JIS Z 8108:1984 音響用語(録音・再生)

JIS Z 8108:1984 規格概要

この規格 Z8108は、音響の録音及び再生に関する用語について規定。

JISZ8108 規格全文情報

規格番号
JIS Z8108 
規格名称
音響用語(録音・再生)
規格名称英語訳
Glossary of acoustical terms (sound recording and sound reproducing)
制定年月日
1965年3月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

01.040.17, 17.140.01
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1965-03-01 制定日, 1968-03-01 確認日, 1971-07-01 確認日, 1976-03-01 改正日, 1979-03-01 確認日, 1984-12-01 改正日, 1990-02-01 確認日, 1995-07-01 確認日, 2002-06-20 確認日, 2007-05-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS Z 8108:1984 PDF [12]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8108-1984

音響用語(録音・再生)

Glossary of Acoustical Terms (Sound Recording and Sound Reproducing)

1. 適用範囲 この規格は,音響の録音及び再生に関する主な用語について規定する。
2. 用語及び意味 用語及び意味は,次のとおりとする。
なお,参考として対応英語を示す。
備考1. 二つ以上の用語を並べた場合は,その順序に従って優先使用する。用語に角括弧を付けた部
分は,省いてもよい。
2. 用語の読みが紛らわしいものについては,用語の下に括弧書きで読みを示す。
3. 用語の意味の中に太字で示された用語は,この規格に集録されているものである。
番号 用語 意味 対応英語(参考)
3001 録音 sound recording
音の信号を再生することを目的として,録音
媒体の状態又は形状を入力信号に対応するよ
うに変化させて記録すること。
3002 再生 録音媒体に記録した音の信号を取り出すこsound reproduction
と。
3003 モノ録音 monophonic recording
一つの録音媒体に,単一のチャネルの録音を
すること。
3004 ステレオ録音 stereophonic recording
立体音再生を目的として,一つの録音媒体に
複数のチャネルの録音をすること。
3005 マルチトラック録音 multi-track recording
テープの長さ方向に平行して複数のトラック
を設ける録音。
備考 隣接するトラックの録音方向が反
対であってもよい。
3006 マルチチャネル録音 multi-channel recording
複数のチャネルを同時に用いる録音。通常,3
チャネル以上のものをいう。
3007 同期録音 synchronized recording
映像又はあるチャネルの音に同期させて,他
のチャネルに音を録音すること。
3008 ダビング dubbing
録音された二つ以上の信号を組み合わせて再
録音することによって,合成した録音を得る
こと。
3009 複製 duplicating,
録音されている信号のすべて,又は一部を1
個又は複数個の他の録音媒体に移す操作。copying
3010 録音ヘッド recording head
電気信号を録音媒体の状態の変化に変える変
換器。
3011 再生ヘッド reproducing head
録音媒体の状態の変化を電気信号に変える変
換器。

――――― [JIS Z 8108 pdf 1] ―――――

2
Z 8108-1984
番号 用語 意味 対応英語(参考)
3012 等化 equalization
録音系又は再生系に存在する特性変化を補償
(とうか) する目的で,系の振幅又は位相の周波数特性
に変更を加えること。
3013 プリエンファシス pre-emphasis,
録音に際して,録音される信号の振幅又は位
相の周波数特性に強調を加えること。 pre-equalization
3014 デエンファシス de-emphasis,
再生に際して,プリエンファシスされた信号
post-emphasis
の振幅又は位相の周波数特性を元の特性に復
元する操作。
3015 録音特性 recording cbaracteristics
各周波数について一定の入力を録音系に加え
たとき,録音媒体上に現れる形状又は状態の
変化量の周波数に対する特性。
3016 再生特性 reproducing characteristics,
録音媒体の形状又は状態の変化量によって生
じる再生系の周波数特性。 playback characteristics
3017 基準レベル reference leve1
録音媒体の再生出力が飽和しないように,目
安として定めたレベル。例えば,ディスクレ
コードでは速度振幅,磁気録音テープでは磁
束で示す。
3018 変調雑音 modulation noise
磁気録音で,信号を録音することによって発
生する雑音成分のうち,高調波及び混変調成
分以外の成分。
3019 チャネルセパレーションある回路の出力端における基準出力レベルchannel separation
と,基準出力レベルにおいて動作している別
の回路から,その回路に混入する不要成分と
の,出力端におけるレベル差。
備考 基準出力レベルとは,基準レベル
で録音された信号を,再生装置か
らの出力が,飽和しないように,
とりだすためのめやすとして,定
めたレベルをいう。
3020 漏話, ある回路の出力端における基準出力レベルcross talk
クロストーク と,基準出力レベルにおいて動作している別
の回路に漏れる信号出力成分との,両出力端
におけるレベル差。
3021 ワウ wow
録音,再生の過程で再生信号に生じた周波数
の変動のうち,その変動の周波数が10Hz以
下のもの。
3022 フラッタ flutter
録音,再生の過程で,再生信号に生じた周波
数の変動のうち,その変動の周波数が10Hz
を超えるもの。
3023 ドリフト drift
録音再生系における録音媒体送り機構の,規
定された動作速度からの緩慢な変動及び偏
差。
3024 ノイズリダクション noise reduction
録音,再生の過程で,録音媒体から発生する
雑音を減じる操作。
3025 標本化 sampling
連続的に変化する信号(アナログ信号)から,
あらかじめ設定した時刻ごとに瞬時の値を取
り出す操作。通常は一定時間間隔ごとに行う。
3026 標本化周波数 1秒間当たりの標本化の回数。 sampling frequency
3027 量子化 quantization
標本化した信号の値を,ある単位量を基本と
する離散的な値(整数値)に変換する操作。

――――― [JIS Z 8108 pdf 2] ―――――

                                                                                              3
Z 8108-1984
番号 用語 意味 対応英語(参考)
3028 量子化雑音 quantization noise
量子化された波形の,原波形に対する誤差に
よって生じる雑音。
3029 ビット bit
情報量の単位で,一つの2進数字のけたを表
す。
備考 バイナリディジット (binary digit)
を縮めたもの。
3030 符号 量子化した値を整数値の組合せで表したもcode
の。
3031 ワード 符号の組合せによって作った情報。 word
備考 一般的に2進数で表現する。
3032 符号化 量子化した値を符号にする操作。 encode
3033 パルス符号変調方式, pulse code modulation
音の信号を符号化し,パルスの形の電気信号
PCM に変換すること。
3034 冗長符号 redundant code
符号誤り検出や誤り訂正などの目的で,本来
(じょうちょうふごう)の音の符号に余分に付加する符号。
3035 ビット誤り bit error
符号を構成するビットが,伝送,再生などの
過程で損傷を受け,元のビットの値と異なっ
たものとなること。
3036 符号誤り code error
伝送や再生の過程でビット誤りが発生し,元
の符号と異なった符号となること。
3037 バースト誤り 2個以上の符号に連続して誤りが生じるこ burst error
と。
3038 ワード誤り率 word error rate
単位時間内で誤ったワードの数と,その時間
内で取り扱ったワードの全数との比。
3039 ビット誤り率 bit error rate
単位時間内で誤ったビットの数と,その時間
内で取り扱ったビットの全数との比。
3040 符号誤り検出 code error detecting
符号化された信号の誤りの有無を検出する操
作。
3041 誤り訂正 error correcting
符号化された信号の誤りを正しい値に復元す
る操作。
3042 誤り補正 error concealment
符号化された信号の誤りを,正しい値に近似
させる操作。
3043 [誤り]検査符号 符号化された信号以外に用いる冗長符号のcbeck code
うち,誤りの検出に用いる符号。
3044 誤り訂正符号 error correcting code
誤り訂正を目的として構成された冗長符号。
誤り検出を行う。
3045 インターリーブ interleave
記録する符号(誤り訂正符号,誤り検査符号
などを含む。)の順序を,定められた規則に従
って入れ替える操作。
3046 ミューティング muting
出力を瞬時に零又は低いレベルに減衰させる
操作又は機構。
3047 ディザー dither
量子化雑音を聴感的に目立たなくするため,
量子化する前の信号にあらかじめ加える雑
音。
3048 レコード 信号を記録した録音媒体の総称。 record
3049 ディスクレコード 円盤に信号を記録したレコード。 disk record
3050 テープレコード 磁気録音テープに信号を記録したレコード。 tape record, recorded tape
3051 テストレコード, レコードプレーヤの試験又は測定に用いるtest record
テストディスク ディスクレコード。通常,周波数特性測定用
などの名称を付けて用途を区別する。

――――― [JIS Z 8108 pdf 3] ―――――

4
Z 8108-1984
番号 用語 意味 対応英語(参考)
3052 テストテープ テープレコーダの試験又は測定に用いるテtest tape
ープレコード。
3053 円盤録音,ディスク録音円盤状の録音媒体に,機械的に録音すること。 disk recording
3054 円盤録音機, 円盤録音を行う装置。 disk recorder
ディスク録音機
3055 速度振幅 recorded velocity
カッター針先が正弦運動をしている場合の1
正弦周期の中の最大速度。ディスクレコード
の録音レベルを表す尺度として用いる。
備考 単位記号はcm/s
3056 横波録音 lateral recording
溝の変調振動の方向が,録音媒体の進行方向
(よこなみろくおん) に対して直角で,かつ録音媒体の表面に対し
て平行となる円盤録音。
3057 高低録音 vertical recording,
溝の変調振動の方向が,録音媒体の表面に対
(こうていろくおん) して垂直となる円盤録音。 hill and dale recording
3058 定振幅録音 constant amplitude recording
溝の振幅と入力正弦波信号の振幅との比が,
周波数に無関係に一定であるような特性をも
つ円盤録音。
3059 定速度録音 constant velocity recording
溝の振幅と入力正弦波信号の振幅との比が,
周波数の変化に逆比例するような特性をもつ
円盤録音。
3060 垂直録音角 vertical modulation angle,
カッター針の縦の振動方向が,ラッカー盤の
垂線に対してなす角。 cutting angle
3061 カッターヘッド cutter head,
電気信号を加えて,カッター針を駆動し,ラ
mechanical recording head
ッカー盤を切削することによってこれに溝を
形成する録音ヘッド。
3062 カッター針, ラッカー盤に溝を切削するために用いる針。 cutting stylus,
(かったーばり), recording stylus
録音針
(ろくおんばり)
3063 ラッカー盤 円盤録音に用いる円盤状の録音媒体。 lacquer disk

――――― [JIS Z 8108 pdf 4] ―――――

                                                                                              5
Z 8108-1984
番号 用語 意味 対応英語(参考)
3064 溝 groove
ディスクレコードの表面に刻まれた,変調又
(みぞ) は無変調のV字形断面の溝。
3065 録音溝 ディスクレコードで,変調された溝。 modulated groove
(ろくおんみぞ)
3066 溝幅 groove width
ディスクレコードで,半径方向にみたディス
(みぞはば) ク表面の溝の幅。
3067 無音溝 ディスクレコードで,無変調の溝。 plain groove,
(むおんみぞ) blank groove
3068 導入溝 ディスクレコードの外周から始まるピッチlead-in groove
(どうにゅうみぞ) の大きい無音溝。
3069 送り溝 ディスクレコードの録音部分を区別するたlead-over groove
(おくりみぞ) め,ピッチを大きくした溝。
3070 導出溝 ディスクレコードの最終溝につながるピッlead-out groove
(どうしゅつみぞ) チの大きい無音溝。
3071 最終溝 ディスクレコードの導出溝に続く円形の無finishing groove
(さいしゅうみぞ) 音溝。
3072 マーカースペース marker space,
ディスクレコードで,送り溝のある環状の空
白部分。 band blank
3073 内抱角 included angle,
ディスクレコードの溝壁面が対向する角度。
(ないほうかく) groove angle
3074 溝底半径 ディスクレコードで,溝の底の曲率半径。bottom radius
(みぞそこはんけい)
3075 ラッカー原盤, lacquer origina1,
ディスクレコード製造過程で,最初に音の信
ラッカーマスタ 号を切削したラッカー盤。 lacquer master
3076 ディジタルオーディオデ音の信号を符号に変換して記録したディスdigital audio disc
ィスク, クレコード。
DAD
3077 一定角速度録音, constant angular velocity
円盤状記録媒体に回転数一定で情報を記録す
CAV ること。 recording

――――― [JIS Z 8108 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS Z 8108:1984の国際規格 ICS 分類一覧