JIS Z 8402-6:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方 | ページ 3

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Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
図3 2個の測定結果から始め,測定結果が高価であるとき,併行条件で得られた測定結果の採択性のチ
ェック方法 : 5.2.2.2b) の場合
5.2.4 Bの場合の例 : 高価な化学分析
高価な測定は化学分析にしばしば見られ,複雑で時間のかかる手順から構成され,1回の分析に2,3日
又はそれ以上を要する場合がこれにあたる。このような場合には,最初の分析で技術的に疑わしいデータ
や外れ値が出たとき,再分析を行うのは面倒で費用がかかる。したがって,ふつう最初から併行条件で3,
4個の測定結果を得て,Bの場合に従って最終報告値を求める。図5参照。
例えば,乾式試金法による鉱石中の金及び銀の定量にはいくつかの方法があるが,それらのすべてが高
価な特殊設備,熟練したオペレータ及び長い分析時間を必要とする。その全プロセスを完了するためには,
ふつう約2日間,鉱石が白金族金属や他の特殊な共存元素を含むならば,それ以上の時間が必要になる。
銅濃縮物について併行条件で金含有量として,次の測定結果を得た。
Au (g/t) : 11.0 11.0 10.8 10.5
これらの測定結果を,方法Bに従って処理する。
金及び銀の定量方法は,国際規格としては確立されていない。この金の定量で

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0.12 (g/t)
図4 n個の測定結果から始め,測定結果が安価であるとき,併行条件で得られた測定結果の採択性のチ
ェック方法 : Aの場合
図5 n個の測定結果から始め,測定結果が高価であるとき,併行条件で得られた測定結果の採択性のチ
ェック方法 : Bの場合
とすれば,表1から,f (4) =3.6であるから
CR0.95 (4) =3.6×0.12=0.43 (g/t)
となる。前述の4個の測定結果の範囲は
11.0−10.5=0.5
であり,CR0.95 (4) より大きいから,最終報告値は4個の測定結果のメディアン,すなわち
110. 108.
=10.9(g/t)
2
となる。
5.2.5 精度評価実験についての注意
5.2.2又は5.2.3に示した手順で,許容差を超える値をしばしば生じるならば,その試験室でのその測定
方法の精度,及び/又は精度評価実験を調査することが望ましい。
5.2.6 最終報告値の報告

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最終報告値だけを提示する場合には,次の2点を明記することが望ましい。
− 最終報告値の算出に用いた測定結果の数;
図6 測定結果が安価でn≧5個の測定結果から始めるとき,または測定結果が高価でn≧4個の測定結果
から始めるとき,併行条件で得られた測定結果の採択性のチェック方法 : Cの場合
参考 高価な測定であって追加が許されn=3から始める場合には,図6(Cの場合)準用すればよい。
− 測定結果として,平均値とメディアンのどちらが用いられたか。

5.3 併行条件及び再現条件で得た測定結果の採択性をチェックする方法

5.3.1  一般
これらの方法は,2つの試験室が測定結果を得て,その測定結果又はその平均値の間に差がある場合を
扱う。再現標準偏差は,併行標準偏差と同様に,統計的検定手順の要素となる。
測定試料について測定結果を得るすべての場合に,測定結果を得るためと,再測定が必要になるときに
用いる予備のために,十分な試料を準備することが望ましい。この予備分がどのくらい必要であるかは,
測定方法とその複雑さとに依存する。とにかく,この予備の試料は,測定試料の品質の劣化又は有害な変
化から保護するために,注意深く保存することが望ましい。
測定試料は同一であることが望ましく,すなわち両試験室で試料調製手順の最終段階の試料を用いるこ
とが望ましい。
5.3.2 2つの試験室の測定結果間の一致性に関する統計的検定
5.3.2.1 それぞれの試験室の測定結果が1個の場合
それぞれの試験室の測定結果が1個の場合には,その2個の測定結果の差の絶対値を,許容差R=2.8
に対して検定すればよい。その2個の測定結果の差の絶対値がR以下ならば,その2個の測定結果は一致
していると考え,両者の平均値を最終報告値として用いてよい。
結果の差がRを超えているならば,測定方法の精度がよくないためなのか,及び/又は測定試料におけ

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る差に因るのか,を見つける必要がある。併行条件での精度を調べるために,それぞれの試験室が5.2.2
で示した手順に従って実行するとよい。
5.3.2.2 それぞれの試験室の測定結果が2個以上の場合
それぞれの試験室が5.2の手順に従って最終報告値を得ていることを仮定する。したがって,その2個
の最終報告値の採択性を考えることだけが必要である。試験室の最終報告値が一致しているかどうかを確
認するためには,その2個の最終報告値の差の絶対値を,次に示す許容差CD0.95に対して検定すればよい。
a) それぞれの最終報告値がn1及びn2個の測定結果の平均であるときのCD0.95 :
1 1
CD0.95= R2 r2 1
2n1 2n2
上式中でn1=n2=1ならば,Rは5.3.2.1で示した形 (R=2.8 刀 ‰ n2=2ならば,式は簡
単に次のようになる。
r2
CD0.95= R2
2
b) それぞれの最終報告値がn1個の測定結果の平均値と,n2個の測定結果のメディアンであるときの
CD0.95 :
1 [{c(n2 )}]2
CD0.95= R2 r2 1
2n1 2n2
ここで,c (n) は,メディアンの標準偏差の,平均値の標準偏差に対する比である。この値を表2に
示す。
c) それぞれの最終報告値がn1及びn2個の測定結果のメディアンであるときのCD0.95 :
[{c(n1 )}]2[{c(n2 )}]2
CD0.95= R2 r2 1
2n1 2n2
c (n) の値は,表2を参照。
差が許容差を超えないときは,その2試験室の最終報告値は採択可能で,両者の総平均値を用いる
ことができる。差が許容差を超えるときは,5.3.3で概説する手順を守ることが望ましい。
表2 c (n) の値
測定結果の数,n c (n)
1 1,000
2 1,000
3 1,160
4 1,092
5 1,197
6 1,135
7 1,214
8 1,160
9 1,223
10 1,176
11 1,228
12 1,187

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測定結果の数,n c (n)
13 1,232
14 1,196
15 1,235
16 1,202
17 1,237
18 1,207
19 1,239
20 1,212
参考 表の中では小数点としてコンマ (, ) を用いている。
5.3.3 2つの試験室の測定結果間の不一致の解決
2つの試験室の測定結果又は最終報告値間の不一致の原因として,以下が考えられる。
− 2つの試験室間の系統的な差,
− 測定試料の違い,又は
− び/又は 到 讖 差。
測定試料,及び/又は標準物質を交換できるときは,系統誤差の存在とその程度とを求めるために,そ
れぞれの試験室が相手方の測定試料を用いて測定結果を得ることが望ましい。もし測定試料を交換できな
いならば,各試験室は共通試料(できれば特性値既知の試料)について測定結果を得ることが望ましい。
特性値既知の試料を用いると,系統誤差の原因を片方の,又は両方の試験室に負わせることができる利点
がある。系統誤差の原因をその試験室に負わせるために特性値既知の試料を使用できない場合には,その
試験室の間で第三者の試験室へ委託することで合意に達することが望ましい。
測定試料に不一致があることが明らかなときは,両試験室は合同して共同サンプリングを行うか,第三
者機関を招いてサンプリングを行うことが望ましい。
5.3.4 仲裁
契約の当事者である2つの機関は,契約を結ぶとき又は紛争が起きたときに,仲裁手続に同意すること
が望ましい。

6. 試験室内の測定結果の安定性をチェックする方法

6.1 背景

6.1.1  品質管理の第一歩は化学分析,物理計測,官能評価などによる定量から始まる。これらの定量方法
によって得られた観測値には常に誤差が伴う。この誤差は
− サンプリング
− 試料調製
− 測定など
によるものに分けることができる。ただし,この節では測定による誤差,これは測定試料の試験片間の分
離できない変動も含まれるが,のみを取り上げる。
6.1.2 測定誤差はさらに
− 偶然原因による誤差(精度)と
− 系統原因による誤差(真度)
とに分けることができると考えられる。

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  • ISO 5725-6:1994(IDT)

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