JIS X 0170:2020 システムライフサイクルプロセス | ページ 21

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
注記 構成管理プロセスが,構成品目及びベースラインを確立し維持するために利用される。こ
のプロセス(保守)で,ベースラインのための候補となる情報項目を識別し,そしてCM
へ情報項目を提供する。例えば,保守計画及びライフサイクル支援計画である。
6) システム及び保守支援に対する顧客満足度を監視する。
注記 顧客満足度データは,品質管理プロセスの中で使用される。ISO 10004:2012は,顧客満足
度の監視及び測定に関する指針を含んでいる。
6.4.14 廃棄プロセス(Disposal process)
6.4.14.1 目的
廃棄プロセスの目的は,指定された利用目的のためのシステム要素又はシステムの存在を終了させ,置
換又は廃棄される要素を適切に処理し,識別された重大な廃棄ニーズに,(例えば,合意,組織方針,環境,
法律,安全性,セキュリティの観点から)適切に対処することである。
このプロセスは,特定の用途からシステムそのもの又は全てのシステム要素を不活性化,分解及び除去
する。全ての廃棄物を取り扱い,廃棄物を最終的な状態にして,環境を元の状態又は許容可能な状態にま
で戻す。廃棄物は,どのライフサイクル段階の期間中にも,例えば,製造中の廃棄資材のように廃棄処理
中ということがあり得る。このプロセスは,法令,合意,組織上の制約,及び利害関係者要求事項に従っ
て,システム要素及び廃棄物を環境にやさしい方法で破壊,保管又は再利用する。
廃棄には,次のものがサプライチェーンに戻らないようにすることを含む。
− 有効期限切れの要素
− 再使用不可能な要素
− 使用には不十分な要素
要求に応じて,運用操作者及び利用者の健康状態,並びに環境の安全性を監視できるように記録を保持
する。
注記 廃棄プロセスは,概念及び開発段階でのプロトタイプの廃棄,製造段階での廃棄物の処理,並
びに利用段階及び支援段階での修正変更による要素の廃止を含む,システムのライフサイクル
全体に適用されることを意図する。
6.4.14.2 成果
廃棄プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 廃棄に関する制約が,要求事項,アーキテクチャ,設計及び実装への入力として提供されている。
b) 廃棄の実施を可能にするために必要な全てのイネーブリングシステム又はサービスが利用可能になっ
ている。
c) システム要素又は廃棄物は,安全性及びセキュリティ要求事項に従って破壊,保管,再利用又は再生
利用されている。
d) 環境は元の状態又は合意された状態に戻されている。
e) 廃棄処置作業及び分析の記録が利用可能になっている。
6.4.14.3 アクティビティ及びタスク
プロジェクトは,廃棄プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティ
ビティ及びタスクを実施しなければならない。
a) 廃棄の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 各システム要素及び結果として生じる廃棄物を含めた,システムの廃棄戦略を定義する。
注記 廃棄戦略では,次についてのスケジュール,処置作業及び資源を定義する。

――――― [JIS X 0170 pdf 101] ―――――

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− システムの機能及びサービスの提供を恒久的に終了する。
− システムを社会的及び物理的に受容可能な状態に変え,それを保持し,その後の結果
が利害関係者,社会及び環境へ悪影響を及ぼすことを回避する。
− 廃棄作業,及び廃棄の結果として生じる,物理的な資材及び情報の長期的な状態にお
いても適用可能な,人の健康,安全性,セキュリティ及びプライバシーを考慮する。
− その時点までの資産を移行することを含め,修正された形態又は適応させるように変
更された形態で,将来に利用するためのシステム移行を考慮する。
2) システム要求事項,アーキテクチャ及び設計特性,又は実装技術におけるシステム制約を,廃棄に
関して識別する。
注記 これには,分解の問題,関連付けられているイネーブリングシステム,格納場所へのアク
セス及びアベイラビリティ,並びに利用可能なスキルレベルが含まれる。
3) 廃棄を支援するために必要なイネーブリングシステム又はサービスを識別し計画する。
注記 これには,イネーブリングシステムの要求事項及びインタフェースの識別を含む。
4) 利用されるイネーブリングシステム若しくはサービスを,獲得する又はそれらへのアクセスを取得
する。
注記 廃棄の実現を支援する廃棄用イネーブリングシステムの支援機能が,意図されたように利
用できるかを客観的に確認するために,妥当性確認プロセスが用いられる。
5) システムを保管する場合は,格納施設,保管場所,インスペクションによる検査点検基準及び保管
期間を規定する。
6) 転用,再生又は再利用しないことが望ましい,廃棄された要素又は資材を,サプライチェーンに再
投入することを未然に防止するための予防方法を定義する。
b) 廃棄を実施する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) システム又はシステム要素を不活性化して取り除くための準備をする。
注記 例えば,次に示す,他のシステムとのインタフェースを考慮する。
− 分解指示に従った電力又は燃料の供給の遮断
− 関連する人の健康,安全性,セキュリティ及びプライバシーの法律
技術又は能力のアップグレードのために対象システムが修正されるとき,影響を受ける
システム要素だけが無効化され,取り除かれる。これは,概念段階又は開発段階での対象
システムのプロトタイプにも適用できる。
2) 適切な廃棄処分及び廃棄処置作業のために,システム,システム要素又は廃棄物を利用又は生産・
製造から取り除く。
注記 廃棄処分には,再利用,再生利用,再調整,分解修理又は破壊が含まれる。廃棄処置作業
及び廃棄処理後の処置作業は,関連する安全性,セキュリティ,プライバシー及び環境の
基準,指示,並びに法律に従って行われる。有効な寿命がまだ残っているシステムの要素
は,現在の状態で,又は分解修理若しくは変更後に,他の対象システム又は組織に移行さ
れる。必要に応じて,システムの有効期間を延長するためにシステム要素を再調整する。
運用操作者を再配置する又は退去させる。システム要素が有効期限切れ,再使用不可能又
は不十分である場合,要素がサプライチェーンに戻らないようにする必要がある。この作
業には,生産・製造段階又は他の段階からの廃棄物の除去が含まれる。
3) システム又はシステム要素から影響を受けた運用要員を撤退させ,関連する操作知識を記録する。

――――― [JIS X 0170 pdf 102] ―――――

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
注記 これは,関連する安全性,セキュリティ,プライバシー,環境基準,指示及び法律に従っ
て実施する。運用操作者が保有する知識及びスキルを保護し,確保するように行動する。
知識管理プロセスを参照。
4) 再利用,再生利用,再調整,分解修理,保管又は破壊のために要素を取り外しやすくするよう,シ
ステム又はシステム要素を管理可能な要素に分解する。
5) サプライチェーンに戻らないことを確実にする方法で,再使用を意図していないシステム要素及び
その部品を取り扱う。
6) 必要に応じて,廃棄物処理の量を減らすため,又は廃棄物を取り扱いやすくするために,システム
要素の破壊を実施する。
注記 このアクティビティは,必要に応じてシステム若しくはそのシステム要素を,溶解する,
粉砕する,焼却する,破壊する又は根絶するために要求される破壊処理サービスを取得す
ることを含む。
c) 廃棄を確実化する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 廃棄後に人の健康,安全性,セキュリティ及び環境に有害な要因が存在しないことを確認する。
2) 環境を元の状態に戻すか,又は合意によって指定された状態に戻す。
3) システムの存続期間を通じて収集された情報を保存管理することで,人の健康,安全性,セキュリ
ティ及び環境への危害が,長期間存続するハザードによるイベントとして発生することについての
監査及びレビューを可能にし,将来のシステム作成者及び利用者が過去の経験から知識ベースを構
築できるようにする。

――――― [JIS X 0170 pdf 103] ―――――

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
附属書A
(規定)
修整(tailoring)プロセス
A.1

序文

  この附属書Aは,修整プロセスを実施する場合の要求事項を規定する。
注記1 修整(tailoring)は,規格に適合させるための要求事項ではない。事実上,“完全な適合”を
主張する場合は,修整は許されない。“修整された適合”を主張する場合に,このプロセスが,
修整を実施するために適用される。
注記2 修整についての追加の手引は,ISO/IEC/IEEE 24748-1:2018に記載している。
A.2 修整プロセス(Tailoring process)
A.2.1 目的
修整プロセスは,次のような特定の状況又は要因に対応するために,この規格のプロセスを適応させる
ことを目的とする。
a) 合意において,この規格を用いる組織を取り巻く状況又は要因
b) この規格が参照されている合意を満たすことを要求される,プロジェクトに影響する状況又は要因
c) 製品又はサービスを供給するために組織のニーズを反映する状況又は要因
A.2.2 修整(tailor)プロセスの成果
修整プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) ライフサイクルモデルの目的及び成果を達成するために,修正(modify)されたライフサイクルプロ
セス又は新しいライフサイクルプロセスが定義されている。
A.2.3 修整(tailor)プロセスのアクティビティ及びタスク
この規格を修整する場合,組織又はプロジェクトは,要求に応じて,修整プロセスに関して適用可能な
方針及び手順に従って,次のタスクを実施しなければならない。
a) 修整に影響を与える状況を識別し記録する。これらの影響は,次を含むが,それらに限定するもので
はない。
1) 運用環境の安定性及び多様性
2) 当事者の懸念する関心事である商業リスク又は業績リスク
3) 新規性,規模及び複雑さ
4) 利用開始日及び利用期間
5) 安全性,セキュリティ,プライバシー,使用性,アベイラビリティなどの完整性(integrity)に関す
る課題
6) 新たな技術の利用機会
7) 利用可能な予算及び組織の資源のプロファイル(概要)
8) イネーブリングシステムのサービスのアベイラビリティ
9) システムの全般的なライフサイクルにおける役割,責務,説明責任及び権限
10) 他の規格に従う必要性
b) 特性がシステムに対して重大な場合,重大性の側面に関連する標準が推奨する,又は要求するライフ

――――― [JIS X 0170 pdf 104] ―――――

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サイクルの構造を十分に考慮する。
c) 修整の決定によって影響を受ける当事者から意見を聞く。当事者には,次のものを含むが,それらに
限定するものではない。
1) システムの利害関係者
2) その組織による合意に関心をもつ当事者
3) 寄与する組織の部門
d) 選択されたライフサイクルモデルの目的及び成果を達成するため,意思決定管理プロセスに従って修
整の決定を下す。
注記1 組織は,ライフサイクルモデル管理プロセスの一部として標準のライフサイクルモデルを
確立する。確立するライフサイクルモデルの段階の目的及び成果を達成するために,組織
がこの規格のプロセスを修整することが適切な場合がある。
注記2 プロジェクトは,組織で設定したライフサイクルモデルを,プロジェクト計画プロセスの
一部として,そのプロジェクトのために選択する。選択されたライフサイクルモデルの段
階の目的及び成果を達成するために,組織が採用したプロセスを修整することがある。
注記3 プロジェクトがこの規格を直接的に適用する場合,適切なライフサイクルモデルの段階の
目的及び成果を達成するために,この規格のプロセスを修整することがある。
e) 修整を必要とするライフサイクルプロセスを選択し,かつ,選択された成果,アクティビティ又はタ
スクを削除する。
注記1 修整にかかわりなく,組織及びプロジェクトは,この規格に適合するために要求される成
果又はアクティビティ及びタスクのほかに,追加の成果を達成するか又は追加のアクティ
ビティ及びタスクを実施するプロセスを実施することは常に許される。
注記2 組織又はプロジェクトは,この規格の規定を修正(modify)したい状況に遭遇することが
ある。他のプロセス,成果,アクティビティ又はタスクに予測できない結果に至る可能性
があるので,修正(modification)を避けることが望ましい。必要な場合は,[修整(tailor)
された適合性を適切に主張して]規定を削除することによって修正(modification)が実行
され,かつ,影響に注意深く配慮して,修整(tailor)された規格の成果又はアクティビテ
ィ及びタスクのほかに,追加の成果を達成するか又は追加のアクティビティ及びタスクを
実行するプロセスを実施することによって修正(modification)が実行される。

――――― [JIS X 0170 pdf 105] ―――――

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JIS X 0170:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC/IEEE 15288:2015(IDT)

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