JIS Z 2251-1:2020 ヌープ硬さ試験―第1部:試験方法 | ページ 2

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表1−記号及びその内容
記号 内容
F 試験力(N)
d くぼみの長い方の対角線長さ(mm)
ds くぼみの短い方の対角線長さ(mm)
α ダイヤモンド四角すい(錐)圧子頂点のくぼみ対角線の長い方の対りょう
角(呼称角度172.5°)(図1参照)
β ダイヤモンド四角すい圧子頂点のくぼみ対角線の短い方の対りょう角(呼
称角度130°)(図1参照)
V 測定装置の拡大率
c くぼみの投影面積と長い方の対角線長さの二乗との関係である,圧子定数
tan2
c 0.07028
2tan2
HK ヌープ硬さの硬さ記号
試験力(kgf) )
ヌープ硬さくぼみの投影面積(
mm 2
1 N
試験力()
2
gn くぼみの投影面積(mm )
1 F
gn cd2
呼称圧子定数c0.070 28
標準重力加速度gn = 9.806 65 m/s2
F
ヌープ硬さ1.451× d
2
不確かさを少なくするため,圧子の実角度α及びβを用いてヌープ硬さを計算すること
が可能である。
注記 標準重力加速度は,kgfからNへの換算係数である。

5.2 硬さの表示

  ヌープ硬さは,次の例のように表示する。

640 HK 0.1 /20
試験力の保持時間(20秒)。ただし,規定の保持時間範囲(10秒15秒)
と異なる場合に記載する。
適用した試験力をkgfで表した近似値。ここでは,0.1 kgf = 0.980 7 N
ヌープ硬さの硬さ記号
ヌープ硬さ値

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6 試験装置

6.1 試験機

  試験機は,JIS B 7734に従って,所定の試験力又は規定された範囲の試験力を付与できなければならな
い。

6.2 圧子

  圧子は,JIS B 7734に規定された底面がひし形の四角すい形状のダイヤモンドでなければならない。

6.3 くぼみ測定装置

  くぼみ測定装置は,JIS B 7734の規定を満たさなければならない。
顕微鏡の倍率は,くぼみの対角線が最大視野の25 %を超え,75 %未満に拡大できるように設定すること
が望ましい。理由は,対物レンズは,多くの場合,視野の端部ではゆがみを生じるからである。
測定にカメラを用いるくぼみ測定装置のカメラ視野が,光学系視野限界を考慮して設計されている場合
は,その100 %を用いることが可能である。
くぼみ測定装置に要求される分解能は,測定する最も小さいくぼみによって決まり,表2による。測定
装置の分解能を決定するには,光学顕微鏡の分解能,スケールのデジタル分解能及び全ての可動支持台の
刻み幅を該当する場合に応じて考慮することが望ましい。
表2−測定装置の分解能a)
くぼみの対角線d
測定装置の分解能
mm
0.020≦d≦0.080 0.000 4 mm
0.080 注a) 対角線長さ0.020 mm未満のくぼみを測定する場合の分
解能は,受渡当事者間の協定による。

7 試験片

7.1 試験面

  試験面は,特に材料規格で規定がない限り,平滑で,酸化物膜(スケール)及び異物がなく,潤滑油を
除去した状態とし,表面は,くぼみの対角線長さを正確に測定できるように仕上げる。

7.2 前処理

  試験片の前処理は,試験面の損傷,過熱,冷間加工などによる表面硬さの変化ができるだけ生じないよ
うな方法で行わなければならない。
ヌープ硬さのくぼみは浅いので,試験片の仕上げには特に注意する。測定する材料の特性に適した研磨,
又は電解研磨方法を用いるのがよい。

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7.3 厚さ

  測定を行う試験片又は試験対象層の厚さは,くぼみの対角線長さの少なくとも1/3以上とする。試験後
の試験片の裏面には,変形が認められてはならない。
注記 くぼみの深さは,対角線長さのおよそ1/30(0.033 d)である。

7.4 不安定な試験片の支持

  断面が小さいとき又は不規則な形のときには,試験片に試験力が加えられている間,試験片が動かない
ように専用支持台を用いるか,又はミクロ組織試験と同様に適切な素材に埋め込み,適切に支持すること
が望ましい。
注記 試験片を樹脂に埋め込む場合には,樹脂の硬化に伴う発熱,プレス成形の際の圧力,温度などが
試験片の硬さに影響することがあるので注意する必要がある。

8 試験

8.1 試験温度

  試験温度は,通常,10 ℃35 ℃の範囲内とする。この範囲以外で試験した場合は,試験報告書に記載し
なければならない。厳格な管理条件下で試験を行う場合には,23 ℃±5 ℃で行う。

8.2 試験力

  試験力の代表値を表3に示す。他の試験力を適用してもよい。受渡当事者間の協定がない限り,長い方
の対角線が0.020 mmより長くなる試験力を選択しなければならない。
表3−試験力の代表値
試験力 F
硬さ記号
N kgf a) で表した近似値
HK 0.001 0.009 807 0.001
HK 0.002 0.019 61 0.002
HK 0.005 0.049 03 0.005
HK 0.01 0.098 07 0.010
HK 0.02 0.196 1 0.020
HK 0.025 0.245 2 0.025
HK 0.05 0.490 3 0.050
HK 0.1 0.980 7 0.100
HK 0.2 1.961 0.200
HK 0.3 2.942 0.300
HK 0.5 4.903 0.500
HK 1 9.807 1.000
HK 2 19.613 2.000
注a) I単位ではない。

8.3 定期点検

  試験を行う前の1週間以内に,定期点検を実施する。定期点検は,附属書Aによる。ただし,定期点検

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は,試験日に実施することが望ましい。定期点検は,試験力を変更した場合は実施することが望ましい。
圧子を交換したときには,定期点検を実施しなければならない。

8.4 試験片の支持及び向き

  試験片は,堅固な支持台の上に載せ,支持台の表面は,異物(スケール,油,汚れなど)のない状態に
しておく。試験片は,試験中に試験結果に影響するずれが起こらないように,支持台上にしっかり固定し
ておく。

8.5 試験面の顕微鏡焦点

  試験面及び目的の試験位置が観察できるように,くぼみ測定装置の顕微鏡の焦点を合わせる。
注記 顕微鏡の焦点を試験面に合わせることが不要な試験機もある。

8.6 試験力の付与

  圧子を試験面に接触させた後,試験面に対して垂直の方向に試験力を加える。そのとき,衝撃,振動又
+
は過負荷のないようにして,規定の試験力に到達させる。規定の試験力に到達するまでの所要時間は,715

秒とする。
注記1 時間の許容幅は,非対称となっている。例えば,715+
−秒は,7秒が公称時間で,2秒(7秒−5秒
と計算する。)以上,8秒(7秒+1秒と計算する。)以下が許容範囲である。
圧子の押込み速度は,70 μm/s以下とする。
+
試験力の保持時間は,1414
−秒とする。ただし,保持時間に依存して硬さが変化する材料で,この範囲が
不適切なものを除く。この規定時間の範囲を外れる試験の場合は,保持時間を,硬さの表示に明記しなけ
ればならない(5.2参照)。
注記2 ひずみ速度に敏感で,それによって耐力値が変化する材料がある。押込み終了時に,この効果
で硬さ値が変化する可能性がある。

8.7 衝撃及び振動の影響防止

  試験中,試験機は,衝撃及び振動を受けないようにする。

8.8 隣接するくぼみ間の最小距離

  くぼみの中心間の距離及びくぼみの中心から試験片の縁までの距離の最小値は,図3による。
試験片の縁と試験片の縁に平行なくぼみの中心の間の最小距離は,くぼみの短い方の対角線長さの少な
くとも3.5倍でなければならない。試験片の縁と試験片の縁に直角なくぼみの中心の間の最小距離は,く
ぼみの長い方の対角線長さの少なくとも1倍でなければならない。
短い方の対角線方向に並んだ隣り合うくぼみの中心間の距離は,短い方の対角線の少なくとも3.5倍で
なければならない。長い方の対角線方向に並んだ隣り合うくぼみの中心間の距離は,長い方の対角線の少
なくとも2倍でなければならない。二つのくぼみの大きさが異なる場合には,くぼみの長い方の対角線を
基準とする。

――――― [JIS Z 2251-1 pdf 9] ―――――

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図3−ヌープくぼみの最小間隔

8.9 対角線長さの測定

  くぼみの長い方の対角線の長さを測定して,その値から,ヌープ硬さを計算する。全ての試験において,
くぼみの外側の境界は,顕微鏡の視野の中で明瞭な輪郭とならなければならない。
顕微鏡の倍率は,対角線長さが視野の25 %を超え,75 %未満になるようにするのがよい(6.3参照)。
注記1 通常,試験力が小さくなると,測定結果のばらつきが大きくなる。長い方の対角線長さの測定
精度は,±0.001 mmよりよくなることはない。
注記2 ケーラー照明を用いた光学システムの調整に関わる有用な情報を,附属書Eに示す。
くぼみ形状が対称でない場合は,長い方の対角線を短い方の対角線との交点で2分割し,分割された長
さの差が長い方の5 %を超える場合には,支持台の面と試験片の測定面との平行を点検し,最終的には,
試験片に対する圧子のアラインメントを点検する。差が5 %を超えている試験結果は,採用しないことが
望ましい。

8.10 硬さ値の計算

  硬さ値は,表1の式によって求める。JIS Z 2251-2の表を用いて求めることも可能である。

9 測定結果の不確かさ

  不確かさの評価は,JCGM 100:2008に従って行うことが望ましい。
要因のタイプには関係なく,硬さの不確かさの評価は,次の二つの方法によって行うことができる。
− 一つは,直接検証に関わる全ての要因の評価を基にする方法である。EURAMETガイドラインが,利
用可能である。
− もう一つは,硬さ基準片[認証標準物質(CRM)]を使用した間接検証を基にする方法である。附属書
Bにガイドラインを示す。
不確かさに寄与する全ての特性を定量化することは,必ずしも可能ではないかもしれない。このような
ときには,試験片に繰り返して付けたくぼみの統計解析によって,タイプAの標準不確かさが評価できる
こともある。タイプA及びタイプBの標準不確かさが集約された場合は,寄与は重複して評価してはなら
ない(JCGM 100:2008の箇条4参照)。

――――― [JIS Z 2251-1 pdf 10] ―――――

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JIS Z 2251-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4545-1:2017(MOD)

JIS Z 2251-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 2251-1:2020の関連規格と引用規格一覧