JIS Z 8402-6:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方 | ページ 5

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Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
図7 併行条件の下で得られた,私製標準物質のニッケル含有量 (%) の範囲管理図
6.2.3 例2 : 日常分析による,時間とオペレータの異なる中間標準偏差の安定性のチェック
6.2.3.1 背景
a) 測定方法
ISO 351 : 1984, Solid mineral−Determination of total sulfur−High temperature combustion methodに規定
されている方法による,質量パーセントで表された高炉用コークスの硫黄含有量の測定。
b) 出典
ある製鉄所の試験室における1985年8月の日報。
c) 説明
高炉用コークスを製造するコークス炉室から,毎日3直の各直ごとに各生産ロットから試料を採る。
そのとき,硫黄含有量 [% (m/m) ] を求めるために,生産ロットごとに一つの測定試料が調製される。
6.2.3.2 オリジナルデータ
1985年8月におけるNo.1コークス炉室から採った試料の硫黄含有量 [% (m/m) ] の品質管理分析用の測
定結果を表6に示す。ランダムに抽出された試料が,ある直のオペレータにより分析され (x1),その試料
を次の日に別の直のオペレータにより再度分析される (x2)。このようにして得た測定結果を毎日比較する。
6.2.3.3 シューハート管理図による安定性のチェック
表6の測定結果にシューハート管理図(範囲管理図)(JIS Z 9021参照)を適用することにより,測定結
果の安定性をチェックし,時間とオペレータの異なる中間標準偏差の大きさを評価する。
中心線,処置限界と警戒限界(UCLとLCL)の計算のための係数は6.2.2の例1を参照されたい。過去
3ケ月間の測定結果から求められた,時間とオペレータの異なる中間標準偏差, TO),が範囲管理図の標
準値として示されているので,管理図は次のように計算される。
a) 中心線=1.128×0.013 3=0.015 0
b) 処置限界 :
UCL=D2 TO) =3.686×0.013 3=0.049 0
LCL=なし
c) 警戒限界 :
UCL=D2 (2) TO) =2.834×0.013 3=0.037 8

――――― [JIS Z 8402-6 pdf 21] ―――――

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Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
LCL=なし
中間標準偏差 (sI (TO)) の推定値は,以下の式から導出される。
W=|x1−x2|
31
si (TO) = / d2=w / d2 =0.014 2/1.128=0.012 6
wi / 31
1
各群は2つの試料からなり,範囲は31の群ごとに計算される。表6はこの計算用のワークシートである。
図8に管理限界を入れたデータのプロット例を示す。
図8に示した管理図は,測定結果が安定状態にないという徴候はみられない。
図8 時間とオペレータの異なる中間条件の下で得られた,高炉用コークス中の硫黄含有量 (%) の範囲管
理図

――――― [JIS Z 8402-6 pdf 22] ―――――

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Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
表6 例2 (6.2.3) のための管理図用データシート
1. 品質特性 高炉用コークスの硫黄含有量
2. 測定の単位 % (m/m)
3. 分析方法 ISO 351
4. 期間 1985-08-01から1985-08-31頃
5. 試験室 製鉄所の現場の試験室 “B”
測定日(群の番号) 観測値 範囲 記事
x1 x2 w
1 0,56 0,56 0,00
2 0,48 0,50 0,02
3 0,57 0,58 0,01
4 0,60 0,58 0,02
5 0,58 0,58 0,00
6 0,50 0,49 0,01
7 0,56 0,58 0,02
8 0,56 0,56 0,00
9 0,48 0,46 0,02
10 0,54 0,53 0,01
11 0,55 0,57 0,02
12 0,46 0,45 0,01
13 0,58 0,58 0,00
14 0,54 0,56 0,02
15 0,56 0,56 0,00
16 0,57 0,58 0,01
17 0,46 0,45 0,01
18 0,56 0,56 0,00
19 0,56 0,57 0,01
20 0,57 0,55 0,02
21 0,44 0,45 0,01
22 0,59 0,55 0,04 警戒限界を超えた1)
23 0,55 0,57 0,02
24 0,58 0,56 0,02
25 0,46 0,45 0,01
26 0,60 0,58 0,02
27 0,59 0,56 0,03
28 0,54 0,56 0,02
29 0,47 0,49 0,02
30 0,59 0,58 0,01
31 0,49 0,52 0,03
計 16,84 16,72 0,44
平均 0,014 2 w/d2=0,0126

TO) =0,013 3
x1 : 日常の分析
x2 : 翌日,別のオペレータによる2回目の分析
a) 中心線=d2 TO) =1,128×0,013 3=0,015 0
b) 処置限界
UCL=D2 TO) =3,686×0,013 3=0,049 0
LCL : なし
c) 警戒限界
UCL=D2 (2) TO) =2,834×0,013 3=0,037 8

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Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
LCL=なし
1) 2を求めたときの実際の温度が,規定値よりも低かった。
参考 表の中では小数点としてコンマ (, ) を用いている。
6.2.4 例3 : 日常分析の真度の安定性のチェック(1)
6.2.4.1 背景
a) 測定方法
ISO 1171 : 1981, Solid mineral fuels−Determination of ashに規定されている方法による質量パーセン
トで表された石炭の灰分含有量の測定
b) 出典
ある製鉄所の試験室における1985年6月の日報。
c) 説明
その製鉄所では,コークス炉室に石炭混合物が供給され,高炉用コークスを3直制で製造している。
コークス製品の品質を管理するため,ISO 1171に規定された方法により直ごとに石炭の灰分 [%
(m/m) ] が分析される。時間とオペレータの異なる中間標準偏差の安定性のチェックは,例2(6.2.3)に
示した方法で行われている。
この例は,私製標準物質(灰分=10.29%)を使って日常分析による真度の安定性をチェックする方
法を示したものである。
6.2.4.2 オリジナルデータ
その標準物質が,3直のすべてのオペレータから毎日ランダムに指名された一人のオペレータによって1
回分析される。測定結果は表7にyとして示されている。
6.2.4.3 シューハート管理図による安定性のチェック
表7のデータにシューハート管理図を適用することにより,日常の分析の真度の安定性をチェックし,
そのかたよりの大きさを評価する。
この試験室では,日常分析が時間とオペレータの異なる中間条件の下で実施されているので,併行標準
偏差 (sr) を試験室内でのかたよりのチェックに使うことはできない。したがって,srを試験室から得た測
定結果の実際の精度とすることはできない。
時間とオペレータの異なる中間標準偏差,sI (TO),を得るために実験を行うよりも,簡便な方法として移
動範囲管理図を用いる。
表7の注に示した公式及び事前に得られた TO) の値を用いて管理図を作成する。図9の管理図は,
かたよりと範囲の両方が非常に小さい期間と,測定結果が著しく安定性を欠いている期間を示しており,
これらのパターンの理由を調査すべきであることを示している。
6.2.4.4 累積和管理図による安定状態のチェック
(h, k) = (4, 79 ; 0.5) としたときのに対する累積和管理図の (H ; K) の計算を以下に示す(図10参照)。
上側 : H=h TO) =4.79×0.066 45=0.318
K1= k TO) =10.29+0.5×0.066 45=10.323
下側 : −H=−0.318
K2= k TO) =10.29−0.5×0.066 45=10.257

――――― [JIS Z 8402-6 pdf 24] ―――――

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Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
表7 例3(6.2.4)のための管理図用データシート
1. 品質特性 私製標準物質の灰分
2. 測定の単位 % (m/m)
3. 分析方法 ISO 1171
4. 期間 1985-06-01から1985-06-30頃
5. 試験室 製鉄所の現場の試験室 “C”
測定日(群の番号) 測定結果 移動範囲
かたよりの推定値 記事
y w
1 10,30 0,01 0,01
2 10,29 0,00 0,01
3 10,28 −0,01 0,02
4 10,30 0,01 0,01
5 10,29 0,00 0,00
6 10,29 0,00 0,09
7 10,20 −0,09 0,08
8 10,28 −0,01 0,01
9 10,29 0,00 0,00
10 10,29 0,00 0,10
11 10,19 −0,10 0,10
12 10,29 0,00 0,00
13 10,29 0,00 0,00
14 10,29 0,00 0,01
15 10,28 −0,01 0,02
16 10,30 0,01 0,01
17 10,29 0,00 0,00
18 10,29 0,00 0,01
19 10,28 −0,01 0,00
20 10,28 −0,01 0,00
21 10,28 −0,01 0,03
22 10,31 0,02 0,12
23 10,19 −0,10 0,10
24 10,29 0,00 0,07
25 10,36 0,07 0,00
26 10,36 0,07 0,07
27 10,29 0,00 0,01
28 10,30 0,01 0,02
29 10,28 −0,01 0,09
30 10,19 −0,10
計 308,44 −0,26 0,99
平均 −0,086 6 0,0341 w/d2=0,030 2

私製標準物質の灰分
10,29
過去3ケ月の測定結果から求められた標準偏差
TO) =0,066 45
かたよりの推定値
=y−
移動範囲
w=| i−1− i|
x−管理図
中心線=0

――――― [JIS Z 8402-6 pdf 25] ―――――

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  • ISO 5725-6:1994(IDT)

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