JIS Z 8150:2017 子どもの安全性―設計・開発のための一般原則 | ページ 3

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行えるような情報提供を行う。

7.5 残留リスクへの方策

  使用上の情報を提供しても,子どもには的確に伝わらない場合が多い。子どもの場合にはステップ3で
は,ほとんどリスクは低減しないと考えるのがよい。ステップ1及びステップ2を確実に実施し,残留リ
スクを可能な限り,減らすことが望ましい。

7.6 使用段階のリスク低減

  当該製品の機能及び特徴から,使用段階でなければリスクを十分に低減できない場合がある。その場合,
ケアラーは,子どもに必要な個人用保護具を装着させて利用するなど,事業者から提供された情報に沿っ
て,リスクの低減を行う役割を果たす。
リスク
許容不可能なリスク
・ステップ1 : 本質的安全設計
・ステップ2 : ガード及び保護装置
設計段階 ・ステップ3 : 使用上の情報
・子どもの成長発達の度合いに応じた
− 注意喚起
− 教育につながる情報提供
・ケアラー向けに職種又は立場に応じた
− 取扱い説明
− 注意喚起 事業者によって
− 指導・教育が行えるような
対策を図った後
情報提供
の残留リスク
残留リスク(設計後に残っているリスク)a)
使用段階のリスク低減
使用段階 − 指導・教育
− 個人用保護具
全ての対策を行
った後の残留リ
スク
注a) 一例として顧客に供給した製品若しくはシステムに,又はそれらを据え付けた後の構造的特徴に,
残っているリスクがある。
図3−設計段階及び使用段階における危害の軽減及び防止の対策

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附属書A
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(参考)
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複合要因による事故事例
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A.1 複合要因による事故事例
製品どうしの組合せ,製品と使用環境との又は製品と子どもの特性などとの複合要因による事故事例を表A.1に示す。
表A.1−複合要因による事故事例
事故の概要 子どもの 発生年月 関連した製品, 複合要因 出典
年齢・性別 場所,人
1 2歳男児
パソコンデスクの棚の上の箱に入れていた父親の薬を 2014年8月 薬,箱(踏み台) 箱を踏み台にしてパソコ製品×環境× A
取り出し,誤飲した。10錠入りのシートのうち9錠が ンデスクによじ登り,手発達及び行動
なくなっていた。床にある箱を踏み台にしてパソコンデ の届かない場所にある薬
スク(高さ80 cm)によじ登り,高さ140 cmの棚に手 を取り出し飲んだ
が届いたようだ。医療機関で胃洗浄を実施。
2 8歳
お湯を沸かしていた電気ケトルのコードを足に引っ掛 2011年8月 電気ケトル,コード 電気ケトルのコードに引製品×附属品 B-1
けて,電気ケトルが落下した。こぼれたお湯で熱傷を負 っ掛かり,台の上から電
った。(胸,背の熱傷 軽症) 気ケトルが落下し熱湯が
かかる
3 0歳
電気ケトルを床に置いて使用していた。乳児がはいはい 2011年11月 電気ケトル,床置き 電気ケトルを床で使用 製品×環境 B-1
をして電気ケトルに触れて倒したようだ。家族が乳児の 中,はいはいで倒し熱湯
泣き声に気付いて見ると,乳児の体に電気ケトルのお湯 がかかる
がかかっていた。(顔,胸の熱傷 中等症)
4 4歳男児
親が洗面所で洗濯中,別室にいた子供が吐き,泣き出し 2014年6月 パックタイプ洗剤 新形(パックタイプ)の製品×発達及 B-2
た。洗濯機の横60 cmの高さに置いてあった洗剤をかじ 洗濯用洗剤をかじり,フび行動×社会
ってしまった様子。すぐに吐き出させて口をゆすいだ ィルムが破れ,飲み込ん的・環境的要因
が,口が痛いという。 だ
5 引き出しの中に収納されているはずのLEDライト付き1歳男児 2013年11月 電池(コイン型), 引き出しの中からLED 製品×発達及 C
耳かきが放り出されており,子どもがコイン型のリチウ (受付年月)LEDライト付き耳 ライト付き耳かきを取りび行動
ム電池を誤飲したことが分かった。病院にて9時間かけ かき 出した上,耳かきの中か
て取り出したが,放電の影響で気管と食道に穴が開き, らコイン型電池を外して
2カ月入院した。 飲み込んだ

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表A.1−複合要因による事故事例(続き)
事故の概要 子どもの 発生年月 関連した製品, 複合要因 出典
年齢・性別 場所,人
6 1歳男児
タイマーのふたを取って遊んでいるのを母親が発見。中 2013年8月 電池(ボタン),タ タイマーの中からボタン製品×発達及 C
にあるはずのボタン電池が見当たらず受診。腹部レント イマー 電池を外して飲み込んだび行動
ゲンで胃にボタン電池を確認したため,マグネットカテ
ーテルにて摘出。ボタン電池は黒色に変色していた。
7 5歳
子供がトイレ内でエアゾール缶(消臭剤)を使用したと 2011年7月 空気清浄機,エアゾ 狭い空間で大量の消臭剤製品×環境× D
ころ,火災が発生し,火傷を負った。トイレ内には一度 ール缶(消臭剤) を噴射,長期間清掃して発達及び行動
も清掃していない空気清浄機(静電気式)が設置されて いない空気清浄機の静電
いた。当該製品内部には多量のホコリが付着しており, 気の火花がLPガスに引
その状態で使用を続けると放電光が発生するような状 火した
況であった。使用者が狭い空間内で消臭剤を大量に噴射
したため,空気清浄機の静電気による火花が,消臭剤に
噴射剤として含まれているLPガスに引火し,火災に至
ったものと推定される。
8 1歳
幼児がウォーターサーバーの温水レバーを操作したと 2013年7月 ウォーターサーバ 1歳児でも手の届く高さ 製品(不具合) E
ころ,チャイルドロック機能が効かず,お湯が出て火傷 ー,チャイルドロッ に温水レバーが設置され×環境×発達
を負った。構造上の問題からチャイルドロックボタンの クの不具合 ていて,チャイルドロッ及び行動
カバーが温水コックのカバーに干渉したため,チャイル クにも不具合があった
ドロックボタンが押された状態から戻らなくなり,その
状態で幼児が温水レバーに触れて出湯し,火傷を負った
ものと推定される。
9 4か月男児
児を抱っこ紐に対面で固定している状態で,券売機にて 2013年3月 抱っこひも,コンク 前かがみの姿勢になった製品×環境 F
券を購入しようと7080 cm程度の高さの台にカバン リート地面,ケアラ とき,子どもが抱っこひ×ケアラーの
を置いた。カバンから財布を出そうと少し前かがみにな ー もの脇から滑り,コンク行為,行動
ったときに抱っこ紐の右脇から児が滑るように頭部を リート地面に転落
先進部にしてコンクリートの地面に転落してしまった。
抱っこ紐のベルトはすべて閉めていた。外傷性くも膜下
出血。
9か月男児
10 抱っこひもを装着して前抱きしていた。ひもは腰だけつ 2014年8月 抱っこひも,フロー 前抱きから,おんぶに変製品×環境 G
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けた状態で上体はフリーであった。母親がおんぶに変え リング,ケアラー えようとした際,子ども×ケアラーの
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ようとした際に,くるっと背中側に回そうとしたとこ がのけぞりフローリング行為,行動
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ろ,子どもがのけぞり,そのまま頭から転落。床はフロ の床に転落
0 1
ーリング。右頭頂骨骨折あり。
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表A.1−複合要因による事故事例(続き)
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事故の概要 子どもの 発生年月 関連した製品, 複合要因 出典
0 : 2
年齢・性別 場所,人
0 1
4歳男児
11 子どもが歯ブラシを持ってソファで遊んでいた。ボンと 2012年1月 歯ブラシ,ソファ 歯ブラシを持って遊んで製品×製品× G
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いう音で気付いて母親が振り向くと,うつぶせで啼泣。 いるときにソファから転発達及び行動
ひっくり返すと口の中に歯ブラシが刺さったままだっ 落,歯ブラシが口腔内に
た。母親が引き抜こうとしても抵抗あり,引き抜けなか 刺さった
った。2-3回強くひっぱり,ようやく引き抜いた。毛側
の先端約2.5 cmが折れた状態だった。口から出血して
いた。すぐに近所の小児科受診。異物の残存なく経過観
察の方針。心配なので本日近所の耳鼻科受診。頭部CT
で歯ブラシ先端の残存あり,当院紹介受診。
5か月女児
12 入浴後に洗濯機(110 cm)の上に座布団をひいて児を寝 2010年2月 洗濯機,年上の兄 親が入浴後着替えのため製品×環境 G
かせて着替え中,上の子がお風呂にはいると脱ぎだした 弟,ケアラー 幼児を洗濯機の上に寝か×ケアラーの
のでその準備に児の側を離れた。ごごんと鈍い音がして せていたところ,転落 行為,行動
母が見たときには児は床(フローリング)に転落してい
た。左顔面部にすじ様の発赤あり口から出血あり。救急
車要請。本日は,父が胃腸炎の症状があり休んでいたの
で,母一人で2人の子どもを見ていた。脱衣所の床は冷
たそうなので,通常,洗濯機の上で更衣を行っていた。
児はまだ寝返りしないが,背中を反らせて落ちたと思わ
れる。
3歳女児
13 自宅のリビングで。児,弟(1歳),母,祖父母がいた。 2014年7月 コンセント,ヘアピ ワゴンの上のコンセント製品×製品× G
突然“ボンッ!”という何かが爆発したような音が聞こ ン に,戸棚から取り出した発達及び行動
えてきて,児を見ると大泣きして手の指に黒いススが付 ヘアピンを差し込んだ
いていた。児に聞くとヘアピンをコンセントに差し込ん
だとのこと。黒いヘアピン(ユーピン)は,前日児が浴
衣を着た際に使用したもので,リビングの戸棚に置いて
いたもの。児が戸棚から持ち出して,ワゴンのコンセン
ト(高さ100 cmくらい)に差し込んでしまったようす。
ダイニングテーブルの椅子に乗って手が届いた,と。ワ
ゴンのコンセントは炊飯器などで使用する。このときは
2つ空いていた。

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表A.1−複合要因による事故事例(続き)
出典凡例(事故の概要,子どもの年齢・性別,発生年月の3項目について,次の出典元から引用した。)
A : 消費者庁 News Release 子どもによる医薬品の誤飲事故に注意!(2014年12月19日)
B : 消費者庁/独立行政法人国民生活センター
B-1 : News Release 電気ケトルの転倒等による乳幼児の熱傷事故にご注意ください(2012年11月28日)
B-2 : News Release 洗濯用パック型液体洗剤に気を付けて!(2015年3月18日)
C : 独立行政法人国民生活センター 報道発表資料 ボタン電池を使用した商品に注意(2014年10月30日)
D : 独立行政法人製品評価技術基盤機構 事故情報データベース(掲載した事故事例は左記で検索した情報を一部編集したもの)
E : 経済産業省/消費者庁 製品安全ガイド“事故情報検索”(掲載した事故事例は左記で検索した情報を一部編集したもの)
F : 公益社団法人日本小児科学会 Injury Alert(傷害速報)No.41
G : 国立研究開発法人産業技術総合研究所/特定非営利活動法人キッズデザイン協議会 キッズデザインデータベース
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JIS Z 8150:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8150:2017の関連規格と引用規格一覧