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X 8341-2 : 2014 (ISO/IEC 29136 : 2012)
5 一般的要求事項
5.1 ICTに関連する要求事項
パソコンに関連するハードウェアの事項に対しては,JIS X 8341-1を遵守しなければならない。
5.2 ソフトウェアに関連する要求事項
パソコンのハードウェア機能の構成と制御とを行うソフトウェアの使用に関連する事項に対しては,JIS
X 8341-6及びJIS X 8341-7を遵守しなければならない。
5.3 支援技術との相互運用性に関連する要求事項
支援技術及びパソコンのハードウェアの相互運用性に関連する事項に対しては,ISO/IEC 13066-1を遵
守しなければならない。
5.4 誤操作の回避及び簡単な操作の支援
5.4.1 本体の安定性
ボタンを押したとき,本体が倒れないか,又は利用しようとする典型的な設置面を滑らないことが望ま
しい。
注記 ボタンを押す力については,6.1.2 b) に規定がある。
5.4.2 “オン/オフ”操作部の位置
“オン/オフ”の操作部の位置は,次による。
a) 装置を“オン/オフ”する操作部は,誤操作の可能性を減らすために,その他の操作部から離れた場
所に置くことが望ましい。
b) 装置を“オン/オフ”する操作部は,見つけやすく,起動しやすく,誤操作させない場所に置くこと
が望ましい。
例 デスクトップの場合は,“オン/オフ”の操作部が本体の前面にある。
5.4.3 留め金(ラッチ)の操作
パソコンに留め金がある場合,それと関連した動作(例えば,留め金が開いている間に行う操作)は,
片手でできることが望ましい。
例 ノートブック形パソコンは,電池を取り外すために使う留め金がある。この留め金及び電池は,
利用者が片手だけで電池を取り外しできるように設計されている。
5.4.4 カバー及びフラップの操作
カバー(覆い)及びフラップ(一方だけが留めてある蓋)の操作は,次による。
a) パソコンの本体に,カバー又はフラップがある場合,それを開けたり,閉めたりを片手で操作できる
ことが望ましい。
b) パソコンの本体に,操作部のためのカバー又はフラップがある場合,利用者が簡単に操作部を利用で
きるように設計されていることが望ましい。
注記 利用者が口にくわえた棒で操作部を操作する場合がある。
例 一方だけが留めてある蓋は,手が滑って蓋が開けられないことを防ぐために,凹凸を付けてい
る。
5.5 ハードウェアを支援する機能
5.5.1 電源の“オン/オフ”の切替え
電源の“オン/オフ”の切替えは,次による。
a) 電源の“オン/オフ”の操作部は,リセットする操作以外の操作とは独立していなければならない。
b) 電源の“オン/オフ”の操作部は,視覚的にも,触覚的にも簡単に分かることが望ましい。
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X 8341-2 : 2014 (ISO/IEC 29136 : 2012)
注記1 ISO 24503の箇条3に,形,触覚記号又は点字によって,触覚で識別できる操作部に関す
る規定がある[参考文献の(3)参照]。
c) 電源の“オン/オフ”の操作部は,押しボタンであることが望ましい。
注記2 押しボタン操作は,運動制御能力が落ちている人々,及びヘッドスティック,マウスステ
ィック又はその他のポインティングデバイスを利用している人々の助けとなる。
d) 電源オフの操作部を押したときの反応は,利用者が設定できることが望ましい。
例 利用者は,コンピュータの終了方法を,二つの方法から選択できる。それは,終了ボタンを短
く押す方法か,又は終了ボタンを押し続ける方法である。後者の方法は,利用者が実際にコン
ピュータの電源を切ろうとしていることを確認するのに便利である。
e) 電源の“オン/オフ”の状態は,視覚,聴覚及び触覚で識別できることが望ましい。
f) パソコンが起動し,キーボード入力が可能になったときに,利用者が,視覚,触覚又は音声でその合
図を出すようにパソコンを設定できることが望ましい。
g) 電源の“オン/オフ”の制御がキーボードから提供されている場合,その制御部は,不注意で起動さ
せることのない位置にあることが望ましい。
5.5.2 パソコンのリセット
パソコンのリセットは,次による。
a) リセット操作は,コンピュータを所定の状態に戻すために提供しなければならない。
注記1 多くの場合,リセット制御と“オン/オフ”制御とは同じ操作部である。
b) リセットボタンは,押しボタン式であることが望ましい。
c) リセットを可能にするためのリセットボタンを押し続ける時間は,設定できることが望ましい。
注記2 これは,リセットが意図的に押されたことを確認するために十分な時間に変更することに
よって,偶然のリセットを避ける手助けとなる。
d) リセットの操作部は,電源の“オン/オフ”操作部とは別であることが望ましい。
例 電源スイッチは,コンピュータのオンとオフとのためにだけ用いられ,システムのリセットを
開始するためには用いられていない。
注記3 リセット制御部が電源の“オン/オフ”制御部と同じである場合もあるが,これらの制御
部は,誤って動かしてしまわないように,独立していることが望ましい。
5.5.3 消耗品への配慮
消耗品への配慮は,次による。
a) 利用者が交換可能な消耗品(例えば,電池)は,片手で交換できることが望ましい。
例 ラップトップの電池は,本体の右側と左側との二つの留め金で固定されている。これらの留め
金は,利用者が留め金をずらしたときに,掛けた状態又は掛けてない状態のままになる。それ
によって,利用者は,片手だけで電池を交換できる。
b) 交換は,強い握り,手首のひねり又はしっかりつかむという動作を必要としないことが望ましい。
5.6 読みやすいラベルの使用
次に示す読みやすいラベルを使用する。
a) 大きな文字(例えば,14ポイント)で,高コントラスト(例えば,3 : 1を超える。)を用いることが
望ましい。
注記1 これは,弱視又は視力が低下した利用者に対して文字を読みやすくする。
注記2 ISO TR 22411:2008のC.3に記載があるように,68歳の人が,0.5 mの距離で,100 cd/m2
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X 8341-2 : 2014 (ISO/IEC 29136 : 2012)
の明るさのテキストを読むときに判読できる最小のフォントサイズは,14ポイントである
[参考文献の(4)参照]。
注記3 色のコントラストを計算する場合は,ワールドワイドウェブコンソーシアム(W3C)の
Webコンテンツアクセシビリティガイドライン2.0に記載があるコントラスト比及び相対
輝度の定義を参照[参考文献の(5)参照]。
b) サンセリフ体(装飾要素を省いた字体)を用いることが望ましい。
注記4 セリフ(文字装飾)を表示するには十分なドット又はピクセルがない所に,ISO TR
22411:2008の8.6.3に記載があるサンセリフ体を用いることによって,アクセシビリティを
向上させることができる[参考文献の(4)参照]。
c) 文字列が画像に重ならないことが望ましい。
d) パソコンの操作のために重要なラベル(例えば,電源スイッチのラベル)は,文字列又は図記号を含
んでいることが望ましい。
e) 操作部,接続部及び銘板には,触覚的に区別のできる図記号を用いることが望ましい。
注記5 浮き彫りの図記号は,視覚障害のある利用者がそのラベルを触れることによって,簡単に
識別できるようになる。また,利用者が見えない所にある構成部分が識別しやすくなる(例
えば,パソコン本体の裏)。
注記6 点字ラベル及び触覚ラベルを附属することで,視覚障害のある利用者は,自分に合ったラ
ベルに変更できる。
5.7 接続
5.7.1 入出力装置とのインタフェース
パソコンは,様々な種類の入出力装置及び支援装置を使えるように,日本工業規格(日本産業規格)・国際規格及び業界
標準のインタフェースを用いることが望ましい。
注記1 USB,IEEE 1394,Bluetoothなどの様々な種類の接続方法がある。
注記2 標準的なインタフェース仕様を用いることは,代わりの入出力装置の接続を可能にし,その
結果,利用者の利用できる装置の範囲が広がる。
注記3 感覚障害又は認識障害のある(言葉,読み取ること又は書き込むことに問題のある)一部の
利用者は,手話,点字,その他の表現手段を用いる。このような利用者を助けるために,言
語の変換及び表現をするために使う様々な種類のソフトウェア又は装置と接続できる。例え
ば,視覚障害のある利用者に音声出力がしばしば用いられるが,同じ内容を点字に変換し,
点字ディスプレイに出力することもできる。指点字装置は,視覚障害のある利用者に有用で
ある。
5.7.2 コネクタ
次に示すコネクタを使用する。
a) 頻繁に接続及び/又は引き抜くコネクタは,片手で操作できることが望ましい。
b) 頻繁に接続及び/又は引き抜くコネクタの位置,配色及び形状は,明確な識別ができ,簡単に取り扱
いでき,不注意な操作を防ぐように設計することが望ましい。
例 パソコンのプリンタへのコネクタが前面にあるため,車いすの利用者は,パソコンにプリンタ
のケーブルを簡単に接続及び/又は引き抜くことができる。
注記1 コネクタの正しい向きが,視覚と触覚とで簡単に識別できる。
注記2 コネクタの外形は対称であることが多い(例えば,長方形,円)反面,機能的には対称で
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はなく,方向がある場合,その方向を判断することが難しいので問題がある(例えば,USB
コネクタは長方形であるにもかかわらず機能的に上下左右非対称であり,その外側に触っ
ても正しい方向が分からない。)。
c) 誤挿入の防止手段が備わっていることが望ましい。
注記3 防止手段は,全ての利用者の手助けとなる。特に,視覚障害のある利用者又はコネクタの
挿し方を忘れたり若しくは誤って理解している認知に障害のある利用者の助けとなる。
d) ケーブルとその他の装置との接続及び切り離すための力は,22.2 N{≒2.3キログラム(kgf)}を超え
ないことが望ましい。
注記4 手の筋力の低下,麻ひ(痺),震え,不随意の動きなどのある利用者が,周辺装置を接続
できないことがある。
e) ケーブルとそれに対応する接続部とは,触って認識できるとともに,見て認識できることが望ましい。
5.7.3 音声ポート
次に示す音声ポートを使用する。
a) イヤホン又はヘッドホンを接続するための外部出力ポートを備えていなければならない。
b) パソコン本体のスピーカ出力は,外部出力ポートにイヤホン又はヘッドホンを接続したときに,無効
にすることが望ましい。
c) 音声入力ポートと音声出力ポートとは,明確に区別できることが望ましい。
d) 音声入力ポート及び音声出力ポートは,直径3.5 mm(1/8インチ)であることが望ましい。
e) 音声入力ポート及び音声出力ポートは,漏斗状の囲い(これによって,視覚障害のある利用者はヘッ
ドフォンジャックを簡単に挿せる。)を備えていることが望ましい。
f) 音声入力ポートと音声出力ポートとは,触っただけで区別できることが望ましい。
注記1 ヘッドホンの図記号は,IEC 60417の図記号番号5077に規定がある[参考文献の(6)参照]。
注記2 マイクの図記号は,IEC 60417の図記号番号5913に規定がある[参考文献の(6)参照]。
5.8 バイオメトリックスによるユーザ認証の代替
バイオメトリックスによるユーザ認証が提供されている場合は,識別の代替手段を利用できるようにし
ていなければならない。
注記1 無こう(虹)彩[先天性症状によるこう(虹)彩の欠如]の影響を受ける人々には,こう(虹)
彩を認識するセンサは働かない。
注記2 指の接触に対応するセンサは,特定の支援技術(例えば,フィンガスティック,マウスステ
ィック又はヘッドスティック)を使う必要のある利用者が操作部又はキーを押しても作動し
ない。
5.9 利用者の快適性
利用者の快適性は,次による。
a) 電波,電磁ノイズなどのパソコンで発生するEMI(電磁干渉)レベルは,補聴器を使用している利用
者に影響を与えないことが望ましい。
注記 補聴器とパソコンとの親和性を決定する目的で,それらの電磁気的特性を評価するのに
ANSI/IEEE C63.19規格が,有用である[参考文献の(7)参照]。
b) パソコンは,けがの原因又は設置の妨げとなる,堅いへり(縁)又は鋭い角のないことが望ましい。
c) パソコンの無線インタフェースの医療機器への影響は,考慮してあることが望ましい。
例1 その機器例は,ペースメーカである。
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X 8341-2 : 2014 (ISO/IEC 29136 : 2012)
例2 無線インタフェースの無線送信を停止する操作部を備えている。
6 入力に対する要求事項
6.1 操作部
6.1.1 識別
操作部の識別は,次による。
a) 操作部は,見て簡単に識別できることが望ましい。
b) 個々の操作部を触覚的に簡単に識別できることが望ましい。この場合,触れただけでは操作は始まら
ない。
注記1 設計の様々な側面は,操作部又はその近くに図記号を配すること,及び操作部を予想の位
置に配することをも含んでいる。
注記2 震えのある利用者が,意図せずに操作部を動かすことを避ける必要性と視覚障害のある利
用者が操作部の場所が分かる必要性とのバランスをとることは重要である。
c) 操作部の文字及び図記号の背景とのコントラストは,高い(例えば,3 : 1を超える)ことが望ましい。
注記3 濃淡の対比を用いることによって,様々な色覚障害のある人が,異なるキー又は操作部及
びそれらの上又は近くの文字・図記号を更に見分けることができる。
d) 操作部の文字及び図記号は,見て十分に識別可能な形状であることが望ましい。
注記4 これは,コントラストの高い印刷と4 mm以上の高さとを用いることによって支援するこ
とができる。
注記5 ラベルに用いる記号は,一般に受け入れられている記号を用いることによって,識別しや
すくなる。
6.1.2 操作性
操作性は,次による。
a) 操作部は,指の代わりに口,つま先又はスティックを使う利用者が簡単に操作できるように,適切な
大きさ,形状及び表面に設計することが望ましい。
注記1 操作部の凹面は,指,マウススティックなどの様々な手段で操作部を押す利用者が,それ
らを操作部に当てやすくする。
注記2 操作部の滑らない表面は,隣接する操作部を偶然に動かすことを避ける一助となる。
例 キーボードに用いるマウススティックは,操作部の表面で簡単に滑らない。
b) 操作部を操作するために必要な力は,障害のある利用者に適切で,22.2 N{≒2.3キログラム(kgf)}
未満であることが望ましい。
注記3 操作部を押す又は打つ力が大きすぎる場合,筋力の低下した利用者には過度の負担となる
ことがある。逆に,操作部を押す又は打つ力が小さすぎる場合,震え,手の不随意運動な
どのある利用者が,意図しない入力をすることがある。
c) 操作部は,操作部の意図しない操作を防ぐために,防御具を付加できることが望ましい。
6.1.3 状態表示
全ての操作部の現在の状態は,視覚で識別できるとともに,触覚又は音声のいずれかによっても識別で
きることが望ましい。
注記 このような状態は,光源のあるインジケータを用いて,機器の表面に表示される場合がある。
例 省電力モードにする操作部を押したとき,インジケータが点灯する。
――――― [JIS X 8341-2 pdf 10] ―――――
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JIS X 8341-2:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC 29136:2012(IDT)
JIS X 8341-2:2014の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 11 : 医療技術 > 11.180 : 心身障害者用の介護用具 > 11.180.99 : 身体障害者用介護用具に関するその他の規格
JIS X 8341-2:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称