JIS X 33003:2019 情報技術―プロセスアセスメント―プロセス測定フレームワークに対する要求事項 | ページ 2

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X 33003 : 2019 (ISO/IEC 33003 : 2015)
注記 反映的構成概念は,その測定量変動の根底となる因子である。
3.14
尺度(scale)
属性が対応付けられる,連続若しくは離散の順序付けられた一式の値,又は一式のカテゴリ。
注記 尺度の形式は,尺度上の値の間の関係性に依存している。一般的に,次の4種類の尺度が定義
されている。
名義尺度 : 測定値が分類別である。例えば,欠陥の形式による分類は,分類間の順序を意味し
ていない。
順序尺度 : 測定値が序列である。例えば,重大度による欠陥の分類は,序列である。
間隔尺度 : 測定値が,等しい量の属性に対応付けられた,等しい距離をもっている。例えば,
サイクロマティック複雑度は,最小値1をもつが,それぞれの増加分は,追加パスを示
す。ゼロ値はとらない。
比尺度 : 測定値が,属性の等しい量に対応して等しい距離をもっており,どの属性にも対応付
けられないものをゼロ値という。例えば,ゼロ値は,コードのライン数がない状態に対
応し,追加された各増分が等しいコード量を表しているため,LOC(コード行数,lines of
code)で示されるソフトウェアコンポーネントの大きさは比尺度である。
3.15
一次元性(unidimensionality)
一式の測定量の根本である,単一の特性又は構成概念の存在。

4 プロセス測定フレームワークの要求事項

  この箇条では,プロセス測定フレームワークを開発するための要求事項を定義する。この規格の手引は,
これらの要求事項をより良く理解するためのものである。図A.1は,この箇条で使用する幾つかの用語間
の関係を示す。
注記 これらの要求事項に適合するための手引は,例及び方法を含め,一連の規格の一部として開発
するプロセス測定フレームワークを構築するためのガイドに記載される。

4.1 概念化

4.1.1  要求事項
a) 一つのプロセス測定フレームワークは,一つのプロセス品質特性を特定し,対象としなければならな
い。
b) プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性は,多次元構成概念に基づいて定義しなけれ
ばならない。
c) プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性は,一式のプロセス属性として定義しなけれ
ばならない。
d) それぞれのプロセス属性は,プロセス品質特性の性質を定義しなければならない。
e) 直接測定可能でないそれぞれのプロセス属性は,プロセス品質特性を構成概念と考えなければならな
い。
f) プロセス測定フレームワークにおけるプロセス属性は,反映的又は形成的として定義しなければなら
ない。
g) プロセス測定フレームワークは,その適用の基礎をなす方針及び前提を文書化しなければならない。

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4.1.2 手引
概念を特定して明確化するプロセスを,概念化という。概念は,単一の条件の下で関心のある現象(例
えば,形質,行動形質)を結び付ける考え又は心象である。これは,具体的な形質のリストを置き換える
要約の仕掛けである。ほとんどのプロセス品質特性(例えば,プロセス能力)は,観察可能ではなく,構
成概念と呼ばれる理論的概念である。
プロセス測定フレームワークで使用される合成の測定量(例えば,プロセス能力レベル)は,プロセス
属性から構成される構成概念に基づいて定義される。測定フレームワークは,一連の達成の水準に構造化
していてもよい。
プロセス属性が直接的に測定可能でない場合,それは,構成概念として定義してもよい。構成概念とし
ての一式のプロセス属性は,反映的又は形成的のいずれかである。
専門家及び利害関係者の参加は,プロセス品質特性及びそのプロセス属性の妥当性を高めることができ
る。妥当性の側面は,C.3を参照。
多次元構成概念は,一式の次元とそれらの関係とを含むパス図で表すことができる。パス図を使用する
と,モデルの範囲と構造とが分かりやすくなる。

4.2 構成概念定義

4.2.1  要求事項
a) 構成概念定義は,プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性の意味及びそのプロセス属
性を定義しなければならない。
b) 構成概念定義は,プロセス品質特性の仕様,及びその多次元としてのプロセス属性群を明確にしなけ
ればならない。
c) 構成概念定義は,プロセス品質特性及びそのプロセス属性群の活用のガイドを提供しなければならな
い。
d) 構成概念定義は,カテゴリ(例えば,能力水準のような一連の序数)又は数値のような合成の測定量
の尺度を提示しなければならない。
e) プロセス属性の少なくとも一つは,定義されたプロセス目的及びプロセス成果の達成を含まなければ
ならない。これを,プロセス実行属性という。
4.2.2 手引
プロセス品質特性又はプロセス属性は,それが表す直観的な理解を伝えることが望ましいが,解釈は,
観察者によって異なることがある。それゆえに,構成概念の意味を説明し提供するための定義が必要であ
る。これを構成概念定義という。
構成概念の明確化は,例えば,指定された上位のプロセス品質特性の定義が,構成概念仕様に基づいて
全てのプロセス属性を完全に網羅し,その構成概念仕様においては,下位のプロセス属性は,そのプロセ
ス品質特性に属する独立した次元であることを意味する。潜在変数は,モデル内の一次元構成概念に割り
当てられる。次元に関連する統計的方法は,C.1を参照。

4.3 操作化

4.3.1 要求事項
a) 全てのプロセス属性は,その構成概念仕様に従って定義しなければならない。
b) プロセス属性の達成は,客観的証拠によって検証可能でなければならない。
4.3.2 手引
プロセス属性が,形式に沿ったアセスメント,自己報告,実地調査(アンケートとインタビューとを含

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む。),観察,又は他の実験的手段によって直接に観察可能である場合,それは,他の測定量とは機能的に
独立した基本測定量である。プロセス属性が幾つかの下位構成概念又は測定量で測定されている場合,そ
れは,構成概念とみなすことができる。構成概念を測定し,反映的仕様における一連の統計的テスト(モ
デルの妥当性確認と構成概念仕様とを含む。)を実行するには,四つ以上の基本測定量を推奨する。
注記 プロセス属性評定に利用されるアセスメント指標については,ISO/IEC 33004の6.3.8を参照。

4.4 構成概念仕様の検査

4.4.1  要求事項
プロセス品質特性及びそれに関連するプロセス属性の構成概念仕様は,操作化を通じて,かつ,根拠を
もって検査しなければならない。
4.4.2 手引
構成概念を表す潜在変数を,その測定量と関連付ける方法(すなわち,一次元構成概念とその測定量と
の関係)である2種類の構成概念仕様がある。それらは,反映的及び形成的測定モデルである。プロセス
品質特性又はプロセス属性は,基本的な要因又は観察された測定量によって生成される指標のいずれかと
して見ることができる。前者を,影響を示す反映的構成概念又は反映的測定モデル,後者を,原因を示す
形成的構成概念又は形成的測定モデルという。
反映的測定モデルの目的は,複数の測定量を使用して単一の性質を測定することであるが,形成的測定
モデルは,単一の合成値で複数の性質を要約する。これら二つの仕様は,それぞれ図B.1 a) 及び図B.1 b)
のように表すことができる。
構成概念仕様が,反映的か又は形成的かを調べるための決定規則を表1に要約する。これらの決定規則
は,プロセス品質特性及びそれに関連するプロセス属性に適用できる。それらは,構成概念仕様の事前統
計的検証を診断できる。構成概念仕様の詳細は,附属書Bを参照。
表1−測定モデルが反映的か又は形成的かを調べるための決定規則
決定規則 反映的測定モデル 形成的測定モデル
構成概念の測定量の特性 測定量は,構成概念の明示である。 測定量は,構成概念の(側面を表す)特
測定量は,共通のテーマを共有する。 性を定義している。
測定量は,代替可能であることが望まし 測定量は,共通のテーマを共有する必要
い。 はない。
測定量は,同じ又は類似した意味をもつ 測定量は,代替可能である必要はない。
ことが望ましい。 測定量は,同じ又は類似の意味をもつ必
測定量の除外によって,構成概念の概念 要はない。
的な領域を変更しないことが望ましい。 測定量の除外によって,構成概念の概念
測定量は,相互に共変すると期待されて 的な領域を変更してもよい。
いる。 測定量は,相互に共変する必要はない。
構成概念と測定量との間 因果関係の方向は,構成概念からその複 因果関係の方向は,測定量から構成概念
の因果関係の方向 数項目の測定量へ,である。 へ,である。
測定量の変更によって,構成概念が変更 構成概念の変更によって,測定量が変更
されないことが望ましい。 されないことが望ましい。
場合によっては,図B.1に示している関係は,より高次のレベルをもつことができる。すなわち,構成
概念の概念的定義は,しばしば高次の反映的及び/又は一次元の形成的を含む,より抽象的なレベルで規
定される。高次モデルの定義は,反映的測定モデルでは理論主導であることが望ましい。定義を裏付ける
又は確認するには,統計分析を使用することが望ましい。

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4.5 プロセス属性の評定

4.5.1  要求事項
a) プロセス属性は,評定しなければならない。
b) プロセス属性について,測定尺度,すなわち,名義尺度,順序尺度,間隔尺度又は比尺度を定義しな
ければならない。
c) 各プロセス属性に客観的に値を割り当てる測定方法を特定しなければならない。
4.5.2 手引
幾つかのアセスメントでは,個々のプロセスインスタンスの診断に関して,例えば,プロセス品質特性
又はプロセス属性の評定を生成することができる。一方で,評定のない全体像を提供する他のアセスメン
トでは,プロセスと同じ背景で一式のプロセスインスタンスを同時に診断することができる。プロセス属
性は,形式に沿ったアセスメント,自己報告,調査(質問票及び面接を含む。),観察,又は他の経験的手
段に基づいて評定できる。したがって,評定の基本測定量のための測定尺度は,アセスメントの粒度と一
致することが望ましい。場合によっては,自己報告又は調査の中での評定は,客観的な証拠ではなく,主
観に基づく。プロセス品質特性及びそのプロセス属性の評定尺度は,構成概念仕様(4.3参照)と一貫した
理論的根拠で処理することが望ましい。
プロセス属性を評定するために確立され文書化されたアセスメントプロセスは,信頼できる測定結果を
提供する。プロセス属性評定の進め方は,文書化されたアセスメントプロセスで定義しなければならず,
アセスメント目的に基づいたアセスメントクラスに依存してもよい。したがって,この目的のために,文
書化されたアセスメントプロセスは,統合されたアセスメントの枠組みの下での確立,計画,実行及び評
価アセスメントを導く。対象領域において合意がある場合は,測定目的への適合性を調べた上で,文書化
され,有効性が確認されたアセスメントプロセスを選ぶことができる。

4.6 集約

4.6.1  要求事項
集約は,一式の測定値を組み合わせることによって,合成値又は評定値を導出する。
a) 測定フレームワーク内で要求している全ての集約を識別しなければならない。
b) 集約方法を特定しなければならない。
c) 集約方法は,統計的に妥当でなければならない。
d) 集約方法は,一貫した測定尺度を利用しなければならない。
e) 集約方法は,測定フレームワークの方針及び前提と一貫していなければならない。
f) 集約方法は,構成概念仕様と一貫していなければならない。
4.6.2 手引
プロセス品質特性又はプロセス属性に対する合成の測定量の尺度を,その構成概念仕様に従って提示す
ることが望ましい。要求される集約の数は,4.1におけるプロセス品質特性の多次元構成概念の構造によっ
て決まる。主に,集約は,プロセス品質特性及びそのプロセス属性のような,構成概念の階層的関係をも
つ箇所で行われる。尺度上のそれぞれのプロセス品質特性水準を,一式のプロセス属性の達成度合いによ
って定義する。
一つの選択肢をもつMCDMは,同様に合成の測定量の値を導出する集約方法とみなすことができる。
集約方法は,構成概念仕様,評価方針,合成の測定量又は測定尺度に応じて,補償又は非補償モデルに基
づいてもよい。測定誤りがない形成的モデルは,合成値に異なった側面又は次元を集約する補償型MCDM
と考えることができる。

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関連する集約の一例は,形成的な仕様を仮定したときの,プロセス能力水準に対する一式のプロセス属
性の評定の組合せである。プロセス品質特性及びそのプロセス属性のような多次元構成概念において,一
式のプロセス属性評定からプロセス能力水準を決定するために集約が使われる。さらに,多数のプロセス
インスタンスのそれぞれに対して,プロセス属性評定を行うのであれば,集約方法を提供することが望ま
しい。
プロセス品質特性又はプロセス属性の評定尺度が,その達成の程度を表す。評定に固定点を提供するた
めに,尺度を,間隔尺度又は比尺度から,順序尺度に変換することができる。例えば,評定尺度は,特定
の組織的な背景におけるプロセスインスタンスのプロセス属性の達成の程度を表現するために,又は定義
された組織的な単位の範囲内の複数のプロセスインスタンスにわたるプロセス属性の達成の程度を表現す
るために用いてもよい。
測定尺度の一貫性は,(i)比尺度を間隔尺度,順序尺度,又は名義尺度に変換できること,(ii)間隔尺
度を順序尺度又は名義尺度に変換できること,及び(iii)順序尺度を名義尺度に変換できることのような,
より高い尺度水準からより低い尺度水準へ変換できることを意味する。
関連する前提を満足している場合,反映的な構成概念の合成値は,測定量の値を平均する,又は合計す
ることによって計算することができる。それらの方法は,多次元構成概念における,より水準が高い構成
概念の合成値を得るために,下位構成概念の集約にも適用してもよい。
外れ値の存在は,吟味することが望ましい。さらに,必要であれば,大きく外れた測定値は,変換する
ことが望ましい。真の外れ値と判断した場合は,集約から取り除いてもよい。測定量が様々な範囲の値を
もっている場合,測定単位の相違があるので,どのようなデータ操作の前にも正規化が必要である。適切
な正規化方法を,理論的な基盤とデータの特性との双方を勘案して使用することが望ましい。

4.7 感度分析

4.7.1  要求事項
感度分析は,合成値の頑健性を調べることを目指す。感度分析の種類と方法とは,プロセス測定フレー
ムワークの評定と集約の方法とに依存する。
a) プロセス属性の測定尺度に対して,感度分析を実施しなければならない。
b) 集約方法に対して,感度分析を実施しなければならない。
c) 適用可能であれば,重み付けに対して,感度分析を実施しなければならない。
4.7.2 手引
合成値の頑健性は,不確実性分析によって,又は感度分析によって評価することができる。不確実性分
析は,測定値のような入力要素の不確実性が,どのように合成の測定量の構造を通して伝搬し,合成値に
影響を及ぼすかを調べる。感度分析は,個々の不確実性の原因が結果の分散に影響する程度を調べる。感
度分析は,プロセス属性に基づいて実施できる。
例えば,ほとんどの補償モデルのように合成の測定量に重み付けを含めると,重み付けに関する感度分
析が必要となる。さらに,その際には重み付けの割当て方法を特定することが望ましい。非補償MCDM
モデルは,重み付けを必要としない。

5 プロセス測定フレームワークの妥当性確認のための要求事項

5.1 要求事項

a) プロセス測定フレームワークの信頼性の検証及び妥当性の確認のための計画は,標準化の開始時に確
立しなければならない。これらの計画は,標準化後の活動を含まなければならない。

――――― [JIS X 33003 pdf 10] ―――――

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JIS X 33003:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 33003:2015(IDT)

JIS X 33003:2019の国際規格 ICS 分類一覧

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規格名称