JIS X 7113:2004 地理情報―品質原理 | ページ 4

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X 7113 : 2004 (ISO 19113 : 2002)
実世界
論議領域A
論議領域B
論議領域
データ作成者 データ使用者
記述する 記述する
データ品質 データ品質
製品仕様 使用者要件
作成 選択
データ集合
図B.1 データ品質の概念によって規定された枠組み
B.3 データ集合の構造及び品質記述の構成要素 データ集合は,データ集合群に属することがある。同
じデータ集合群に属するすべてのデータ集合は,品質が同じであることが多い。データ品質の概念ではデ
ータ集合群を,品質を扱うまとまりのあるものとして認識し,データ集合の代わりにデータ集合群の品質
を報告することを認める。
データ集合は有限であるが,多数のより小さなデータグループを含むものとみなすことができる。同じ
地物型,地物属性若しくは地物関係に属している,又は収集基準若しくは地理的範囲を共有しているとい
った共通点をもつ小さなデータグループは,同様の品質であることが予想される。小さなデータグループ
は,単一の地物インスタンス,属性値又は地物間関係のような小さな単位でありうる。データ品質の概念
では,あるデータ集合の単一の地物インスタンス,属性値及び地物間関係がそれぞれ独自の品質をもつこ
とを理論的に許す。小さなデータグループの品質は,グループが属するデータ集合から小さなデータグル
ープを除いたデータ集合の品質と同じであると仮定することはできない。データ品質の概念では,データ
集合の品質の報告に加え,こうした小さなデータグループをデータ品質適用範囲によって特定されたデー
タとして,異なる品質を追加報告することを報告してもよい。複数のデータ品質適用範囲に対して報告す
る品質情報は,より完全な品質全体像を提供する。
備考 製品仕様は,データ作成者のために,論議領域を記述し,データ集合を作成するためのパラメタ
を含むものである。使用者の要件は,そのデータ集合の論議領域と一致するしないにかかわらず,

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データ使用者のために,論議領域を記述するものである。データ集合の真の品質とは,データ集
合が論議領域をいかに的確に表すかである。
データ集合の品質を記述するために,定量的品質構成要素及び非定量的品質構成要素という,データ品
質情報の二つの独自の構成要素を認める。データ品質要素は品質情報の定量的構成要素であり,データ品
質概観要素は品質情報の非定量的構成要素である。
データ品質要素によって,データ集合がその製品仕様に示されている基準をどれだけ満たしているかを
測定することができる。データ品質要素は,データ品質副要素と呼ぶ個別の側面をもつ。データ品質副要
素は,さまざまな方法で測定又は試験する。データ品質の概念では,データ集合の特定の型に対して,す
べてのデータ品質要素及びすべてのデータ品質副要素とその測定及び試験の方法が,適用できるわけでは
ないことを報告してもよい。また,データ品質副要素には,データ集合に対して適用可能で測定又は試験
できるものもあれば,データ集合のデータ品質適用範囲によって特定する小さなデータグループに対して
適用可能で測定又は試験できるものもある。
この規格では,主として各種の品質情報の個々のカテゴリを抽出及び報告する手段として,データ品質
要素を分類している。しかし,この規格は,データ品質副要素がしばしば相互に関連することも認める。
例えば,座標誤差は,位置誤差と位相誤差という少なくとも2種類の誤差をもたらす。製品におけるデー
タ品質副要素の意味及びデータ品質副要素を取り扱う方法は,品質評価を行う者の作業範囲である。
データ品質要素によって,データ集合がその製品仕様に示されている基準をどれだけ満たしているかを
測定することができる。これに対して,データ品質概観要素では,目的,用法及び系譜の情報を提供する
ことによって,特定の応用分野についてデータ集合を更に評価できる。
B.4 品質情報の報告
B.4.1 品質情報を報告する時期 データ集合は,頻繁に作成,更新及び統合するので,その結果として
データ集合の品質及びその構成要素は変化する。データ集合の品質情報は,次の三つの条件によって影響
を受ける可能性がある。
a) データ集合において,多少でもデータを削除,変更又は追加した場合
b) データ集合の製品仕様が変更した場合
c) 実世界が変化した場合
最初の条件であるデータ集合の変更は頻繁に生じる。データ集合の多くは静的ではない。情報の交換,
データの多目的使用並びに多目的使用のためのデータ集合更新及び改善の頻度は増加している。報告した
データ集合の品質が,データ集合の変更によって変わる可能性がある場合,変更が生じたときに必要に応
じてデータ集合の品質を再評価し,更新することが望ましい。
データ集合を作成する場合,データ品質概観要素の“用法”を除き,適用可能なすべてのデータ品質要
素及びすべてのデータ品質概観要素に関する完全な知識を活用できることが望ましい。最初,報告できるの
は,データ集合に関するデータ作成者の用法(データ作成者が実際にデータ集合を使用すると仮定した場
合)だけである。データ集合の意図する目的とは異なる用法についてはデータ使用者の報告に依存する。
このため,特定のデータ品質概観要素を頻繁に更新することによって,予期しない用法の発生を反映でき
る。
二つ目の条件であるデータ集合の製品仕様の変更は,データ集合を最初に作成する前及び品質情報の公
開前に生じることが多い。しかし,データ集合を使用するうちに製品仕様が更新され,将来のデータ集合
変更によって実際の要求を次第に満たすようになることが考えられる。製品仕様を変更すると,現在のデ

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ータ集合の品質も変わる。データ集合の品質情報は,現在の製品仕様に基づく現在のデータ集合を常に反
映することが望ましい。
三つめの条件である実世界の変化は,絶え間なく発生する。こうした変化は,地殻変動,侵食のような
自然現象によっても引き起こされるが,ほとんどの場合が人間の活動の結果として生じる。変化は非常に
急速で劇的であることが多い。このため,データ集合の品質を判断するときには,データ収集の日付が重
要となる。変化率がわかれば,これも重要となる場合がある。
品質情報の量及びその保管要件は,そのデータ集合よりも多い可能性がある。簡潔で容易に理解及び検
索できる形式で,品質情報を表すことが重要である。
データ集合群,データ集合,又はデータ品質適用範囲によって特定された地物インスタンス,属性値又
は存在する地物関係よりも大きなデータグループに関する品質情報は,一般的にメタデータファイル又は
メタデータリポジトリに含まれる。
B.4.2 品質情報をメタデータとして報告
B.4.2.1 定量的品質情報をメタデータとして報告 定量的品質情報は,データ集合の複数のデータ品質
適用範囲について記録する。データ品質適用範囲によって特定したデータは,データ集合が属するデータ
集合群,データ集合自身,データ集合の中に物理的に含まれる,より小さなデータグループを含む。
データ集合群のすべてのメンバの品質が等しく,データ集合群のレベルでの測定が最善な場合があるの
で,データ品質の概念では,データ集合が属するデータ集合群の定量的品質情報を代用してもよい。品質
情報は,データ集合群とともにメタデータとして保存することができる。この場合,データ集合のメタデ
ータは,データ集合群の品質情報への参照情報を提供しなければならない。又は,データ集合のメタデー
タ内で品質情報を繰り返す形で品質情報に含めることもできる。あるデータ集合の品質情報が固有のもの
であることがわかっており,データ集合群内の他のデータ集合の品質と異なる場合,そのデータ集合固有
の他とは異なる品質情報をデータ集合について提供することが望ましく,代用は行わない方がよい。
定量的品質情報は,データ集合及びデータ品質適用範囲によって特定した多くの小さなデータグループ
に対して,それぞれ収集してもよいし,それらはそれぞれ異なっていてもよい。記録する定量的品質情報
の数量は,特定したデータ品質適用範囲の数に部分的に依存する。定量的品質情報は,通常,より“高位”
レベルで報告した品質情報と異なる場合にだけ,データ品質適用範囲によって特定されたデータについて
記録する。品質情報を報告する場合,データ集合の最上位レベルから始めて,そこからレベルを下げてい
くのが一般的である。これを次の表B.1の例に示す。
表B.1 階層的な定量的品質情報報告の例
データ品質適用範囲に データの品質評価結果の 報告されたデータの品質評価結果の
よって特定されたデータ 位置正確度 位置正確度
絶対正確度又は外部正確度 絶対正確度又は外部正確度
データ集合 1.35 1.35
道路のみ 1.10 1.10
水系のみ 1.35 報告なし
鉄道のみ 1.20 1.20
パイプラインのみ 1.80 1.80

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備考 上の例におけるすべてのデータ品質評価結果の品質評価値型は,“距離”である。上の例における
すべてのデータ品質評価結果のデータ品質評価値単位は,“メートル”である。
この例では,メタデータの作成,保存及び解釈の手間を最小限に抑えるために,データ集合並びに“道
路”,“鉄道”及び“パイプライン”からなるデータ品質適用範囲によって特定されたデータについてだけ,
品質情報をメタデータとして報告するのがよい。“水系”からなるデータ品質適用範囲によって特定したデ
ータの品質情報は省略することになる。
ISO 19115は,地物インスタンス,属性値又は個々に存在する地物間関係に関する定量的品質情報をメ
タデータとして報告することについて明示的に規定していない(この問題は,地物インスタンス,属性値
又は個々に存在する地物間関係からなるデータを識別できるデータ品質適用範囲を特定することによって
回避してもよい。)。個々のアイテムの定量的品質情報は,その情報が親の型と異なる場合,品質情報をデ
ータ集合内に存在する属性として扱うことによって実装してもよい。報告における階層化の原理は,型及
び存在の間にも適用することができる。地物インスタンスの定量的品質情報は親の地物型の情報と異なる
場合にだけ報告し,属性値の品質情報は,親の地物属性の品質と異なる場合にだけ報告し,個々に存在す
る地物間関係の品質情報は親の地物間関係の品質と異なる場合にだけ報告してもよい。データ集合内の属
性の存在様式はデータ集合に依存するので,地物インスタンス,属性値及び個々に存在する地物間関係に
関する品質情報の実際の属性についての指針は規定しない。
定量的品質情報がメタデータとして報告するデータ集合について,階層レベル及び提案する報告方法を
図B.2に示す(データ集合内のメタデータファイル,リポジトリ又はデータ集合内の属性のいずれかとし
て報告する場合)。
ISO 19114は,定量的品質情報が過剰になる問題と,情報を圧縮する必要性とに言及している。また,
品質評価報告書を用いた,より詳細な定量的品質情報が必要な場合にも触れている。
B.4.2.2 非定量的品質情報をメタデータとして報告 データ品質概観要素の“目的”及び“用法”に関
する品質情報は,いずれもデータ集合にだけ関連する必す情報と考えるので,データ集合についてだけ記
録する。データ集合がデータ集合群に属しており,同様の目的又は用途をもつ場合,それらのデータ集合
群の目的又は用途を代用してもよい。代用する場合,データ集合のメタデータは,情報を繰り返す代わり
に,データ集合群のメタデータ内の目的又は用法を指示してよい。
データ品質概観要素“系譜”の品質情報は,データ集合にとって必す情報と考えられる。また,系譜情
報は,データ集合及びデータ品質適用範囲で特定する多くの小さなデータ集合に対してそれぞれ収集して
もよいし,それらはそれぞれ異なっていてもよい。データ品質適用範囲で特定した小さなデータ集合の系
譜は,データ集合について報告される系譜と異なる場合にだけ報告した方がよい(データ集合の実際の系
譜の代わりに,データ集合が属するデータ集合群に関する系譜の情報を報告してもよい。代用をする場合,
データ集合のメタデータは,実際に情報を繰り返す代わりに,データ集合群のメタデータ内の系譜を指示
してもよい。)。

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X 7113 : 2004 (ISO 19113 : 2002)
データ集合群
データ集合
小さなデータグループ 小さなデータグループ
次の共通のアイテムからなる。 収集基準又は地理的範囲のような共通
1) 地物 の特性をもつアイテムからなる。
メタデータファイル
2) 地物属性 品質がデータ集合について報告した品
又はリポジトリ内の
3) 地物関係 質と異なる場合に報告する。
メタデータとして報
品質がデータ集合について報告した品

質と異なる場合に報告する。
データ集合内の属性として報告
地物インスタンス 地物属性 存在する地物関係
品質が小さなデータグループに 品質が小さなデータグループに 品質が小さなデータグループに
ついて報告した親の地物型の品 ついて報告した親の地物属性の ついて報告した親の地物関係の
質と異なる場合に報告する。 品質と異なる場合に報告する。 品質と異なる場合に報告する。
図B.2 定量的品質情報をメタデータとして報告する場合に推奨する方法

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JIS X 7113:2004の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 19113:2002(IDT)

JIS X 7113:2004の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 7113:2004の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称