JIS X 8341-2:2014 高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第2部:パーソナルコンピュータ | ページ 3

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X 8341-2 : 2014 (ISO/IEC 29136 : 2012)
6.1.4 応答
操作部を起動したとき,その応答は,二つ以上の形態(例えば,触覚,視覚又は聴覚)でできることが
望ましい。
注記 三つ全ての形態で応答を提供できる場合,アクセシビリティが向上する。
例 操作部を操作したときに,利用者は,その応答の形態を,触覚,視覚及び/又は聴覚から,一つ
以上を選択する。

6.2 キーボード

6.2.1  キーボードのレイアウト
キーボードのレイアウトは,次による。
a) キーボードのレイアウトは,ISO/IEC 9995-1の規定に従うことが望ましい。
注記1 ISO/IEC 9995-1に適合することは,利用者の一貫性の要求に応えることである。
b) キーの論理的機能によるグループは,グループ間で区別できる色になっていることが望ましい。
注記2 ISO/IEC 9995-1には,キーグループに関する情報の規定がある。
c) キーの機能の割当てを変更する場合,キーキャップは,割当てに応じて交換できることが望ましい。
d) キーに印(ラベル,スタンプ,突起など)がある場合,その印を利用者が変更できることが望ましい。
例 左上にあるEscapeキーの機能を,右手だけが使える利用者のために,右側にある使用頻度の少
ないキーに割り当てることができる。
6.2.2 キーへの一般的要求事項
キーへの要求事項は,ISO 9241-410の附属書Bを適用することが望ましい。
6.2.3 キーの識別性
キーの識別性は,次による。
a) キー上の文字及び図記号と背景とのコントラストは,高い(例えば,3 : 1を超える)ことが望ましい。
注記 視覚的なコントラストには,色の違い及び濃淡の二つがある。濃淡によるコントラストを用
いることによって,様々な種類の色覚障害のある人が,キー又は操作部及びそれらの上又は
その近くの文字・図記号を区別できる。
b) 各キーには,十分に識別及び区別できる形状の4 mm以上の高さの文字又は図記号があることが望ま
しい。
6.2.4 キーの操作性
キーは,指の代わりに,口,つま先又はスティックを使う利用者が簡単に操作できるように,適切な大
きさ,形状及び表面に設計することが望ましい。
注記 キーの滑らない表面は,隣接のキーを偶然に操作することを避ける一助となる。
6.2.5 キーの状態表示
全てのキーの現在の状態は,視覚,触覚及び/又は聴覚の一つ以上の手段で,識別できることが望まし
い。
注記 Caps Lock,Num Lock,及びその他のキーを押したときに変わる状態の現在の状態を,利用者
に何らかの手段で知らせることができる。
6.2.6 点字と同じ機能
キーボードは,点字又は指点字の入力のために六つのキーを同時に押すことができるようになっている
ことが望ましい。
注記 英語キーボードでは,6点入力点字では一般的に“F”,“D”,“S”,“J”,“K”及び“L”のキー

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が,用いられる。しかし,スペースキーを含む七つのキーの同時押しのほうがよい。その他の
言語のキーボードでは異なってもよい。
6.2.7 触覚形の点又はバーでの印
キーボードなどキー,ボタン及びスイッチが多数隣接して並ぶ場合,それらのキーの位置の目安となる
キーは,触覚形の点又はバーがなければならない。
注記1 西洋のキーボードのレイアウトでは,英字キーの中では“F”及び“J”が,数値キーパッド
の中では“5”が,目安となるキーである。
注記2 目安となるキーを音声で教えることは,ハードでは提供されていないが,キーボードソフト
ウェアでこの機能を提供しているものがある。ISO/IEC 9995シリーズには,印があるキー(西
洋のレイアウトの“F”,“J”,及び数値キーパッド“5”)と音声信号とを関連付ける規格があ
る。
6.2.8 キーガード
キーボードは,キーガードが付けられるようになっていることが望ましい。
注記 キーガードをキーボードに付けたときに,キーボードの上の空間に手を保てない筋力の低下し
ている利用者,手の震えのある利用者,手の不随意の動きのある利用者,又はヘッドスティッ
ク,マウススティック若しくはハンドスティックを用いる利用者は,キーを動かしたいときに
だけ動かすことができる。
6.2.9 キーボードの追加接続
キーボードの追加接続は,次による。
a) パソコンは,二つ以上のキーボードをサポートし,それらの両方で操作できることが望ましい。
注記1 特殊なキーボードが,利用者の要求事項を満たすために,主キーボードとして提供される
場合,元のキーボードは,副キーボードとして使用することができる。
注記2 障害のある利用者と支援者とが同時にパソコンを使う場合,キーボードがその利用者用に
変更されているため,支援者はキーボードを通常と同じ操作で使うことができないことが
ある。
b) パソコンは,パソコン本体と分離したキーボードがあるか,又はキーボードが装置の一部として組み
込まれているときには追加の外部のキーボードを接続する手段のあることが望ましい。
注記3 外部のキーボードは,利用者に適した場所に置くことができるか又は代替の入力装置に置
き換えることができる。
c) パソコンは,適応性のあるキーボード又は代替の入力装置を含む様々な種類のキーボードと接続でき
るように設計されていることが望ましい。

6.3 タッチスクリーン

6.3.1  タッチ入力の代替
タッチスクリーンを搭載したパソコンは,タッチスクリーンを代替する入力方法を支援しなければなら
ない。
注記 これは,タッチスクリーンを使用できず,キーボードだけを使用できる利用者を考慮している。
例 音声入力装置がタッチスクリーン入力装置の代わりに用いられる。
6.3.2 タッチ入力のナビゲーション及び起動の分離
タッチスクリーンを搭載したパソコンでは,タッチスクリーンの入力モードは,ナビゲーションと起動
とが分かれていることが望ましい。

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注記 このモードは,通常,ソフトウェアによって提供されるが,ハードウェアは,別々の入力方式
をサポートする。
例 タッチスクリーンを搭載したパソコンでは,シングルタップがユーザインタフェースオブジェク
ト(その意味の聴覚情報が提供される。)を選び,タブルタップがオブジェクトを起動する。

7 出力に対する要求事項

7.1 視覚情報

7.1.1  外部表示装置
パソコンは,本体とは別の表示装置をもっているか,又は追加の外部の表示装置を接続する機構がなけ
ればならない。
注記 これによって,利用者に適した位置に表示装置を置けるか,又は利用者の要求にあった別の表
示装置と置き換えることができる。
7.1.2 表示装置の位置
表示装置にその位置(例えば,角度,回り継ぎ手,高さ,傾きなど)を調節する機構がある場合には,
片手で調節できなければならず,強い握力(22.2 N{≒2.3キログラム(kgf)}より大きい。),手首のひね
り,又は小さい所をつかむ必要のある動きを要求してはならない。
注記 手の動きに制限のある利用者は,これらの動きをするための十分な関節動作,筋肉の調整能力,
又は力がない可能性がある。
7.1.3 表示装置の調整の操作
表示装置の色,輝度及びコントラストは,物理的操作とソフトウェアとの両方で調整できることが望ま
しい。
7.1.4 サブタイトルの表示及び/又はキャプションの表示
パソコン又は表示装置が放送テレビジョン受信機を備えている場合には,サブタイトル及び/又はキャ
プションを受信し処理できることが望ましい。
注記1 サブタイトルは,言語の勉強のため,及び/又は聴覚障害のある利用者を支援するために提
供される。
注記2 キャプションは,話し言葉そのものをそのまま画面に表示する。
7.1.5 画面の解像度
次に示す画面の解像度を使用する。
a) 表示装置は,利用者が詳細な出力をよりよく見えるように,十分な画面の解像度をもっていることが
望ましい。
b) 表示装置は,利用者が表示される手話又は指文字を識別できる画面の解像度をもっていることが望ま
しい。
c) 画面の解像度は,調整できることが望ましい。
注記1 聴覚障害のある利用者は,しばしば主な通信の手段として手話を使う。テキストだけで理
解する場合,問題が起きることがある。
注記2 口と顔との表情の変化は,手話を理解するのに非常に有効であり,画面の高解像度及び速
いフレーム速度はそのために有用である。

7.2 音声情報(聴覚情報)

7.2.1  スピーカの位置

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スピーカが,その他の構成要素(例えば,ノート形パソコンの一部又は表示装置の一部)と統合してい
る場合には,スピーカは,通常の使用状況の利用者の方向に向くように配置していることが望ましい。
7.2.2 音量
次に示す音量を使用する。
a) 音量の全ての範囲は,物理的操作とソフトウェアとの両方によって調節できることが望ましい。
b) パソコンは,代表的な聞く位置で65 dB SPL(実効値)以上の音量があることが望ましい。
例 2人が約1 m離れて会話をしているとき,音声の平均レベルは,6570 dB SPLである。
注記 SPLは,Sound Pressure Levelの略語である。
7.2.3 音声の速度及びピッチの調節
パソコンの音声出力を生成する場合は,次による。
a) 音声の速度及びピッチを調節する操作部があることが望ましい。
b) 最後の音声出力を繰り返すための操作部があることが望ましい。
注記1 この機能を使用すると,利用者は出力を自分の好み,必要性,習慣に合わせることができ
る。アクセント,性別などのその他の音声パラメータを調節する方法をもつことも有用で
ある。
注記2 これによって,聴覚障害のある利用者が音声速度を落とすことができる。
7.2.4 音の周囲への配慮
パソコンは,音量調節の操作部から独立して,音声出力を消すのに使用する物理的に音を消す操作部が
あることが望ましい。
注記1 音を消す操作部は,音量レベルを変えることなく音を無効にし,一度の操作で音を元に戻す
ことができる。
注記2 これによって,聴覚障害のある利用者も,確実にパソコンが音声出力をしないようにできる。

8 データ記憶装置及び着脱可能なドライブの要求事項

8.1 媒体の挿入及び取出し並びにドライブの交換

  媒体の挿入及び取出し並びにドライブの交換は,次による。
a) 記憶媒体のドライブの挿入及び取出しは,片手ででき,強い握力(22.2 N{≒2.3キログラム(kgf)}
より大きい。),手首のひねり及び小さい所をつかむ動きがなくてもできなければならない。
b) 着脱可能なドライブは,簡単に手が届き,容易に使える所に,配置するのが望ましい。
例1 それらは,パソコンの前面にある。
c) 媒体は,簡単に挿入でき,取り出せることが望ましい。
例2 光ディスクドライブは,光学式媒体を挿入又は取り出すためにスライドするトレイを用いる
ことができる。この機能を用いると,手の動きが限られている利用者は,トレイを使用して
簡単に媒体を挿入することができる。
d) 媒体を挿入又は取り出すために必要な力は,最小限とすることが望ましい。
注記1 これは,握力の弱った利用者を補助する。推奨する力は最大2 N{≒0.2キログラム(kgf)}
であるが,ディスクを挿入のために吸い込む機構があり,ディスクをスロットから引き抜
くために2 N以上の力を必要としないことが望ましい。
e) 媒体の排出は,しっかりつかむために十分な距離であることが望ましい。
注記2 12 mm18 mm以上排出することが,手の機能が衰えた利用者にとって助けとなる。

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f) ドライブが着脱可能である場合は,片手で着脱できることが望ましい。
g) 媒体の誤挿入の防止を備えていることが望ましい。
注記3 誤挿入防止は,利用者の記憶忘れを助ける。特に,視覚障害のある利用者,又は挿入方法
を忘れたり,誤解していたりする認知障害のある利用者を助ける。
h) 媒体及び/又はドライブのスロットは,視覚障害のある利用者のために設計されていることが望まし
い。
注記4 視覚障害のある利用者は,触覚で分かる印又は高いコントラストの場所を手がかりに,媒
体とその他の装置を挿入するスロットとを見つける。

8.2 媒体挿入の通知

  媒体挿入の通知は,次による。
a) パソコンでは,媒体が正しく挿入されるときは常に,視覚と音とによって利用者に通知することが望
ましい。
b) 媒体の誤挿入を防げない場合,媒体が正しく挿入されなかったときパソコンは,常に視覚と音とによ
って利用者に通知することが望ましい。
注記 この機能によって,視覚又は聴覚障害のある利用者は,媒体を挿入したけれども正しく動作
しないという警告が受けられる。

9 利用者支援のための要求事項

9.1 製品情報

9.1.1  一般事項
製品情報の一般的要求事項は,次による。
a) 製品情報は,製品と一緒に提供するか,又は,要求に応じて適時にかつ追加費用なしに提供しなけれ
ばならない。
b) オンラインヘルプは,提供することが望ましい。
注記 オンラインヘルプによって,利用者は,マニュアルを参照することなく情報を取り出すこと
ができる。
9.1.2 形態
製品情報の形態は,次による。
a) 製品情報は,電子形式で配布しなければならない。
注記1 これによって,視覚障害のある利用者,及び認知又は肉体的に障害のある利用者のために,
点字,音声及び大きさを変えられるテキストを生成できる。
b) 印刷された製品情報は,代替の様式(例えば,大きな活字又は点字)でも提供することが望ましい。
注記2 これによって,視覚障害のある利用者は,情報を得ることができる。
注記3 大きな活字として適切なものは,18ポイントのサンセリフ体である。
c) マニュアルなどの印刷された情報は,利用者が何もしなくても,開いたら開いたままになっているよ
うに製本していなければならない。
注記4 開いた状態のマニュアルは,片手又はマウススティックを使用する利用者にとって,取扱
いがより簡単である。
9.1.3 内容
製品情報の内容は,次による。

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JIS X 8341-2:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 29136:2012(IDT)

JIS X 8341-2:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 8341-2:2014の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称