JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)―システム及びソフトウェア品質モデル | ページ 3

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X 25010 : 2013 (ISO/IEC 25010 : 2011)

3.6 異なる利害関係者視点からの品質

  品質モデルは,利害関係者のニーズを収集するための枠組みを提供する。利害関係者は,次の種類の利
用者を含む。
1) 一次利用者 主目標を達成するためにシステムと対話をする人。
2) 二次利用者 支援を提供する人。
例えば,次の人をいう。
a) コンテンツプロバイダ,システム管理者及び/又はシステム上級管理者,並びにセキュリティ
管理者
b) 保守者,分析者,移植者,設置者
3) 間接利用者 システムと直接対話をしないが,出力を受け取る人。
表1−利用時の品質及び製品品質に対する利用者ニーズの例
利用者ニーズ 一次利用者 二次利用者 間接利用者
コンテンツプロバイダ 保守者
対話利用 対話利用 保守及び移植 出力利用
有効性 利用者が作業を実行すシステムを更新すると システムを保守又は移システムからの出力を
るためにシステムを使 植する人は,どのくらい
き,コンテンツプロバイ 利用する人は,どのくら
の効果を必要とするか。
用するとき,利用者は, ダは,どのくらいの効果 いの効果を必要とする
どのくらいの効果を必を必要とするか。 か。
要とするか。
効率性 利用者が作業を実行すシステムを更新すると システムを保守又は移システムからの出力を
るためにシステムを使 植する人は,どのくらい
き,コンテンツプロバイ 利用する人は,どのくら
の作業効率を必要とす
用するとき,利用者は, ダは,どのくらいの作業 いの作業効率を必要と
どのくらいの作業効率効率を必要とするか。 るか。 するか。
を必要とするか。
満足性 利用者が作業を実行すシステムを更新すると システムを保守又は移システムからの出力を
るためにシステムを使 行する人は,どのくらい
き,コンテンツプロバイ 利用する人は,どのくら
満足する必要があるか。
用するとき,利用者は, ダは,どのくらい満足す い満足する必要がある
どのくらい満足する必る必要があるか。 か。
要があるか。
リスク回避性 利用者が作業を実施すシステムの内容を更新 システムに保守改修をシステムからの出力を
るためにシステムを使 加えること又はシステ
することに,どのくらい 利用することに,どのく
リスクがないことを必
用することに,どのくら らいリスクがないこと
ムを移行することに,ど
いリスクがないことを要とするか。 のくらいリスクがないを必要とするか。
必要とするか。 ことを必要とするか。
信頼性 利用者が作業を実施すシステムを新しい内容 システムを保守又は移システムからの出力は,
るためにシステムを利 植することは,どのくら
で更新することは,どの どのくらい信頼できる
用するとき,システムくらい信頼できる必要 い信頼できる必要があ必要があるか。
があるか。
は,どのくらい信頼でき るか。
る必要があるか。
セキュリティ 利用者が作業を実施すコンテンツプロバイダ システムからの出力は,
保守改修を行った後,又
るためにシステムを利がシステムを更新した はシステムが移植されどのくらいセキュリテ
用するとき,システム たとき,システムは,ど
後,システムは,どのく ィを確保する必要があ
は,どのくらいセキュリ
らいセキュリティを確 のくらいセキュリティるか。
ティを確保する必要が保する必要があるか。 を確保する必要がある
あるか。 か。

――――― [JIS X 25010 pdf 11] ―――――

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X 25010 : 2013 (ISO/IEC 25010 : 2011)
表1−利用時の品質及び製品品質に対する利用者ニーズの例(続き)
利用者ニーズ 一次利用者 二次利用者 間接利用者
コンテンツプロバイダ 保守者
対話利用 対話利用 保守及び移植 出力利用
利用状況網羅 意図した利用状況及び意図した利用状況及び意図した利用状況及び 意図した利用状況及び
性 潜在的な利用状況の全潜在的な利用状況の全潜在的な利用状況の全 潜在的な利用状況の全
てにおいて,システム てにおいて,システムを
てにおいて,提供する内 てにおいて,システムの
容は,どの程度有効で, 保守又は移植すること
は,どの程度有効で,効 出力を利用することは,
は,どの程度有効で,効
率的で,リスクがなく, 効率的で,リスクがな どの程度有効で,効率的
満足する必要があるの 率的で,リスクがなく, で,リスクがなく,満足
く,満足する必要がある
か。 のか。 満足する必要があるの する必要があるのか。
か。
習得性 システムを利用するた内容を提供するための システムを保守したりシステムからの出力を
習得性は,どの程度有効
めの習得性は,どの程度 移植するための習得性使用するための習得性
で,効率的で,リスクが
有効で,効率的で,リス は,どの程度有効で,効
は,どの程度有効で,効
なく,満足するものであ
クがなく,満足するもの 率的で,リスクがなく, 率的で,リスクがなく,
であるのか。 るのか。 満足するものであるの満足するものであるの
か。 か。
アクセシビリ システムに内容を提供
システムは,障害のある システムの出力を使用
システムを保守し,移植
ティ することは,障害のある
人々にとって,どの程度 することは,障害のある
することは,障害のある
人々にとって,どの程度
有効で,効率的で,リス 人々にとって,どの程度
人々にとって,どの程度
有効で,効率的で,リス
クがなく,満足するもの 有効で,効率的で,リス
有効で,効率的で,リス
であるのか。 クがなく,満足するもの
クがなく,満足するもの クがなく,満足するもの
であるのか。 であるのか。 であるのか。
このような種類の各利用者は,表1に示すような質問によって利用者及び品質特性の例を示したように,
特別な利用状況における,利用時の品質及び製品品質に対するニーズをもっている。
注記 コンテンツプロバイダも,データ品質に対する利用者ニーズをもっている。
表1に示す利用者ニーズは,要求事項に対する開始点の例を提供している。それらは,利用時及び保守
時のシステムの品質の影響を測定するための基準として利用することができる。
ソフトウェアの開発又は取得に先立って,品質要求事項は,利害関係者の観点から定義することが望ま
しい。利用時の要求事項の分析は,製品が利用時の要求事項を達成するために必要な,導出された機能的
な要求事項及び品質要求事項を導き出す。
例 システム信頼性に対する全般的なニーズは,ソフトウェア製品の成熟度,可用性,障害許容性及
び回復性に対する特定の要求事項を導き出すことができる。信頼性も,全般的なシステムの有効
性,効率性,リスク回避性及び満足性に影響を与えることができる。

3.7 モデル間の関係

  ソフトウェア製品及びコンピュータシステムの特徴は,特別の利用状況において,製品品質を決定する
(表2参照)。
機能適合性,性能効率性,使用性,信頼性及びセキュリティは,一次利用者の利用時の品質に大きな影
響を及ぼす。性能効率性,信頼性及びセキュリティは,これらの領域を専門とする他の利害関係者にも,
特定の関係があることがある。
互換性,保守性及び移植性は,システムを保守する二次利用者の利用時の品質に大きな影響を及ぼす。

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X 25010 : 2013 (ISO/IEC 25010 : 2011)
表2−品質特性の影響
ソフトウェア製品 製品品質特性
コンピュータシス 一次利用者の利用 他の利害関係者に
保守作業の利用時
特徴 テム特徴 時の品質への影響の品質への影響 関係する情報シス
テム品質
⇒ ⇒ 機能適合性 *
⇒ ⇒ 性能効率性 * *
⇒ ⇒ 互換性 *
⇒ ⇒ 使用性 *
⇒ ⇒ 信頼性 * *
⇒ ⇒ セキュリティ * *
⇒ ⇒ 保守性 *
⇒ ⇒ 移植性 *
キー : ⇒ これらの特徴は,製品品質に影響を及ぼす。
* 製品品質は,これらの利害関係者の利用時の品質に影響を及ぼす。

4 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 品質特性及び品質副特性の定義は4.1及び4.2に,一般の定義は4.3に,JIS X 25000からの基
本的な定義は4.4に示す。

4.1 利用時の品質モデル

  利用時の品質モデルは,特定の利用者が特定の利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び
満足性に関して特定の目標を達成するためのニーズを満たすために,製品又はシステムを利用できる度合
いのことである。
利用時の品質の特徴は,有効性,効率性,満足性,リスク回避性及び利用状況網羅性の五つの特性に分
類される(図3及び表3参照)。
表3−利用時の品質特性及び品質副特性
有効性
効率性
満足性
実用性
信用性
快感性
快適性
リスク回避性
経済リスク緩和性
健康・安全リスク緩和性
環境リスク緩和性
利用状況網羅性
利用状況完全性
柔軟性
注記 使用性(4.2.4)は,その規定された意味との一貫性を保つために,有効性,効率性及び満足性
からなる利用時の品質の部分集合として定義される。

――――― [JIS X 25010 pdf 13] ―――――

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X 25010 : 2013 (ISO/IEC 25010 : 2011)
4.1.1
有効性(effectiveness)
明示された目標を利用者が達成する上での正確さ及び完全さの度合い。
注記 ISO 9241-11(JIS Z 8521:1999)から引用したため,“degree to which”という共通の文の部分が
省略されている。
4.1.2
効率性(efficiency)
利用者が特定の目標を達成するための正確さ及び完全さに関連して,使用した資源の度合い。
注記1 関連する資源には,作業を完成するための時間(人的資源),材料又は資金面での使用コスト
を含む。
注記2 ISO 9241-11(JIS Z 8521:1999)から引用したため,“degree to which”という共通の文の部分
が省略されている。
4.1.3
満足性(satisfaction)
製品又はシステムが明示された利用状況において使用されるとき,利用者ニーズが満足される度合い。
注記1 製品又はシステムと直接的に対話を行わない利用者に対して,目的の達成及び信用性だけが
関連している。
注記2 満足性は,製品又はシステムとの対話についての利用者の反応であり,製品の利用に対する
態度を含む。
4.1.3.1
実用性(usefulness)
利用の結果及び利用の影響を含め,利用者が把握した目標の達成状況によって得られる利用者の満足の
度合い。
4.1.3.2
信用性(trust)
利用者又は他の利害関係者がもつ,製品又はシステムが意図したとおりに動作するという確信の度合い。
4.1.3.3
快感性(pleasure)
個人的なニーズを満たすことから利用者が感じる喜びの度合い。
注記 個人的なニーズには,新しい知識及びスキル(技術)を獲得するというニーズ,個人のアイデ
ンティティを伝えるというニーズ及び心地よい記憶を引き起こすニーズを含むことができる。
4.1.3.4
快適性(comfort)
利用者が(システム又はソフトウェアを利用する時の)快適さに満足する度合い。
4.1.4
リスク回避性(freedom from risk)
製品又はシステムが,経済状況,人間の生活又は環境に対する潜在的なリスクを緩和する度合い。
注記 リスクは,所与の脅威の発生確率と,その脅威の発生によって起きる悪影響の可能性との関数
である。

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X 25010 : 2013 (ISO/IEC 25010 : 2011)
4.1.4.1
経済リスク緩和性(economic risk mitigation)
意図した利用状況において,財政状況,効率的運用操作,商業資産,評判又は他の資源に対する潜在的
なリスクを,製品又はシステムが緩和する度合い。
4.1.4.2
健康・安全リスク緩和性(health and safety risk mitigation)
意図した利用状況において,製品又はシステムが人々に対する潜在的なリスクを緩和する度合い。
4.1.4.3
環境リスク緩和性(environmental risk mitigation)
意図した利用状況において,環境に対する潜在的なリスクを製品又はシステムが軽減する度合い。
4.1.5
利用状況網羅性(context coverage)
明示された利用状況及び当初明確に識別されていた状況を超越した状況の両方の状況において,有効性,
効率性,リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。
注記 利用状況は,利用時の品質及び幾つかの製品の品質(副)特性(ここでは,明示された条件下
としている。)に関連している。
4.1.5.1
利用状況完全性(context completeness)
明示された全ての利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシス
テムが使用できる度合い。
注記 利用状況の完全性は,次のいずれかによって明示されるか,又は測定することができる。
− 意図した全ての利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性を伴って,
明示された目標を達成するために明示された利用者が製品を使用できる度合い
− 意図した全ての利用状況において,使用を支援する製品特徴の存在
例 小さい画面を使用したり,低いネットワーク帯域幅であったり,熟練していない利用者が使った
り,また,障害許容性モード(例えば,ネットワークと接続していないモード)で使ったりした
場合,ソフトウェアが使用可能である程度。
4.1.5.2
柔軟性(flexibility)
要求事項の中で初めに明示された状況を逸脱した状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満
足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。
注記1 柔軟性は,追加の利用者グループ,作業及び文化に対して製品を適応することによって
(4.2.8.1参照)達成することができる。
注記2 柔軟性は,前もって予測されていない周囲の状況,機会及び個人の好みを製品に考慮するこ
とを可能にする。
注記3 製品が柔軟性に合わせて設計していない場合,意図していない状況で製品を使用することは,
安全でないかもしれない。
注記4 柔軟性は,次のどちらかで測定することができる。
− 付加的な種類の利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性で付加的
な種類の目標を達成するための付加的な種類の利用者によって,製品を使用することが

――――― [JIS X 25010 pdf 15] ―――――

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