この規格ページの目次
4
Z 8150 : 2017
れる。
これらの活動は,企画,開発,設計,製造,建設,提供,販売,運用など,事業者の業態に応じて既存
の事業プロセスのどこに組み込んで実施しても構わないが,相互に関連ある活動であるため,附属書Bを
参照し,漏れなく組み込むことが望ましい。実施に当たっては,後日,検証可能な方法で,管理,運営さ
れることが望ましい。また,これらの活動は,繰り返し実施し,継続的な業務改善(スパイラルアップ,
spiral up)を図ることが望ましい。
a) 事故情報の確認及び対処
b) 設計・開発の評価又は検証及び改善
c) 利用者への情報の伝達
d) 事故情報及びユーザーニーズの蓄積並びに活用
5.2 事故情報の確認及び対処
この活動では,次のことを実施する。
a) 当該製品に関連して自社に寄せられた事故情報を蓄積し,確認しなければならない。
b) 当該製品に関連する過去の子どもの事故情報を検索し,確認することが望ましい。
c) 事故情報の検索に当たっては,附属書Cに記載したような子どもの事故関連の資料を,それぞれの特
徴(登録項目,登録件数,更新頻度など)に留意して,複数参照することが望ましい。
d) 当該製品に関連する子どもの事故情報がない場合でも,事故が存在していないとは限らないため,附
属書Cに記載したような子どもの事故関連の各種情報から,同種の機能又は構造をもった製品など,
事故の発生を類推可能な事故情報を抽出して,製品が使われる環境,子どもとの関連性,事故発生の
可能性及び監督の度合いを検証することが望ましい。
e) 子どもの特性に起因する事故には共通する傾向がある。これを理解し考慮してリスクアセスメントを
実施することが望ましい。子どもの特性に起因する事故の特徴の理解については箇条4を,リスクア
セスメントについては箇条6を参照するとよい。
f) 事故防止のための対処方法の検討に当たっては,附属書Dに記載するようなデータ及び知見を参照す
ることが有効である。
5.3 設計・開発の評価又は検証及び改善
この活動では,次のことを実施する。
a) 設計・開発の評価又は検証は,関係者を明確にし,実施されなければならない。
b) 設計・開発の評価又は検証は,図面又は試作品などで行う。
c) 評価又は検証の結果が,子どもの重篤な事故を回避する設計に適合しない場合には,改善する。
d) 改善に当たっては,危害の軽減及び防止の対策を実施する。危害の軽減及び防止の対策については箇
条7を参照するとよい。
e) 改善は,許容可能なリスクが達成されるまで行う。
f) 利用者が使用を開始する前までに,改善の妥当性を確認することが望ましい。
5.4 利用者への情報の伝達
この活動では,次のことを実施する。
a) 利用者が,製品を正しく使用できるドキュメントを作成して,情報を伝達しなければならない。
b) 製品が子ども向けの場合には,子ども向け及びケアラー向けのドキュメントを作成することが望まし
い。製品が子ども向けでない場合には,大人向けに,子どもの安全が確保されるような使用のための
ドキュメントを作成することが望ましい。また,遊具などのように,設置,運用,管理する人と実際
――――― [JIS Z 8150 pdf 6] ―――――
5
Z 8150 : 2017
に使う人が異なる製品の場合には,設置,運用,管理する人向けのドキュメントに,実際に使う人に
伝達すべき情報を明記することが望ましい。
c) ドキュメントの内容は,正しい使用方法だけでなく,誤った使用方法によるリスクも併記することが
望ましい。
d) ドキュメントは,ピクトグラム又は図式も併用することが望ましい。
e) 情報の伝達に当たっては,ウェブ(World Wide Web)又はソーシャルメディア(social media)などを
活用することも有効である。
5.5 事故情報及びユーザーニーズの蓄積並びに活用
この活動では,次のことを実施する。
a) 販売又は提供後に,当該製品の子どもに関する事故情報を利用者から受け付ける連絡窓口を明確にし
なければならない。
b) 利用者から寄せられる事故情報は継続して蓄積しなければならない。
c) 組織における体制を整備し,関係者がその内容を照会・活用できる仕組みを整備するとよい。
d) 蓄積された事故情報については,事故の原因を分析し再発防止を検討する仕組みを整備するとよい。
6 リスクアセスメント
6.1 一般
子どもの安全性確保のための製品の設計・開発におけるリスクアセスメントでは,設計者は次のことを
実施するとよい。
a) 意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用の同定
b) ハザードの同定
c) リスクの見積り
d) リスクの評価
a) からc) までをリスク分析という。図1に,“リスクアセスメント”及び“危害の軽減及び防止の対策
(箇条7参照)”の手順を示す。
――――― [JIS Z 8150 pdf 7] ―――――
6
Z 8150 : 2017
スタート
意図する使用及び合理的に予見
許容可能なリスク可能な誤使用の同定
リ リ
がリスク低減によ ス ス
ク ク
って達成できない 分 ア
ハザード同定
場合だけ関係する 析 セ
ス
アクション メ
リスクの見積り ン
ト
リスクの評価
リスクは はい
許容可能か
いいえ
リスク低減
危
害
の
リスクの見積り 軽
減
及
び
リスクの評価 防
止
の
対
いいえ 策
残留リスクは
許容可能か
はい
妥当性確認 及び 文書化
完了
図1−“リスクアセスメント”及び“危害の軽減及び防止の対策”
6.2 意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用の同定
子どもの心身は,乳幼児期(0歳2歳)から低年齢の子ども(3歳8歳),高年齢の子ども(9歳14
歳未満)まで段階を追って発達する。乳幼児期(0歳2歳)及び低年齢の子ども(3歳8歳)の安全を
考えた場合,子どもと製品との関わりに誤使用という概念は存在しない。こうした年齢の子どもの行動は,
意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用として同定することは困難である。附属書Dに記載するよう
なデータ及び知見から想定される行動は,全てあり得るものと考える方がよい。
製品を利用するための知識及び生活の中で危険を予知し回避する感性には,人によって差がある。また,
これらは,時流及び同時期に提供されている製品の影響も受けて,絶えず変化する。ケアラーの使用及び
誤使用の同定に当たっては,最新の社会状況及び他の製品の状況を考慮することが望ましい。
6.3 ハザードの同定
次の視点でハザードの可能性を検討するとよい。
――――― [JIS Z 8150 pdf 8] ―――――
7
Z 8150 : 2017
6.3.1 製品の構造及び機能に起因するハザード
製品の構造及び機能にハザードとなる要因が見出された場合,傷害の対象は子どもに限らないことが多
い。このケースでは,ハザードを排除するか又はハザードに対して防護する措置を講じなければならない。
6.3.2 子どもを利用者と想定した製品の使い方に起因するハザード
遊具,玩具など子どもが利用者と想定される製品が,想定された使い方以外の使い方によって事故を引
き起こすことがある。子どもの体形,生理,体力,認識力などの発達は急速かつ個体差もあり,必ずしも
年齢によるものだけではないことを想定することが望ましい。これは,その製品が想定する発達段階以外
の子どもが使うケースも含まれる。
6.3.3 子どもを利用者と想定していない製品の使い方に起因するハザード
子どもの事故の事例の多くがこれに当たる。多くの大人用又は幅広い年齢層を対象とした製品が,子ど
もの探索行動,認識力の未熟さ,運動制御力の未熟さによって,ハザードになり得ることを認識しなけれ
ばならない。子どもと製品との関わり合いは,それが“みなし遊び”のような行動に起因するものなのか,
意図した使用なのかを判断することは困難である。これらを区別することなく,推測することが望ましい。
6.3.4 設置,保管,運用などの環境に起因するハザード
製品はそれが設置,保管,運用される環境によって,ハザードとなり得る。製品が消費者に届いた後,
それがどのように設置され,保管され,使われるかを考慮し,子どもがどのような状況で接触するかを推
測することが望ましい。
6.4 リスクの見積り
ハザード同定の後,リスクの要素(図2参照)を決定することによって,それぞれの危険状態に対して,
リスクを見積もる。それぞれの危険状態に関するリスクは,危害の度合いとその危害の発生確率との関数
で見積もることができる。
リスク は 危害の度合い 及び その危害の発生確率 の関数
検討されたハ 検討されたハザ ハザードへの暴露
ザードに関す ードから生じる 危険事象の発生
るリスク 危害の度合い 危害の回避又は制限の可能性
図2−リスクの要素
6.4.1 危害の度合い
危害の度合いは,次のような項目で見積りを行う。
a) 軽度
b) 重度
c) 死亡
6.4.2 ハザードへの暴露
ハザードへの暴露は,次のような項目で見積りを行う。
a) 接触及び接近の可能性
b) 接触及び接近の頻度
c) 接触及び接近状態での経過時間
6.4.3 危険事象の発生
危険事象の発生は,次のような項目で見積りを行う。
a) 当該製品による事故履歴
――――― [JIS Z 8150 pdf 9] ―――――
8
Z 8150 : 2017
b) ケアラーによるヒヤリハット報告
c) 他の類似の製品とのリスク比較
6.4.4 危害の回避又は制限の可能性
危害の回避又は制限の可能性は,次のような項目で見積りを行う。
a) 危険源に暴露される人
1) 乳児(生後1年未満)
2) 幼児(1歳2歳)
3) 低年齢の子ども(3歳8歳)
4) 高年齢の子ども(9歳14歳未満)
b) リスクの認知
1) 使用上の情報
2) 警告表示
3) 直接観察
c) 経験及び知識
1) 当該製品について
2) 類似の製品について
3) 経験なし
d) ケアラーによる危害の回避又は制限の可能性
6.5 リスクの評価
リスク見積りの後,リスク低減が必要かどうかを決定するため,リスク評価を実施する。評価に当たっ
ては,子どもは大人に比べてぜい弱なため深刻な危害を受けやすいことを考慮する。
リスク低減が必要な場合には,危害の軽減及び防止の対策の手順を反復し,達成させる。
7 危害の軽減及び防止の対策
7.1 一般
リスク低減のためには,危害の軽減及び防止の対策を行う。危害の軽減及び防止の対策は,スリーステ
ップメソッドを適用し,次の手順で実施する(図3参照)。具体的な対策事例については,附属書Eを参
照するとよい。
7.2 ステップ1 : 本質的安全設計
ハザードを除去する,又は設計上の工夫によってリスクを低減する。子どもの場合,ガード及び追加の
安全防護は,叩く,投げるなどの行動によって,取り外されたり無効にされたりする場合がある。また,
使用上の情報は,的確に伝わらず,守られない場合が多い。そのため,本質的安全設計は最も重要なステ
ップである。対策に当たっては,子どもの身体寸法・特性情報を参照するとよい。
7.3 ステップ2 : ガード及び保護装置
7.2の本質的安全設計がハザードを除去することも,リスクを十分に低減させることもできない場合には,
子どもに対する,ガード及び保護装置を講じて,リスクを低減する。
7.4 ステップ3 : 使用上の情報
使用上の情報として,子ども向けには,子どもの成長発達の度合いに応じた注意喚起又は教育につなが
る情報提供を行う。
また,ケアラー向けには,その職種又はその立場に応じた取扱い説明及び注意喚起,又は指導・教育が
――――― [JIS Z 8150 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS Z 8150:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 97 : 家庭用及び商業用設備.娯楽.スポーツ > 97.190 : 小児用設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.120 : 家庭内の安全
JIS Z 8150:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8050:2016
- 安全側面―規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針
- JISZ8051:2015
- 安全側面―規格への導入指針