JIS Z 7201:2017 製品含有化学物質管理―原則及び指針 | ページ 3

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4.4 組織における製品含有化学物質管理の枠組み

  製品含有化学物質管理においては,組織の事業と化学物質との関わりをもれなく把握した上で,必要か
つ適切な管理を実践する。この組織における製品含有化学物質管理の枠組みについて大別したものが,サ
プライチェーン全体の製品含有化学物質の七つの管理枠組み(附属書B参照)である。附属書Bに製品含
有化学物質管理の七つの枠組みの説明,及びそれらの枠組みと箇条5の指針との対比を示す。組織は,七
つの枠組みの中から自らの製品及び業態に関係する枠組みを確認し,それらの枠組みについての指針に基
づいた管理を実践する。

4.5 化学品から成形品への変換工程

  サプライチェーン全体で製品含有化学物質管理を行うには,化学品から初めて成形品に変換される部品
の製品含有化学物質を適切に管理することが鍵となる。
具体的には,化学品から初めて成形品に変換される部品を製造するために用いる原材料中に含まれる化
学物質の量の把握だけでなく,成形品への変換工程における化学物質の量及び化学物質の変化,更に汚染
の防止などの管理が必要となる。
“成形品への変換工程”を,図を用いて附属書Cに示す。

4.6 製品含有化学物質情報

  サプライチェーンに関わる全ての組織は,設計・開発,購買,製造及び引渡しの各段階における製品含
有化学物質管理を基礎として,合理的な情報に基づいて製品含有化学物質情報を整備し,提供する。

4.7 企業秘密への配慮

  国内外の法規制対応に必要な製品含有化学物質情報は開示しなければならないが,組織の健全な競争力
を維持するためには,企業秘密の確保も重要である。特に,製品としての混合物又は成形品の製品含有化
学物質情報を開示することは,これらの製品の供給者にとってはビジネス上重要な問題につながる懸念が
ある。そのため製品含有化学物質情報の授受に当たっては,相互に購買する組織において企業秘密に対す
る十分な配慮が必要となる。企業秘密には,商流,購買製品の名称などのビジネス情報を含む場合もある。

4.8 製品含有化学物質に関するマネジメントシステムの評価

  この規格は,製品含有化学物質管理の原則及び指針を示すものであり,この規格を規定要求事項として
適合性評価を行うことはできない。ただし,サプライチェーンにおいては,組織の製品含有化学物質管理
が適切に実施されていることを確認することが必要となる場合がある。この場合には,各産業が構成する
団体は,必要に応じて,製品含有化学物質管理を実施する組織が,適合性評価及び宣言を行うことができ
るように,この規格が規定する原則及び指針に関連付けた製品含有化学物質に関するマネジメントシステ
ムの要求事項を,文書として取りまとめることもできる。

5 製品含有化学物質管理の指針

5.1 組織の状況

5.1.1 組織及びその状況の理解

  組織は,組織の目的に関連し,かつ,その製品含有化学物質管理の意図した結果を達成する組織の能力
に影響を与えるため,組織の外部及び内部の課題を明確にすることが望ましい。
注記 課題とは,製品含有化学物質管理に取り組む組織に影響を与える可能性のある変化している周
囲の状況であり,その例には,次のような事項がある。
a) 外部の課題としては,製品含有化学物質に関わる国内外の法規制・技術・経済の各状況,
外部の利害関係者の認知・価値観など。

――――― [JIS Z 7201 pdf 11] ―――――

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b) 内部の課題としては,統治・組織体制,製品,能力(製品含有化学物質管理に携わる者,
知識,プロセス)などの,組織の特性又は状況であり,設計・開発,購買,製造及び引渡
しに関わる全ての部署が製品含有化学物質管理を求められていることを認識することが重
要である。

5.1.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

  組織は,利害関係者のニーズ及び期待を理解するために,次の事項を明確にすることが望ましい。
a) 製品含有化学物質管理に密接に関連する利害関係者
b) それらの利害関係者の製品含有化学物質管理に密接に関連する要求事項
注記 製品含有化学物質管理に関連する外部の利害関係者の例として,顧客,供給者,外部委託先,
行政などが挙げられる。

5.1.3 製品含有化学物質管理の適用範囲の決定

  組織は,製品含有化学物質管理の適用範囲を適切に規定することが望ましい。
この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮することが望ましい。
a) 5.1.1に規定する組織の外部及び内部の課題
b) 5.1.2に規定する利害関係者の要求事項
c) 組織の化学物質との関わり
d) 組織が扱う外部から提供される製品及び外部に引き渡す製品
注記1 組織の化学物質との関わりへの考慮においては,製品含有化学物質の七つの管理枠組み(附
属書B参照)を参考とすることができる。
注記2 組織が扱う製品については,製品を構成しなくても汚染の原因となる可能性のある間接的な
包装資材(例えば,部品の包装材,保護材)も含まれる。
製品含有化学物質管理の適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にしておくことが望ましい。

5.1.4 製品含有化学物質管理の実施

  組織は,この規格の原則及び指針に従って,製品含有化学物質管理の仕組みを確立し,実施し,維持し,
かつ,継続的に改善することが望ましい。
製品含有化学物質管理基準を満たす製品を実現できるように,製品含有化学物質管理は,組織の業態に
応じて,設計・開発,購買,製造及び引渡しの各段階において,実施することが望ましい。

5.2 リーダーシップ

5.2.1 リーダーシップ及びコミットメント

  トップマネジメントは,次に示す事項によって,製品含有化学物質管理に関するリーダーシップ及びコ
ミットメントを実証することが望ましい。
a) 製品含有化学物質管理の有効性に説明責任(accountability)を負う。
b) 製品含有化学物質管理を組織の活動として位置付ける。
c) 必要な資源を利用可能とする(5.4.1参照)。
d) 製品含有化学物質管理基準に適合することを確実にする。

5.2.2 方針

  トップマネジメントは,組織の製品含有化学物質管理方針を確立し,それに基づいて計画を策定し,実
施し,維持することが望ましい。さらに,製品含有化学物質管理に適切に取り組むことを表明することが
望ましい。

――――― [JIS Z 7201 pdf 12] ―――――

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5.2.3 組織の役割,責任及び権限

  トップマネジメントは,有効な製品含有化学物質管理を実施するために,関連する役割に対して,責任
及び権限を規定し,組織内部に伝達することが望ましい。

5.3 計画

5.3.1 リスク及び機会への取組み

  製品含有化学物質管理の計画を策定するとき,組織は,5.1.1に規定する組織の外部及び内部の課題,5.1.2
に規定する利害関係者の要求事項及び5.1.3に規定する適用範囲を考慮し,次に挙げる組織の意図する結
果の実現のために取り組む必要のあるリスク及び機会を決定することが望ましい。
a) 製品含有化学物質管理が,その意図した結果を達成できるようにする。
b) 望ましい影響を増大する。
c) 望ましくない影響を防止又は低減する。
d) 継続的改善を推進する。
注記1 リスクを明確にするために考慮すべき事項として,例えば,供給者における製品含有化学物
質管理の状況,供給者から供給される製品,製造工程(特に,変換工程,汚染の可能性のあ
る製造工程,製品含有化学物質管理基準が異なる製品を同一時期の同一建屋など近接した状
態で製造する併行生産の製造工程など),外部コミュニケーションの状況,関連する法規制な
どの把握状況などが挙げられる。
注記2 機会を決定するとは,リスクを低減するための改善の余地及び可能性を,あらかじめ決めて
おくことである。
組織は,上記によって決定したリスク及び機会への取組みを計画することが望ましい。

5.3.2 目標及びそれを達成するための計画策定

  組織は,製品含有化学物質管理について目標を設定することが望ましい。組織は,その目標を達成する
ための実施計画を策定し,実施し,維持することが望ましい。組織は,必要に応じて,これらの目標及び
実施計画を見直すことが望ましい。
計画策定に当たり次の事項を考慮することが望ましい。
a) リスク及び機会への取組み(5.3.1)の製品含有化学物質管理への統合,実施及び有効性の評価
b) パフォーマンス評価からの改善点
注記 目標は,製品含有化学物質管理方針と整合がとれたもので,その達成度を評価できることが重
要である。

5.4 支援

5.4.1 資源

  組織は,製品含有化学物質管理を確立し,実施し,維持し,かつ,継続的改善に必要な資源を明確にし,
提供することが望ましい。
注記 製品含有化学物質管理に必要な資源の例として,次のものが挙げられる。
a) 製品含有化学物質に携わる者
設計・開発,購買,製造及び引渡しの各段階において製品含有化学物質管理の活動に携わ
る者,文書化した情報の管理又は人材育成の活動に関わる者など
b) インフラストラクチャー
建物,建物に関連するユーティリティ,ハードウェア及びソフトウェアを含む設備,情報
通信技術など

――――― [JIS Z 7201 pdf 13] ―――――

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c) 知識
製品含有化学物質管理に有効な,経験から得た知識,失敗から学んだ教訓,改善の結果な
どの組織内部の知識源に基づいたもの
標準,業界団体,顧客などの外部から収集した,知識などの外部の知識源に基づいたもの

5.4.2 力量

  組織は,力量に関して,次の事項を行うことが望ましい。
a) 設計・開発,購買,製造及び引渡しの各段階において製品含有化学物質管理に携わる者に必要な力量
を明確にする。
b) 適切な教育・訓練又は経験に基づいて,製品含有化学物質管理に携わる者が力量を備えていることを
確実にする。
c) 教育・訓練の実施について,文書化した情報を保持する。
注記 教育・訓練の内容の例としては,担当する業務の内容,製品含有化学物質管理の考え方,関連
する法規制,業界標準,業界団体などによる取組み,製品含有化学物質管理基準の対象となる
化学物質の用途,誤使用・汚染の事例,分析方法,化学物質リスクなどが挙げられる。

5.4.3 認識

  組織は,製品含有化学物質管理に携わる者が,次の事項に関して認識をもつことを確実にすることが望
ましい。
a) 製品含有化学物質管理方針
b) 関連する製品含有化学物質管理に関する目標
c) 自らの業務に関係し注意する必要があるリスク
d) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,製品含有化学物質管理の有効性に対する自らの
貢献
e) 製品含有化学物質管理の原則及び指針に適合しないことの意味
注記 製品含有化学物質管理の体制には,業種,業態及び事業内容によって様々な形態があると考え
られるが,設計・開発,購買,製造及び引渡しに関わる全ての部署が製品含有化学物質管理を
求められていることを認識することが重要である。

5.4.4 コミュニケーション

  組織は,次の事項を含む,製品含有化学物質管理に関連する組織の内部及び外部とのコミュニケーショ
ンを決定することが望ましい。
a) コミュニケーションの内容
b) 実施時期
c) 対象者
d) 実施方法
e) 担当者
注記 コミュニケーションは,双方向に行われることが重要である。
5.4.4.1 内部コミュニケーション
組織は,製品含有化学物質管理に関連する情報について,組織の種々の階層及び機能(部署)間でのコ
ミュニケーションに関わる手順を確立し,実施することが望ましい。
注記 情報の内容としては,製品含有化学物質管理方針,製品含有化学物質管理基準,目標,実施計
画,責任,権限などがある。

――――― [JIS Z 7201 pdf 14] ―――――

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5.4.4.2 外部とのコミュニケーション
組織は,製品含有化学物質管理のために必要な情報について,外部との間で,コミュニケーションに関
わる手順を確立し,実施することが望ましい。
注記 外部の組織の例として,顧客,供給者,外部委託先,業界団体などがある。

5.4.5 文書化した情報

  組織は,この規格が推奨する文書化した情報及び製品含有化学物質管理の有効性のために必要であると
組織が定めた文書化した情報を維持又は保持することが望ましい。
注記1 文書化した情報とは,組織が維持又は保持する必要がある情報及びそれを含む媒体であり,
JIS Z 7201:2012における“文書”及び“記録”と同意である。
注記2 これらの文書化した情報は,組織の他のマネジメントシステムにおける文書化した情報と統
合して管理してもよい。
注記3 維持するのがよい文書化した情報の例としては,製品含有化学物質管理方針,製品含有化学
物質管理マニュアル,関連する化学物質管理手順書,規定,規格,基準,標準類,手順書,
文書体系図などがある。これらの文書化した情報は,必ずしもマニュアルの形である必要は
ない。
注記4 保持するのがよい文書化した情報の例としては,製品含有化学物質情報,受入れ確認結果,
引渡し確認結果,内部監査結果などがある。
注記5 維持するのがよい文書化した情報又は保持するのがよい文書化した情報は,それぞれ,JIS Z
7201:2012においては,“文書”又は“記録”としていたが,附属書SL及びそれを採用した
JIS Q 9001:2015,JIS Q 14001:2015に合わせて変更した。維持又は保持するのがよい情報の
内容に変わりはないが,組織の必要性に応じて,適切な形式,媒体などを選択することがで
きる。

5.5 運用

5.5.1 運用の計画及び管理

  組織は,製品含有化学物質管理基準を満たすため,並びに5.3.1で決定した取組みを実施するために必要
なプロセスを,計画し,実施し,管理し,及び維持することが望ましい(5.1.4参照)。
そのプロセスが計画どおりに実施されたことを確認するために必要な程度の,文書化された情報を保持
することが望ましい。
組織は,外部委託したプロセスが管理されていることを確実にすることが望ましい(5.5.4参照)。
注記 プロセスは,インプットとなる必要な資源及び情報を用いて,計画されたアウトプット(成果
物)を生み出す一連の活動である。例えば,製品含有化学物質管理に関わる基準及び手順に基
づいて,必要な材料を購買したり,購買した材料から部品を製造したり,部品を組み合わせて
製品を完成させるなどといった作業も,それぞれプロセスとして挙げられる。

5.5.2 製品含有化学物質管理基準の策定

5.5.2.1  顧客とのコミュニケーション
組織は,次の事項に関して顧客とのコミュニケーションを図るための効果的な方法を明確にし,実施し,
その内容を文書化した情報として保持することが望ましい。
a) 顧客が遵守する必要がある法規制及び業界基準の情報の入手
b) 製品含有化学物質情報の提供
c) 製品含有化学物質管理に関する情報の提供

――――― [JIS Z 7201 pdf 15] ―――――

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JIS Z 7201:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 7201:2017の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称