイラビリティ,それらの輸送,並びにそれ
らの継続的な完整性を監視する。必要に応じて,運用操作者の人数及びスキルを維持する
ために,要員の取得,教育訓練及び認定を行う。
5) ロジスティクス作業が,計画され,資源配分され,そして実施される,システム運用の支援性に関
する能力についての要求事項を含んでいることを確認する。
注記 ロジスティクス作業は,システムが運用準備完了となることを可能にする。その作業は,
要員計画,供給支援,支援設備,技術的データへのニーズ(運用操作の手順説明書,取扱
説明書,一覧表など),教育訓練支援,設備・コンピュータ機器資源支援及び施設を含む。
d) 保守及びロジスティクスの結果を管理する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 保守及びロジスティクスの結果,並びに遭遇した全ての不具合を記録する。
注記 これは,保守戦略,保守イネーブリングシステム,保守及びロジスティクスの実行,又は
誤ったシステム定義に起因する不具合を含む。根本原因の識別,是正処置又は改善作業の
実現,及び学んだ教訓の記録を目的としてデータを分析するために,プロジェクトアセス
メント及び制御プロセスが用いられる。
2) インシデント及び問題を記録し,それらの解決を追跡する。
注記 問題解決の実行は,品質保証,並びにプロジェクトアセスメント及び制御プロセスを通じ
て取り扱う。要求事項,アーキテクチャ,設計又はシステム要素に対する全ての実際の変
更は,他のテクニカルプロセス内で行う。
3) インシデント,問題,並びに保守及びロジスティクス作業の傾向を識別し,記録する。
注記1 これは,運用及び保守の要員,並びに類似のシステムエンティティ(システム実体要素,
system entities)を開発又は利用している他のプロジェクトに知らせるために使用される。
注記2 インシデント及び問題報告が,結果として実行された対処作業も含めて,品質保証プロ
セスのインシデント及びプロセス管理に関するアクティビティを通して追跡される。
4) 保守要素のトレーサビリティを維持する。
注記 保守作業と,システム要素及びライフサイクルにおける作成物との間で,双方向のトレー
サビリティを維持する。
5) ベースラインのために選定された重要な情報項目を提供する。

――――― [JIS X 0170 pdf 100] ―――――

次のページ PDF 101

JIS X 0170:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC/IEEE 15288:2015(IDT)

JIS X 0170:2020の国際規格 ICS 分類一覧