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らない。最初の因子Aは符号が交互に(−,+,−,+,のように)なっている。2番目の因子
Bは二つのマイナスと二つのプラスが交互になっている。因子Cは四つのマイナスと四つのプラ
スが交互になっている。最後に,因子Dは実験1から8まではマイナスで,916まではプラス
である。JIS Z 8101のこの部の以降の部分では,マイナスは−1とプラスは+1と解釈する。
参考 田口の直交配列表と標準イェーツ順序の表は,本質的には同じものであり,行の入れ換えの操
作によって相互に変換することができる。標準イェーツ順序の表の実験単位番号116の各行
を,上から順に16,8,12,4,14,6,10,2,15,7,11,3,13,5,9,1と並べ替えると田
口のL16直交配列表が生成される。
表の第2列は,処理の内容を簡潔に表現したものである。小文字が存在する場合には,対応
する大文字で表される因子が高い水準であることを示している。文字がない場合は,その文字
に対応する因子は低い水準である。すべての因子が低い水準である処理は “(1)” と表現する。
要因実験ではすべての主効果と交互作用を推定できる。24の例では,四つの主効果 (A,B,
C,D),六つの2因子(1次の)交互作用 (AB,AC,AD,BC,BD,CD),四つの3因子(2
次の)交互作用 (ABC,ABD,ACD,BCD) と,一つの4因子(3次の)交互作用 (ABCD) が
ある。
各効果は(例えば,Aによる効果,AとBの交互作用,さらにはA,B,C,Dによる4因子
交互作用など),対比の係数を用いて即座に推定できる。このことについては,3.3で議論する。
2.1.2.2 2k−P一部実施要因実験 にのけーまいなすぴーじょういちぶじっしよういんじっけん
2k-p fractional factorial experiment
2k要因実験から注意深く選ばれた (2−P) 部分集合を用いる実験。
備考1. 因子が多いとき,2k要因実験は実施可能でないほどの処理を必要とすることがある。全処理
の部分集合を注意深く選ぶことによって,要因実験とほぼ等しい情報を一部実施実験で集め
ることができる。特に,重要と思われる効果や交互作用は,無視できると思われる交互作用
とだけ交絡するように選ぶ。
2. Pが1のとき結果として得られる一部実施要因実験は1/2(半分)実施 (half-fraction) と呼ば
れ,Pが2のときは1/4実施 (quarter-fraction) と呼ばれる。以下,同様である。
3. 2k−P実験はk個の因子をk−P個の第1グループとP個の第2グループの二つに分けて構成
できる。第1グループのk−P因子は2k−Pの実験単位からなる要因実験として割り当てられ
る。この実験単位数は全体の実験数となる。第2グループの各因子の水準は第1グループの
因子の水準で決定される。第2グループの各因子の水準を第1グループの因子の水準で表す
P個の等式の集まりは,計画を生成することから生成関係 (generating relation) と呼ばれる。
生成関係のP個の方程式は計画の性質を定義する2P−1個の定義関係 (defining relation) を求
めるのに使われる。
参考 原国際規格案では定義関係の個数を2k−P−1個と誤って記述している。
例 16処理の6因子実験を考える。これは,26−2一部実施要因実験を意味している。4因子 (A,B,
C,D) で要因実験を行うように組むことができる。残りのEとFの2因子はA,B,C,Dの水
準から決定できる。一つの可能な表現は,E=ABCとF=BCDである(この構成法から得られる
4文字の記号列ABCEとBCDFはワード(“語”)と呼ばれる。同様に,ABCは3文字語でACDEG
は5文字語である)。因子の水準として+1と−1を用いることで,A,B,Cの水準が(積ABC
で)対応するEの水準を決定する。同様にB,C,Dの水準が(積BCDで)Fの水準を決定する。
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例えば第1番目の実験単位の場合,AからDは2.1.2.1にある例の表のとおりである。第1実験単
位ではEとFも低い水準である。主効果Eは3因子交互作用ABCと交絡し,FはBCDと交絡す
る。完全な別名または交絡関係は定義関係I=ABCE=BCDF=ADEFから求めることができる。
2.1.3 計画のレゾリューション,計画の分解能 けいかくのれぞりゅーしょん,けいかくのぶんかいのう
design resolution
定義関係の中でもっとも短い記号列の長さ。
備考1. 計画のレゾリューションはその計画の別名関係の程度を表している。長さは普通大文字のロ
ーマ数字で表す。最もよく用いられるのは,レゾリューションIII,IV,Vの三つである。
レゾリューション(分解能)IIIの計画では,最も短い記号列の長さは3である(Iは考え
ない)。これは,この計画では主効果が他の主効果と別名関係にならないことを示している。
少なくとも一つの主効果はどれかの2因子交互作用と別名関係になる。
レゾリューション(分解能)IVの計画では,主効果は他の主効果およびどの2因子交互作
用とも別名関係にならない。少なくとも一つの2因子交互作用はどれか他の2因子交互作用
と別名関係になる。
レゾリューション(分解能)Vの計画では,主効果と2因子交互作用は他のどの主効果や
2因子交互作用とも別名関係にならない。
2. レゾリューションが高いほど,多くの効果(主効果や交互作用など)があいまいなく推定で
きる。因子数も実験数も同じ二つの計画からひとつ選ぶときには,レゾリューションが高い
ほうを選択すべきである。幸いにも,実際に用いる多くのkやPに対しては,最も適当と思
われる定義関係が与えられている。(例えば,参考文献[3]p.410を参照。)
例 2.1.2.2の例を続ける。この26−2一部実施要因実験における計画のレゾリューションは定義関係か
ら求められる。正確には,定義関係での最短の記号列(Iを除く)の長さが計画のレゾリューシ
ョンである。IA=AI=A,IB=BI=B,I=A2=B2=C2などの関係を使うと,関係式E=ABCは
EE=ABCEとなり,さらにI=ABCEと書ける。同様にF=BCDからはI=BCDF導ける。定義関
係は一般化交互作用ABCE×BCDF=ADEFを評価することで完結する。(I以外で)最も短い語の
長さは4なのでレゾリューションIVである。
備考3. これらの計画生成子はボックス・ハンター生成子と呼ばれるが,その起源はさらにさかのぼ
ることができる。
2.2 スクリーニング計画 すくりーにんぐけいかく
screening design
引き続く探求のために因子の部分集合を特定するための実験。
参考 この“因子の部分集合”は重要と思われる因子の集合を意味している。
備考1. このような実験は,一般に主効果の探求に焦点を当てているが,交互作用の存在が分析を複
雑にするので,この曖昧さを解くために追加実験が必要になることがある。
例1. 前の2.1.2.2で与えた2k−P一部実施要因実験(特に実施割合が低いもの)は,スクリーニング計
画とみることができる。
例2. プラケットとバーマン[4]は処理数が4の倍数である一連の2水準スクリーニング計画を提案し
た。彼らの計画は,探索する主効果の数が(繰返しなしの)処理数に近いときに選ばれること
が多い。例えば,下のような処理数12のプラケット・バーマン計画は11効果までスクリーニン
グすることができる。この計画では,2因子交互作用(例えばAB)の存在は,主効果C,D,
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···,Kの推定に影響を及ぼす。
実験単位 A B C D E F G H I J K
1 + − + − − − + + + − +
2 + + − + − − − + + + −
3 − + + − + − − − + + +
4 + − + + − + − − − + +
5 + + − + + − + − − − +
6 + + + − + + − + − − −
7 − + + + − + + − + − −
8 − − + + + − + + − + −
9 − − − + + + − + + − +
10 + − − − + + + − + + −
11 − + − − − + + + − + +
12 − − − − − − − − − − −
備考2. 多くのプラケット・バーマン計画はアダマール行列と関連がある。アダマール行列は初期に
は理論的観点で研究されていたが,その後実験計画に有効であることが分かった。アダマー
ル行列は一つの列(同じことであるが,行でもよい)の知識だけで簡単に構成できる。一つ
の構成法は,一番下の行をすべてマイナス符号とする。残りの列の要素は,第1列の要素を一
行下げながら右に移動し,11番目の要素を一番上に持っていく。の手順を行列が完成するま
で続ける。この行列の例を下に示す。構成法から,第1列のプラス符号のある場所を示せば十
分である。
n 第1列のプラス符号の行番号
12 1, 2, 4, 5, 6, 10
20 1, 2, 5, 6, 7, 8, 10, 12, 17, 18
24 1, 2, 3, 4, 5, 7, 9, 10, 13, 14, 17, 19
上のn=12で示した行番号は,例2.で詳細に示した計画と一致していることに注意する。
プラケット・バーマン計画の多くは,一列の要素の情報をもとにしてこの一般的方法で構成
できる。しかし,n=28,52,76,92,100についてはこの簡単な方法では作成できない。詳
細は参考文献[5]を参照のこと。
3. 田口玄一は,使いやすい工夫を施すことでプラケット・バーマン計画を普及させた。配列L12
は上に示した実験数12のプラケット・バーマン計画と同じものである。L20は実験数20の
プラケット・バーマン計画と同じものである。L配列は計画行列の要素をアダマール行列の
構成とは異なる順番で並べていることに注意する必要がある。
参考 2.1.2.1の参考を参照。
備考4. プラケット・バーマン計画は,過飽和実験(実験数よりも因子の方が多い実験)の水準設定
にも用いられている。詳細は参考文献[6]及び[7]を参照のこと。
2.3 ブロック計画 ぶろっくけいかく
block design
実験単位全体が均一な部分集合に分割できることが分かっている場合に,この均一性に関する情報を積
極的に利用する実験計画。
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備考 実験単位間の不均一性を実験計画において無視すると,観測値の変動が増加し,実験から得ら
れる情報量が減少することになる。このことを計画段階において考慮することにより,実験を
目的にかなったものにすることができる。
2.3.1 乱塊法 らんかいほう
randomized block design
P個の処理を含むn個のブロックから構成される実験計画。
P個の処理はランダム化により各ブロック内の実験単位に割り当てられる。
備考 乱塊法では,ブロック内の実験単位の方がブロック間の実験単位よりも均一になるように,実
験単位がいくつかのブロックにグループ分けされる。各ブロック内では,処理はランダムに実
験単位に割り当てられる。処理間の相対的な効果は,異なるブロック間の効果に影響されるこ
となく,効率的に推定される。
2.3.2 ラテン方格法 らてんほうかくほう
Latin square design
すべてh水準の三つの因子を含み,任意の2因子のすべての水準組合せが1回だけ現れるような大きさ
h2の実験計画。
備考1. ラテン方格法は三つの因子,すなわち,処理に関連する主要な因子とブロック効果に関連す
る2次的な二つの因子とを含む。これらの因子はいずれも同じ水準数をもつ。h2個(hは2以
上の整数)の実験単位は,2種類のブロック因子(行因子と列因子)によって分類される。主
要な因子のh水準は,各行・各列に1回だけ各水準が現れるという制約のもとに,ランダムに
h2個の実験単位に割り当てられる。したがってラテン方格法は,二つのブロック化変数(二
つの外的変動要因)を含むように乱塊法を拡張したものである。この設定において,主要な
因子の水準数はブロック因子の水準数と等しくなければならない。
三つの4×4ラテン方格を下に示す。これらはいずれも,ラテン方格法の基になる。四つの
行は一方のブロック因子の水準を与え,四つの列は他方のブロック因子の水準を与える。主
要な因子の四つの処理水準はA,B,C,Dである。
ABCD ABCD ABCD
BADC DCBA CDAB
CDAB BADC DCBA
DCBA CDAB BADC
2. ラテン方格法は一般に,その実験において興味の対象ではない2種類のブロック効果の影響
を,“バランスを取る (balancing out)”ことによって取り除くために使われる。ブロック化
(1.28)を参照せよ。2種類のブロックは,慣例的に方格の行と列とによって表される。例えば,
各行を実験日に対応させ,各列をオペレータに対応させる。主要な因子の水準数 (h) は,各
ブロック因子の水準数に等しい。ランダム化は次の手順で行う。主要な因子の水準をランダ
ムにラテン文字に割り当てる。ラテン方格の一覧表から一つをランダムに選ぶか, “Statistical
Tables” [8]に説明されている手順でラテン方格を一つ選ぶ。二つのブロック因子の水準を方格
の行と列にランダムに配置する。[ラテン方格の数は,1 (2×2) ; 12 (3×3) ; 576 (4×4) ; 161,
280 (5×5) である。このうち,1 (2×2) ; 1 (3×3) ; 4 (4×4) ; 56 (5×5) 個が“標準 (standard) ラ
テン方格”である。標準ラテン方格とは,第1行と第1列がアルファベット順に並んでいる
ものをいう。他のラテン方格は,標準ラテン方格の行と列を並べ替えることによって構成す
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Z 8101-3 : 1999 (ISO/FDIS 3534-3 : 1999)
ることができる。]
3. これらブロック因子は,互いに,また主要な因子との間に交互作用をもたないことが基本的
な前提条件である。もしこの前提条件が成り立たなければ,実験上の残差の値は増加し,因
子の効果はそのような交互作用と交絡することになる。上記の前提条件が成り立つとき,こ
の計画は特に実験の規模を最小化することに有効である。ときには,ブロック因子の代わり
に他の主要な因子を用いて,三つの主要な因子を取り上げる場合もある。これは,交互作用
がないという前提条件のもとでの,一部実施要因実験と同値である。一部実施要因実験の計
画にはラテン方格法を構成するものがある。交互作用に関する前提条件をより完全に理解す
るためには,一部実施要因実験の観点からこの問題に接近する方が望ましい。
参考 因子の水準数をそろえるために同じ水準を他の水準名でも重複して用いる時,それを擬水準と
いう。擬水準を用いた実験では,解析法に工夫を要する。
2.3.3 グレコラテン方格法 ぐれこらてんほうかくほう
Graeco−Latin square design
すべてh水準の四つの因子を含み,任意の2因子のすべての水準組合せが1回だけ現れるような大きさ
h2の実験計画。
備考1. グレコラテン方格法は四つの因子を含む。h2個(hは3以上の整数)の実験単位は,h水準を
もつ3種類のブロック因子(例えば,行因子,列因子,ギリシャ文字)によって分類される。
主要な因子のh水準は,ランダムにh2個の実験単位に割り当てられる。
ただし,各処理水準は,各行・各列に1回だけ現れるとともに,各ギリシャ文字とも1回
だけ一緒に現れなければならない。
2. 二つのラテン方格は,一方の方格の各ラテン文字が,他方の方格の各ラテン文字と1回だけ
同時に現れるとき,直交しているといわれる。二つの直交するラテン方格法を組み合わせて
グレコラテン方格法を構成することができる。
3. グレコラテン方格法は,主要な因子の水準数と同じ水準数をもつ三つのブロック化変数を取
り上げることができる。
例 4×4グレコラテン方格法の一例は次のとおりである。
A 愀 B 戀 C 最 D
B A 最 D 戀 C 愀
C 戀 D 愀 A B 最
D 最 C B 愀 A 戀
因子1は行,因子2は列で与えられる。因子3はギリシャ文字で表される。主要な因子(第4
の因子)はラテン文字で表されている。
参考 互いに直交する3個以上のラテン方格を組み合わせた計画を超方格 (hyper square) という。
2.3.4 不完備型ブロック計画 ふかんびがたぶろっくけいかく
incomplete block design
実験単位をいくつかのブロックに分割するけれども,各ブロックで処理の完全な一組を実施することが
できないような実験計画。
備考 実際,乱塊法(2.3.1)は,各ブロックにおいてすべての処理を実施するのに十分な数の実験単位
が用いられることを強調して,“完備型ブロック計画 (complete block design)”と考えることが
できる。
――――― [JIS Z 8101-3 pdf 20] ―――――
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JIS Z 8101-3:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/FDIS 3534-3:1999(IDT)
JIS Z 8101-3:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学(用語集)