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Y 37160 : 2022 (ISO 37160 : 2020)
表5−環境及び社会への配慮の評価指標−煙突のSOx,NOx及びPM排出原単位
評価方法 対象となるユニットの煙突から排出される各種大気汚染物質の排出原単位を算定する。評価目的の
ためには,発電端最大出力が推奨されるが,発電端最大出力が使用できない場合は,送電端最大出
力を使用してもよい。
SOxは,燃料中の硫黄濃度から算出するか,又は排出ガスの監視装置によって測定した値を用いる。
NOxは,定期的な排出ガス測定の結果に基づいて算出する。年に複数回測定する場合は,平均値を
使用する。
粒子状物質(PM)は,定期的な排出ガス測定の結果に基づいて算出する。年に複数回測定する場合
は,平均値を使用する。負荷変動は,影響が著しく軽微と考えられるため考慮しない。
注記1 他の設備との比較をする上では,所内動力によって比率の値が異なる。
注記2 粒子状物質(PM)は,ばいじんと同等である。
算定式 USOx=MSOx,AEM/Pg,A
UNOx=MNOx,AEM/Pg,A
UPM=MPM,AEM/Pg,A
ここで,
USOx,UNOx,UPM : SOx,NOx及びPMの排出原単位
MSOx,AEM,MNOx,AEM,MPM,AEM : SOx,NOx及びPMの年間排出量(g)
Pg,A : 年間発電量(kWh)
評価期間 評価者が決定する期間(例えば,5年間)
単位 g/kWh
評価範囲 ユニット
4.3.3.2 CO2排出原単位
CO2の排出原単位を評価するために必要な,評価方法,算定式,評価期間,単位及び評価範囲を表6に
示す。
表6−環境及び社会への配慮の評価指標−煙突のCO2排出原単位
評価方法 対象ユニットの煙突から排出されるCO2の排出原単位を算定する。
評価目的のためには,発電端最大出力が推奨されるが,発電端最大出力が使用できない場合は,送
電端最大出力を使用してもよい。
注記 他の設備との比較をする上では,所内動力によって比率の値が異なる。
算定式 UCO2=MCO2,AEM/Pg,A
ここで,
UCO2 : CO2排出原単位
MCO2,AEM : CO2の年間排出量(kg)
Pg,A : 年間発電量(kWh)
評価期間 評価者が決定する期間(例えば,5年間)
単位 kg/kWh
評価範囲 ユニット
4.3.3.3 水質
火力発電インフラの水質への影響について評価するために必要な,評価方法,データ要求事項,評価期
間,単位及び評価範囲を表7に示す。
――――― [JIS Y 37160 pdf 11] ―――――
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表7−環境及び社会への配慮の評価指標−水質
評価方法 プラントから排出される水質の測定結果の様々な側面に基づいて評価する。
1年に複数回水質を測定している場合は,測定値の平均値を使用する。
データ要求事 測定項目の例としては,pH,生物化学的酸素要求量(BOD),化学的酸素要求量(COD),N-ヘキサ
項 ン,全窒素,全りん,浮遊物質(SS),大腸菌,取水と放水との温度差
評価期間 評価者が決定する期間(例えば,5年間)
単位 pH:(−)
BOD,COD,N-ヘキサン,全窒素,全りん,SS : (mg/L)
大腸菌 : (立方センチメートル当たりのセル数)
取水と放水との温度差 : (K)
評価範囲 プラント
4.3.3.4 廃棄物のリサイクル率
火力発電インフラの廃棄物について,環境への配慮を評価するために必要な,評価方法,算定式,評価
期間,単位及び評価範囲を表8に示す。
表8−環境及び社会への配慮の評価指標−廃棄物のリサイクル率
評価方法 廃棄物のリサイクル率は,発電所運用者が責任をもって処理すべき廃棄物[例えば,石炭灰,脱硫
石こう(膏),排水処理汚泥]について,ユニット単位で算定する。
リサイクルには,材料リサイクル,熱リサイクル,及びリサイクル品の売却を含む。
注記 灰サイロ設備,総合排水処理設備などが共通設備となっていてユニット単位での算定が困
難である場合は,プラント単位での算定が行われる。
算定式 Rr=Ww,r/Ww×100
ここで,
Rr : 廃棄物のリサイクル率
Ww,r : プラントから排出される廃棄物のリサイクル量(kg)
Ww : プラントから排出される廃棄物の量(kg)
評価期間 評価者が決定する期間(例えば,5年間)
単位 %
評価範囲 プラント
4.3.4 安全性(労働安全災害による死傷者数)
自然災害,設備トラブル,及び火力発電インフラの運転·保守に関連した,労働者の労働安全災害防止
対策の妥当性を評価するために必要な,評価方法,算定式,評価期間,単位及び評価範囲を表9に示す。
――――― [JIS Y 37160 pdf 12] ―――――
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表9−安全性の評価指標−労働安全災害による死傷者数
評価方法 プラントの全従業員を対象とし,労働安全災害による死傷者数(労働災害発生後に1日以上労働が
できない人数,労働が制限された人数,及び死亡した人数の和)から算定する。
算定式 Norta
Nolt Nof
RISA tomh
tnsmhw
ここで,
RISA : 労働安全災害発生率
Nolt : 労働災害によって翌日以降に1日以上,労働不能となった人数
Norta : 労働災害によって翌日以降に1日以上,労働制限が生じた人数
Nof : 労働災害によって死亡した人数
tnsmhw : 発電所における総労働時間
tomh : 200 000人·時間又は1 000 000人·時間
評価期間 評価者が決定する期間(例えば,5年間)
単位 人数
評価範囲 プラント
4.3.5 ライフサイクルコスト(火力発電インフラの質の他の五つの構成要素を考慮)
営業運転期間における火力発電インフラの総便益(総電力量)及び総費用(総発電費用と社会的費用と
の和)のバランスを評価するために必要な,評価方法,算定式,評価期間,単位及び評価範囲を表10に示
す。
表10−ライフサイクルコストの評価指標−ライフサイクルコスト
評価方法 総発電コスト及び総発電量を考慮して,ユニット又はプラントの妥当性及び経済効率を評価する。
算定式 Clcc=(Ctpg+Cs)/(Ptpg)
ここで,
Clcc : 火力発電インフラのライフサイクルコスト
Ctpg : EPCコスト,燃料コスト,運転·保守コスト,及び廃棄費用を含む解体コストを合
わせた総発電コスト
Cs : 定量的に評価できる費用に基づいた社会的コスト(例えば,CO2排出量)
Ptpg : 総発電量。実際の正味発電量は,過去の実績を使用する。
将来分を評価する場合は,過去のEPCコスト,燃料コスト,運転·保守コスト及び
社会的コストは除外しなければならない。
評価期間 評価開始時から解体完了まで
単位 キロワット当たりの円又は現地通貨
評価範囲 ユニット又はプラント
例 ライフサイクルコストの算定式は,経済協力開発機構(OECD)が採択した,運転年数均等化発電原価計算法
によって計算することが可能である。
附属書Aにライフサイクルコスト算定式の例を示す。
5 火力発電インフラの運用
5.1 一般
火力発電インフラの営業運転期間において,火力発電インフラの質を維持し,更に高めていくためには
発電所運用者による“持続的な運用及び管理のための自己向上メカニズム”の適用が決定要素となる(図
2参照)。
――――― [JIS Y 37160 pdf 13] ―――――
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発電所運用者は,内部及び外部の要因を考慮に入れて,火力発電インフラの質を維持し,向上させるた
めに,5.25.7に規定する測定,データ管理,分析,リスク及び改善の機会への対応,運用管理,並びに総
合マネジメントのために必要なプロセスを確立し,実施し,かつ,維持しなければならない。
3E+S 構成要素 運用及び管理
“自己向上
初期運転性能
メカニズム”
インフラ エネルギー
持続性 総合マネジメント
の質 安定供給
運用管理
信頼性
火力発電
インフラの質 リスク及び
改善の機会への対応
(QTPI) 環境及び社会
環境保全
への配慮
分析
電力の 安全性 安全性 データ管理
安定供給
ライフサイクル 測定
経済効率
コスト
火力発電インフラの質の構成要素
図2−持続的な運用及び管理のための自己向上メカニズム
5.2 測定
発電所運用者は,次の事項を行わなければならない。
a) 監視及び測定が必要な対象を決定する。
b) 適切な監視及び測定の実施頻度を決定する。
注記 対応国際規格の明らかな記載漏れのため追加した。
c) 監視及び測定の方法を決定する。
d) 監視及び測定のための適切な装置又はシステムを採用する。
e) 適切な担当者に監視及び測定の責任を割り当てる。
監視及び測定が必要な対象を決定する際には,運用·保守上の要求事項及びステークホルダーへの情報
提供の必要性を考慮しなければならない。
測定方法を決定する際には,要求される測定精度を考慮しなければならない。
監視又は測定のために使用する装置又はシステムは,十分な性能でなければならない。
5.3 データ管理
発電所運用者は,該当する場合は,必ず,次の事項を行わなければならない。
a) 運用データを汎用フォーマットで,自動記録し,蓄積する。
注記1 汎用フォーマットで自動的に記録することが必要なデータは,通常,設備のリアルタイム
な測定から得られるプロセスデータである。その他の運用·保守データは,発電所運用者
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にとって最適なフォーマットで記録される。
b) 保存期間の要求事項及びステークホルダーのニーズに対応する期間,データを蓄積し,保存する。
c) 蓄積したデータは適切に利用できる状態とし,タイムリーな分析を確実にする。
d) データの消失,不適切なアクセス,及び不適切な使用からデータを適切に保護する。これには,適切
なサイバーセキュリティ対策の実施が含まれる。
e) ステークホルダー(例えば,需要及び供給の管理又は災害管理の支援をするため)に適切なデータを
提供する。
注記2 データの共有及び交換の原則の詳細については,ISO 37156を参照する。
5.4 分析
発電所運用者は,該当する場合は,必ず,次の事項を行わなければならない。
a) 4.3の評価指標の測定結果を総合的に分析し,他のプラントとの比較によって問題を特定する。ベンチ
マーキングを行う際には,次の事項を考慮しなければならない。
1) データのセキュリティを確実にする。
2) データが十分な質であることを確実にする。
3) データの管理を責任をもって行う。
b) データの分析に必要なスキルをもった人材を適切な職務に配置する。
c) 分析に適したデータのフォーマットを決定する。
5.5 リスク及び改善の機会への対応
火力発電インフラの質を維持し,更に高めていくためには,継続的にリスクを特定し,悪影響を最小化
し,結果として生じる課題を解決し,火力発電インフラの質の改善の機会を推進することが必要となる。
リスクには,内部リスク及び外部リスクの両方が含まれる。発電所運用者は,次の事項を含めて,リスク
を低減するためのプロセスを実施し,維持し,改善しなければならない。
a) 分析結果に基づいて,火力発電インフラの内部及び外部の次に示すリスクをタイムリーに決定し,事
前に対応計画を立て,定期的に訓練,シミュレーション又はその他の演習を実施して,事故に備える。
1) 内部リスクには,次の事項が含まれる。
1.1) 設備の不具合,電気的·機械的事故(計画外停止,出力制限)
1.2) 管理値からの逸脱
1.3) ヒューマンエラー
1.4) 発電所内の火災及び爆発
1.5) 人身災害
2) 外部リスクには,次の事項が含まれる。
2.1) 送電網故障
2.2) テロ,戦争,ストライキ,暴動,騒乱
2.3) 発電所へのサイバーフィジカル攻撃を含むサイバー攻撃及びフィジカル攻撃
2.4) 燃料調達及び水源確保
2.5) 自然災害(例えば,地震,台風,津波,洪水,森林火災)
b) 発生した事故に対する原因を究明し,その重要度に応じた再発防止策の実施,及び再発防止策の妥当
――――― [JIS Y 37160 pdf 15] ―――――
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JIS Y 37160:2022の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 37160:2020(IDT)
JIS Y 37160:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.100 : 発電所一般
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.020 : 環境保護 > 13.020.20 : 環境経済