JIS Z 7152:2013 バーチャルインパクタによる排ガス中のPM10/PM2.5質量濃度測定方法 | ページ 3

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Z 7152 : 2013 (ISO 13271 : 2012)

6.3 分離効率曲線の検証

  6.2で規定した分粒性能を満たしているかどうかは,バーチャルインパクタの製造業者が検証する必要が
ある。
その検証は,国際的に認証された品質管理システムを満たす試験所で行う。
注記 試験所の技術能力は,例えば,JIS Q 17025の要求事項に従うとよい。
バーチャルインパクタの分離効率は,各分粒部に対して120 μmの範囲の異なった粒径をもつ単分散
エアロゾル,例えば,オレイン酸,PAO,DOP等を用いた液滴 [5], [6], [7],ポリスチレンラテックス[8]
又はガラスビーズ[9]を用いて実測する。エアロゾル発生は,機械的又は電気的な力を補助的に加えた方法
で行う(附属書Hを参照)。
PM2.5分粒部に対しては粒径110 μm,PM10分粒部に対しては粒径220 μmの範囲で,それぞれ少
なくとも六つの異なった粒径の粒子で試験を行う。それぞれの粒径のうち一つはできるだけ2.5 μm及び
10 μmに近いものを選ぶ。50 %分粒径を2.5 μm及び10 μmに一致させるためのストークス数Stk50の値は
実験値に基づいて式(1)によって算出する。製造業者は,分離効率及び決定したストークス数の値を使用者
に報告する。

6.4 操作条件

6.4.1  概要
測定操作は,あらかじめ決定した一定の体積流量での試料ガスを吸引する。所定の設計のバーチャルイ
ンパクタに対して,体積流量は,排ガス条件によってだけ決まり,次のように算出する。
6.4.2 試料ガスの吸引体積流量を算出するための変数
試料ガス体積流量を算出するためには,次の変数を必要とする。
a) ガス組成
b) ガスの状態
c) ガス速度
6.4.3 試料及び吸引体積流量
それぞれの分粒部の必要な総体積流量qViは,式(2)によって算出する。
9 πD,0iStk50 ,i Ni
q=
Vi (2)
4d502 ,iCm ,i
P,0
ここに, qVi : 総体積流量(m3/s)
i : 粒径を特定するインデックス(i=2.5 μm又は10 μm)
D0,i : 粒子加速ノズルの内径(m)
Stk50,i : 分粒径d50,iに関するストークス数
η : ガス粘度(Pa・s)
Ni : 分粒ノズルの数(定数)
d50,i : 分粒径(m)
Cm,i : カニンガム補正係数
ρ0,P : 粒子単位密度(1 000 kg/m3)
両分粒部の入口の体積流量は別々に算出する。2段バーチャルインパクタでは試料ガス体積流量qVは,
次の関係をもっている。
qV=qV,10m (3)
2段バーチャルインパクタの吸引ラインの体積流量を図4に示す。これは式(4),(5)及び(6)のように簡素
化できる。

――――― [JIS Z 7152 pdf 11] ―――――

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qV=qV,10m 入口流れ
qV1,10mN10m=qV(CF1)
吸引流れ
PM10分粒部
qV,2.5m 入口流れ
qV1,2.5mN2.5m=qV(CF2)
吸引流れ
PM2.5分粒部
qV2,2.5mN2.5m=qV(BF)
吸引流れ
図4−2段バーチャルインパクタの体積流量のフロー線図
qV(CF1)=ξ10mqV,10m=qV,10m−qV,2.5m (4)
qV(CF2)=ξ2.5mqV,2.5m (5)
qV(BF)=(1−ξ2.5m) qV,2.5m (6)
ここに, qV : 試料ガス体積流量(m3/s)
qV,10m : PM10分粒部入口体積流量(m3/s)
qV,2.5m : PM2.5分粒部入口体積流量(m3/s)
qV(CF1) : PM10分粒部からの吸引体積流量(m3/s)
qV(CF2) : PM2.5分粒部からの吸引体積流量(m3/s)
qV(BF) : バックアップフィルタの吸引体積流量(m3/s)
qV1,10m : PM10分粒部の粒子捕集ノズルを流れる副流量(m3/s)
N10m : PM10分粒部の分粒ノズルの数
qV1,2.5m : PM2.5分粒部の粒子捕集ノズルを流れる副流量(m3/s)
N2.5m : PM2.5分粒部の分粒ノズルの数
qV2,2.5m : PM2.5分粒部の主流量(m3/s)
ξ10m : PM10分粒部の入口流量(全流量)に対する副流量の割

ξ2.5m : PM2.5分粒部の入口流量(全流量)に対する副流量の割

各分粒部の吸引流量は,全流量の約10 %であることが望ましい。
したがって,ξ10m0.1及びξ2.5m0.1となる。
標準状態[温度273.15 K(0 ℃),圧力101.32 kPa]の乾き試料ガス体積流量q'VN(m3/s)は,式(7)によっ
て算出する。
TN ( pamb+pst )
q'VN =qV (7)
f 'N
pNT 1+
N, WV
ここに, q'VN : 標準状態における乾き試料ガス体積流量(m3/s)
T : 操作条件のガス温度(K)
TN : 標準温度(273.15 K)
pamb : 測定場所の大気圧(気圧計圧力)(Pa)
pN : 標準圧力(101.32 kPa)
pst : 測定断面の静圧と測定場所の大気圧(気圧計圧力)との
差(Pa)

――――― [JIS Z 7152 pdf 12] ―――――

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f 'N : 水分量,ただし標準状態における乾きガスに対する水蒸
気質量濃度(kg/m3)
ρN,WV : 標準状態における水蒸気密度(0.8038 kg/m3)
なお,式(2)による体積流量の計算で必要な操作条件下でのガス粘度(温度の関数)η(T)及び分粒部iの
カニンガム補正係数Cm,iの計算式は,附属書Aに記載されている。
6.4.4 吸引ノズルの内径
吸引ノズルの内径dentryは,等速吸引に近づけるために式(8)を満たすように選ぶ。
4qV
2
πdentry
9.0 ≦ ≦3.1 (8)
vfg
ここに, dentry : 吸引ノズルの内径
qV : 試料ガス体積流量(m3/s)
vfg : 試料採取点の排ガス速度(m/s)
この条件を満たすことができない場合,高速吸引が望ましい。その理由は,粒子の捕集濃度の誤差が低
速吸引の場合に比べて小さいからである(附属書Bを参照)。
6.4.5 適用可能な操作条件
この規格に規定する測定方法は,表2に示す操作条件に対して適用できる。典型的なガス組成の範囲
は,空気から二酸化炭素濃度30 %までに対応している。
表2−測定に関する典型的な操作条件
項目 平均値 最小値 最大値
標準状態におけるダスト濃度 mg/m3 40 1 200
温度 ℃ 135 20 250
圧力 kPa 100 85 110
標準状態における水蒸気質量濃度 kg/m3 a) 0.03 0 0.1
注a) 露点が排ガス温度を超えてはならない。
これらの操作条件を満たさない場合,特に水蒸気含有量が多いか,又はより高温でも,バーチャルイン
パクタ分粒部のレイノルズ数が1003 000の範囲にできれば,理論上は測定が可能である。この場合,
Marpleの理論による相似性が成り立つ[10]。各分粒部の流れのレイノルズ数は,附属書Dに例示されてい
る。
6.4.6 構成
2段バーチャルインパクタは,次の各部分で構成される。
− JIS Z 8808の要件に従った拡大部(必要な場合)
− PM10加速ノズル
− 10 μmより大きい粒子の捕集ノズル,捕集フィルタ及びフィルタホルダ
− PM2.5加速ノズル
− 102.5 μmの粒子の捕集ノズル,捕集フィルタ及びフィルタホルダ
− 2.5 μmより小さな粒子捕集のためのバックアップフィルタ及びフィルタホルダ
2段バーチャルインパクタの例を,附属書Cに示す。

――――― [JIS Z 7152 pdf 13] ―――――

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7 試料採取装置

7.1 測定セットアップ

  一般的な測定装置例を,図5に示す。ガス体積流量計は,圧力計が示す圧力下で使用可能なものを用い
る。
1 : 吸引ノズル 7 : 流量計
2 : 2段バーチャルインパクタ 8 : 温度計付きガス体積の測定装置
3 : 支持管 9 : 吸引装置
4 : 冷却・乾燥カラム 10 : 温度の測定装置
5 : バルブ 11 : 差圧計をもつピトー管
6 : 圧力計 12 : 排ガスの流れ
図5−試料採取装置の例
試料採取装置は,吸引装置を3台使用して測定することも可能である。その場合,バーチャルインパク
タ下流の装置に対する必要条件は,JIS Z 8808による。
注記 吸引装置を3台使用した試料採取装置の例を,附属書JAに示す。
直管形吸引ノズルを使った煙道内試料採取システムによる測定が望ましい。煙道内でバーチャルインパ
クタへの吸引に屈曲管形吸引ノズルを使う場合では,屈曲管内で粒子損失が起こることがある。 また,煙
道外にバーチャルインパクタ本体が出る場合には,正確な分粒径を得るためにバーチャルインパクタ本体
の精密な温度制御が必要である。もし,煙道内でバーチャルインパクタへの吸引に屈曲管形吸引ノズルを
使用する場合,粗粒子及び微粒子の損失質量を測定する。試料採取ラインの粒子損失が捕集フィルタ及び
バックアップフィルタで捕集された全粒子質量の10 %未満である場合に限り,その屈曲管形吸引ノズルは
使用できる。

――――― [JIS Z 7152 pdf 14] ―――――

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7.2 試料採取に必要な装置,設備及び器具

7.2.1  分粒捕集部
バーチャルインパクタは,耐熱性,耐腐食性の材料(例えば,チタニウム又はステンレス)で製作する。
吸引ノズルは,バーチャルインパクタと同じ材質とし,有効内径318 mmのものをセットで準備する(附
属書C及び附属書Eを参照)。
7.2.2 試料ガス吸引及び体積流量調整装置
試料ガス吸引及び体積流量調整のために,吸引管,支持具,乾燥カラム(又は,凝縮物トラップ),吸引
装置(ポンプ),ガス体積流量計,バルブ,温度・圧力・差圧・時間計測器及び大気圧計を用いる。
注記1 ガス瞬間流量計を用いると便利である。
なお,条件によっては,バーチャルインパクタ全体を加熱するためのヒーターが必要である。また,ガ
ス状成分によっては,吸引管内にトラップされた凝縮物が管閉塞をひき起こしたり,測定フィルタへ逆流
したりするため,吸引管の加熱,凝縮物トラップなどの冷却が必要である。
注記2 試料ガス吸引及び体積流量調整のために必要な設備は,例えば,JIS Z 8808による。
7.2.3 ガス速度,ガス組成,及び参照量を測定するための装置
ガス速度及びガス組成を測定するために,煙道ガス流速測定器(例えば,ピトー管及び微差圧計),排ガ
スの中のCO2及びO2を測定するガス分析装置,温度測定器及び水分量測定器を使用する。
注記 ガス速度及びガス組成を測定するための装置に関する要件は,例えば,JIS Z 8808で指定され
る。
7.2.4 実験室での前処理及び後処理のための設備
実験室でフィルタ及び試料の前処理及び後処理をするために,精密天びん(例えば,測定範囲 : 60 g,
感量 : 0.1 mg),乾燥器及び試料採取フィルタのための輸送容器を使用する。
7.2.5 消耗品類
消耗品として,円形ろ紙及び乾燥剤(例えば,色のインディケータ付きシリカゲル)を使用する。
捕集フィルタ及びバックアップフィルタには円形ろ紙で,次の要件を満たすものを使用する。
a) 捕集効率は,最大流量時に0.3 m平均径のテストエアロゾルで99.5 %以上,又は0.6 μmで99.9 %以
上であるものを用いる。この効率は,フィルタの供給者が認証する。
b) フィルタの材質は,排ガスの最高温度(コンディショニング,試料採取など)を考慮して熱的に安定
し,排ガス中のガス状成分と反応したり,吸着したりしないものを用いる。
注記 例えば,JIS Z 8808で指定されるフィルタを使用するのがよい。
必要品の仕様の例を,附属書Fに列記する。

8 前処理,測定方法及び後処理

8.1 概要

  測定孔は,国際基準又は国内基準の要件と一致する位置,数及び設計であることが望ましい。
測定孔の寸法及び形状は,ダクトの内壁と接触せずに煙道内にバーチャルインパクタを挿入できるよう
に選定する。
測定位置は,適用する規格の要件に従う。
注記1 例えば,測定孔及び測定位置に関する要件は,JIS Z 8808で指定される。
排ガス条件は,等速吸引速度比の計算値を90130 %の範囲に保ち,試料採取の間は変化しないことが
望ましい(8.3.4を参照)。

――――― [JIS Z 7152 pdf 15] ―――――

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JIS Z 7152:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13271:2012(IDT)

JIS Z 7152:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 7152:2013の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISZ8808:2013
排ガス中のダスト濃度の測定方法