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人格形質及び態度のような心理的な構成概念要素を測定する場合は,反映的測定量を推奨する。
構成概念とその尺度との間の関係は,各尺度が次のように潜在変数に依存する一式の方程式によって表
す。
xi=λiξ+δi
xiは,潜在変数ξに依存するi番目の反映的測定量であり,係数λiは,xi上のξの1単位の差の予想され
る影響である。ランダム誤差項δiは,測定誤差である。反映的構成概念の決定規則を,表1に要約してい
る。
B.2 形成的モデル
図B.1 b) の形成的構成概念では,測定量は,構成概念要素の原因とみなし,構成概念要素は,その測定
量の組合せによって形成又は誘導する複合変数である。測定は,交換不可能な独立した原因の集合を特徴
付ける。各指標は,構成概念領域の特定の側面を捉える。したがって,尺度を省略すると,内容の有効性
に悪影響を与える可能性がある。測定は,構成概念領域の異なる面を表しており,高度に相関する必要は
ない。形成尺度間の高い相関は,測定係数の安定性に影響を及ぼし,個々の尺度の独立した影響を構成概
念に分離することを困難にする可能性がある。活動又は行動の尺度を構築することは,通常,形成的な構
造と考える。
形成的構成概念は,次のように表すことができる。
η=γ1x1+L+γqxq+ζ
ここで,ηは,その形成的尺度xiによって推定する構成概念である。係数γiは,潜在変数ηに対する測
定xiの効果を示す。外乱項ζは,モデルで省略した尺度のηへの影響を示す。形成的構成概念の決定規則
を,表1に要約している。
B.3 誤差なし形成的モデル(合成の測定量)
図B.1 b) の誤差項を伴わずに,形成可能な構成概念を表すことができる。すなわち,外乱項ζは,ゼロ
とみなす。次に,この形成的モデルは,MCDMプロセスとして機能し,合成の測定量を示し,それらの重
要度又は優先度によって重み付けした一連の尺度xsの組合せによって決定する。その関係は,次のように
書き直すことができる。
C=γ1x1+L+γqxq
ここで,Cは,xsの重み付き合成を表す。この式では,全てのγixi項が分かっていれば,Cは,潜在変数
ではなく合成値である。合成測定の妥当性確認手順は,上記の形成的モデルと重複する。この基準は,適
切であれば,形成的構成概念と合成的測定との間の差異を明確に示す。
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附属書C
(参考)
幾つかの統計的妥当性確認手法
プロセス測定フレームワークの使用によるデータが利用可能である場合,箇条5は,適用可能な要求事
項への適合の証拠を提供するために統計的分析を必要としている。この附属書は,箇条5の要求事項を満
たすための統計的手法の例を示している。
C.1 次元性
次元性の統計的テストは,反映的仕様にだけ適用可能である。探索的因子分析(EFA)及び確認的因子
分析(CFA)は,一式の測定量の根底にある次元の数を決定し,各次元の一次元性をテストするために使
用できる[1][2]。
C.1.1 探索的因子分析
EFAは,一式の測定量の間の相関関係を説明するのに必要な最小数の解釈可能な因子を見つけることに
よって,測定手段の次元性を探索するために使用する。EFAは,“探索的”という用語に示されるように,
観察された変数と因子との間の線形関係の構造を規定していない。EFAでは,因子モデルの構造又は根底
となる理論は未知である。データは,因子の数及び測定量の質を識別するために使用する。したがって,
EFAは,理論構築のための技法であるとみなすことができる。これは,反映的測定モデルに対してだけ有
効である。
C.1.2 確認的因子分析
CFAは,測定モデル,すなわち,観察された測定量と潜在変数又は因子との間の関係を具体的に扱う。
CFAでは,分析者は,理論に基づいて根底にある因子の数を提供する。CFAは,手法の影響評価及び因子
モデルの時間的安定性又は不変性の調査を提供する。また,CFAは,構造方程式モデルを仕様化する前に
実施することが望ましい。
C.2 信頼性
構成概念の信頼性評価は,反映的仕様にだけ適用できる。再テスト法,代替形態法,折半法,内部整合
性を見るためのクロンバックのアルファ係数[6]など,様々な信頼性の推定方法がある。これら四つは,信
頼性を評価するために使用する基本的な戦略によって,通常,再現性(安定性)及び一貫性(等価性)に
分類される。再現性(安定性)は,“同一のアセッサによる,同一又は代替の方法に対する同じプロセスへ
の,二つの異なる時点で繰り返されるアセスメントは,同一であると受け入れることができる結果を生み
出すことが望ましい”ことを意味する[37]。これは,再テスト法及び代替形態法を使用して推定する。一
貫性(等価性)は,単一の時点で測定された構成概念の複数の測定量に焦点を当てる。ここでは,各測定
量は,根底にある概念の別個の,しかし等価な測定量とみなされる。この一貫性を測定するために,折半
法及び内部整合性の方法を使用する。
アセッサに同じ証拠が提示された場合,彼らは,理想的には全く同じ評定を出す。しかし,実際には,
評定の主観的性質によって,全ての場合において完全な合意が得られる可能性は極めて低い。評定者間の
合意は,しばしば外部信頼性ということもあるが,二つの独立したアセッサチームが同じ標準を用いて同
じプロセスに対して行ったアセスメントが同じ結果をもたらす程度として定義される。カッパ(Cohen
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Kappa)係数[14]は,プロセスアセスメントの信頼性の測定量として使用されてきた。しかし,その逆説性
のために,プロセスアセスメントにおいて観察された合意の指標が提案されている[41]。
C.3 構成概念の妥当性
構成概念の妥当性とは,操作化がその構成概念を正確に反映する程度を意味する。C.3.1C.3.5では,
外観妥当性,内容妥当性,予測妥当性,並行妥当性,収束妥当性,判別妥当性などの構成概念の妥当性に
ついて記載する。これらの妥当性は,反映的測定モデルに適用することができる。外観及び内容の妥当性
は,一般に形成的モデルにも適用可能である。
C.3.1 外観妥当性
外観妥当性は,それらが構成概念の良好な変換であるかどうかを判断するために操作化からの測定量に
着目する。すなわち,測定量が意図した主題を明確に曖昧さなく網羅しているかどうかを判断し,かつ,
その測定量が専門家の意見を反映しているかどうかを判断する必要がある。外観妥当性は,それらが開発
された後の測定量の批判的レビューを含む。
外観妥当性は,例えば,プロセス品質特性,そのプロセス属性,成果,プラクティス及び達成度合いの
定義において調べることが望ましい。
C.3.2 内容妥当性
内容妥当性は,測定量が,操作化されたときに,潜在変数が表す構成概念を捕捉しているかどうかを調
べる。内容妥当性は,測定手段が,それが含んでいる個々の測定量の数及び範囲の観点において,内容の
具体的な領域を反映している程度に依存する。構成概念の理論的な定義は,概念の領域及び次元を提示す
る。内容の妥当性に対して,プロセス測定フレームワークの設計及び開発は,定義された開発手順に厳格
に従うことが望ましい。
C.3.3 予測妥当性
基準妥当性は,測定量が妥当である場合に関連付けることが望ましい幾つかの標準変数と測定量とを比
較する。予測妥当性は,関連する測定量(X)と相関する将来の基準(Y)とに関係する。X(例えば,レ
ベル)とY(例えば,パフォーマンス)との間の相関が高いほど,この特定の基準がより妥当である。妥
当性係数は,測定の特性が同じままであっても,それに関連する基準及び付随する誤差の程度に応じて変
化し得る。
並行妥当性は,測定量を同じ時点で基準と相関させることによって評価する。並行妥当性と予測妥当性
との違いは,二つの測定量が測定されている時点にある。
予測妥当性及び/又は並行妥当性に対して,プロセス品質特性の達成レベルは,5.1 f) で定義した外部
測定量と関連付けることが望ましい。一例として,“能力レベルを増大すると,日程上の約束を満たす能力
が向上するか”という質問をテストすることがある。
C.3.4 収束妥当性
収束妥当性とは,ある変数を測定するための複数の方法が同じ結果をもたらす程度を指す。個々の測定
量は,同じ構成概念を測定するための異なる方法とみなすことができる。これは,“反映的測定量がその構
成概念に大きく関連しているか”という質問の分析である。
C.3.5 判別妥当性
判別妥当性は,構成概念及びその測定量が,他の構成概念及びその測定量と異なる程度を評価する。妥
当な測定量の場合,測定量の分散は,意図した潜在変数に起因する分散だけを反映し,他の潜在変数を反
映しないことが望ましい。個々の構成概念の収束妥当性が確立された後,一式の構成概念の判別妥当性を
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X 33003 : 2019 (ISO/IEC 33003 : 2015)
評価することができる。一例として,能力水準の順序尺度が,意味が明確な構成概念であるかどうかを問
うことがある。
C.4 構成概念仕様
確認的四分子分析(CTA)は,構成概念仕様(反映的又は形成的仕様)を統計的にテストするために使
用する。確認的とは,モデルがあらかじめ規定されていることを意味する。四分子とは,一対の共分散の
積と別の対のそれとの差を指す[3]。CTAは,従来の方法を使用してテストすることができない幾つかの識
別されたモデルで入れ子になっていないモデルに適用することができる。さらに,CTAは,数値的最小化
を必要とせず,したがって,他の推定方法に存在する関連収束問題を回避する。CTAは,CTA-SASルー
チン[35][44]を使用して実行できる。
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附属書D
(参考)
プロセス測定フレームワークの要求事項の実装方法
この附属書は,プロセス測定フレームワークに対する要求事項を実装する方法の要約を提供している。
この表では,完全なリストは提供していない。プロセス測定フレームワークを開発する際に従うことが望
ましい手順として次のフェーズを示す。
フェーズ・要求事項 定義 方法及び参照
フェーズ1 : 概念及び構成概念を開発する(反映的及び形成的)。
理論的概念 ・ローほか[10]
理論及び/又はプロセス測定フレームワークによっ
(フレームワーク) ・ジョンソンほか[9]
て測定されるプロセス特性又は性質に関する以前の
・マックスウェル[11]
研究と一貫する構成概念及びそれらの関係を示す大
局的な見方。 ・マイルズ及びハバーマン[12]
構成概念の理論的定 ・マックスウェル[11]
理論的定義は,構成概念の領域及び次元を示し,構
義 成概念仕様を反映的又は形成的として分類する。・ボレン[1]
SEMの形成的な問題は,エドワーズ[19] によって議
論されている。
フェーズ2 : 操作化を実施する(測定手段としての成果及び/又はプラクティスを開発する。)(反映的及び形成的)。
外観妥当性 ・ローシュによる内容妥当性の比率[15]
構成概念が測定手段へ正確に変換される程度。すな
・カッパ係数[14]
わち,測定手段が測定しようとしているものを正し
く測定していると思われる程度。 ・ナナリー及びバーンスタイン[42]
内容妥当性 ・ローシュによる内容妥当性の比率[15]
測定手段における成果及び/又はプラクティスが領
・カッパ係数[14]
域を表す程度。すなわち,構成概念の領域に関連す
る内容に対する操作化の程度。
操作化における心理 ・意思決定規則(ジャービスほか[20],
反映的及び形成的を決定するための心理的な実験又
的な実験又は意思決 は意思決定規則。 ペッターほか[21])
定規則 ・測定手段の開発(ディアマントポウロ
ス[16],ディアマントポウロス及びウィ
ンクルホーファー[17],エドワーズ及び
バゴージ[18],ライスダイクほか[26])
フェーズ3 : 構成概念が,反映的か形成的かを決定するために,確認的四分子分析を実施する。
確認的四分子分析 ・ティン[44],ボレンほか[34],ボレン及
構成概念が,反映的か形成的かを決定するための統
(CTA) 計的テスト。 びティン[35],ヒップほか[40]
フェーズ4 : 構成概念の一次元性を調べる(統計的テストは,反映的だけに適用する。)。
一次元性 ・附属書B
観察された測定量(例えば,プロセス属性)が互い
・主成分因子分析(PCFA)(ブラウン[2],
に密接に関連し,単一の概念を表す程度(ハッティ
ガービン及びアンダーソン[13])
ー[8])。項目の評定の非加重合計によって計算された
・確認的因子分析(CFA)(ブラウン[2])
合成値は,一次元性の下で対応する構成概念の推定
値として使用できる(ガービン及びアンダーソン
[13])。
――――― [JIS X 33003 pdf 20] ―――――
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JIS X 33003:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC 33003:2015(IDT)
JIS X 33003:2019の国際規格 ICS 分類一覧
JIS X 33003:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称