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X 5151 : 2018 (ISO/IEC 14763-3 : 2014)
附属書C
(参考)
OTDR法(Optical time domain reflectometry)
C.1 測定能力
C.1.1 有効な設定パラメータ
OTDRの測定能力を決める基本パラメータには,次のものがある。
a) ダイナミックレンジ
b) 平均化時間
c) レーザのパルス幅
これらの項目は,それぞれ次のことを規定する。
a) 測定可能な減衰量の範囲
b) ある一定の時間内に特性評価をできる光ファイバリンクの数
c) 光ファイバ上の2個のイベント評価できる最小間隔
注記 これらの項目は,相互に関連性がある。その組合せは,マルチモードファイバとシングルモー
ドファイバとの違い及び波長の違いによって異なる。
C.1.2 ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジは,光ファイバから発生する後方散乱光が雑音レベルに到達するまでの範囲を示す。
光ファイバに対して,次に示す場合にダイナミックレンジが増加する。
a) レーザのパルスパワーの増加
b) 有効パルス幅の増加
c) 雑音レベルの低下(例えば,平均化時間の増加,パルス幅の増加及び帯域幅の減少)
C.1.3 パルス幅
OTDRのパルス幅は,その最大出力と同様に,光ファイバに入射する光のパワーを決定する。C.1.2で示
すように,パルス幅が増加するとダイナミックレンジが増加する。しかしながら,全ての反射光(例えば,
入力用光コネクタ,光ファイバの端末及び他の光コネクタ)は,後方散乱光を覆い隠し,少なくともパル
ス幅と同程度の範囲となる。パルス反射波の範囲内の二つのイベントを分離することができないため,パ
ルス幅は,分解能を制限する。
パルス幅の選択は,リンク全体にわたって測定できる最小値とすることを推奨する。
C.1.4 積算回数又はサンプル数
最良の評価結果を得るためには,積算回数を多くすることを推奨する。積算回数が多いほど,測定結果
(波形)を得るまでの時間は長くなる。一般的に積算回数が増えるほど,得られるノイズ低減効果は徐々
に少なくなっていく。したがって,積算回数は,効果的な結果が得られる最小の値を選択することを推奨
する。
C.2 OTDRの能力限界
C.2.1 測定可能な最小距離−減衰量デッドゾーン
入射側試験コードが必要最小限の長さ以上でない限り,入射側試験コードへのOTDR入射光によって生
――――― [JIS X 5151 pdf 41] ―――――
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X 5151 : 2018 (ISO/IEC 14763-3 : 2014)
じる局部的なデッドゾーンは,OTDRの分解能と同様に,近端側インタフェース(又はその他のイベント)
の妥当な評価を妨げる。
短パルス(20 ns未満)を用いることができ,かつ,一般的に2 000 mまでの長さの測定をするために十
分なダイナミックレンジ(20 dBよりも大きい。)をもったOTDRの使用を推奨する。OTDRは,標準光コ
ネクタ(例えば,反射減衰量がマルチモード光コネクタに対して35 dB及びシングルモード光コネクタに
対して45 dB)に対して,減衰量デッドゾーンは,10 m未満であることが望ましい。
注記 減衰量デッドゾーンは,利用可能な最小パルス幅とともに,一般的にOTDR製造業者によって
示される。
図C.1は,同じパーマネントリンクを3 mの入射側試験コードを用いて試験した場合(上の図)及び500
mの入射側試験コードを用いて試験した場合(下の図)の結果を示す。上の図では,近端側インタフェー
スは,見ることができない。下の図では,近端側インタフェースまでの損失がはっきりと確認でき,また,
入射側試験コードのケーブル損失も直線状である。この後者の要素によって,近端側インタフェース損失
の有効な測定ができる。
図C.1−異なった長さの入射側試験コードを使用した場合のOTDR測定波形
――――― [JIS X 5151 pdf 42] ―――――
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X 5151 : 2018 (ISO/IEC 14763-3 : 2014)
C.2.2 ゴースト
ゴーストは,繰り返し反射によってOTDRの測定波形に表れる複数のピークで,複数のインタフェース
を含むパーマネントリンクを測定したときに限定して現れる現象である。ゴーストは,ある事象の第2次
(又は第3次)反射によって発生する。
図C.2−ゴーストの現れたOTDR測定波形
簡単な例は,図C.2に示す。反射のピークB及びDは,多重反射によって発生したものである。ゴース
トは,あらかじめ想定された位置に現れる(例えば,基準点からBまでの距離は,基準点からAまでの距
離の2倍である。基準点からDまでの距離は,基準点からCまでの距離と基準点からAまでの距離の和
である。)。ゴーストは,測定波形に影響を与える光パワーを加算又は減算しない(図C.2では,測定結果
からゴーストが容易に識別される。)。
しかし,被測定配線の構成が非常に複雑な場合,ゴーストの数は非常に多くなり,専門家でもその結果
の解析が不可能となってしまう。その一例を,図C.3に示す。
OTDRの中には,解析用ソフトウェアによってゴーストを除去するものがある。別のゴースト除去方法
として,測定するパーマネントリンクより長い入射側試験コードを用いることもある。しかし,ゴースト
効果を制御する最も簡単な方法は,あらかじめ計画を立て,許容される試験構成を厳格に守ることである。
一般に,出力コネクタ及び入射側試験コードのコネクタを清掃することを推奨する。
注記 ゴーストは,主にオープン,汚れ,異物の付着又はコネクタ端面のきずに起因し,OTDR測定
波形に尾を引いた飽和したパルスとして表示される。
――――― [JIS X 5151 pdf 43] ―――――
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X 5151 : 2018 (ISO/IEC 14763-3 : 2014)
図C.3−複雑なゴーストが表示されたOTDR測定波形
C.2.3 有効群屈折率
正確な有効群屈折率を用いることは,長さを正確に測定するためだけに重要である。それ以外への影響
はない。群屈折率が分かっている場合には,その値を用いなければならない。その情報がない場合には,
表C.1に示す値を用いる。
表C.1−有効群屈折率の代表値
850 nm 1 300 nm 1 310 nm 1 550 nm
SMF − − 1 467 1 468
MMF(50/125)μm 1 490 1 486 − −
MMF(62.5/125)μm 1 496 1 491 − −
C.2.4 後方散乱係数
正確な後方散乱係数を用いることは(JIS C 5961又はJIS C 61300-3-6に規定されたように),反射減衰
量を正確に測定するために重要である。後方散乱係数が自動的に測定されず,OTDRに設定する場合は,
表C.2に示す値を代表値として考える。
表C.2−後方散乱係数の代表値
850 nm 1 300 nm 1 310 nm 1 550 nm
SMF − − 80 dB 82 dB
MMF(50/125)μm 66 dB 72 dB − −
MMF(62.5/125)μm 67 dB 74 dB − −
――――― [JIS X 5151 pdf 44] ―――――
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X 5151 : 2018 (ISO/IEC 14763-3 : 2014)
附属書D
(規定)
試験コード及び校正用コードの検査及び試験
D.1 一般要件
入射側試験コード,置換用試験コード又は出射側試験コードは,次の検査要件に適合していれば適切に
機能する。
a) 光コネクタ端面は,附属書Bの検査要件に適合する。
b) コード端末の基準光コネクタは,規格に適合する。
c) コードは,その規格に適合する。
D.2 減衰量(試験コード及び置換用試験コードの基準接続)
測定手順は,9.1.1の試験コード基準法に従う。
マルチモード光ファイバについて,基準測定作業は,図D.1に示すように,6.3.3.2(又は6.3.3.4)に従
った入射側試験コードで,光源とパワーメータとを接続して行う。
シングルモード光ファイバについて,基準測定作業は,図D.1に示すように,6.3.3.2(又は6.3.3.4)に
従った入射側試験コードで,光源とパワーメータとを接続して行う。
基準測定は,必要に応じて,定期的に繰り返さなければならない。基準測定の繰返しを必要とする状況
は,光パワーの変化,温度変動,測定場所の移動,並びに測定器の電源切断及び置換用試験コード又は光
アダプタの劣化による交換を含んでいる。基準測定をする場合は,光源の安定化のために十分な時間を取
ることを推奨する。
基準測定値Prは,W又はdBmで記録する。
入射側試験コードは,光源に接続しつつ,パワーメータを入射側試験コードから切り離す。試験する置
換用試験コード,及び出射側試験コード又は他の入射側試験コードの基準光コネクタは,入射側試験コー
ドとパワーメータとの間に接続する。試験測定値P1は,W又はdBmで記録する。
――――― [JIS X 5151 pdf 45] ―――――
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JIS X 5151:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC 14763-3:2014(IDT)
JIS X 5151:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.200 : インタフェース及び相互接続設備
JIS X 5151:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC5961:2005
- 光ファイバコネクタ試験方法
- JISC6803:2013
- レーザ製品の安全―光ファイバ通信システムの安全
- JISX5150:2016
- 構内情報配線システム