JIS X 0170:2020 システムライフサイクルプロセス | ページ 6

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X 0170 : 2020 (ISO/IEC/IEEE 15288 : 2015)
い機会,組織内の変更された構造及び責任),そのことが,プロセスの使用の選択及び時期を継続的にレビ
ューすることを要求する。したがって,ライフサイクル内でのプロセスの使用は,システムに対する多く
の外部的影響に応じた,動的なものとなる。ライフサイクルの取組方法は,次の段階の中で変化を組み込
むことも可能にする。ライフサイクル段階が,理解可能で認識可能な高い抽象レベルの目的及び構成を提
供することによって,ライフサイクルにおける,動的なプロセス使用という複雑さを前にしたときにも,
ライフサイクルプロセスを立案,実行及び管理することをライフサイクル段階が支援する。ライフサイク
ル段階内のプロセスの集合は,その段階に対する完了基準,又はその段階内の正式な進捗レビューの開始
基準を満たす,共通の目標をもたせて適用される。
ここでのシステムのライフサイクルプロセスの反復的及び再帰的使用に関する記述は,対象システム,
イネーブリングシステム,組織又はプロジェクトに対して特定の階層的,垂直的又は水平的なシステム構
造をもたせようとする意図はない。
製品の品質リスクによって正当化される場合は,特定の製品で使用する中でプロセスを実際に実施する
ために具体化した,プロセスインスタンスについての詳細な記述を作成してもよい。プロセスのインスタ
ンス化では,プロセスインスタンスに対する,製品への要求事項から導き出された特定の成功基準を識別
すること,並びにこの規格のアクティビティ及びタスクから導き出された,成功基準の達成に必要な特定
のアクティビティ及びタスクを識別することを含む。プロセスインスタンスの詳細な記述を作成すること
で,プロセスと特定の製品要求事項との間の関連を確立することによって,製品の品質リスクのより良い
管理を実現できるようにする。
システムのライフサイクルプロセスの適用についての,こうした概念について,ISO/IEC/IEEE
24748-1:2018の手引に更なる詳細の記載がある。

5.8 プロセス参照モデル

  附属書Cで,この規格の箇条6に記載した詳細な要求事項よりも抽象度を上げて“プロセス参照モデル”
(PRM)を定義している。PRMは,これらのプロセスの実施能力を調査決定するためにそのプロセスをア
セスメントする組織で適用できる。目的及び成果は,それぞれのプロセスを実施したときの実績について
の目標の記述である。この目標記述は,単なる適合性のアセスメントだけではなく,実施しているプロセ
スの有効性のアセスメントを可能にする。
注記 この規格では,”プロセス参照モデル”という用語は,JIS X 33002と同じ意味で使われている。

6 システムライフサイクルプロセス

6.1 合意プロセス(Agreement processes)

  ここでは,組織の内外を含む複数の組織間の関係者による合意を確立するための要求事項を明記する。
合意プロセスは,次によって構成される。
a) 取得プロセス(Acquisition process)−製品又はサービスを取得する組織によって使用される。
b) 供給プロセス(Supply process)−製品又はサービスを供給する組織によって使用される。
これらのプロセスは,二つの組織の間での合意を確立するために必要なアクティビティを定義する。取
得プロセスを呼び出して実施すると,取得プロセスは,供給者と共にビジネスを遂行する手段を提供する。
これには,運用可能なシステムとして利用する製品の供給者,システムを運用するアクティビティを支援
するサービスの供給者,又はシステムを構成するシステム要素の供給者と共同してビジネスを遂行する手
段を含む場合がある。供給プロセスを呼び出して実施すると,供給プロセスは,その結果である取得者に
提供される製品又はサービスを,合意されたものにする手段を提供する。

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注記 システムエンジニアリングにおいてセキュリティがますます関心事となっている。供給者との
関係についての情報セキュリティ,どのようにして供給者との関係における情報セキュリティ
を保つかについての供給者及び取得者のための要求事項及び手引については,ISO/IEC 27036
シリーズのセキュリティ技法を参照。供給者との関係についての情報セキュリティ特有の観点
が,第3部及び第4部で取り扱われている。
6.1.1 取得プロセス(Acquisition process)
6.1.1.1 目的
取得プロセスは,取得者の要求事項に従って,製品又はサービスを得ることを目的とする。
注記 このプロセスの一部として,変更依頼が取得者及び供給者の両方によって合意されたときに,
合意の修正が行われる。
6.1.1.2 成果
取得プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 供給依頼が準備されている。
b) 一つ以上の供給者が選定されている。
c) 取得者と供給者との間で合意が確立されている。
d) 合意に適合する製品又はサービスが受け入れられている。
e) 合意で定義された取得者の義務が満たされている。
6.1.1.3 アクティビティ及びタスク
取得者は,取得プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティビティ
及びタスクを実施しなければならない。
注記 このプロセスのアクティビティ及び結果としての合意は,下請負契約をしている供給者を含む
サプライチェーンの供給者に適用することがよくある。
a) 取得の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 取得方法の戦略を定義する。
注記 この戦略では次を記述又は参照している。ライフサイクルモデル,リスク及び課題の軽減,
マイルストーンのスケジュール,並びに供給者が取得者の組織外であるときに供給者を選
定する基準。また,次のような,取得を駆動する重要事項及び特性も含む。責任及び法的
な義務,特定のモデル,手法又はプロセス,重大度のレベル,正式さ,並びに関連するト
レードオフ要因の優先度。
2) 要求事項を含む製品又はサービスの供給依頼を準備する。
注記1 供給者が外部の組織である場合,依頼には,供給者が遵守することを期待しているビジ
ネス上の行動規範,及び供給者の選定基準を含める。
注記2 一つ以上の供給者へ要求事項の定義を提供する。その要求事項は,利害関係者又はシス
テムの要求事項であって,関連する要求事項を定義するプロセスによるものであり,取
得への取組方法の種別に依存したものになる。
注記3 取得者は,要求事項を自ら開発するか,又は開発する供給者を雇用する。取得者が要求
事項を開発するためにも供給者を雇用する場合,取得者は,供給者が開発する要求事項
に対して承認する権限をもった者を擁立して保持する。
b) 取得を通知し供給者を選定する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 識別された供給者に対して,製品又はサービスの供給の依頼を伝達する。

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2) 一つ以上の供給者を選定する。
注記 供給者から競争力のある提案書が得られる入札とするために,選定基準を適用して,供給
者の提案書を評価し比較する。個々の提案に対する評定の理由を明らかにし,選定された
理由又は選定されなかった理由を供給者に知らせる。
c) 合意を確立し維持する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
注記 プロジェクトのコスト,スケジュール及び実績は,プロジェクトアセスメント及び制御プロ
セスによって監視される。合意の修正を必要とする全ての課題は,このアクティビティにも
ち込まれて扱われる。システム要素又は情報の変更提案は,構成管理プロセスの変更管理ア
クティビティによって制御される。
1) 受入れ基準を含む供給者との合意を作成する。
注記1 この合意は,書面による契約から口頭で了解された合意までの正式さに幅がある。正式
さのレベルに応じて,合意によって次の事項を確立する。要求事項,開発及び納入のマ
イルストーン,検証,妥当性確認及び受入れ条件,例外処理手順,合意の変更管理手順,
並びに支払いスケジュール。その結果,合意する双方の当事者が,合意を実行するため
の基本的事項を理解することになる。技術的データ及び知的財産に関する権利及び制約
は,合意事項として記載される。詳細事項が交渉の中で議論されて変更され,その後,
取得者及び供給者はその合意された条項を受け入れ,合意を開始する。書面による契約
では,これは契約への署名なつ(捺)印時に行われる。
注記2 参加している下請負契約している各供給者に対して,適用する必要があるプロセス要求
事項を識別するように合意する。そうしたプロセス要求事項には,構成管理の要求事項,
リスクの報告,並びに測定量及び測定分析についての報告がある。
2) 合意についての必要な変更を識別する。
注記 合意に対する変更依頼では,取得者又は供給者は,その変更の規定内容,論理的根拠,及
び背景を詳述する。
3) 合意の変更による影響を評価する。
注記 いずれの変更についても,プロジェクト計画,スケジュール,コスト,技術的能力,及び
品質への影響を調査する。合意の変更は,既存の合意の中で扱うか,合意の修正を要求す
るか,又は新しい合意を要求することができる。
4) 供給者と合意を取り付ける交渉をする。
注記 合意の条項を,取得者と供給者との間で交渉する。交渉は,初期の合意,及び何らかの変
更のために要求されたときの合意に対して行う。変更された合意は,要求された変更,及
び識別された変更の影響に基づいたものとなる。
5) 必要に応じて,供給者と共に合意を更新する。
注記 合意の修正の結果は,プロジェクト計画に組み込まれ,全ての影響する当事者へ連絡され
る。
d) 合意を監視する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 合意の実行をアセスメントする。
注記 これには,全ての当事者の合意に従って責任を果たしていることの確認を含む。プロジェ
クトアセスメント及び制御プロセスが,見積もられたコスト,スケジュール,実績,及び
望ましくない結果となった成果が組織に及ぼす影響を評価するために用いられる。この情

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報は,合意の条項の実行のアセスメントと統合される。
2) 適切な時機を逃さない方法で,供給者が必要とするデータを提供し,課題を解決する。
e) 製品又はサービスを受け入れる。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 納入される製品又はサービスが合意を遵守していることを確認する。
注記 合意の実施中に生じた例外又は納入される製品若しくはサービスに起因する例外は,合意
で確立された手順に従って解決される。
2) 支払金又はそれに代わる合意した対価を提供する。
3) 合意によって指示されたように,供給者又は他の当事者から,製品又はサービスを受け入れる。
4) 合意を終了する。
注記 プロジェクトは,ポートフォリオ管理プロセスによって終了される。
6.1.2 供給プロセス(Supply process)
6.1.2.1 目的
供給プロセスは,合意された要求事項に合致した製品又はサービスを取得者に提供することを目的とす
る。
注記 このプロセスの一部として,変更依頼が取得者及び供給者の両者によって合意されたときに,
合意の修正が行われる。
6.1.2.2 成果
供給プロセスの実施に成功すると次の状態になる。
a) 製品又はサービスの取得者が識別されている。
b) 取得者の依頼への回答が行われている。
c) 取得者と供給者との間で合意が確立されている。
d) 製品又はサービスが提供されている。
e) 合意で定義された供給者の義務が満たされている。
f) 合意によって指示されたとおり,取得された製品又はサービスに対する責任が移転されている。
6.1.2.3 アクティビティ及びタスク
供給者は,供給プロセスに関する,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次に示すアクティビティ
及びタスクを実施しなければならない。
a) 供給の準備を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 製品又はサービスへのニーズをもつ取得者の存在を調査決定し,取得者を識別する。
注記 これは,ビジネス又はミッション分析プロセスを通じて行われる。消費者のために開発さ
れる製品又はサービスについては,代理者,例えば,供給組織内の市場調査部門が,取得
者を代表することがよくある。
2) 供給の戦略を定義する。
注記 この戦略では次を記述又は参照する。ライフサイクルモデル,リスク及び問題の軽減策,
並びにマイルストーンのスケジュール。また,次のような,取得を駆動する重要事項及び
特性も含む。責任及び債務,特定のモデル,手法又はプロセス,重大度のレベル,正式さ,
並びに関連するトレードオフ要因の優先度。
b) 入札への対応を行う。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 実現可能性及び対応回答の仕方を決定するため,製品又はサービスの供給依頼を評価する。
2) 提案による入札の要請を満たす回答の準備をする。

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c) 合意を確立し維持する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 受入れ基準を含む合意を取得者と取り付ける交渉をする。
注記 この合意には,書面による契約から口頭で了解された合意までの正式さに幅がある。供給
者は,要求事項,納入マイルストーン及び受入れ条件が達成可能であること,例外処理手
順,合意の変更管理手順及び支払いスケジュールが受入れ可能であること,並びに不要な
リスクを伴わずに合意を実施できる基礎を確立することを確認する。課題は全て交渉の中
で議論され解決される。その後,取得者及び供給者はその合意の条項を受け入れ,合意を
開始する。書面による契約では,これは契約への署名なつ(捺)印時に行われる。
2) 合意についての必要な変更を識別する。
注記 合意に対する変更依頼では,取得者又は供給者は,その変更の内容記述,根拠,及び背景
を詳述する。
3) 合意の変更による影響を評価する。
注記 いずれの変更についても,プロジェクト計画,スケジュール,費用,技術的可能性,又は
品質への影響を調査する。合意の変更は,既存の合意の中で扱うか,合意の修正を要求す
るか,又は新しい合意を要求することができる。
4) 取得者と合意を取り付ける交渉をする。
注記 合意における,いずれの条項への変更も,供給者と取得者との間で交渉する。これは,変
化する市場の状況による変更を含む。交渉は,初期の合意,及び何らかの変更のために要
求されたときの合意に対して行う。変更された合意は,要求された変更,及び識別された
変更の影響に基づいたものとなる。
5) 必要に応じて,取得者と共に合意を更新する。
注記 合意の修正の結果は,プロジェクト計画に組み込まれ,全ての影響する当事者に連絡され
る。
d) 合意を実行する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 確立したプロジェクト計画に従って合意を実行する。
注記 供給者は,取得者のプロセスを採用,又は使用することに合意することがある。
2) 合意の実行をアセスメントする。
注記 これは,全ての当事者が,その合意に従った責任を果たしていることを確認することを含
んでいる。プロジェクトアセスメント及び制御プロセスが,計画された費用,スケジュー
ル,実績,及び望ましくない結果となった成果が組織に及ぼす影響を評価するために用い
られる。構成管理プロセスにおける変更管理アクティビティは,システム要素の変更を制
御するために使用される。この情報は,合意の条項の実行のアセスメントと統合される。
e) 製品又はサービスを納入・提供し支援する。このアクティビティは,次のタスクからなる。
1) 合意基準に従って製品又はサービスを納入・提供する。
2) それぞれの合意について,納入・提供した製品又はサービスを支援して,取得者を援助する。
3) 支払金又はそれに代わる合意した対価を受け取る。
4) 合意によって指示されたように,製品又はサービスを取得者又は他の当事者へ引き渡す。
5) 合意を終了する。
注記 プロジェクトは,ポートフォリオ管理プロセスによって終了される。

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