JIS X 25030:2012 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)―品質要求事項 | ページ 2

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X 25030 : 2012 (ISO/IEC 25030 : 2007)
る特定の用語及び定義はない。

5 品質要求事項に対する基本的な概念

  箇条5は,この規格で使用されるソフトウェア品質要求事項に関係した概念を規定している。箇条5に
は,要求事項を含まない。

5.1 ソフトウェア及びシステム

  ソフトウェアは,この規格の主要な対象である。しかし,ソフトウェアは,通常,より大きなシステム
の一部を構成する。したがって,システムの視点に立つことが役立つ。システムは,一つ以上の明記され
た目的を達成するために,組織化された,相互に作用する要素の組合せとして定義されている。この定義
は,システムを構成するもの及びシステムの要素を決定することに高い自由度を許容している。システム
の境界は,視点によって決まる。
注記 システムの境界は,次の三つの例で示すような視点によって決まる。第一の例は,航空機のエ
ンジンの制御システムである。第二の例は,航空機のエンジン全体であり,第三の例は,航空
機の全体である。航空機は,エンジン,翼などの要素の組合せと考えることができる。それら
の要素は,また,それ自身でシステムとみなすこともできる。
エンタープライズシステム
情報システム
コンピュータシステム
コンピュータ オペレーティ アプリケーション データ 人間系の業務
情報伝達
ハードウェア ングシステム ソフトウェア プロセス
情報伝達 情報伝達
コンピュータシステム
コンピュータ オペレーティ アプリケーション データ 機械システム
情報伝達
ハードウェア ングシステム ソフトウェア
図2−システムモデルの例
図2は,システムの階層構造を示すシステムモデルの例であり,情報システム,機械システム,人間系
の業務プロセス及びそれらのインタフェースを含むものである。
システムの要素を定義するためには,幾つかの異なる適切な方法があってもよい。ソフトウェアは,シ
ステムの要素の一つとみなしてもよい。コンピュータシステムは,ソフトウェアを含むシステムの例であ
る。コンピュータシステムの要素は,ソフトウェアを用いるために必要となるコンピュータハードウェア,
オペレーティングシステム及びデータを含む。ワードプロセッサのように,ソフトウェアを一人で利用す
る場合には,コンピュータシステムは,対象システムの適切なモデルを表している。クライアントサーバ・
ソフトウェア又はインターネットアプリケーションは,より緊密なコンピュータシステム同士の通信を含

――――― [JIS X 25030 pdf 6] ―――――

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めた情報システムのような,より複雑なシステムモデルを必要とする。同様に,電子商取引アプリケーシ
ョンは,人間系の業務プロセスを含むことが多い。多くの装置は,自動車のアンチロックブレーキングシ
ステム(ABS)のように,コンピュータシステムと機械システムとの両方を含む。空港の旅客手荷物取扱
いシステムは,コンピュータシステム,機械システム(ベルトコンベアなど)及び人間系の業務プロセス
を含む。この例は,人間がシステムの一部になり得ることを示している。

5.2 利害関係者及び利害関係者要求事項

  システムには,そのライフサイクルを通して,システムに関心がある様々な利害関係者が存在している。
システムの利害関係者は,システムに正当な関心をもつ全ての人々(例えば,エンドユーザ),組織(例え
ば,エンドユーザ組織又は開発組織)及び団体(例えば,法定機関及び規制機関又は一般公的団体)を含
む。利害関係者は,システムに対して,それぞれ異なるニーズ及び期待をもっている。そのニーズ及び期
待は,システムのライフサイクルを通して,変化してもよい。
利害関係者のニーズは,明確に記述することができるが,暗黙のこともある。暗黙のニーズは,ソフト
ウェア製品が使用される状況によってしばしば暗示される。そして,暗黙のニーズは,類似ソフトウェア
製品又は既存の決められた作業,通常の作業手順及び業務,法律又は法規による操作,などに基づいてい
る。利害関係者が自らのニーズに気づかないことが時々ある。多くの場合,ソフトウェア製品及び関係す
る業務プロセス又はタスクを試行することができて,初めて,利害関係者のニーズが明らかになる。開発
プロジェクトの初期段階で,暗黙のニーズ及び利害関係者が気づかないその他のニーズ(気づかないニー
ズ)を識別するために使用することができる方法の例として,シナリオ,ユースケース及びプロトタイプ
がある。場合によっては,利害関係者の真のニーズと利害関係者が表明しているニーズとが異なることが
ある。
利害関係者のニーズ及び期待は,図3に示す要求事項の抽出及び定義プロセスを通して識別される。プ
ロセスは,全ての利害関係者のニーズ,要望,願望及び期待を考慮に入れる。このことには,社会から求
められるニーズ及び要求事項,取得者からの制約,並びにエンドユーザのニーズを含む。
異なる立場の利害関係者は,異なるニーズ及び期待をもつことがよくある。場合によっては,利害関係
者は,矛盾したニーズをもつことがある。利害関係者間の要求事項の不一致は,例えば,異なるエンドユ
ーザの観点間の不一致,又は取得者のニーズと開発組織での利用可能なスキル,経験若しくは資源との不
一致のことである。
この規格では,特定のソフトウェアライフサイクルプロセスを指定しないが,JIS X 0170にあるシステ
ムライフサイクルプロセスに従う。JIS X 0170では,利害関係者の要求事項の定義及びシステムの要求事
項の分析を狙いとする,次の二つのテクニカルプロセスを定義している。
a) 利害関係者要求定義プロセス(JIS X 0170の5.5.2を参照。)
b) 要求分析プロセス(JIS X 0170の5.5.3を参照。)
注記 JIS X 0160:1996が品質要求事項については,JIS X 0170より明確ではないことから,JIS X
0170を優先して用いる。
これら上記のa),b)の二つのプロセスは,論理的な順序になっているが,これらの二つのプロセスを繰
り返し使うことはよくある。この規格の附属書Bには,関連するプロセスのアクティビティが提供されて
いる。
次のような特定の状況又は要因を満たすために,JIS X 0170附属書Aの規定に沿って,二つのプロセス
を修整してもよい。
a) 合意の中でJIS X 0170を採用している組織を取り巻く状況又は要因

――――― [JIS X 25030 pdf 7] ―――――

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b) IS X 0170を参照しているという合意を満たすことを要求されるプロジェクトに影響を与える状況又
は要因
c) 製品又はサービスを提供するために組織のニーズを反映する状況又は要因
JIS X 0170に定義された二つのプロセスがシステム要求事項を取り扱うのに対し,この規格では,ソフ
トウェア品質要求事項を取り扱う。ソフトウェア品質要求事項は,システムの観点で考慮することが望ま
しいが,JIS X 0170に規定されるアクティビティで,ソフトウェア品質要求事項の視点からは関連性がな
いアクティビティ又はほんの僅かしか関連性がないアクティビティがあってもよい。
利害関係者の 利害関係者要求事項 システム要求事項
ニーズ及び期待 利害関係者 要求事項
要求定義 分析プロセス
プロセス
・明記されたもの 関連する利害関係者 形式化された
・暗黙のもの から抽出された要求 システム要求事項
・気づかないもの 事項 及び制約事項
図3−利害関係者要求定義及び要求分析
利害関係者要求定義プロセスの結果を利害関係者要求事項という。要求事項分析プロセスの結果をシス
テム要求事項という。

5.3 利害関係者要求事項及びシステムの要求事項

  図3に示すように,分析プロセスでは,利害関係者の要求事項を,要望されたシステムの実現に使用で
きるシステムの要求事項の技術的視点へと変換する。要求事項の技術的視点をシステム要求事項という。
利害関係者の要求事項を満たすために,システム要求事項は,検証可能であり,かつ,システムが保有し
なければならない特性はどれかを記述する。
システムは,多くの場合,様々な要素から構成される。それぞれ特定の特性をもち,システム全体の中
でそれぞれの目的を遂行する。システムを実際に使えるようにするために,システム要求事項を各システ
ム要素のための要求事項として体系化しなければならない。異なる要素は,システムの能力を提供するた
めに相互に作用するので,異なるシステム要素に対する要求事項は,単独ではなく,他のシステム要素に
対する要求事項を含む,より広い視点で見ることができる。
利害関係者の要求事項は,例えば,ソフトウェアに対する要求事項を暗示してもよい。しかし,利害関
係者の要求事項が常にソフトウェアへの要求事項を暗示しているわけではない。利害関係者の要求事項は,
他の方法でも実現できる。例えば,ハードウェアの中若しくはソフトウェアの中で,又はビジネスプロセ
ス(手作業プロセスとしても)として実現できる。そのような実現に関する決定は,高レベルの設計プロ
セスの一部である。図2に示すシステムモデルを適用する,システム設計の決定に基づく要求事項の階層
構造を図4に示す。

――――― [JIS X 25030 pdf 8] ―――――

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システム
要求事項
人間系の業務プロセスの 情報システムの 機械システムの
要求事項 要求事項 要求事項
コンピュータシステムの コンピュータシステムの コンピュータシステムの
要求事項 要求事項 要求事項
コンピュータ オペレーティング アプリケーション データの
ハードウェアの システムの ソフトウェアの 要求事項
要求事項 要求事項 要求事項
図4−システム及びソフトウェア要求事項の階層

5.4 ソフトウェア品質モデル

  システムの品質は,システム要素の品質及びそれらの相互作用の結果である。この規格は,システムの
一部としてのソフトウェアの品質に着目している。
ソフトウェア品質は,特定の条件の下で利用されたとき,明示的及び暗示的なニーズを満たすソフトウ
ェア製品の能力である。JIS X 0129-1:2003(JIS X 25010)で規定したソフトウェア製品の品質モデルは,
次の六つの品質特性を定義している。
− 機能性 : ソフトウェアが指定された条件の下で利用されるとき,明示的及び暗示的なニーズを満たす
機能を提供するソフトウェア製品の能力。
− 信頼性 : 指定された条件の下で利用するとき,指定された達成水準を維持するソフトウェア製品の能
力。
− 使用性 : 指定された条件の下で利用するとき,理解でき,習得でき,利用でき,かつ,利用者にとっ
て魅力的であるソフトウェア製品の能力。
− 効率性 : 明示された条件の下で,使用する資源の量に対比して適切な性能を提供するソフトウェア製
品の能力。
− 保守性 : 修正のしやすさに関するソフトウェア製品の能力。修正には,環境並びに要求事項及び機能
仕様における変更へのソフトウェアの是正,改善又は適合を含めてもよい。
− 移植性 : ある環境から他の環境に移すためのソフトウェア製品の能力。
この規格は,システムレベルの追加的な品質特性を定義する。
− 利用時の品質 : 指定された利用者が,指定された利用の状況で,有効性,生産性,安全性及び満足度
に対する指定された目標を達成できるソフトウェア製品の能力。
品質特性は,定義された副特性をもっている。さらに,この規格は,階層構造において利用者が副副特
性を定義することを許容している。定義された品質特性は,ほとんどのソフトウェア製品に対して,関連
のある品質側面を網羅している。それ自体は,品質の完全な網羅性を高めるためのチェックリストとして
使用できる。
品質モデルは,品質の三つの異なる視点を定義する。

――――― [JIS X 25030 pdf 9] ―――――

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− 利用時のソフトウェア品質
− 外部ソフトウェア品質
− 内部ソフトウェア品質
特定の利用者による特定のタスク実行に関して,利用時のソフトウェア品質という視点は,運用環境に
おいてソフトウェアを適用することに関係している。外部ソフトウェア品質は,ソフトウェアの“ブラッ
クボックス(暗箱)”化という視点を提供し,コンピュータハードウェア上でのソフトウェアの実行及びオ
ペレーティングシステムの適用に関する特徴を取り扱う。内部ソフトウェア品質は,ソフトウェアの“ホ
ワイトボックス(透明箱)”化という視点を提供し,主として開発期間中に利用可能となるソフトウェア製
品の特徴を取り扱う。内部ソフトウェア品質は,主にソフトウェアの静的な特徴に関係している。内部ソ
フトウェア品質は,外部ソフトウェア品質に影響を与え,同じく,外部ソフトウェア品質は,利用時の品
質に影響を与える。図5は,様々な品質モデルとシステムとの関連を示す。SQuaREシリーズは,ソフト
ウェア品質モデル及びデータ品質モデルを対象としており,図中のその他の品質モデルは,対象としてい
ない。
ソフトウェア 内部ソフトウェア 外部ソフトウェア 利用時のソフトウェア
品質モデル 品質モデル 品質モデル 品質モデル
システム
情報システム
コンピュータシステム
コンピュータ オペレーティ ソフトウェア データ 人間系の 機械システム
ハードウェア ングシステム 業務プロセス
その他の コンピュータ データ品質 人間系の 機械システムの
品質モデル ハードウェア モデル 業務プロセス 品質モデル
の品質モデル の品質モデル
図5−システムモデル及び品質モデルの例
品質モデルは,品質の全ての側面が内部品質,外部品質及び利用時の品質の視点から考慮されることを
確実にするための枠組みとして役立つ。

5.5 ソフトウェアの特徴

  ソフトウェアの特徴には,ソフトウェア固有のもの(ソフトウェアが本来もっているもの)もあり,ソ
フトウェア製品に割り当てられたものもある。ソフトウェア製品の能力は,ソフトウェア固有の特徴によ
って決まる。
注記1 “に割り当てられた”に対する“固有の”という言葉は,特に恒久的な特性又は特徴とし
て何かの中に存在することを意味している。
注記2 ソフトウェア固有の特徴の例としては,コード行数及びソフトウェアによって提供された数

――――― [JIS X 25030 pdf 10] ―――――

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JIS X 25030:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 25030:2007(IDT)

JIS X 25030:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 25030:2012の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称