JIS Z 7152:2013 バーチャルインパクタによる排ガス中のPM10/PM2.5質量濃度測定方法 | ページ 4

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Z 7152 : 2013 (ISO 13271 : 2012)
バーチャルインパクタの吸引ノズルは,煙道の中で上流方向に向けて使用する(図5を参照)。
試料採取は,排ガス速度を代表している試料採取点で行う。この代表試料採取点は,附属書Gによって
決める。
注記2 代表試料採取点の決め方は,例えば,JIS Z 8808にも記載されている。
分粒径が試料採取の間は変化しないように,排ガス条件が一定下で,かつ,一定の吸引流量で試料ガス
を採取する。

8.2 前処理

8.2.1  バーチャルインパクタ
バーチャルインパクタは製造業者の取扱説明書に従い,測定計画で指定した頻度で清浄にする。
注記 測定計画に関する要件は,例えば,EN 15259で記載されている。
バーチャルインパクタの全ての内壁は,現場では測定と測定との間に,例えば,微細繊維の布などで掃
除する。
8.2.2 捕集フィルタ及びバックアップフィルタ
フィルタセットの準備は,実験室で行う。
捕集フィルタ及びバックアップフィルタは,独自にマークされたフィルタホルダ内に置く。
次に,捕集フィルタ及びバックアップフィルタをフィルタホルダとともに乾燥させて,恒量にして,JIS
Z 8808に従ってひょう量する。フィルタは,フィルタホルダごと又は別々にひょう量する。
捕集フィルタとバックアップフィルタとは,蓋ができ,明確にラベルされた容器に収納して輸送する。

8.3 測定方法

8.3.1  測定計画
一般に,測定計画は次を含む。
a) 燃料又はフィードストック(原料),排ガス成分及び参照量の測定値(例えば,温度,圧力及び水蒸気
含有量)を含むプラントに関する操作条件
b) 試料採取日,時間及び測定位置
c) 適用される測定方法
d) 測定位置及び測定場所
e) 測定するための技術監督及び必要な人材
f) 報告手順
注記 試験所のための要求事項は,例えば,JIS Q 17025で規定されている。
試料採取時間は,排ガス中のダスト濃度及び粒径分布に依存する。これらの値が分からない場合には,
事前に測定しておくことが望ましい。また,捕集フィルタ及びバックアップフィルタのダストの過負荷を
避け,かつ,十分な質量のダストが採取できるように試料採取時間を決定する。
8.3.2 排ガスデータ
測定前に,次の排ガスデータを測定する。
a) 排ガス速度
b) 排ガス組成 : O2,CO2,N2及び水蒸気質量濃度
c) 温度
d) 静圧

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8.3.3 試料ガス体積流量の決定
6.4.3によって各操作条件での試料ガス体積流量を決定する。この体積流量は,体積流量計の値に換算す
る。 計算のための入力値は,8.3.2による実測値である。
試料ガス体積流量は,バーチャルインパクタの両分粒部の粒子分離特性が変化しないように,捕集する
間,モニターし,設定値の±5 %以内の範囲で一定に保つ。
8.3.4 吸引ノズルの選択
吸引ノズルの内径は,式(8)によって等速吸引速度比が90130 %になるように選択する。吸引ノズル選
択の例をC.2に示す。
8.3.5 漏れチェック
漏れがあるかないかは,試料採取ラインを組み立て,吸引ノズルの先端を閉じて,吸引装置を始動して
確認する。漏れは,設定流量の2 %未満にする。その方法は,例えば最大真空度に到達した後の圧力変化
で測定できる。また,試料採取の間での漏れチェックとしては,連続的に直接煙道内及び試料採取ライン
の下流で,CO2,O2などの濃度を測定することによってモニターできる。二つの濃度の違いがプラントの
変動では起こり得ない程度検出された場合,煙道内外の試料採取装置部に漏れがあることを示す。この漏
れは,原因を調べて対策する。
8.3.6 測定
測定を始める前に,適切な吸引ノズルを取り付けたバーチャルインパクタが排ガス温度になっているよ
うにする。排ガス温度が水蒸気露点に近い場合,バーチャルインパクタ全体を煙道外で排ガス温度まで加
熱する。
注記 質量の大きいバーチャルインパクタでは,排ガス温度に達するまで長時間加熱する必要がある。
バーチャルインパクタを煙道に設置する場合,吸引ノズルが測定孔,煙道の内壁などと接触しないよう
に挿入する。 バーチャルインパクタを挿入した測定孔では,煙道から漏れる排ガス及び煙道に入る酸素が
ないように完全に密封する。バーチャルインパクタは,煙道の中で吸引ノズルを上流の方向に向けて使用
するものとし,吸引ノズルの中心線と流れの方向との間の角度は10°以下にする。試料採取ラインの三つ
の遮断弁を開き,吸引装置を動かして,体積流量を6.4.3に示した計算値に設定する。
試料採取中の試料ガスの体積流量は,少なくとも5分ごとにチェックして記録し,変化した場合には直
ちに調整し,設定値に戻す。
排ガス流の動圧は,ピトー管又は試料採取ラインに設置している別の適当な測定装置によって,煙道内
の一定の場所でモニタし,少なくとも5分ごとに記録する。
試料採取後は,バーチャルインパクタを煙道から素早く取り出し,ガス吸引を止める。煙道内は一般に
負圧になっているので,バーチャルインパクタを取り出す前に吸引を止めると逆流するおそれがある。3
系統の試料ガス吸引体積の測定値を記録し,試料ガス体積を求める。
8.3.7 フィルタ交換
バックアップフィルタ及び捕集フィルタを取り付けたフィルタホルダをバーチャルインパクタから取り
外して輸送容器に移すときは,フィルタの汚染を防ぐ。

8.4 ひょう量手順

8.4.1  概要
バックアップフィルタ及び2段目の分粒部の捕集フィルタをひょう量する。フィルタは,フィルタホル
ダごと又は別々にひょう量する。
注記 フィルタは,フィルタホルダごとひょう量することが望ましい。排ガスの湿度,温度が高いと

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ひょう量の際,フィルタを正確にがすことができなかったり,きずつけたりすることがある。
8.4.2 試料採取前のひょう量物の取扱い
フィルタ及びフィルタホルダは,乾燥器で少なくとも1時間,排ガスの最高温度の20 ℃以上で乾燥す
る。乾燥後は,それらをデシケータ内に入れて,室温になるまで冷却する。
8.4.3 ひょう量
フィルタは適切な精密天びんで,少なくとも±0.1 mgの単位までひょう量する。試料採取前後の精密天
びんは,同じものを使用することが望ましい。
一連のひょう量を行う前には,次の事項を行う。
a) 標準分銅で精密天びんを校正する。
b) 汚染が完全になく,測定時と同じ温度,湿度に制御された条件下で前処理された,測定で用いたひょ
う量物と同じ参照物をひょう量することによって,変動を確認する。
c) 室内の相対湿度及び温度は記録する。
また,ひょう量値の増加又は減少は,次の理由で起こるので注意が必要である。
1) 帯電 これは読みの誤差を与えるので,除電又は中和する。
2) フィルタ又はダスト,又はその両方の吸湿 ひょう量はデシケータから取り出して1分以内に行う。
初期の読みの後に5秒間隔で追加の読みを2回行う。材質によっては,時間の関数として読みがか
なり増加したり,減少したりするので,読みを外挿して初期状態を推定するなどが必要である。
3) ひょう量物と周囲との温度差 温度差は,ひょう量に影響を及ぼすので,注意が必要である。
注記 ひょう量は,例えば,JIS Z 8808で規定される。

8.5 試料採取後のひょう量物の処理

  測定値の算出には,バックアップフィルタ及び2段目分粒部の捕集フィルタを使用する。
ひょう量物は8.4.2及び8.4.3に従って,乾燥器で少なくとも1時間,100120 ℃の範囲で乾燥させ,恒
量にして,ひょう量する。

9 結果の計算

  排ガス中の標準状態におけるPM2.5濃度φ (PM2.5)は,式(9)によって算出する。
m(BF)
(PM2.5)= (9)
VN'
ここに, φ(PM2.5) : 標準状態におけるPM2.5濃度(mg/m3)
m(BF) : バックアップフィルタ上の粒子質量(mg)
V'N : 標準状態の乾き試料ガス体積(m3)
排ガス中の標準状態におけるPM10濃度φ (PM10)は,式(10)によって算出する。
m(BF)+m(CF)2
(PM10)= (10)
VN'
ここに, φ(PM10) : 標準状態におけるPM10濃度(mg/m3)
m(BF) : バックアップフィルタ上の粒子質量(mg)
m(CF2) : 2段目分粒部捕集フィルタ上の粒子質量(mg)
V'N : 標準状態の乾き試料ガス体積(m3)
標準状態[温度273.15 K(0 ℃),圧力101.32 kPa]の乾き試料ガス体積V'N(m3)は,ガス体積測定装置
で測定した試料体積から算出する。
1段目分粒部の捕集フィルタは,ダスト濃度の測定に使用できない。

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注記 バーチャルインパクタは,第1段の加速ノズルに入るまでに常に粒子損失がある。これらの粒
子損失は,粗粒子が多いと考えられるため,総ダスト中のPM2.5及びPM10の分率を測定した
い場合には,並行して総ダスト量を測定する必要がある。

10 性能特性

10.1 バーチャルインパクタ負荷

  バックアップフィルタ及び捕集フィルタへのダスト負荷は,バーチャルインパクタの製造業者によって
指定された最大負荷を超えてはならない。
試料採取時間は,排ガス中のダスト濃度及び粒径分布に依存する。前もって両者を測定しておけば,捕
集フィルタ及びバックアップフィルタが過負荷にならない試料採取時間を選ぶことができる。

10.2 検出限界

  バーチャルインパクタの検出限界は,フィルタ上のひょう量検出可能なダスト質量の絶対値と標準状態
の試料ガス体積とで決まる。
PM10の検出限界は,2段目分粒部の捕集フィルタとバックアップフィルタの二つのひょう量値とから算
出される。このため,PM10の検出限界はPM2.5より大きい。

10.3 測定の不確かさ

  排ガス中のPM10及びPM2.5質量濃度の測定における不確かさは,同一の二つの測定装置を用い,同一
ガスを測定した値で評価する。測定断面にある同一の測定点からガスを吸引し,2台の試料採取装置で採
取して得られた値をそれぞれ測定値y1,i及びy2,iとすると,測定の標準不確かさu(φ)は,式(11)によって算
出できる。不確かさ評価方法は,ISO 20988:2007のB.8に規定されている方法を用いる。
n
1 2
u( )= ( −
,1i )
,2i (11)
2n i=1
ここに, u(φ) : 測定の標準不確かさ(mg/m3)
φ1,i : 1台目の測定装置によるi 番目の測定値(mg/m3)
φ2,i : 2台目の測定装置によるi 番目の測定値(mg/m3)
n : 測定数
測定の不確かさは,工場排ガス条件下のバーチャルインパクタの検証時に決定し,今後の値を代表する。
試験は,国際的に認証された品質管理システムで運用される試験所によって行う。
注記 試験所のための要求事項は,例えばJIS Q 17025で規定されている。

10.4 粒子損失

  バーチャルインパクタを使用するとき,ダスト試料の採取中に通常粒子損失が起こる。ダストの一部は,
理論[11]に従って捕集フィルタ及びバックアップフィルタ上に捕集されず,壁面,分粒部などに拡散沈着
することがある。これらの粒子は,通常質量分率を求める場合には無視される。 このため,捕集フィルタ
とバックアップフィルタ上のダスト質量濃度との合計は,排ガス中のダストの総質量濃度と同一ではない。
包括的研究[12],[13]では,粒径が増加すると特に屈曲管形吸引ノズル内での粒子損失が増えることが示
されている。
注記1 捕集されたダスト質量からPM10及びPM2.5の質量分率を求めると,粒子損失が均等に分配
されているので,計算された粒径分布はより小さい粒径側にシフトすることが多い。
注記2 同時に測定された総ダストの質量も使ってPM10及びPM2.5の質量分率を求めると,粗大粒

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子の損失だけが仮定されているので,計算された粒径分布はより大きい粒径側にシフトする
ことが多い。粒子損失は,主に粗粒子で起こることがよく知られているので,この仮定は現
実に近い。

11 報告

  測定の不確かさを含む排出濃度の測定結果を,報告書に記載しなければならない。この報告書は,プラ
ント及び測定計画(8.3.1を参照)の関連している全ての要素に関する詳細な情報と全ての測定値,計算値
及び結果を含まなければならない。

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JIS Z 7152:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13271:2012(IDT)

JIS Z 7152:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 7152:2013の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISZ8808:2013
排ガス中のダスト濃度の測定方法