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JIS X 4301:1995 規格概要
この規格 X4301は、連続階調,単色又はカラーのディジタル静止画データに適用。圧縮画像データを必要とする多様な応用に適用できるが,2値画像データには適用できない。(1)原画像データから圧縮画像データへの変換処理 (2)圧縮画像データから再生画像データへの変換処理 (3)これらの処理を実装する際の指針 (4)圧縮画像データの符号化表現 の各事項を規定。
JISX4301 規格全文情報
- 規格番号
- JIS X4301
- 規格名称
- 連続階調静止画像のディジタル圧縮及び符号処理―第1部 要件及び指針
- 規格名称英語訳
- Digital compression and coding of continuous-tone still images:Requirement and guidelines
- 制定年月日
- 1995年1月1日
- 最新改正日
- 2019年10月21日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO/IEC 10918-1:1994(MOD)
- 国際規格分類
ICS
- 33.160.01
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1995-01-01 制定日, 2000-06-20 確認日, 2004-11-20 確認日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
- ページ
- JIS X 4301:1995 PDF [179]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
X 4301-1995
(ISO/IEC 10918-1 : 1994)
連続階調静止画像のディジタル圧縮及び符号処理第1部 要件及び指針
Digital compression and coding of continuous-tone still images : Requirement and guidelines
日本工業規格(日本産業規格)としてのまえがき
この規格は,1994年第1版として発行されたISO/IEC 10918-1 (Information technology-Digital compression
and coding of continuous-tone still images-Part 1 : Requirements and guidelines) を翻訳し,技術的内容及び規格
票の様式を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
1. 適用範囲 この規格は,連続階調,単色又はカラーのディジタル静止画データに適用する。この規格
は,圧縮画像データを必要とする多様な応用に適用できるが,2値画像データには適用できない。
この規格は,次の事項を規定する。
(1) 原画像データから圧縮画像データへの変換処理
(2) 圧縮画像データから再生画像データへの変換処理
(3) これらの処理を実装する際の指針
(4) 圧縮画像データの符号化表現
参考 この規格は,完全な符号化画像表現を規定するものではない。符号化画像表現にはアスペクト
比,色空間指定などの引数も含める必要があるが,これらは,応用に依存する。
2. 引用規格
ISO 5807 : 1985 Information processing−Documentation symbols and conventions for data, program and
system flow-charts, program network charts and system resources charts
備考 JIS X 0121(情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号)−1986が,この規
格と一致している。
参考 この規格では,流れ図をJIS X 0121の規約に従って描く。ただし,左から右又は上から下
への流れに対して,規約では矢印を必要としないが,より明確にするために矢印を付ける
ことがある。
3. 用語・略語・記号
3.1 用語の定義及び略語 この規格で用いる主な用語及び略語の定義は,次のとおりとする。
――――― [JIS X 4301 pdf 1] ―――――
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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994)
3.1.1 簡易様式 (abbreviated format) 復号時に必要な表の一部若しくはすべてを含まない圧縮画像デー
タ表現,又はフレームヘッダ,走査ヘッダ及びエントロピー符号化された部分列を含まない表指定データ
の表現。
3.1.2 交流係数 (AC coefficient) 最低1次元において,周波数がゼロでないDCT係数。
3.1.3 算術符号器によって生成される
(適応)(2値)算術復号 [(adaptive) (binary) rithmetic decoding]
ビットの連続からシンボルの連続を復元するエントロピー復号処理。
3.1.4 その時点までに符号化された
(適応)(2値)算術符号化 (adaptive) (binary) rithmetic encoding]
シンボルの連続に対する確率の再帰的な部分分割を用いて,符号化を行うエントロピー符号化処理。
3.1.5 応用環境 (application enviroment)その特定の応用のために設定されたデータの表現,転送及び格
納の形式
の規定。
3.1.6 算術復号器 (arithmetic decoder)算術復号処理を実際に行うもの。
3.1.7 算術符号器 (arithmetic encoder)算術符号化処理を実際に行うもの。
3.1.8 この規格で規定している特定の順次DCT利用型の符号
基本処理(順次) [baseline (sequential) ]
化処理及び復号処理。これは,すべてのDCT利用型の復号処理で必要となる。
3.1.9 2値判定 (binary decision)二者択一の選択。
3.1.10 ビット系列 (bit stream)エントロピー符号化された部分列を含むビットの列であって,部分的に
符号化又は復号されたもの。
8×8の標本の配列又は一つの成分のDCT係数値の8×8の配列。
3.1.11 ブロック (block)
3.1.12 ブロック行 (block-row)8×8ブロックに区切られる,八つの連続する成分行の連続。
3.1.13 バイト (byte) 8ビットの一塊。オクテット。
ハフマン符号器又は算術符号器において,エントロピー符号化された
3.1.14 バイト挿入 (byte stuffing)
部分列に16進で0×FFバイトが発生したとき,その直後にゼロを示すバイトを挿入する処理。
算術符号器のレジスタ内のビットであって,符号レジスタのけた上げ
3.1.15 けた上げビット (carry bit)
あふれが出力バイト用の8ビットを超えてあふれた場合に1となるもの。
実数値に対して,その値以上の最小の整数を設定することで,その最
3.1.16 天井関数 (ceiling function)
大の整数部分を取り出す数学処理。
非可逆及び可逆の一群の符号処理。
3.1.17 (符号処理の)種別 [class (of coding process) ]
3.1.18 符号レジスタ (code register)部分的に完結したエントロピー符号化された部分列の最下位ビッ
トを保持する算術符号器レジスタ,又は部分的に復号されたエントロピー符号部分列の最上位ビットを保
持する算術復号器レジスタ。
3.1.19 符号処理器 (coder) 符号処理を実際に行うもの。
3.1.20 符号処理 (coding) 符号化及び復号。
3.1.21 符号処理モデル (coding model) 入力データを符号処理してシンボルに変換する処理手順。
符号化,復号又はその両者を指す一般的な用語。
3.1.22 (符号)処理 [ (coding) rocess]
複数の成分をもつ連続階調画像。
3.1.23 カラー画像 (colour image)
3.1.24 列 (columns) 一つの成分における行に並んだ標本。
3.1.25 成分 (component) 画像を構成する2次元配列の一つ。
3.1.26 圧縮データ (compressed data) 圧縮画像データ,表指定データ又はその両者。
3.1.27 圧縮画像データ (compressed image data)この規格に従った,画像の符号化表現。
――――― [JIS X 4301 pdf 2] ―――――
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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994)
3.1.28 圧縮 (compression) 原画像データを表現するために必要なビット数を低減すること。
3.1.29 条件付き交換 (conditional exchange)(算術符号処理において,)LPS確率間隔の大きさがMPS
確率間隔より大きい場合に,MPSとLPSとの確率間隔を交換すること。
(算術符号処理において,)確率予測状
3.1.30 (条件付き)確率推定 [(conditional) robability estimate]
態遷移図によってLPSに割り当てられる確率値。
算術符号処理において,それまでの符号処理判定と条件付き確率推定
3.1.31 条件表 (conditioning table)
値との関係を指定する引数の集合。
3.1.32 文脈 (context) (算術復号において,)既に符号処理された2値判定の集合。これは,確率推定
状態遷移図へのインデックスを作成する際に用いる。
3.1.33 連続階調画像 (continuous-tone image) 成分が各標本ごとに2ビット以上ある画像。
3.1.34 データ単位 (data unit) DCT利用型処理における1ブロック。可逆処理における1標本。
3.1.35 直流係数 (DC coefficient) 二つの次元のどちらについてもその周波数がゼロであるDCT係数。
3.1.36 直流係数予測 (DC prediction) CT利用型の符号器で用いられる処理で,着目する量子化された
直流係数から,同じ成分の中で直前に符号化した8×8ブロックの量子化された直流係数を引く処理手順。
3.1.37 (DCT) 係数 [(DCT) oefficient]それぞれの余弦基底関数の振幅。元のDCT係数,量子化された
DCT係数又は逆量子化されたDCT係数を示す。
3.1.38 復号器 (decoder) 復号処理を実際に行うもの。
3.1.39 復号処理 (decoding process) 圧縮画像データを入力として受け取り,連続階調画像を出力する処
理。
画像の符号処理を開始する際に,算術符号処理の条件表用の値とし
3.1.40 既定値 (default conditioning)
て設定されている値。
3.1.41 逆量子化 (dequantization)復号器においてDCT係数を復元するために用いる量子化の逆の処理
手順。
(階層型符号処理において,)原画から得られた入力成分と前
3.1.42 成分差分 (differential component)
のフレームから得られた対応する参照成分との差。
階層型処理において,成分差分の符号化又は復号を行うフレー
3.1.43 差分フレーム (differential frame)
ム。
この規格で規定するすべ
3.1.44 (ディジタル)再生画像(データ) [(digital) econstructed image (data) ]
ての復号器の出力として得られる連続階調画像。
この規格で規定するすべての符号
3.1.45 (ディジタル)原画像(データ) [(digital) ource image (data) ]
器への入力となる連続階調画像。
(still) mage]
3.1.46 (ディジタル)(静止)画像 [(digital) 整数データの2次元配列からなる集合。
順方向離散余弦変換又は逆離散余弦変換。
3.1.47 離散余弦変換,DCT (discrete cosine transform, DCT)
(階層型符号処理において,)画像の空間解像度を
3.1.48 標本減少(フィルタ) [downsampling (filter) ]
削減する処理手順。
3.1.49 符号器 (encoder) 符号化処理を実際に行うもの。
3.1.50 符号化処理 (encodingprocess) 連続階調画像を入力として,圧縮画像データを出力する処理。
独立に復号できる,圧縮画
3.1.51 エントロピー符号化(データ)部分列 [entropy-coded (data) egment]
像データのエントロピー符号化されたバイトの列。
――――― [JIS X 4301 pdf 3] ―――――
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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994)
エントロピー符号化部分列
3.1.52 (エントロピー符号化部分列)指標 [(entropy-coded segment) ointer]
における,最も新しく挿入された又は取り出されたバイトを示す変数。
3.1.53 エントロピー復号器 (entropy decoder) エントロピー復号処理を実際に行うもの。
3.1.54 エントロピー復号 (entropy decoding) エントロピー符号器で生成されたビットの連続からシン
ボルの連続を復元する可逆処理手順。
3.1.55 エントロピー符号器 (entropy encoder)エントロピー符号化処理を実際に行うもの。
3.1.56 エントロピー符号化 (entropy encoding) シンボルごとの平均ビット数が入力シンボルのエント
ロピーに近づくように,入力シンボルの連続をビットの連続に変換する可逆処理手順。
3.1.57 拡張(DCT利用型の)処理 [extended (DCT-based) rocess] 基本順次処理に対して追加機能をも
つDCT利用型の符号化処理及び復号処理を表す用語。
3.1.58 正離散余弦変換,FDCT (forward discrete cosine transform, FDCT)1ブロックの標本を元のDCT係
数の対応する1ブロックに変換する,余弦基底関数を用いた数学的な変換。
3.1.59 フレーム (frame)画像の一つ以上の成分のデータにおける,(いずれも同一のDCT型又は可逆
処理を用いた,)一つ以上の走査からなる集合。
3.1.60 フレームヘッダ (frame header)フレーム開始マーカ及び関連するフレーム引数を含み,フレーム
の先頭で符号化されるマーカ部分列。
3.1.61 周波数 (frequency) DCT係数の2次元配列に対する2次元インデックス。
3.1.62 (周波数)帯域 [(frequency) and](段階モードの符号処理において,)ジグザグ順序での一連の
係数列。
(段階モードの符号処理において,)周波数選択と逐次近似との
3.1.63 完全段階処理 (full progression)
両方を用いた処理。
3.1.64 単色階調画像 (grayscale image)1成分しかもたない連続階調画像。
3.1.65 階層型 (hierarchical) 与えられた成分に対する最初のフレームに続けて,元のデータと,その成
分に対する直前のフレームから復元したデータとの差分を符号化したフレームが続く,画像の符号処理モ
ードの一つ。フレーム間で解像度を変更することも可能である。
3.1.66 階層型復号器 (hierarchical decoder)それぞれの成分に対して最初のフレームの後に,各成分に対
する差分配列を復号し,直前のフレームから復元したデータに付け加えるフレームが続く一連の復号器処
理。
3.1.67 階層型符号器 (hierarchical enoder) 各成分について最初のフレームの後に,元のデータと,その
成分について一つ前のフレームから復元したデータとの差分配列を符号化したフレームが続く符号処理モ
ード。
ある特定成分の水平データ単位の,他の成分における
3.1.68 水平抽出比率 (horizontal sampling factor)
水平データ単位数に対する比。
3.1.69 ハフマン復号器 (Huffman decoder) ハフマン復号処理を実際に行うもの。
3.1.70 ハフマン復号 (Huffman decoding) ハフマン符号器で生成された各可変長符号からシンボルを復
元するエントロピー復号処理。
3.1.71 ハフマン符号器 (Huffman encoder) ハフマン符号化処理を実際に行うもの。
3.1.72 ハフマン符号化 (Huffman encoding) 入力シンボルのそれぞれに可変長符号を割り当てるエント
ロピー符号化処理。
ハフマン符号器及びハフマン復号器に必要な可変長符号の集合。
3.1.73 ハフマン符号表 (Huffman table)
――――― [JIS X 4301 pdf 4] ―――――
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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994)
3.1.74 画像データ (image data)原画像データ又は再生画像データ。
応用環境間での交換用圧縮画像データの様式。
3.1.75 交換様式 (interchange format)
1走査内において各成分のデータ単位を特定の順序で重畳させるこ
3.1.76 インタリーブ (interleaved)
とを繰り返す手法。
逆量子化されたDCT係数の1ブ
3.1.77 逆離散余弦変換,IDCT (inverse discrete cosine transform ; IDCT)
ロックを対応する標本のブロックに変換する余弦型関数を用いる数学上の変換。
3.1.78 ジョイントフォトグラフィックエキスパートグループ,JPEG (Joint Photographic Experts Group,
JPEG) この規格の原国際規格を作成した協議会の非公式な名称。“ジョイント”は,CCITTとISO/IEC
との協力関係に由来している。
3.1.79 潜伏出力 (latent output)(算術符号処理において,)けた上げあふれの決定を保留している算術
符号器の出力。
2値判定において,確率の低い判定値。
3.1.80 劣勢シンボル (less probablesymbol, LPS)
DCT利用型の符号器及び復号器で用いられる処理で,各入力標本は,
3.1.81 レベルシフト (level shift)
符号なし表現から2の補数表現に変換されるか,2の補数表現から符号なし表現に変換される。
復号処理の出力が符号化処理への入力に等しいことを示す符号化処理,復号処理
3.1.82 可逆 (lossless)
及び処理手順に用いられる表現。
3.1.83 可逆符号処理 (lossless coding)この規格で定義される,すべての処理が可逆である符号化処理の
どれか一つに従った符号処理モード(附属書H参照)。
3.1.84 不可逆 (lossy)可逆でない符号化処理及び復号処理を示す表現。
3.1.85 マーカ (marker)最初のバイトが16進のFF (XFF) で,2番目のバイトが1と16進のFE (XFE)
との間の値である2バイトコード。
3.1.86 マーカ部分列 (marker segment) 一つのマーカ及びそれに付随する引数の集合。
3.1.87 MCU行 (MCU-raw) MCUの集合としてもっとも小さいもので,走査における各成分の少なくと
も1行分の標本又は一つのブロック行を含んでいる。
3.1.88 最小符号化単位,MCU (minimum coded unit, MCU) 符号化されるもっとも小さいデータ単位の集
合。
この規格に定められた,画像符号処理の四つの主な種
3.1.89 (符号処理)モード [modes (of operation) ]
類。
3.1.90 優勢シンボル,MPS (more probable symbol, MPS) 2値判定における,より大きな確率をもつ判定
値。
階層型符号器又は復号器におけるすべての成分について
3.1.91 非差分フレーム (non-differential frame)
の最初のフレーム。各成分は,参照成分との差分をとることなく符号化又は復号される。この用語は,階
層型以外のモードにおけるフレームのことも示す。
3.1.92 非インタリーブ (non-interleaved)走査が一つの成分しかもたないときのデータ単位を生成する
処理を行う手法。
3.1.93 引数 (parameters) 圧縮データ形式で用いられる固定長の4,8及び16のビット長の整数。
3.1.94 小数点移動 (point transform)標本又はDCT係数を定数倍する変換。
3.1.95 精度 (precision) ある特定の標本又はDCT係数に割り当てられるビット数。
3.1.96 予測器 (predictor)(可逆モードの符号処理において,)先に符号化され,復元された値の線形の
組合せ。
――――― [JIS X 4301 pdf 5] ―――――
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JIS X 4301:1995の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC 10918-1:1994(MOD)
JIS X 4301:1995の国際規格 ICS 分類一覧
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